デイリーレポート 2024年1月22日

January 22, 2023

【前日の為替概況】ドル円、小幅下落 インフレ期待が予想を下回る

19 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅に下落。終値は 148.12 円と前営業日 NY 終値(148.16 円)と比べて 4 銭程度のドル安水準だった。日銀の早期政策修正観測が後退する一方、米連邦準備理事会 (FRB)による早期利下げ観測は後退しており、円売り・ドル買いが出やすい地合いだった。東京市場で は一時 148.80 円と昨年 11 月 28 日以来の高値を付けた。

ただ、NY 市場に限れば上値が重い展開に。米ミシガン大学が公表した 1 月米消費者調査で、消費者態 度指数(速報値)が予想を上回ると一時 148.53 円付近まで上げたものの、同時に発表された消費者の期 待インフレが予想を下回ったためすぐに失速。12 月米中古住宅販売件数が予想より弱い内容となったこ とも相場の重しとなり、148.03 円付近まで下押しした。

一時は 4.1957%前後と昨年 12 月 13 日以来の高水準を記録した米 10 年債利回りが 4.11%台まで低下し たこともドル売りを誘った。

ユーロドルは反発。終値は 1.0898 ドルと前営業日 NY 終値(1.0876 ドル)と比べて 0.0022 ドル程度の ユーロ高水準となった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると、23 時 30 分過ぎに 一時 1.0866 ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値 1.0847 ドルが目先サポートとして働くと買い 戻しが優勢に。米消費者の期待インフレが下振れしたこともユーロ買い・ドル売りを促した。米長期金利 が低下に転じたことも相場の支援材料となり、取引終了間際に 1.0898 ドルと日通し高値を更新した。

米株式市場ではダウ工業株 30 種平均や S&P500 種株価指数が史上最高値を更新。リスク・オンのドル 売りも出やすかった。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは 23 時 30 分過ぎに 103.55 まで上昇したものの、取引終了間際に 103.24 まで一転下落した。

ユーロ円も反発。終値は 161.47 円と前営業日 NY 終値(161.15 円)と比べて 32 銭程度のユーロ高水準。 東京時間に一時 161.86 円と昨年 11 月 30 日以来の高値を付けたものの、欧州時間に入ると一転下落。19 時 30 分前に一時 160.82 円と日通し安値を更新した。

ただ、前日の安値 160.65 円がサポートとして働くと徐々に買い戻しが入り、161.51 円付近まで持ち直 した。ユーロドルの上昇や米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出た。

【本日の東京為替見通し】ドル円、株・米金利睨みつつ日銀会合待ちか

本日の東京タイムでは主な経済指標や注目のイベントは予定されておらず、株価・時間外の米長期金利 の動向を睨みつつ本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合の結果待ちとなる。日経平均は 神経質な動きながらも先週に約 34 年ぶりの高値を更新するなど堅調な動きになっているが、中国の上海 総合指数は先週末に 3 年 8 月ぶりの安値を更新するなどさえない動きが続いている。中国株の下落の勢い が増すと市場に不安感を与えリスクオフの動きが強まる可能性がある。

また、米 10 年債利回りは先週末に前日比で低下して取引を終えたものの、一時 4.19%台と昨年 12 月 13 日以来の高水準を更新するなど、今年に入って再び上昇に転じており、ドル円の下支えとなっている。 米ミシガン大学が先週末に発表した 1 月の消費者信頼感指数(速報値)が 2021 年 7 月以来の高水準とな ったことを受け、米金利先物市場では米連邦準備理事会(FRB)が 5 月まで利下げを開始しないとの見方 が強まっている。

日銀の早期政策修正観測・FRB による早期利下げ観測の後退を背景としたドル買い・円売りの流れが続 いており、ドル円は底堅い動きが予想されるが、明日の日銀会合の結果と植田日銀総裁の会見を見極めた いこともあり、本日は様子見ムードが強く調整手動の動きにとどまりそうだ。今月末の 30-31 日に米連邦 公開市場委員会(FOMC)に向けて先週末からブラックアウト期間に入ったが、ウォラーFRB 理事やボステ ィックアトランタ連銀総裁など FRB 高官から早期利下げ観測をけん制する発言が先週も相次いだ。今週の 日銀金融政策決定会合では、現状維持がコンセンサスとなっている。本日のドル円は 148 円を挟んでの小 動きが見込まれるも、日銀の政策イベントを無風で通過すれば心理的節目の 150 円の大台が視野に入りそ うだ。

