ウィークリーレポート 2024年3月29日

週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)

March 29, 2024

ドル円、相次ぐ米重要指標に注目

◆ドル円、介入の可能性高まるも円先安観から下値堅い

◆米雇用統計をはじめ、米重要指標が目白押し

◆ユーロドル、欧州市場は夏時間に移行

予想レンジ

ドル円 149.00-155.00 円

ユーロドル 1.0500-1.1000 ドル

4月1日週の展望

ドル円は、政府・日銀による介入警戒感は高まっているものの、円先安観を背景に押し目買い意欲が強いことから下値の堅い動きとなりそうだ。

3 月に日銀が異次元の大規模金融緩和を終了させたものの、声明や植田日銀総裁、その日銀メンバーからも「しばらくは緩和的な金融政策を継続する」との姿勢を確認したことで継続的な利上げ期待は後退。円先安観が一段と高まっている状況となっている。27 日に鈴木財務相が「あらゆるオプションを排除せずに、断固たる措置をとっていきたい」と発言し、介入が近いことを示唆する文言とされている“断固たる”という表現を使用したため介入警戒感が高まっており、仮に介入が実施されればドル円は急落することは想定できるだろう。ただ、日銀が金融緩和を継続する姿勢を示している以上、介入のみで円安トレンドを終わらせることは難しく、単なる押し目になってしまう可能性がある。

また、ドル円の上昇を後押ししているのは、米国の早期利下げ観測の後退もある。先月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の金利見通しを受けて 6 月利下げ観測が高まったことは確かだが、来年以降の金利見通しが引き上げられた。足元で米インフレ指標の相次ぐ強い結果を受けて、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「私の見解では利下げの全体的な回数を減らすか、さらに先送りするのが適切だ」と述べるなど、利下げ観測が後退している。

そういった意味でも、今後は一段と米経済指標の結果に注目が集まりやすいだろう。来週は 4月 1 日に 3 月 ISM 製造業景況指数、2 日に 2 月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、3 日に 3 月 ADP雇用統計や 3 月 ISM 非製造業景況指数、そして週末の 5 日には 3 月雇用統計など重要指標が目白押しとなっており、結果次第では金利見通しに大きく影響を与えそうだ。

ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の早期利下げ観測から引き続き上値の重い展開が想定される。なお、週末 31 日から欧州市場は夏時間に移行する為、株式相場の取引時間や経済指標の発表が 1 時間早くなる。また、週明け 4 月 1 日はイースター休暇の為、欧州市場は休場となる。

3月25日週の回顧

ドル円は狭いレンジで方向感がなかった。151 円台前半でのもみ合いが続いた後、田村日銀審議委員のハト派発言を受けて買いが強まり、一時 151.97 円と 1990 年 7 月以来の高値を付けた。

ただ、「財務省・金融庁・日銀による 3 者会合が開催された」との報道で 151.03 円まで失速。その後は 151 円台前半での推移となっている。

ユーロドルは週前半は底堅く 1.0864 ドルまで上昇したが、月末・期末に絡んだロンドンフィキシングでのドル買いフローの影響を受けて 1.0775 ドルまで下押しした。(了)

週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)

March 29, 2024

豪ドル、対円での荒い値動きに警戒

◆豪ドル、金利先物市場は 2024 年半ばからの利下げを織り込む

◆豪ドル、対円ではドル円に振らされる荒い値動きに警戒

◆ZAR、SARB はインフレ警戒姿勢を維持

予想レンジ

豪ドル円 96.00-100.00 円

南ア・ランド円 7.77-8.10 円

4月1日週の展望

豪ドルは対円での荒い値動きに警戒が必要となるだろう。27 日に公表された 2 月消費者物価指数(CPI)は前年比 3.4%となり、市場予想の 3.5%をやや下回る結果となった。同指数は 2022 年12 月につけた 8.4%をピークに鈍化傾向が続き、市場では今後数カ月のうちに豪準備銀行(RBA)のインフレ目標レンジ(2-3%)内に収まると見方が拡大。金利先物市場では 2024 年半ばからの利下げを織り込み始めている。

一方で、2 月 CPI のトリム平均値は前年比 3.9%となり、前月の 3.8%から伸びが加速。財価格の上昇などインフレ圧力もくすぶっており、アナリストからは「インフレ再燃の兆しがある中でRBA は緩和方向へ動きづらい」との声も聞かれた。RBA はインフレ目標レンジ(2-3%)内まで低下する時期を 2025 年としており、前のめり気味に利下げを織り込み始めた市場とはかなり乖離があるようだが、今後は市場と RBA のどちらが方向性を修正していくかで豪ドル相場の動向を左右していくことになるだろう。なお、来週はイースター休暇明けの 4 月 2 日に 18-19 日開催分の RBA理事会議事要旨が公表される。

