デイリーレポート 2024年4月3日
April 3, 2024
【前日の為替概況】ドル弱含み対円151.47円、対ユーロ1.0779ドル、米10年債利回り一時4.40%
2日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反発。終値は1.0770ドルと前営業日NY終値(1.0743 ドル)と比べて0.0027ドル程度のユーロ高水準だった。欧州市場では独長期金利の大幅上昇などを手掛 かりに、イースター休暇明けの欧州勢によるユーロ買いが目立った。NY市場に入っても全般ユーロ買い の流れが継続し、23時30分前に一時1.0779ドルと日通し高値を更新した。ただ、前日の高値1.0799ド ルを上抜けることは出来なかった。米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まる一方、欧州中央銀行 (ECB)の利下げ開始時期が近づいているとの見方は強まっており、戻りを売りたい向きは多いようだ。
ドル円は小反落。終値は151.56円と前営業日NY終値(151.65円)と比べて9銭程度のドル安水準だ った。対ユーロ中心にドル安が進行すると、円に対してもドル売りが先行。東京時間に付けた151.51円 を下抜けると一時151.47円まで値を下げた。ただ、米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まる中、 下値は限定的だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.4032%前後と昨年11月28日以 来の高水準を付けたことも相場を下支えした。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するメスター米クリーブランド連銀総裁は「米連邦 準備理事会(FRB)が年内に利下げに踏み切るとの見方を維持しているが、利下げが可能かどうかを裏付 けるデータをなお確認する必要がある」と述べ、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は「FF金利を今 年3回引き下げるのは依然として妥当な見通しだが、現時点で調整を急ぐ必要はない」などと話した。
ユーロ円は反発。終値は163.22円と前営業日NY終値(162.92円)と比べて30銭程度のユーロ高水準。 23時前に一時163.33円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後はやや伸び悩んだ。ユーロドルにつれ た動きとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、引き続き152円の攻防戦と円買い介入の可能性に要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、これまでと同様に152円のノックアウトオプションへの買い仕掛 けと防戦売り、そして本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
昨日は、タカ派のデイリー米サンフランシスコ連銀総裁とメスター米クリーブランド連銀総裁が、年内 3回の利下げを想定しつつも、パウエルFRB議長と同様に早期の利下げ開始には否定的な見解を示した。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッ チ」での利下げ開始時期は、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)と見込まれている。そして、年内3回 の利下げ(x0.25%=0.75%)で、12月時点のFF金利誘導目標は4.50-75%となっており、米連邦準備 理事会(FRB)のドット・プロット(金利予測分布図)と整合的となっている。
昨日のドル円は151.80円まで上昇したものの、152円のノックアウトオプションの防戦売りが上値を 抑えて伸び悩んだ。また、ドル円を買い進んでいる投機筋は、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に備 えて、ドルプットオプションを購入している模様で、ヘッジのドル売りも上値を抑える要因となっている。
ドル円は、先週、1990年以来の高値となる151.97円まで上昇した後、三者会合(財務省・日銀・金融 庁)が開催され、神田財務官が為替介入について「常に準備はできている」と述べたことで、円買い介入 への警戒感が高まっている。神田財務官は、日銀が大規模緩和の見直しを決定した後の円安の動きは「反 対方向という意味で強い違和感を持っている」とも述べている。
2022年9月22日の円買い介入の前も、9月7日に144.99円まで上昇した後の9月8日に三者会合が開 催され、神田財務官が「(為替介入などの対応は)スタンバイな状態だ」と警告していた。おそらく、145 円台に乗せた場合には円買い介入を行うことが話し合われ、22日の145円台乗せでの円買い介入となっ たことが推測できるため、今回も152円台に乗せた場合の円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
ドル円が152円台に乗せるきっかけとしては、5日金曜日に発表される米3月雇用統計が堅調な雇用市 場を示した場合が想定される。そして、152円のノックアウトをヒットしたタイミングで、本邦通貨当局 が大規模な円買い介入に踏み切り、145円方向に反落するパターンがシナリオ1となる。
この場合、投機筋が円高ヘッジ目的に仕込んでいるドルプットオプションが機能してくることになる。
シナリオ2としては、市場で噂されているように、本邦通貨当局の円安防戦ラインが152円ではなく 155円付近に引き上げられて円買い介入が見送られるパターンとなる。この場合のドル円は本邦通貨当局 の防戦ラインを模索しながら、来週10日に発表される米3月消費者物価指数を見極めることになる。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○10:45 ◎ 3 月 Caixin 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:52.5)
○16:00 ◎ 3 月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比 3.50%/前年比 69.10%)
○18:00 ☆ 3 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比 2.6%)
○18:00 ☆ 3 月ユーロ圏 HICP コア速報値(予想:前年比 3.0%)
