デイリーレポート 2024年2月26日

February 26, 2024

【前日の為替概況】ドル円 150.77 円から 150.30 円まで反落、米 10 年債利回りが 4.24%台へ低下

23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに小反落。終値は150.51円と前営業日NY 終値(150.53円)と比べて2銭程度のドル安水準だった。欧州市場では一時150.77円まで値を上げたも のの、NY市場では上値が重くなった。14日の高値150.83円や13日に付けた年初来高値150.89円がレジ スタンスとして意識されたほか、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.24%台まで低下したこと が相場の重しとなり、2時前に一時150.30円と日通し安値を更新した。ただ、一目均衡表転換線150.08 円や前日の安値150.02円がサポートとして意識されたため、下押しも限定的だった。

なお、市場では「これまでの円安局面で見られた円売りの過熱感が見られない。さらに、テクニカルチ ャート上では円安・ドル高方向へのサインが複数点灯。当面は円安が続く可能性がありそうだ」との声が 聞かれた。

ユーロドルは8営業日ぶりに小反落。終値は1.0821ドルと前営業日NY終値(1.0823ドル)と比べて 0.0002ドル程度のユーロ安水準となった。1.0828ドル付近に位置する200日移動平均線を睨んだ狭いレ ンジ取引に終始した。今日1日の値幅は0.0028ドル程度と小さかった。

欧州中央銀行(ECB)が利下げに慎重な姿勢を保っているとの見方からユーロ買い・ドル売りが入ると、 一時1.0840ドルと日通し高値を付けた。半面、米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測も後退し ており、ユーロ売り・ドル買いも出やすかった。1時前には1.0812ドルと日通し安値を更新した。 ユーロ円は6日ぶりに小幅反落。終値は162.86円と前営業日NY終値(162.92円)と比べて6銭程度 のユーロ安水準。20時30分前に一時163.21円と日通し高値を付けたものの、前日に付けた約3カ月ぶ りの高値163.47円がレジスタンスとして意識されると失速。1時30分前には一時162.69円と日通し安 値を更新した。

カナダドル円も失速した。20時30分前に一時111.80円と2008年1月以来の高値を付けたものの、そ のあとは週末を控えたポジション調整目的の売りなどが出た。WTI原油先物価格が2.7%超下げたことで、 産油国通貨とされるカナダドルに売りが出た面もあり一時111.25円と日通し安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、本邦通貨当局による円買い介入の可能性に警戒する展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日経平均株価の続伸期待から底堅い展開が予想されるものの、米 10年債利回りの低下や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感から上値は限定的か。 ドル円は中期的な「ダブル・トップ(151.95円・151.91円)」から、151円台を窺う展開となっており、 「トリプル・トップ」を形成する可能性が高まりつつある。

2022年10月の高値151.95円では、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入で127円台まで反落、 2023年11月13日の高値151.91円では、植田日銀総裁の「チャレンジング」発言で140円台まで反落し ている。そして、同日の米10年債利回りは4.696%まで上昇していたが、先週末金曜日は4.349%までで、 151円台に乗せていくには、エネルギー不足となっており、しかも151.00円のオプションバリアの防戦 売りも立ちはだかっている。

神田財務官はかつて、ドル売り・円買い介入の条件として、投機的な円売りやボラティリティーの上昇 を挙げていた。 投機筋の円売りポジションを示唆するIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円売り持ち高は120778 枚(※2月20日時点)となっており、2022年10月21日の高値151.95円の頃の円売り持ち高124919枚 (※10月18日時点)に迫っている。

一方で、ボラティリティーに関しては、ボリンジャー・バンド+2σが151.70円台に位置していること で、過熱感は窺えない状況となっている。 ドル円が150円台に乗せた14日の神田財務官の発言「必要があれば適切に対応する」は介入を警告し たものだったが、介入が実施される可能性がある発言「あらゆる措置」「断固たる措置」はまだ聞かれな い。

今後は151円台に乗せた場合の警告文言の変化を警戒しながら、本邦通貨当局の防衛ラインを見極めて いくことになる。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ◇ 1 月企業向けサービス価格指数(予想:前年比 2.4%)

