デイリーレポート 2024年2月28日

February 28, 2024

【前日の為替概況】ドル円一時150.08円まで下落、1月米耐久財受注額が予想を下回る

27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は150.51円と前営業日NY終値(150.70円) と比べて19銭程度のドル安水準だった。1月米耐久財受注額が予想を下回る結果だったことが分かると 売りで反応し、一時150.08円と本日安値を付けた。ただ、節目の150円を前に反発すると、その後は米 10年債利回りが上昇したことを手掛かりにショートカバーが優勢に。上下しながらも4時過ぎには150.58 円付近まで持ち直した。

ユーロドルは反落。終値は1.0844ドルと前営業日NY終値(1.0851ドル)と比べて0.0007ドル程度の ユーロ安水準だった。欧州時間に1.0866ドルまで上昇したものの、22日高値の1.0888ドルがレジスタ ンスとして意識されるなど、依然として1.08ドル台後半は重かった。米長期金利の上昇も嫌気され、一 時1.0833ドルと日通し安値を付けた。一方で、下値も限られるなど、1.08ドル台半ばを挟んで方向感を 欠いた。

ユーロ円は反落。終値は163.22円と前営業日NY終値(163.53円)と比べて31銭程度のユーロ安水準 だった。ドル円の買い戻しにつれる形で163.38円付近まで値を上げたが、手掛かり材料に乏しい中で買 いは続かなかった。

なお、南アフリカランド円は一時7.90円まで上昇。プラチナ価格が大きく上昇したことなどを受けて 世界最大の産出量を誇る南アフリカの通貨ランドに買いが入った。

【本日の東京為替見通し】ドル円、日米債券利回りや日経平均株価の動向を見極める展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、151円を防戦してきたバリアオプションが満期を迎えることで、 日米債券利回りや日経平均株価次第では151円への買い仕掛けの可能性を警戒しておきたい。 ドル円の上値を抑える要因としては、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性や昨日発表さ れた日本の1月消費者物価指数(CPI)を受けて3月の日銀金融政策決定会合での金融政策正常化の可能 性がやや高まったことなどが挙げられる。

昨日発表された1月のコアCPIは前年比上昇率が3カ月連続で縮小したものの、22カ月連続で日本銀 行の掲げるインフレ目標の2.0%を維持した。昨年2月以来、物価の押し下げ要因となっていた政府の電 気・ガス代負担軽減策の影響が一巡することから、2月のコアCPIは2%台後半になると予想されている。 賃金を反映しやすいサービス価格は前年同月比2.2%上昇していた。1月コアCPIを受けて、新発2年国 債利回りは約13年ぶりの高水準となる0.17%まで上昇しており、150円台前半までの円買い要因となっ た。

植田日銀総裁は2月22日の衆院予算委員会で、政策決定で重視する基調的な物価上昇率は今後高まり、 2%目標実現の鍵を握る賃金・物価の好循環が強まっていくとの見通しを示していた。そして、「日本経済 はデフレではなくインフレの状態にある」とも述べており、3月18-19日の日銀金融政策決定会合で金融 政策の正常化に踏み出す可能性がやや高まっている。

9時30分に発表される1月豪消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.6%と予想されており、12月の同 比+3.4%からの上昇が見込まれている。2023年10-12月(第4四半期)のCPIは、前年同期比+4.1%と 前期の+5.4%から伸び率が鈍化していた。

6日に発表された豪準備銀行(RBA)の四半期金融政策報告では、「労働需要と賃金への下押し圧力がさ らに高まり、予想よりも早いインフレ目標への復帰が見込まれる」と公表していた。

しかし、2023年10-12月の豪賃金指数は前年比+4.2%と発表され、7-9月期の同比+4.0%から上昇し ており、12月のCPIも予想通りに上昇していた場合、RBAの更なる利上げ観測が台頭し、豪ドル買い要因 となる。

10時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は、5.50%で据え置きと予想されて いる。しかしながら、2023年第4四半期の失業率が予想を下回る4.0%、就業者数も改善していたことで、 一部金融機関は利上げの可能性を予想しており、要警戒となる。11時からのオアRBNZ総裁の記者会見に も注目しておきたい。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○14:00 ◇ 12 月景気動向指数改定値