○18:00 ◎ 2 月ユーロ圏失業率(予想:6.4%)
○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○21:15 ☆ 3 月 ADP 全米雇用報告(予想:14.8 万人)
○22:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○22:45 ◎ 3 月米サービス部門 PMI 改定値(予想:51.7)
○22:45 ◎ 3 月米総合 PMI 改定値
○22:45 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:00 ☆ 3 月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:52.7)
○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計
○4 日 01:00 ◎ 2 月ロシア失業率(予想:2.9%)
○4 日 01:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○4 日 01:10 ◎ パウエル FRB 議長、講演
○4 日 02:10 ◎ バーFRB 副議長、講演
○4 日 05:30 ◎ クーグラーFRB 理事、講演
○石油輸出国機構(OPEC)プラス、合同閣僚監視委員会
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
2 日 07:18 ケント豪中銀(RBA)総裁補
「バランスシートの現在の縮小ペースに変更はない」
「準備金の供給は需要の変化に合わせて増減する」
「金融政策運営のため、十分な準備金制度を導入する」
2 日 09:16 鈴木財務相
「為替相場は様々な要因で決定される」
「為替相場は、金融政策の要因だけで決まるわけでは ない」
「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切に 対応」
「為替市場の動向を高い緊張感をもって注視」
「為替は、ファンダメンタルズを反映して安定的な推移が 重要」
3 日 01:19 メスター米クリーブランド連銀総裁
「今年後半に利下げができると引き続き予想しているも のの、次回会合では利下げはできないだろう」
「経済が期待通りになれば FRB は段階的な利下げが可 能」
「政策にとってより大きなリスクは早すぎる利下げ」
「好調な経済は利下げ前に状況を見極める余地を与え る」
「2%のインフレへのスムーズな回復は期待できない」
「経済見通しに対するリスクはよりバランスが取れてき た」
「今年の GDP は 2%をわずかに上回る見込み」
「労働市場のバランスは改善されるとみている」
「経済は若干減速しているものの、バランスを取り戻しつ つある」
「中立金利が以前ほど低くなるとは思わない」
「雇用の伸びは鈍化し、失業率は若干上昇すると予想」
「健全な労働市場は維持されるべき」
「銀行の商業用不動産リスクは管理可能」
「今年 3 回の利下げを予想」
「FOMC について早まった判断をしないで欲しい。6 月の 利下げ可能性を除外することはない」
3 日 02:51 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁 「現時点では決意を固守するのが正しい政策」
「金利をどのくらいの期間維持するか見極める必要」
「インフレは低下している。でこぼこしていて遅い」
「FF 金利を調整する緊急性はない」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=3/27 安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯中。孕み線で反落したものの、依然として転換
線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線 151.49 円を念頭に置き、3 月 27 日の安値を
支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は
手仕舞い。
レジスタンス 2 152.30(1990/7/6 高値)
レジスタンス 1 151.97(3/27 高値=年初来高値)
前日終値 151.56
サポート 1 151.03(3/27 安値)
サポート 2 149.23(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。孕み線で切り返したものの、依然として転
換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は転換線 1.0797 ドルを念頭に置き、基準線を抵抗に
戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.0853(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0770
サポート 1 1.0695(2/14 安値=年初来安値)
<ポンド円=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
下回っているものの、雲の上で引けていることで、買いシグ
ナルが優勢な展開となっている。しかし、孕み線で反発した
ものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆さ
れている。
本日は下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、
同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 191.15(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 190.62
サポート 1 189.17(日足一目均衡表・雲の上限)
<NZ ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯している。孕み線で反発したものの転換線を下
回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上
抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 90.94(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 90.49
サポート 1 89.26(2/1 安値)