デイリーレポート 2024年2月13日

February 13, 2024

【前日の為替概況】 ドル円、小反発円買い・ドル売り先行も売り一巡後は買い戻し優勢に

12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小反発。終値は149.35円と前営業日NY終値(149.29円) と比べて6銭程度のドル高水準だった。米10年債利回りが4.14%台まで低下すると円買い・ドル売りが 先行。21時30分前に一時148.93円と日通し安値を更新した。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。日銀の低金利政策が続くとの見方が強まる中、日経平均先物の 大幅上昇とともにリスク選好の円売り・ドル買いが出た。米10年債利回りが4.19%台まで上昇したこと もドル買いを促し、1時過ぎには一時149.48円と日通し高値を更新した。

もっとも、9日に付けた年初来高値149.58円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米 10年債利回りが再び低下したことも相場の重し。

ユーロドルは5営業日ぶりに小反落。終値は1.0772ドルと前営業日NY終値(1.0784ドル)と比べて 0.0012ドル程度のユーロ安水準となった。米長期金利が上昇するとユーロ売り・ドル買いが先行し、0 時30分前に1.0756ドルと日通し安値を付けたものの、5・6日の安値1.0723ドルがサポートとして意識 されると下げ渋った。米長期金利が再び低下したこともユーロ買い・ドル売りを誘った。

なお、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事は「利下げが近い将来、適切になるとは考えていない」 「FRBがいつ、どの程度利下げを行うか予測するには時期尚早」と述べ、市場の早期利下げ観測をけん制 した。

ユーロ円は4日ぶりに小幅反落。終値は160.88円と前営業日NY終値(161.00円)と比べて12銭程度 のユーロ安水準。22時前に一時160.38円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢と なり161.06円付近まで切り返した。ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、日経平均先物の上昇に伴 うリスク・オンの円売りが出た。

なお、ナイト・セッションの日経平均先物3月物は9日の大証終値比700円高の3万7590円まで上昇 する場面があった。

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは堅調だった。対ドルでは一時5万0327ドル前後 と2021年12月以来の高値を付けたほか、対円では750万円台と21年11月以来の高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】円安地合いは継続か、日本株動向や日米金利差が材料に

本日の東京為替市場では、先週後半から続く円安地合いは継続されそうだ。まずは、本邦の企業物価指 数を確認し、その後は連休明けで買い先行が期待される日本株の動きや、日米長期金利の動向を見定めな がらの取引となる。

1月企業物価指数は前月比0.1%/前年比0.1%と小幅上昇が予想されている。前回12月分を振り返る と、前年比は低下見込みから横ばいに上振れたものの、昨年1月の9%台からの低下基調は継続された。 足もとで原油先物が堅調に推移していることを考えると、同指数は下げ渋る可能性はある。しかしながら 本日の結果が戻りの鈍さを示すようだと、先週の内田・日銀副総裁のハト派発言から「金融政策の修正が 後ずれ」との見通しが高まるなか、円が売られやすくなってしまうだろう。

日経平均先物は昨日の夜間取引でも大きく値を上げた。一部の半導体株が相場をけん引し、新NISA(少 額投資非課税制度)による流入拡大への期待も支えとなっている。米ダウ平均も過去最高値を更新し、若 干伸び悩んだとは言えS&P500も5000ポイントを超えた高い水準で推移。リスク志向の強まりは織り込 み済みかもしれないが、クロス円を中心に底堅いままと見るのが妥当か。

なお2月(と8月)は、米国債償還・利払いに伴う本邦機関投資家によるレパトリエーション(外貨売 り・円買い)が実施される時期とされている。利払い日は15日なので、その日がスポット応答日となる のが本日。ただし最近は、償還額がある程度分かっていることから月初に手当してしまう投資家も多いよ うだ。一応気にはしておきたいが、もし関連フローが出てドル円が下げたとしても、買い場が与えられる と考えても良いのではないか。

米国に目を向けると、今晩発表される注目の1月米消費者物価指数(CPI)は、12月から鈍化が見込ま れている。注意すべきはヘッドラインに一喜一憂しないことかもしれない。というのも一部通信社によれ ば、米連邦準備理事会(FRB)当局者は「ディスインフレ(物価上昇率の減速)が様々な分野に広がるこ とを確認したい」とされているからだ。CPIの内容にも注視しておきたい。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 1 月企業物価指数(予想:前月比 0.1%/前年比 0.1%)

<海外>

○09:30 ◇ 1 月豪 NAB 企業景況感指数

○16:00 ◎ 1 月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)

○16:00 ◎ 10-12 月英失業率(ILO 方式、予想:4.0%)