<海外>

○09:30 ◎ 1 月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比 3.6%)

○10:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)

○11:00 ◎ オア RBNZ 総裁、記者会見

○16:00 ◇ 1 月トルコ貿易収支(予想:62.0 億ドルの赤字)

○17:30 ◎ 10-12 月期香港 GDP 確定値(予想:前期比 0.5%/前年同期比 4.3%)

○18:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演

○19:00 ◎ 2 月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.7)

○19:00 ◎ 2 月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲15.5)

○21:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○22:30 ◇ 10-12 月期カナダ経常収支(予想:12.5 億カナダドルの赤字)

○22:30 ☆ 10-12 月期米 GDP 改定値(予想:前期比年率 3.3%)

◎ 個人消費(改定値、予想:前期比年率 2.7%)

◎ コア PCE(改定値、予想:前期比年率 2.0%)

○22:30 ◇ 1 月米卸売在庫(予想:前月比 0.2%)

○29 日 00:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○29 日 00:30 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

○29 日 01:00 ◎ 1 月ロシア失業率(予想:3.0%)

○29 日 02:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、イベントに参加

○29 日 02:15 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、あいさつ

○29 日 02:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ

○20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ブラジル・サンパウロ、29 日まで)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

27 日 09:41 シュミッド米カンザスシティ連銀総裁

「まだ高インフレから抜け出しておらず、FRB は利下げに ついて辛抱強くすべきである」

「先回りして政策スタンスを調整する必要はない」

「FRB は忍耐強く、インフレとの戦いが勝利したという説 得力のある証拠を待つべき」

「現在進行中の FRB のバランスシート縮小を止めるのを 急ぐ必要はない」

「まだ高すぎるインフレの問題から抜け出していない」

「インフレ率を 2%に戻すには、労働市場のバランスを回 復し、賃金の伸びを緩やかにする必要がある」

「1 月の消費者物価指数(CPI)は警戒を示唆している」

27 日 10:03 イエレン米財務長官

「約 80%の国で今年はインフレが低下すると予想」

「今後も、世界の見通しが直面するリスクを認識しており、 特定の国の経済的課題を注意深く監視し続けるが、世 界経済は引き続き回復力がある」

「大方の予想通り、2023 年に米国の景気後退が来てい たら、世界の成長は軌道から外れていただろう。見通し にはリスクがあるものの、米国の成長は一貫して予測を 上回っている」

27 日 20:41 20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁 会議

「ディスインフレが予想以上に急速に進むなどのリスク がある」

「世界経済はソフトランディングの可能性が高まった」 27 日 22:47 ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、 BOE)副総裁

「市場は新しい正常性への移行過程」

「最新の予測に示されたインフレリスクに対するよりバラ ンスの取れた見通しを支持」

「バランスシートの正常化を開始」

「インフレの持続性を注視」

「英国のサービスインフレは予想以上に低下している」

「現在の政策金利をどの程度の期間維持する必要があ るかについて、より多くの証拠を求めている」

28 日 01:47 バイデン米大統領

「政府閉鎖は経済に著しいダメージを与える」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=2/20 安値を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。抱き線で反落して一時転換線を下回ったも の、依然として転換線を上回って引けており、反発の可能性 が示唆されている。 本日は転換線 150.27 円を念頭に置き、20 日の安値を支持 に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕 舞い。

レジスタンス 2 151.91(2023/11/13 高値)
レジスタンス 1 151.43(2023/11/16 高値)
前日終値 150.51
サポート 1 149.69(2/20 安値)
サポート 2 148.40(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=2/20 安値を支持に押し目買いスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り シグナルが点灯している。しかし、依然として基準線や転換 線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。 本日は転換線 1.0810 ドルを念頭に置き、20 日の安値を支 持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手 仕舞い。

レジスタンス 1 1.0916(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0844
サポート 1 1.0762(2/20 安値)

<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯中。5 手連続陽線の後孕み線で反落したもの の、転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されて いる。 本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 191.65(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 190.92
サポート 1 190.06(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯中。2 手連続陰線でも依然として転換線を上 回って引けており、反発の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 93.45(2/23 高値)
前日終値 92.87
サポート 1 92.45(日足一目均衡表・転換線)