また、豪ドル円の動向を占ううえではドル円相場にも注意が必要となる。ドル円が 1990 年以来の高値を更新した 27 日には、財務省・金融庁・日銀が 3 者会合を開催。会合後には神田財務官が為替介入の可能性も含めて「あらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」と強い円安けん制発言を出しており、市場では円買い介入への警戒感が高まった。ドル円は日銀の緩和的な金融環境が継続するとの観測を手掛かりにした買い意欲も根強いため、来週も思惑的な動きから不安定な推移となる可能性が高い。豪ドル円も含めてクロス円全般に大きな影響を与えることが予想されるため警戒しておきたい。

南アフリカ・ランド(ZAR)は上値の重い動きとなりそうだ。南アフリカ準備銀行(SARB)は27 日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を市場予想通り 8.25%で据え置くことを決定。CPI見通しを上方修正したほか、クガニャゴ SARB 総裁は会見で「(インフレ目標 3-6%の)中間点 4.5%への回復は信じられないほど遅い」ことに言及した。景気低迷の中でもインフレリスクが高い状態が続いていることもあり、SARB はこれまでと同様にインフレ警戒姿勢を維持。ZAR を巡っては好材料が乏しく、対ドルを中心に上値が重くなるだろう。また、ZAR 円は豪ドル円と同様にドル円相場の動向に振らされる可能性に注意が必要となる。

4月25日週の回顧

豪ドルはさえない動き。全般にドル高が強まった流れに沿って対ドルを中心に上値の重さが目立ったほか、2 月 CPI が予想を下回る結果となったことも相場の重しとなった。ZAR も対ドルで弱含む展開となり、対円もつれ安で推移。なお、SARB の金融政策を受けた相場の反応は限定的だった。(了)

週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

March 29, 2024

英中銀、政策金利を据え置きか

◆ポンド、英中銀の利下げ時期を探る展開

◆対円では日銀短観や年度初めの動向、対ドルでは米金融政策への思惑に左右

◆加ドル、BOC 会合や雇用統計に注目

予想レンジ

ポンド円 188.50-193.50 円

加ドル円 110.00-113.50 円

4月1日週の展望

ポンドは英中銀(BOE)の利下げタイミングを探る展開が続きそうだ。今年 2 回目となる 3 月の金融政策委員会(MPC)では、昨年 9 月から 5 会合連続の据え置きが決定された。MPC 委員 9 人中8 人が据え置きを支持、1 人が 0.25%の利下げを主張。2021 年 9 月以来、初めて利上げを支持する委員がいなかった。物価見通しやベイリーBOE 総裁の発言などを踏まえて、夏頃と見られていた金利引き下げ時期の前倒しを予想する見方が広がっている。23 年 10-12 月期国内総生産(GDP)確報値で小幅ながらもマイナス成長となり、景気後退(テクニカルリセッション)入りが確認されたことも英金利先安観を強めた。短期金融市場では利下げサイクルのスタートを 6 月会合と見始め、年内については合計 3 回の 0.25 ポイント引き下げを織り込んだ。

ただ、英 MPC が必ずしも一枚岩という訳でもなく、タカ派とされている複数の委員からは利下げ期待を高める市場に釘を刺す発言も出ている。次の会合は 1 カ月後だが、その前にインフレ動向が明らかとなるのは 4 月半ばのため、暫くは当局者の発言が材料視されるだろう。

4 月第 1 週は、英国の 3 月購買担当者景気指数(PMI)が発表されるものの、こちらは改定値であり市場インパクトは小さいだろう。それよりも 1 日の日銀短観や本邦年度初めに絡んだ円相場の動意、対ドルでは米雇用データを踏まえた米金融政策への思惑でポンドは上下しそうだ。

加ドルもポンド同様に、対円では日銀短観や本邦からのフロー、対ドルでは米金利動向に左右されるだろう。ただ、5 日には 3 月雇用統計が発表され、翌週 10 日にはカナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合が予定されており、徐々にカナダ国内の材料に市場の目が向かっていきそうだ。

カナダ雇用統計では、今年に入り好調な新規雇用者数が注目される。1 月、2 月ともに増加幅は市場予想の 2 倍以上にもなったが、雇用動向については BOC に利下げを急がせるものではない。

もっとも、想定以上に鈍化していた 2 月消費者物価指数(CPI)を無視できないのは確かだ。4 月の BOC 会合では金利据え置きと見られているが、米国とは対照的なカナダのインフレ沈静化を受け、市場では米連邦準備理事会(FRB)に先んじて利下げ開始に踏み切るとの見方が広がっている。

短期金融市場は既に 6 月 5 日 BOC 会合における 0.25%引き下げ決定の確率を 70%以上織り込んでいる。カナダの金利先安観が強まることになれば、加ドルの上値も追いづらくなりそうだ。

3月25日週の回顧

米長期金利の上昇に伴うドル高の流れが継続。ポンドドルは英経済の先行きに対する懸念も重しに 1.20 ドル後半まで下落した。また、加ドルは BOC の年内利上げ観測が後退したことも重しとなり、ドル/加ドルは 1.38 加ドル前半までドル高・加ドル安となった。ポンド円は 183 円後半で伸び悩み 181 円前半に押し戻され、加ドル円は小動きも 108 円半ばまで上値を切り下げた。(了)