○16:00 ◇ 12 月トルコ経常収支(予想:33.0 億ドルの赤字)

○16:30 ◎ 1 月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.6%)

○19:00 ◎ 2 月独 ZEW 景況感指数(予想:17.5)

○19:00 ◎ 2 月ユーロ圏 ZEW 景況感指数

○22:30 ☆ 1 月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.2%/前年比 2.9%)

☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比 0.3%/前年比 3.7%)

○香港、中国(旧正月)、ブラジル(カーニバル)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

12 日 09:58 ホークスビーNZ 準備銀行(RBNZ)副総裁

「NZ の金融システムは依然として堅実」

「システムは高金利に対応できる」

「過去 6 カ月、住宅市場の価格は安定している」

12 日 10:56 オア NZ 準備銀行(RBNZ)総裁

「インフレ率はまだ高すぎる、そのため政策金利を 5.50%に据え置いている」

「住宅建設が減速しているときに人口が急増しているの は問題」

12 日 18:29 デコス・スペイン中銀総裁(11 日付けのイン タビュー記事)

「欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始時期の鍵を握るの は、3 月のインフレや経済見通し」

13 日 00:06 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事

「利下げが近い将来、適切になるとは考えていない」

「FRB がいつ、どの程度利下げを行うか予測するには時 期尚早」

「インフレとの戦いには多くのリスクが残っている」

13 日 00:08 チポローネ ECB 理事

「需要が弱く、インフレ期待が安定しているため、インフ レを抑制するためにさらなる余裕を生み出す金融政策 は必要ない」

「さらに政策金利を緩和する必要はない」

13 日 01:45 ウンシュ・ベルギー中銀総裁

「インフレリスクはかなり限定的」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=5 日線を割り込む調整あっても転換線が支えに>

小陽線引け。上昇中の 5 日移動平均線を上回る水準で底堅 い推移が続いた。先週半ばから 3 営業日連続で 149 円台の高 値圏で NY の取引を終えている。 ただ、気迷い気味の実体部が小さな足型が続いた。本日 149.10円付近へ切り上がっている 5日線を割り込む調整も想 定して臨みたい。しかし同線を割り込んでも、現水準 147.74 円から来週半ばには 149 円台への上昇も見込める一目均衡 表・転換線が支えになってくるだろう。

レジスタンス 1 149.75(2023/11/22 高値)
レジスタンス 1 150.78(2023/11/17 高値)
前日終値 149.35
サポート 1 148.61(2/7-9 上昇幅の半値押し)
サポート 2 147.93(2/8 安値)

<ユーロドル=転換線は低下する公算、さえない推移示唆>

小陰線引け。一時 1.0806 ドルと 2 日以来、6 営業にぶりに 1.08 ドル台を回復する場面もあった。1.0810 ドル台から 1.0820 ドルに向けて緩やかに上昇する 90 日移動平均線を追 うような動きともいえたが、一目均衡表・転換線 1.0811 ド ルや雲の下限 1.0828 ドル、本日 1.0828 ドル、1.0828 ドルに それぞれ切り下がる 21 日線や 200 日線といった抵抗が先行 きの重さを示唆したままである。特に転換線は今週後半にも 1.07 ドル台へ低下する公算。転換線の動向が示唆するさえな い推移が続きやすいとみる。

レジスタンス 1 1.0828(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0772
サポート 1 1.0723(2/5・6 安値)

<ユーロ円=5・21 日線付近で底堅い>

下影小陰線引け。9 日安値 160.77 円を割り込み 160.38 円 まで下振れる場面もあった。しかし 160.30 円台推移してい た 5 日移動平均線や 21 日線が支えとなり下げ渋っている。 再び下押しがあっても一目均衡表・転換線 159.67 円や同基 準線 159.54 円、90 日線 159.41 円と多くのサポートが控えて おり深押しは回避できる予想する。

レジスタンス 1 161.26(2/9 高値)
前日終値 160.88
サポート 1 160.07(ピボット・サポート 2)

<豪ドル円=目先の節目 1/22 抜けて上値伸ばせるか>

陽線引け。安値を 97.14 円と、5・21 日移動平均線手前に とどめ、1 月 29 日以来の高値 97.68 円までじり高となった。 先週末の安値や 97.09 円前後、97.20 円前後へそれぞれ切り 上がった 21・5 日線を支えに、目先の節目は 1 月 22 日高値 97.89 円を試す展開。そこからは昨年 12 月・11 月の高値圏 が目標となってくる。

レジスタンス 1 97.97(2023/12/4 高値)
前日終値 97.54
サポート 1 97.09(21 日移動平均線)