デイリーレポート 2024年3月19日

March 19, 2024

【前日の為替概況】ユーロ弱含み対ドル1.0866ドル、対円161.95円

18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら5日続伸。終値は149.15円と前営業日NY終 値(149.04円)と比べて11銭程度のドル高水準。ただ、NY市場では大きな方向感は出なかった。米長期 金利の指標となる米10年債利回りが4.3461%前後と2月23日以来の高水準を付けると全般ドル買いが 入った半面、ユーロ円などクロス円の下落につれた売りが出たため、相場はもみ合いの展開となった。

日経新聞電子版が「日銀は18-19日の金融政策決定会合で大規模緩和の解除を決める方針。マイナス 金利政策のほか、長期金利を抑え込むための長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上 場投資信託(ETF)などリスク資産を買い入れる枠組みもなくす」と報じると円買いで反応し、一時148.92 円付近まで下押ししたものの、「日銀の政策修正は織り込み済み」との見方から反応は一時的だった。ア ジア時間に付けた日通し安値148.91円が目先サポートとして働いた面もあり、すぐに持ち直した。

ユーロドルは反落。終値は1.0872ドルと前営業日NY終値(1.0889ドル)と比べて0.0017ドル程度の ユーロ安水準だった。先週発表された米物価指標がインフレ圧力の根強さを示したことで、米利下げ先送 り観測が高まる中、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出た。3時前に一時1.0866ドルと 日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.65まで上昇 した。なお、短期金利市場では6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が50%を下回る場 面があった。

ユーロ円も反落。終値は162.17円と前営業日NY終値(162.31円)と比べて14銭程度のユーロ安水準。 ユーロドルの下落につれた円買い・ユーロ売りが出た。「日銀はマイナス金利解除のほか、YCC撤廃とETF 購入終了を決定へ」との日経報道が伝わると一時161.95円と本日安値を付けた。

【本日の東京為替見通し】】ドル円は日銀の利上げパス、豪ドルはRBA金融政策に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合での利上げパスに注目する展開となる。 本日発表される日銀金融政策決定会合の結果のメインシナリオは、植田日銀総裁の発言「金融政策運営 の不連続性の回避」と「緩和的な金融環境の維持」に示唆される以下の変更が織り込み済みとなっており、 ドル円は150円方向への上昇基調が予想される。

ドル円が150円台に乗せた場合は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒してお きたい。

・マイナス金利(▲0.10%)が解除され、短期金利の誘導目標が0.00-10%へ引き上げられる

・当座預金の3層構造(マイナス0.1%、0%、プラス0.1%の付利)が撤廃され、超過準備金全てに付利 0.1%を一律適用する1層構造へ変更される

・長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)が撤廃される

・オーバーシュート型コミットメント「マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品) の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する」により、当分の間は国債の 購入は継続される (※購入額のフレームワークには要注目となる)

・上場投資信託(ETF)の新規購入は停止

サプライズとなるリスクシナリオは、植田日銀総裁の先日の発言「デフレではなくインフレの状態」に 示唆されるように、将来的な量的縮小や追加利上げについて言及された場合となる。ドル円は145円方向 に向けた下落トレンドが再開するのかもしれない。

このリスクシナリオの背景としては以下の要因が挙げられる。

・春闘の第1回回答集計での平均賃上げ率が、33年ぶりの高水準となる5.28%を記録したことで、植田 日銀総裁が目指していた「賃金の上昇を伴う形」での2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まり つつあること

・2月のコア消費者物価指数は、エネルギーの激変緩和措置のベース効果により前年比+2.8%程度まで上 昇すると予想されていること

・4月からの運送・物流業界の規制強化の影響で賃金・手当の引き上げの可能性

・6月に予定されている1人当たり4万円の定額減税

12時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、3会合連続での4.35%での据え置きが見込 まれている。前回の声明文では「追加利上げの可能性を排除できない」とのタカ派的なスタンスが示され た、しかし、豪の物価関連の指標は、10-12月期四半期賃金指数は伸び率が鈍化、1月消費者物価指数(CPI) の伸びは前月から横ばいと、2年ぶりの低水準だった。市場では「RBAの利上げサイクルはすでに終了し た。利下げが前倒しされる可能性がある」と警戒されており、タカ派的トーンを維持するのか、今後数カ 月先の転換の可能性を示唆するのか要注目か。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表、予想:当座預金金利 0.00%へ引き上げ)

○13:30 ◇ 1 月鉱工業生産確報

○13:30 ◇ 1 月設備稼働率

○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見

<海外>

○12:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.35%で据え置き)

○13:30 ◎ ブロック RBA 総裁、記者会見

○17:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

○17:40 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演

○19:00 ◎ 3 月独 ZEW 景況感指数(予想:20.5)

○19:00 ◎ 3 月ユーロ圏 ZEW 景況感指数

○21:30 ◎ 2 月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.6%/前年比 3.1%)

○21:30 ◎ 2 月米住宅着工件数(予想:143.0 万件、前月比 7.4%)

◎ 建設許可件数(予想:150.0 万件、前月比 2.0%)

○20 日 02:00 ◎ 米財務省、20 年債入札

○20 日 05:00 ◎ 1 月対米証券投資動向

○米連邦公開市場委員会(FOMC)1 日目

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください

【前日までの要人発言】

19 日 01:37 センテノ・ポルトガル中銀総裁

「ユーロ圏経済は停滞している」

「現在、ユーロ圏のリセッション(景気後退)については 話していない」

「金融状況が厳しすぎると収縮を引き起こす可能性があ る」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な 展開となっている。しかし、5 手連続陽線で基準線や転換線 を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 150.89(2/13 高値)
レジスタンス 1 150.08(3/6 高値)
前日終値 149.15
サポート 1 147.94(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 146.49(3/8・11 安値)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢 な展開となっている。しかし、抱き線で反落して転換線を下 回って引けており続落の可能性が示唆されている。 本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上 抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0924(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0872
サポート 1 1.0824(日足一目均衡表・雲の下限)

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行ス パンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグ ナルが優勢な展開となっている。5 手連続陽線で転換線を上 回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 191.19(3/4 高値)
前日終値 189.86
サポート 1 189.10(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢 な展開となっている。差し込み線で反発したものの転換線を 下回って引けており反落の可能性が示唆されている。 本日は転換線 90.97 円を念頭に置き、基準線を抵抗に戻り 売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 91.91(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 90.76
サポート 1 89.79(日足一目均衡表・雲の下限)