デイリーレポート 2024年2月29日

February 29, 2024

【前日の為替概況】ドル円150.85円まで上昇後伸び悩み、米10年債利回りは4.26%へ低下

28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は150.69円と前営業日NY終値(150.51円) と比べて18銭程度のドル高水準だった。米10年債利回りが低下したことを背景に150.53円付近まで小 幅に下押ししたが、米金利が一転上昇すると買い戻しが強まり、1時前には150.85円と本日高値を更新 した。一方、13日に付けた年初来高値150.89円がレジスタンスとして意識されたうえ、米金利が再び低 下したため戻りも限定的。NY時間に限れば、値幅は32銭程度と狭かった。

なお、コリンズ米ボストン連銀総裁は「年後半に緩和政策を開始することが適切になる可能性が高い」 などと述べたほか、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「インフレに関してまだ対応が必要であり、勝 利を宣言したわけではない」などと発言した。

ユーロドルは小幅に続落。終値は1.0838ドルと前営業日NY終値(1.0844ドル)と比べて0.0006ドル 程度のユーロ安水準だった。欧州序盤に1.0797ドルまで下落した後は独長期金利が一時上昇に転じたほ か、独DAXが連日で史上最高値を更新したことを支えにショートカバーが強まる展開に。一時1.0846ド ル付近まで持ち直し、本日高値の1.0847ドルに迫った。 なお、代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは急伸。対ドルでは一時6万3000ドル台ま で急騰し、2021年11月以来の高値を付けた。一方、一巡後はまとまった利食い売りが持ち込まれ6万を 割り込むなど荒い値動きとなった。

ユーロ円は反発。終値は163.33円と前営業日NY終値(163.22円)と比べて11銭程度のユーロ高水準 だった。ドル円の上昇やユーロドルの買い戻しにつれて一時163.41円と本日高値を付けるなど、NY市場 は総じて底堅く推移した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、151円への買い仕掛けと円買い介入の可能性に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、月末で今夜の米1月PCEデフレーターの発表を控えて動きづらい 中、151円への買い仕掛けと本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想さ れる。これまでドル円の151円台乗せを防戦してきたバリアオプションが満期を迎えたことで、151円へ の買い仕掛けの可能性を警戒しておきたい。ドル円の今年の150.80円台は、2月13日の150.89円、14 日の150.83円、26日の150.84円、そして昨日28日の150.85円までであり、151.00円付近の売り圧力 が上値を抑える展開が続いてきた。ドル円は中期的な「ダブル・トップ(151.95円・151.91円)」から、 151円台に乗せた後に反落して「トリプル・トップ」を形成するのか、それとも続伸していくのかの分岐 点に迫りつつある。

ドル円が151円台に乗せてきた場合は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する ことになる。神田財務官は、ドル売り・円買い介入の条件として、投機的な円売り圧力の高まりやボラテ ィリティーの上昇を挙げている。投機筋の円売りポジションを示唆するIMM通貨先物の非商業(投機)部 門取組の円売り持ち高は、2月20日時点で120778枚まで増加しており、円買い介入が実施された2022 年10月21日(高値151.95円)時点での円売り持ち高を上回っている。また、ボラティリティーの上昇 を反映し、2022年秋の円買い介入の目安となっていたボリンジャー・バンドの+2σは151.90円台に位置 している。ちなみに、昨年11月13日にドル円が151.91円の高値を付けた頃のIMMの円売り持ち高は 130249枚だったが、12月7日の植田日銀総裁のチャレンジング発言で140.25円(12月28日)まで反落 している。神田財務官は先ほど「行き過ぎた為替の変動には適切に対応するため、緊張感をもってみてい る」と述べたが、介入が実施される可能性がある発言「あらゆる措置」「断固たる措置」はまだ聞かれて いない。

今夜発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米1月PCEデフレーター は前年比+2.4%と予想されており、昨年12月の同比+2.6%からの伸び率鈍化が見込まれている。米国1 月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の構成要素の一部は、PCEデフレーターの算出に使わ れており、CPIやPPIと同様に下げ止まる可能性もあることから、上振れの可能性には警戒しておきたい。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッ チ」での利下げ開始時期は、PCEデフレーターが予想通りならば、6月FOMC、予想に反して上振れていた 場合は、7月以降に先送りされる可能性が高まることになり、ドル買い要因となる。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◎ 1 月鉱工業生産速報(予想:前月比▲7.3%/前年比▲1.6%)

○08:50 ◇ 1 月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比 2.3%)

○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

○10:30 ◇ 高田創日銀審議委員、あいさつ

○14:00 ◇ 1 月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲7.7%)

○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)

<海外>

○09:00 ◇ 2 月 ANZ 企業信頼感

○09:30 ◎ 1 月豪小売売上高(予想:前月比 1.5%)

○09:30 ◇ 10-12 月期豪民間設備投資(予想:前期比 0.5%)

○16:00 ◎ 1 月独小売売上高(予想:前月比 0.5%/前年比▲1.5%)

○16:00 ◎ 10-12 月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比 3.5%)

○16:00 ◎ 10-12 月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比 0.1%)

○16:45 ◎ 10-12 月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比横ばい)

○16:45 ◇ 2 月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比 0.7%/前年比 2.7%)

○16:45 ◇ 1 月仏卸売物価指数(PPI)

○16:45 ◇ 1 月仏消費支出(予想:前月比▲0.2%)

○17:00 ◎ 10-12 月期スイス GDP(予想:前期比 0.1%/前年比 0.7%)

○17:00 ◇ 2 月スイス KOF 景気先行指数(予想:102.0)

○17:55 ◎ 2 月独雇用統計(予想:失業率 5.8%/失業者数変化 0.70 万人)

