デイリーレポート 2024年2月14日
February 14, 2024
【前日の為替概況】ドル円、続伸 CPI 予想より強く米長期金利上昇
13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は150.80円と前営業日NY終値(149.35円) と比べて1円45銭程度のドル高水準だった。米労働省が発表した1月米消費者物価指数(CPI)が予想よ り強い内容だったことが分かると、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となった。5時前には一時 150.89円と昨年11月16日以来の高値を更新した。なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは一 時4.3261%前後と昨年12月1日以来の高水準を付けた。市場関係者からは「CPIコア指数が8カ月ぶり の大幅上昇となり、根強いインフレを示唆した」「米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが想定よ り続き、利下げ時期が後ずれするとの見方が広がった」との声が聞かれた。
ユーロドルは続落。終値は1.0709ドルと前営業日NY終値(1.0772ドル)と比べて0.0063ドル程度の ユーロ安水準となった。22時30分前に一時1.0795ドルと日通し高値を付けたものの、米CPIの上振れ をきっかけに米早期利下げ観測が後退すると、全般ドル買いが活発化。サポートとして意識されていた 5・6日の安値1.0723ドルを下抜けて一時1.0701ドルと昨年11月14日以来の安値を付けた。
ただ、売り一巡後は1.07ドル台前半で下げ渋った。1.0700ドルに観測されている買いオーダーや、同 水準に設定されているオプション絡みの買いが相場を下支えした。
レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストはこの日、「次の一手は利下げだが、タイ ミングはデータ次第」などと述べたが、相場の反応は限られた。
ユーロ円は反発。終値は161.48円と前営業日NY終値(160.88円)と比べて60銭程度のユーロ高水準。 ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入り一時161.63円と日通し高 値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、昨年11月以来の151円台を意識日米金利差が拡大
本日の東京為替市場では、日米金利差の拡大を背景にドル円は昨年11月以来の151円台を意識しなが らの取引が見込まれる。一方でクロス円は、米金利上昇を嫌気して軟調なまま終えたNY株式市場の流れ をアジア株も引き継ぐようであれば、リスクに敏感なオセアニア通貨を中心に上値重い展開となるかもし れない。
昨日発表された1月米CPIは前月比/前年比ともに市場予想より強い結果となった。前年比総合は 3.1%と前回値よりは伸び率は低かったものの、同コアは3.9%と前回12月分に並んだ。インフレ鈍化基 調が止んだことを受け、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退。米10年債利回りも4.31% 台と前営業日比で約13ベーシスポイント(bp)上昇している。時間外の同債利回りは調整が入るかもし れないが、あくまで「調整の範囲内」に留まることになりそうだ。
CMEのFF金利先物レートから米連邦公開市場委員会(FOMC)の変更確率が示されるFedWatchでは、3 月会合は据え置きがほぼ確定、4/31-5/1会合も据え置き織り込み度が65%と1週間前から30%以上も拡 大した。現状、25bpの米利下げ開始は6月会合からと市場は見ているが、それでも1週間前までわずか だった同会合における据え置き織り込み度が3割弱まで高まってきた。一方、先週の内田・日銀副総裁が ハト派な見解を示して以降、日本のマイナス金利解除は後ずれするとの見方が広がっている。また、春闘 で賃上げ圧力の高まりが確認されて政策修正が行われたとしても、本邦長期金利の上昇幅は米国ほどでは ないのは確か。日米金利差は拡大したままであれば、ドル円の売り圧力は高まりづらいだろう。
なお、日本では新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まって1カ月以上が過ぎた。1月の流入額は1.8 兆円を超え、その多くは投信に向かっているもよう。日経新聞がまとめた新NISAの投信購入ランキング (1月分)では、1位は世界株、2位から6位までが米国株だった。このまま個人の外物投資が続くよう であれば、円売り需要はまだ続くことになりそうだ。。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○16:00 ◎ 1 月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.3%/前年比 4.2%)
○16:00 ◎ 1 月英 CPI コア指数(予想:前年比 5.2%)
○16:00 ◇ 1 月英小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.1%/前年比 5.1%)
○16:00 ◎ 10-12 月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○17:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:00 ☆ 10-12 月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比横ばい/前年比 0.1%)
○19:00 ◎ 12 月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%/前年比▲4.1%)
○20:00 ◇ 12 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲0.7%)
○21:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○23:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
○24:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○15 日 00:30 ◇ EIA 週間在庫統計
○15 日 01:00 ◎ 1 月ロシア CPI(予想:前月比 0.7%)
○15 日 02:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○15 日 06:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、コンファレンスに参加
○中国(旧正月)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14 日 02:05 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チ ーフ・エコノミスト
「次の一手は利下げだが、タイミングはデータ次第」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=高値を大きく更新、相応な調整にも留意>
大陽線引け。一時 150.89 円と昨年 11 月 16 日、約 2 カ月
ぶりの高値まで上伸した。150 円台回復からさらに 151 円回
復をうかがうような強い地合いにある。
一目均衡表の主要指標をはじめ主なトレンド系テクニカ
ル指標は軒並み上方向を示唆したまま。上昇継続の流れにあ
る。ただ、すう勢を示す 5 日移動平均線など短期的なめどと
なる指標からもかい離しているため、調整が入る場合は相応
に大きめ反落となる可能性も視野に入れつつ臨みたい。
レジスタンス 1 151.43(2023/11/16 高値)
前日終値 150.80
サポート 1 150.27(2/13 レンジ 61.8%水準)
サポート 2 149.92(5 日移動平均線)
<ユーロドル=転換線の低下ともなうさえない推移継続へ>
上影陰線引け。目先の下値のポイントだった 5・6 日安値
1.0723 ドルを割り込み、一時 1.0701 ドルと 1.07 ドルの節目
前後の攻防となった。足もとのレンジ切り下がりによって一
目均衡表・転換線 1.0800 ドルは明日にも 1.07 ドル台へ低下
する見込み。転換線を抵抗としたさえない推移継続を示唆し
ている。
レジスタンス 1 1.0759(2/13 レンジ 61.8%水準)
前日終値 1.0709
サポート 1 1.0656(2023/11/10 安値)
<ポンド円=再び大陽線形成、調整を挟みつつ続伸が>
大陽線引け。一時 190.08 円と 2015 年 8 月 24 日以来の高
値圏 190 円台を回復する場面もあった。かなり久しぶりの高
値水準とあって 190 円台での滞空時間は限られたが、大きな
陽線を形成する強い動きが続いた。8 日に大陽線を形成後、
調整の下押しを挟んで続伸したように、適度なペースで上値
を伸ばす流れ継続が期待できる。
レジスタンス 1 190.55(2/5-9 上昇幅の N 計算値)
前日終値 189.91
サポート 1 189.26(2/13 レンジ半値水準)
<NZ ドル円=下落パターン W トップ作りにいくリスクにも注意>
下影小陰線引け。先週末 9 日まで陽線形成が続き 91.87 円
まで上昇して以降は上値が抑えられてきた。週明けから昨日
と、下押しても長めな下ひげを形成して戻す底堅さは好感し
たい。91 円台で上昇中の 5 日線前後で再び 92 円乗せを狙う
ような反発も期待できるが、足もとの重さを勘案すると、再
び 92 円付近が重く、反転下落パターンのダブルトップを作
りにいくリスクもあるため注意が必要だ。
レジスタンス 1 91.87(2/9 高値=年初来高値)
前日終値 91.39
サポート 1 90.82(日足一目均衡表・転換線)