<海外>

○17:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演

○18:00 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演

○20:00 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演

○20:30 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演

○24:00 ☆ 1 月米新築住宅販売件数(予想:前月比 2.4%/68.0 万件)

○27 日 01:30 ◎ 米財務省、2 年債入札

○27 日 03:00 ◎ 米財務省、5 年債入札

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

23 日 05:45 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁

「利下げの段階に近づいているかもしれないが、いつ利 下げが行われるかは分からない」

「最大のリスクは FRB の利下げが早すぎること」

「労働市場のバランスが改善されつつある兆候は複数 ある」

「米国の GDP は引き続き好調を維持」

「インフレ率が 2%に戻りつつあるという確信をさらに強 めたい」

23 日 07:12 クック米連邦準備理事会(FRB)理事

「利下げ前にインフレ率が 2%に戻りつつあるということ にさらに自信を持ちたい」

「適切な金融政策を検討する際に両面のリスクがあると 考えている」

「政策の緩和が早すぎてインフレが高止まりする可能性 と、緩和が遅すぎて経済に不必要な悪影響を与える可 能性を比較検討」

「現在の金融政策スタンスは制限的である」

「高インフレが持続するリスクは減少したように見えるが、 なくなったわけではない」

「ディスインフレが進行中で持続可能であるという確信 が強まるにつれ、見通しの変化とともに政策金利の変更 が正当化される」

「1 月 CPI と PPI が示したように、ディスインフレのプロセ スはこれまで不均一。今後も続く可能性がある」

「ここ数カ月、個人消費は総じて引き続き力強い勢いを 示唆」

23 日 09:40 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事

「インフレについては圧倒的に上振れリスクがある」

「少なくともあと数カ月インフレデータを確認する」

23 日 16:30 ドナフー・ユーロ圏財務相会合議長

「各国にとって防衛支出は重要な優先事項」

「成長の弱さが続いていることが見て取れる」

23 日 17:25 ホルツマン・オーストリア中銀総裁

「利下げの主なリスクは紅海情勢の緊張」

「最近の賃金上昇率はかなり高い」

「金利引き下げは早すぎるよりも遅いほうが良い」

「利下げができることを望んでいる」

「FRB より先に利下げを実施する状況は見当たらない」

23 日 19:00 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理 事

「引き締めのピーク時の影響がすでに過ぎ去ったことを 示唆」

「インフレを抑えながら不況を引き起こさずにソフトランデ ィングに到達できる可能性」

「ユーロ圏の経済は底を打ちつつある」

23 日 20:54 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁

「ECB は他の中央銀行の動きと独立している」

「ディスインフレが持続可能であることを確信する必要」

「第 4 四半期の賃金数字は励みになる」

23 日 22:11 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁

「初回利下げは 6 月になると予想」

「3 月の利下げは絶対にない」

24 日 02:19 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁

「ある時点で利下げが適切に。おそらく今年後半になる だろう」

「利上げは私の基本的な考えではない」

「経済に対する私の見方は1月の統計後も変わっていな い」

「今年の消費支出の伸びは鈍化すると予想」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=2/20 安値を支持に押し目買いスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯中。孕み線で反落したものの、依然として転 換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。 本日は転換線 150.20 円を念頭に置き、20 日の安値を支持 に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕 舞い。

レジスタンス 2 151.91(2023/11/13 高値)
レジスタンス 1 150.89(2/13 高値)
前日終値 150.51
サポート 1 149.69(2/20 安値)
サポート 2 148.40(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=2/20 安値を支持に押し目買いスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り シグナルが点灯している。しかし、7 手連続陽線の後の抱き 線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けてお り、反発の可能性が示唆されている。 本日は転換線 1.0792 ドルを念頭に置き、20 日の安値を支 持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手 仕舞い。

レジスタンス 1 1.0898(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0821
サポート 1 1.0762(2/20 安値)

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯している。4 手連続陽線で転換線を上回って 引けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 191.51(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 190.75
サポート 1 189.58(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=2/21 安値を支持に押し目買いスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯している。6 手連続陽線で転換線を上回って 引けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は 21 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 93.85(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 93.28
サポート 1 92.40(2/21 安値)