【本日の重要指標】

<国内>

○日銀金融政策決定会合(1 日目)

<海外>

○17:30 ◎ 12 月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比 2.4%)

○24:00 ◎ 12 月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

19 日 11:27 鈴木財務相

「為替はさまざまな要因で決定される」

「為替市場の動向に注視していきたい」

「新 NISA だけに為替の変動要因を求めることは困難」

「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推 移すること重要」

「日銀金融政策決定会合に対しては、 政府として前もっ て期待を申し上げることは控える」

19 日 17:32 ジョーダン・スイス国立銀行(スイス中銀、 SNB)総裁

「インフレ予測は利上げの必要性がないことを示唆して いる」

19 日 23:16 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「物価のインフレは正常に戻り、サービスインフレも驚く べき進展を見せている」

「住宅インフレのさらなる進展を見る必要」

「市場は経済データに注目すべき」

「FRB は労働市場からの差し迫った脅威に直面していな い」

「インフレの進行が逆転すれば利上げする可能性も」

「インフレに関して良い進展があれば、それを政策金利 に反映させなければならない」

20 日 02:43 ボスティック米アトランタ連銀総裁

「利下げ前にインフレ率が 2%に向かっていることを確認 したい」

「インフレとデータが改善すれば利下げ見通しを変更す ることに前向き」

20 日 05:20 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁

「利下げが近いと考えるのは時期尚早」

「政策金利を調整する自信を得るにはより多くの証拠が 必要」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=148 円台で伸び悩み気味>

小陰線引け。148 円台に達してから伸び悩み気味となって いる。先週末は昨年 11 月 28 日以来の高値 148.80 円まで上 昇する場面もあったが押し返された。 気迷い気味の足型を形成して週の取引を終えている。週明 け 147.98 円前後へ切り上がって推移している 5 日移動平均 線を試す展開も想定して臨みたい。5 日線を割り込んだ場合、 まずは 18 日安値 147.66 円が支えとなるか確かめることになるか。

レジスタンス 1 148.80(1/19 高値)
前日終値 148.12
サポート 1 147.66(1/18 安値)
サポート 2 147.08(1/17 安値)

<ユーロドル=雲上限-転換線レンジで方向うかがう>

陽線引け。1.08 ドル半ばで推移している一目均衡表・雲の 上限付近で底堅く推移している。先週末もさほど大きな足型 ではないが陽線を形成した。ただ、その前日 18 日に上振れ た際につけた高値 1.0907 ドルを上抜くことはできなかった。 強い勢いのある動きではなく、しばらく雲の上限と一目・転 換線に挟まれたレンジ中心でもみ合いつつ、次に動き出す方 向性を探る時間帯といえそう。


レジスタンス 1 1.0921(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0898
サポート 1 1.0854(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロ円=162 円を前に足踏み>

陽線引け。一時 161.86 円と、昨年 11 月 30 日以来の水準 まで上昇した。しかし同 29 日以来の 162 円台回復を目前に 足踏みしている感がある。目先のすう勢を示す 5 日移動平均 線を割り込む調整も想定して臨みたい。同線は本日 161.08 円前後で推移。上昇が予想される一目・転換線 159.82 円が 切り上がって下支えになれば地合いはより底堅くなってくるとみる。

レジスタンス 1 161.95(ピボット・レジスタンス 1)
前日終値 161.47
サポート 1 160.65(1/18 安値)

<豪ドル円=5 日線の上昇ともない高値うかがう展開想定>

陽線引け。97円台でじり高となっている。一時 97.80円と、 11 日に伸び悩んだ際につけた高値に並ぶ水準まで上昇した。 頭打ちとなり同水準が強いレジスタンスになるリスクもあ るが、5 日線の上昇をともなう上向きの流れが続くとみる。 現行のレンジを上放れれば、昨年 11 月 24 日高値 98.54 円や 同年高値 98.62 円といった水準も視野に入ってくる。


レジスタンス 1 98.07(2023/12/1 高値)
前日終値 97.72
サポート 1 97.37(5 日移動平均線)