デイリーレポート 2024年3月22日
March 22, 2024
【前日の為替概況】ドル円、好調な米経済指標を受けて 151.75 円まで上昇
21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は8日続伸。終値は151.62円と前営業日NY終値(151.26 円)と比べて36銭程度のドル高水準。本日発表された3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前 週分の米新規失業保険申請件数、2月米中古住宅販売件数、2月米景気先行指標総合指数が予想より強い 内容となったことを受けて全般ドル買いが先行。対欧州通貨中心にドル高が進んだ影響も受けて、2時前 に一時151.75円まで値を上げた。前日に大幅低下した米2年債利回りが上昇したことも相場の支援材料。 ただ、前日に付けた年初来高値151.82円や昨年11月13日の高値151.91円、2022年10月21日の高 値151.95円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
ポンドドルは一時1.2651ドルと4日以来の安値を付けた。英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り政策 金利を据え置き、「英CPI伸び率は4-6月に目標の2%を一時的に下回る」との見通しを示した。また、 ベイリーBOE総裁は「市場の利下げ見通しは妥当」「行動する前にインフレ率が2%になる必要はない」と 述べ、今後の利下げの可能性を示唆した。市場ではBOEが利下げに向かっているとの観測が広がり、ポン ド売りを促した。
ドルスイスフランは一時0.8994スイスフランと昨年11月14日以来約4カ月ぶりの高値を更新した。 スイス国立銀行(中央銀行)の予想外の利下げを受けたスイスフラン売りがNY市場に入っても続いた。
ユーロドルは反落。終値は1.0860ドルと前営業日NY終値(1.0922ドル)と比べて0.0062ドル程度の ユーロ安水準だった。米金利上昇や米経済指標の上振れをきっかけに全般ドル買いが優勢になると、1時 前に一時1.0856ドルと日通し安値を付けた。BOEやSNBの金融政策公表後に、欧州中央銀行(ECB)の利 下げ開始時期が近づいているとの見方が一段と強まったことも相場の重し。
ユーロ円は3営業日ぶりに反落。終値は164.66円と前営業日NY終値(165.21円)と比べて55銭程度 のユーロ安水準。欧州序盤に一時165.34円まで上げたものの、前日に付けた08年8月以来の高値165.35 円がレジスタンスとして意識されると失速した。ECBの利下げ開始時期が近づいているとの見方も相場の 重しとなり、1時前に164.57円付近まで下押しした。
【本日の東京為替見通し】ドル円、2 月 CPI を見極めた後は円買い介入の可能性に要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、2月全国消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、引き続き本邦 通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
8時30分に発表される2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は、エネルギーの激変緩 和措置のベース効果により前年比+2.8%程度まで上昇すると予想されている。
そして、ドル円が円安気味に推移した場合、輸入物価上昇の価格転嫁による物価上昇圧力「第1の力」 が再浮上する可能性が高まることで、インフレへの警戒感が台頭する。
植田日銀総裁は、物価を押し上げる主役が「第1の力」から「第2の力」に徐々にバトンタッチし、賃 金と物価の好循環が強まっていく姿をメインシナリオと考えている。輸入物価が上昇した場合、大幅な賃 上げにも関わらず、実質賃金がプラスに浮上する可能性が低下することになるため、円安による輸入物価 の抑制は喫緊の課題となる。
すなわち、円安を抑制するために、20日のニューヨーク市場で話題になった観測報道「日銀の追加利 上げ『10月』、『7月』観測」が現実味を帯びることになる。 植田日銀総裁は、先日、「賃金上昇を反映する形でサービス価格が緩やかに上昇する姿は続いている。 そういう意味でデフレではなくインフレの状態にある」と述べていた。 2022年秋の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、投機的な円売り圧力やボラティリティーの 上昇を抑制することが大義名分となっていた。
現状のドル円のボラティリティーを示唆するボリンジャー・バンド+2σは152.48円付近、3月12日時 点の投機筋の円売りポジションを示唆するIMM円売り持ち高は102322枚となっている。 ■2022年9月22日(木)の第1弾の円買い介入(2兆8382億円) ・介入時間帯:日本時間17時半頃(アジア・東京勢が退場し、欧州勢が参入し始めた頃) ・IMM円売り持ち高:81280枚(※9/20) ・ドル円:高値145.90円から安値140.36円まで、5.54円(3.8%)下落した。 ・ボリンジャー・バンド+2σ:146.12円 ■2022年10月21日(金)の第2弾の円買い介入(5兆6202億円) ・介入時間帯:日本時間23時半頃(欧州勢が退場し、NY勢が参入し始めた頃) ・IMM円売り持ち高:94336枚(※10/18) ・ドル円:高値151.95円から安値146.23円まで、5.72円(3.8%)下落した。 ・ボリンジャー・バンド+2σ:150.39円
【本日の重要指標】
<国内>
○08:30 ☆ 2 月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比 2.8%)
○08:30 ☆ 2 月全国 CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比 3.3%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ◇ 3 月月例経済報告
<海外>
○09:01 ◇ 3 月英消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲19)
○16:00 ◇ 1 月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.3%/前年比▲7.4%)
○16:00 ◎ 2 月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比▲0.7%)
○16:00 ◎ 2 月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.1%/前年比▲0.9%)
○18:00 ◎ 3 月独 Ifo 企業景況感指数(予想:86.0)
○18:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○19:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:16.00%で据え置き)
○20:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、記者会見
○21:30 ◎ 1 月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.4%/自動車を除く前月比▲0.4%)
○22:00 ◎ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、FRB 主催のイベントであいさつ
○23 日 01:15 ◎ バーFRB 副議長、講演
○23 日 02:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23 日 05:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
