デイリーレポート 2024年1月29日

January 29, 2023

【前日の為替概況】ドル円、147.46 円から 148.21 円まで上昇 米 12 月インフレ率は予想を下回る

26 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 148.15 円と前営業日 NY 終値(147.66 円) と比べて 49 銭程度のドル高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視して いる 12 月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコア デフレーターが前年比 2.9%上昇と予想の 3.0%を下回ったことが分かると、円買い・ドル売りが先行。 一時 147.46 円と日通し安値を更新した。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米 10 年債利回りが 4.16%台まで上昇したことで全般ドル買い が入ったほか、12 月米住宅販売保留指数が予想を上回ったことが相場の支援材料となり、4 時前に 148.21 円と日通し高値を更新した。

ユーロドルは小反発。終値は 1.0853 ドルと前営業日 NY 終値(1.0846 ドル)と比べて 0.0007 ドル程度 のユーロ高水準となった。欧州中央銀行(ECB)の早期利下げ観測が強まる中、欧州市場序盤には一時 1.0813 ドルと昨年 12 月 13 日以来の安値を付けた。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり上げに転じた。欧州株相場の上昇を背景に投資家のリスク志 向が改善するとユーロ買い・ドル売りが入り、22 時 30 分過ぎに一時 1.0885 ドルと日通し高値を更新し た。市場では「ECB の利下げ織り込みが進み過ぎ」との見方も多く、「行き過ぎた利下げ観測の修正によ りユーロに買い戻しが入る余地は大きい」との声も聞かれた。

もっとも、米長期金利が上昇するとユーロドルにも売りが出たため、伸び悩んだ。前日の高値 1.0902 ドルがレジスタンスとして意識された面もあり、取引終了間際には 1.0852 ドル付近まで下押しした。

ユーロ円は 5 営業日ぶりに反発。終値は 160.79 円と前営業日 NY 終値(160.15 円)と比べて 64 銭程度 のユーロ高水準。仏 CAC40 や NY ダウが史上最高値を更新したほか、ナイト・セッションの日経平均先物 が大証終値比 400 円高の 3 万 6080 円まで上昇すると、リスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となっ た。1 時前に一時 160.93 円と日通し高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、明日からの FOMC 控えて動きづらい展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、明日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えて動きづ らい展開が予想される。

ドル円は、昨年 11 月 13 日の高値 151.91 円から 12 月 28 日の安値 140.25 円まで 11.66 円下落した後、 半値戻し(146.08 円)や 61.8%戻し(147.46 円)を上回り 148.80 円まで上昇した後、伸び悩む展開と なっている。

昨年末のドル売り・円買いの背景には、早期の米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ開始と日銀 によるマイナス金利解除観測があったが、年初来のドル買い・円売りの背景には、日米金融政策の早期転 換観測の後退や新 NISA(少額投資非課税制度)による円売り圧力などがあったと思われる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の 1 月 9 日時点のデータでは、円のネット売り持ちポジションは、55949 枚(NY 終値:144.48 円)となっており、昨年 11 月 14 日の 130249 枚(NY 終値:150.37 円)から大幅に 減少していた。その後の 148 円台まで上昇局面では、1 月 23 日(NY 終値:150.37 円)時点で 70645 枚と なっており、円の売り戻しが窺える。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッ チ」では、明日からの FOMC での FF 金利誘導目標 5.25-50%の据え置きがほぼ確実視されているが、3 月 19-20 日の FOMC では、据え置き確率が 52%程度、5.00-25%への利下げ開始確率が 47%程度になってい る。

FOMC での判断材料となる米国 12 月のインフレ動向は以下の通りとなっている。

消費者物価指数(CPI)は前年比+3.4%で、11 月の同比+3.1%から上昇、コア CPI は同比+3.9%で、11 月の同比+4.0%から伸び率が鈍化している。

PCE 総合価格指数は同比+2.6%で、11 月と変わらず、コア PCE デフレーターは同比+2.9%で、11 月の 同比+3.2%から低下している。

卸売物価指数(PPI)は同比+1.0%で 11 月の同比+0.8%から上昇、コア PPI は同比+1.8%で、11 月の 同比+2.0%から伸び率が鈍化している。

ISM 製造業「価格」指数は 45.2 となり、11 月の 49.9 から低下している。

ISM 非製造業「価格」指数は 57.4 となり、11 月の 58.3 から低下している。

ミシガン大学の 12 月調査の 1 年先インフレ期待は 3.1%となり、11 月調査の 4.5%から低下して、2021 年 3 月以来の低水準だった。

ニューヨーク連銀の 12 月調査の 1 年先のインフレ期待は 3.0%となり、11 月調査の 3.4%から低下し て、2021 年 1 月以来の低水準だった。

【本日の重要指標】

<国内>

特になし

<海外>

○09:00 ◎ シンガポール金融通貨庁(MAS)、金融政策発表

○22:10 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

26 日 08:57 12 月 18-19 日分の日銀金融政策決定会 合議事要旨

「何人かの委員は、2024 年の春季労使交渉でしっかり とした賃上げが実現する可能性は高まっているとの見 解を示した」

「物価目標の持続的・安定的な実現を十分な確度もって 見通せる状況にはなお至っていない」

「YCC のもとで粘り強く金融緩和を継続することで、経済 活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく必要 がある」

「マイナス金利や YCC 解除後も当面は大幅な金融緩和 を継続していく可能性が高い」

26 日 15:45 カザークス・ラトビア中銀総裁

「インフレは低下しており、今後も低下し続けるだろう」

「労働市場に幾分かの軟化が見られる」

「賃金の伸びは依然として比較的力強い」

「時期尚早な利下げは最悪」

26 日 18:20 シムカス・リトアニア中銀総裁

「データは 3 月の利下げを支持していない」

「1 月に 4 月のことを協議するのは建設的ではない」

27 日 00:55 ブレイナード米国家経済会議(NEC)委員長

「経済は好調でインフレ率は 2%に定着しつつある」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=1/25 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引 けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は 25 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 2 149.75(2023/11/22 高値)
レジスタンス 1 148.80(1/19 高値)
前日終値 148.15
サポート 1 147.09(1/25 安値)
サポート 2 146.44(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロドル=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢 な展開となっている。孕み線で反発したものの依然として転 換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。 本日は 1.0873 ドルの転換線を念頭に置き、雲の上限を抵 抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0894(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0853
サポート 1 1.0768(日足一目均衡表・雲の下限)

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯している。抱き線で転換線を上回って引けて おり、続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 188.92(1/23 高値)
前日終値 188.19
サポート 1 187.39(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って 引けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は 90.28 円の転換線を念頭に置き、基準線を支持に押 し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 90.99(1/11 高値)
前日終値 90.23
サポート 1 89.81(日足一目均衡表・基準線)