○18:30 ◇ 1 月英消費者信用残高(予想:16 億ポンド)

○18:30 ◇ 1 月英マネーサプライ M4

○18:30 ◇ 1 月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比 0.1%/前年比 4.8%)

○21:00 ◎ 1 月南アフリカ貿易収支(予想:52 億ランド赤字)

○21:00 ☆ 10-12 月期インド GDP(予想:前年同期比 6.6%)

○21:00 ◇ 1 月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.80%)

○22:00 ◎ 2 月独 CPI 速報値(予想:前月比 0.5%/前年比 2.6%)

○22:30 ☆ 12 月カナダ GDP(予想:前月比 0.2%/前年比 1.6%)

☆ 10-12 月期カナダ GDP(予想:前期比 0.8%)

○22:30 ◎ 1 月米個人消費支出(PCE、予想:前月比 0.2%)

◎ 1 月米個人所得(予想:前月比 0.4%)

☆ 1 月米 PCE デフレーター(予想:前年比 2.4%)

☆ 1 月米 PCE コアデフレーター(予想:前月比 0.4%/前年比 2.8%)

○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0 万件/187.4 万人)

○23:45 ◎ 2 月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:48.0)

○24:00 ◎ 1 月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比 1.0%/前年比▲4.4%)

○1 日 00:50 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、イベントに参加

○1 日 01:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ

○1 日 03:15 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演

○20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ブラジル・サンパウロ、最終日)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

28 日 10:09 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明

「インフレ率を確実に目標値に戻すためには、金融政策 は引き続き制限的である必要がある」

「インフレ見通しに対するリスクはよりバランスが取れ た」

「金利を一定期間制限レベルに維持する必要がある」 「CPI インフレ率は今年 7-9 月期には目標範囲に戻ると 予想」

「CPI インフレ率は 2025 年後半に目標中間点の 2%に戻 る」

「金融政策が需要を制限していると引き続き確信してい る」

28 日 11:03 清水日銀理事

「現時点では物価目標実現の十分な確度持っていない」 「目標実現に十分な確度で見通せれば大規模緩和の見 直しを検討」

28 日 11:07 オア NZ 準備銀行(RBNZ)総裁

「市場予想より高い水準で金利を維持する必要となる可 能性」

「我々は利下げではなく、利上げを議論した」

「国内の物価圧力は予想通り緩和している」

「インフレ期待が低下していることに安心感がある」

28 日 18:11 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁

「新たなデータで最近の評価が確認されれば、欧州中銀 (ECB)理事会は金融政策を修正するだろう」

「最近のインフレ見通しは非常にポジティブ、物価は下 落を続けるだろう」

「利下げをするには、物価目標の 2%に向かうことを確 認する必要がある」

28 日 20:23 カジミール・スロバキア中銀総裁

「利下げ開始は 6 月を支持」

「利下げを急ぐ理由はない」

28 日 22:56 ルメール仏財務相

「ロシア資産の押収に法的根拠は必要ない」

29 日 02:29 コリンズ米ボストン連銀総裁

「年後半に緩和政策を開始することが適切になる可能 性が高い」

「最近の経済データは、FRB の目標達成に向けた進展 が不安定なものになり得ることを浮き彫りにした」

「価格の安定と健全な労働市場に持続可能な方法で経 済が進んでいるかどうかを見極めるには、より時間が必 要」

「ディスインフレ過程が継続するさらなる証拠が必要」

「個々のデータに過剰反応すべきではない」

「2%を上回るインフレの脅威が後退」

29 日 02:32 ボスティック米アトランタ連銀総裁

「インフレが 2%目標に向かって推移を続けると予想」

「インフレに関してまだ対応が必要であり、勝利を宣言し たわけではない」

「政策に関して忍耐強くいることができる」

29 日 03:50 メキシコ中銀四半期インフレリポート

「2024 年の GDP 見通しを+3.0%から+2.8%に下方修正」

「2024 年第 1 四半期の CPI 見通しを+4.3%から+4.7%へ 上方修正」

「2024 年第 2 四半期の CPI 見通しを+4.0%から+4.3%へ 上方修正」

「2024 年第 3 四半期の CPI 見通しを+3.7%から+3.9%へ 上方修正」

「2024 年第 4 四半期の CPI 見通しを+3.4%から+3.5%へ 上方修正」

29 日 06:36 バスレ・スロベニア中銀総裁

「利下げのタイミングはインフレ次第」

「大きなサプライズがなければ、利下げフェーズを検討し ている」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=2/27 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。孕み線で反発して転換線を上回って引けて おり、続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線 150.27 円を念頭に置き、27 日の安値を支持 に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕 舞い。

レジスタンス 2 151.91(2023/11/13 高値)
レジスタンス 1 151.43(2023/11/16 高値)
前日終値 150.69
サポート 1 150.08(2/27 安値)
サポート 2 148.40(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=2/20 安値を支持に押し目買いスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を上回ったものの、遅行スパ ンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナ ルが優勢な展開。しかし、依然として基準線や転換線を上回 って引けており、反発の可能性が示唆されている。 本日は転換線 1.0825 ドルを念頭に置き、20 日の安値を支 持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手 仕舞い。

レジスタンス 1 1.0932(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0838
サポート 1 1.0762(2/20 安値)

<ユーロ円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買 いシグナルが点灯中。孕み線で反発して転換線を上回って引 けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 164.22(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 163.33
サポート 1 162.60(日足一目均衡表・転換線)

<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。しかし、3 手連続陰線で転換線を下回って 引けており、続落の可能性が示唆されている。 本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上 抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 98.44(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 97.89
サポート 1 97.05(日足一目均衡表・雲の上限)