21 日 09:51 鈴木財務相
「為替、高い緊張感もって動きを注視」
「為替は安定的に推移すること望ましい」
21 日 10:11 植田日銀総裁
「当面、緩和的な金融環境継続で経済・物価を支える」
「賃金と物価の好循環の強まり確認されてきている」
「完全に物価目標の達成見極めてから政策修正の選択 した場合、インフレ率が 2%上昇で止まるかははっきりし ない」
「長期金利急上昇の場合、機動的に国債買い入れオペ を増額」
「保有国債によるストック効果は引き続き作用するが、 量的・質的緩和と呼ぶことは考えていない」
「1993 年から 2022 年までの逸失金利収入は 600 兆円と 試算」
「利子所得の減少は総需要にマイナスの影響の可能性、 ただ低金利は経済環境の改善につながった」
21 日 11:12 林・官房長官
「為替市場の動向を高い緊張感をもって注視」
21 日 17:37 スイス国立銀行(中央銀行、SNB)声明
「必要に応じて外国為替市場で積極的に活動する意向 も維持する」
「引き続きインフレの推移を注意深く監視し、インフレが 中期的に物価安定と一致する範囲内にとどまるよう、必 要に応じて金融政策を再度調整する」
「新しい予測によれば、今後数年間のインフレ率は SNB が物価安定とみなす範囲内にとどまる可能性が高い」
「今回の決定に際し、インフレ圧力の低下と過去 1 年間 の実質ベースでのスイスフランの上昇を考慮」
21 日 18:14 ノルウェー中銀(ノルゲバンク)声明
「インフレ率を 2%の目標に戻すためには、政策金利を 現在の水準にしばらく維持する必要がある」
「経済成長は 2024 年前半まで低水準が続き、その後持 ち直すと予想」
「失業率は 2023 年 12 月時点の予想より若干低下するも のの、上昇に転じる可能性が高い」
「インフレ率は 2024 年にやや急速に鈍化し、2027 年末 には 2%に近づくと予想」
21 日 18:35 ジョーダン・スイス国立銀行(スイス中銀、 SNB)総裁
「ほかの中銀から独立して決定している」
「スイスフランの中期的な動きに注目している」
「インフレの主因は国内サービス 」
「中立金利がどの程度かについてはコメントしない 」
21 日 20:12 トルコ中銀声明
「インフレ見通しの悪化を受けて、委員会は政策金利の 引き上げを決定」
「委員会はインフレ期待と価格設定行動の予測との整合 性、および賃金上昇がインフレに及ぼす影響を注意深く 監視」
「インフレの大幅かつ持続的な悪化が予想される場合、 金融政策スタンスは引き締められるだろう」
「委員会はインフレの基調的傾向の低下を確実にし、中 期的に 5%のインフレ目標を達成するために必要な金 融・金融条件を生み出すような形で政策決定を行う」
21 日 20:22 ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)
「第 1 四半期に景気後退に陥る可能性」
「個人消費にも当面大きな刺激は期待できない」
「気候変動政策などの主要問題に対する不確実性も投 資判断の重しとなっている」
「インフレは今後数カ月でさらに低下する可能性がある」
21 日 21:03 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
「MPC は 8 対 1 で 5.25%の据え置きを決定」
「1 人が 0.25%の利下げを主張」
「CPI インフレ率は 2024 年第 2 四半期には目標の 2%を わずかに下回る水準に低下すると予想されており、従来 の予想よりも若干低い水準となる」
「インフレ率を中期的に持続的に 2%の目標に戻すため には、金融政策を十分な期間にわたり制限的にし続け る必要がある」
「MPC はインフレ率を持続的に 2%の目標に戻すため、 金融政策を調整する用意がある」
「労働市場状況の基調的な逼迫や賃金の伸び、サービ ス価格のインフレなどさまざまな指標を含め、経済全体 における持続的なインフレ圧力と回復力の兆候を引き 続き注意深く監視していく」
21 日 23:45 グラヴェル・カナダ中銀(BOC)副総裁
「2 月のインフレデータは大変心強いものだったが、一つ のデータに過ぎない」
22 日 00:05 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「英国はインフレ退治を巡り勝利への道筋にある」
「市場の利下げ見通しは妥当」
「持続的なインフレの退治には、まだ一定の距離があ る」
「行動する前にインフレ率が 2%になる必要はない」
22 日 04:05 メキシコ中銀声明
「今回の決定は全会一致ではなかった」
「インフレ軌道のリスクバランスは依然として上向きに偏 っている」
「インフレ率は 2025 年第 2 四半期には目標の 3%に収 束すると予想」
「インフレ見通しは依然として厳しい」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=三役好転、3/21 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯した。8 手連続陽線で基準線や転換線を上回っ
て引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は 21 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 2 153.64(ピボット・ターニングポイント)
レジスタンス 1 152.69(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 151.62
サポート 1 150.27(3/21 安値)
サポート 2 149.22(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な
展開。しかし、抱き線で反落して三役好転が消滅し、転換線
を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線 1.0900 ドルを念頭に置き、雲の上限を抵抗
に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞
い。
レジスタンス 1 1.0917(日足一目均衡表・雲の上限)>
前日終値 1.0860>
サポート 1 1.0796(日足一目均衡表・雲の下限)
<ユーロ円=3/20 安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯している。孕み線で反落したものの転換線を上
回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は 20 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 165.35(3/20 高値)
前日終値 164.66
サポート 1 163.79(3/20 安値)
<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
寄引同事線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは
実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い
買いシグナルが点灯している。4 手連続陽線の後、寄引同事
線で引けたものの転換線を上回って引けており続伸の可能
性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を
下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 100.17(3/21 高値)
前日終値 99.62
サポート 1 98.59(日足一目均衡表・転換線)