デイリーレポート 2024年3月5日

March 5, 2024

【前日の為替概況】ドル円150.57円まで上昇、米10年債利回りが4.23%台へ上昇

4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は150.53円と前営業日NY終値(150.12円)と 比べて41銭程度のドル高水準だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.23%台まで上昇す ると円売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時150.57円と日通し高値を更新した。

ただ、1日の高値150.72円や2月13日に付けた年初来高値150.89円がレジスタンスとして意識され ると伸び悩んだ。市場では「今週予定されているパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言や2 月米雇用統計などの重要イベントを控えて、一本調子で上昇する展開にはならなかった」との声も聞かれ た。

ユーロドルも続伸。終値は1.0856ドルと前営業日NY終値(1.0837ドル)と比べて0.0019ドル程度の ユーロ高水準だった。ユーロ豪ドルやユーロNZドルなど一部ユーロクロスの上昇につれた買いが入ると、 1時過ぎに一時1.0867ドルと日通し高値を付けた。ただ、7日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に 一本調子で上昇する展開にはならなかった。今日の安値は日本時間夕刻に付けた1.0838ドルで値幅は 0.0029ドル程度だった。

なお、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「FRBは年内に0.25%の利下げを2回実施することが適切」 との考えを改めて表明したうえで、「現在の経済の力強さが小さな泡となり、インフレを巡る新たな局面 に発展しないよう、FRBは微妙なラインを歩いている」と語った。

ユーロ円も続伸した。終値は163.42円と前営業日NY終値(162.68円)と比べて74銭程度のユーロ高 水準。全般ユーロ買いが進んだ流れに沿って一時163.52円と日通し高値を更新した。

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは上値を試す展開。対ドルでは一時6万7889ドル 前後と2021年11月以来の高値を付けたほか、対円では1000万円台を突破し史上最高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、デフレ脱却報道への植田日銀総裁の見解に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇を背景に堅調推移が予想される中、先週 末2日に報じられた政府のデフレ脱却宣言報道に対する植田日銀総裁の見解に注目する展開となる。

8時30分に発表される2月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)は、前年比+2.5% と予想されており、1月の同比+1.6%からの上昇が見込まれている。

1月の全国コアCPIは前年比+2.0%だったが、昨年2月以来、物価の押し下げ要因となっていた政府の 電気・ガス代負担軽減策の影響が一巡することから、2月のコアCPIは2%台後半になると予想されてい る。

2月の全国コアCPIの先行指標となる2月東京都区部CPIが予想通り、あるいは予想を上回った場合、 日銀の早期の金融政策正常化の可能性を高める要因となる。

先週のドル円は、ハト派の高田日銀審議委員のややタカ派的な発言「出口への対応も含め機動的かつ柔 軟な対応に向けた検討も必要」を受けて、149円台まで下落したものの、植田日銀総裁のハト派発言「現 時点で達成が見通せる状況ではない」を受けて150円台を回復した。

その後、先週末2日の報道では、政府が物価の上昇傾向を受け「デフレ脱却」を表明する検討に入った ことが報じられた。政府は日本経済がデフレにあるとの見解を2001年3月の月例経済報告に併せて公表 した資料で「緩やかなデフレにある」と示していたが、デフレ脱却を表明すれば、23年間にわたり安定 成長を妨げてきた足枷が外れたと認めることになる。

植田日銀総裁は、2月22日に衆議院予算委員会に出席し、「消費者物価は去年までと同じような右上が りの動きが続くと予想している。そういう意味でデフレではなく、インフレの状態にあると考えている」 と述べた。そして、「労働需給が引き締まるもとで、企業の賃金設定行動も従来より積極的な動きが見ら れている。こうした動きが続くもとで雇用賃金が増加する中で物価も緩やかに上昇する好循環が強まって いく」と述べた。

植田日銀総裁の2月22日の発言と2日の報道は整合的であり、本日の13時からの講演での見解に注目 しておきたい。

3月13日に春闘の集中回答日があり、15日には内容が公表される予定となっており、賃上げの状況を 確認した後の18-19日に日銀金融政策決定会合が開催される。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:30 ◎ 2 月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比 2.5%)

○13:00 ◎ 植田和男日銀総裁、講演

<海外>

○09:01 ◇ 2 月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比 1.6%)

○09:30 ◇ 10-12 月期豪経常収支(予想:56 億豪ドルの黒字)

○10:45 ◎ 2 月 Caixin 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:52.9)

○16:45 ◇ 1 月仏鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%)

○17:50 ◎ 2 月仏サービス部門 PMI 改定値(予想:48.0)

○17:55 ◎ 2 月独サービス部門 PMI 改定値(予想:48.2)

○18:00 ◎ 2 月ユーロ圏サービス部門 PMI 改定値(予想:50.0)

○18:30 ◎ 2 月英サービス部門 PMI 改定値(予想:54.3)

○18:30 ◎ 10-12 月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比 0.3%/前年同期比 0.9%)

○19:00 ◎ 1 月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%/前年比▲8.1%)

○23:45 ◎ 2 月米サービス部門 PMI 改定値(予想:51.4)

○23:45 ◎ 2 月米総合 PMI 改定値(予想:51.4)

○24:00 ☆ 2 月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:53.0)

○24:00 ◎ 1 月米製造業新規受注(予想:前月比▲2.9%)

○6 日 02:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、パネルディスカッションに参加

○中国の全国人民代表大会(全人代)開幕(北京)

○米大統領選の予備選が集中する「スーパーチューズデー」

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

5 日 03:26 ボスティック米アトランタ連銀総裁

「インフレ率は 2%に向けて順調だが、勝利を宣言する には時期尚早」

「今年は 2 回の 0.25%の利下げを予想」

「利下げの前にさらなる進展を確認する必要」

「インフレは依然として蔓延している」

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=3/4 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引 けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線 150.03 円を念頭に置き、3 月 4 日の安値を支 持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手 仕舞い。

レジスタンス 2 151.91(2023/11/13 高値)
レジスタンス 1 150.89(2/13 高値)
前日終値 150.53
サポート 1 149.84(3/4 安値)
サポート 2 148.40(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な 展開となっている。2 手連続陽線で転換線を上回って引けて おり、続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線 1.0842 ドルを念頭に置き、基準線を支持に 押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0916(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0856
サポート 1 1.0797(日足一目均衡表・基準線)

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って 引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 192.13(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 191.06
サポート 1 190.18(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯中。しかし、2 手連続陽線でも転換線を下回 って引けており、反落の可能性が示唆されている。 本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上 抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 92.25(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 91.72
サポート 1 91.05(2/29 安値)