デイリーレポート 2024年4月4日

April 4, 2024

【前日の為替概況】ドル円151.95円まで上昇、3月ADP全米雇用報告が+18.4万人

3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小反発。終値は151.70円と前営業日NY終値(151.56円) と比べて14銭程度のドル高水準だった。3月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が 18.4万人増と予想の14.8万人増を上回ったことを受けて、米長期金利の上昇とともに円売り・ドル買い が先行。23時前に一時151.95円と日通し高値を更新した。

ただ、3月米ISM非製造業指数が51.4と予想の52.7を下回ったことが分かると失速した。一時は 4.4274%前後と昨年11月以来の高水準を付けた米10年債利回りが低下に転じたことも相場の重しとなり、 151.58円付近まで下押しした。政府・日銀による為替介入への警戒感が根強い中、3月27日に付けた34 年ぶりの高値151.97円やノックアウトオプションが観測されている152.00円もレジスタンスとして意識 された。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は講演で「雇用とインフレに関する最近の統計は 予想よりも強いが、全体像は大きく変わらない」としたうえで、「経済の力強さとインフレを巡るこれま での進展を踏まえると、今後発表されるデータに基づいて政策決定を行っていく時間がある」と述べ、利 下げを急がない考えを改めて強調した。

ユーロドルは続伸。終値は1.0836ドルと前営業日NY終値(1.0770ドル)と比べて0.0066ドル程度の ユーロ高水準だった。ADP全米雇用報告は予想を上回ったものの、米ISM非製造業指数が予想を下回った ことから全般ドル売りが優勢となった。3時過ぎには一時1.0837ドルと日通し高値を更新した。主要通 貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.23まで低下した。

ユーロ円は続伸。終値は164.38円と前営業日NY終値(163.22円)と比べて1円16銭程度のユーロ高 水準。ユーロドルの上昇につれた買いが入ったほか、日経平均先物の上昇でリスク・オンの円売りも優勢 となり、一時164.39円と日通し高値を更新した。ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比560 円高の4万0090円まで上昇する場面があった。

ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は191.94円、豪ドル円は99.65円、NZドル円は91.18 円、カナダドル円は112.32円、スイスフラン円は168.04円、メキシコペソ円は9.18円まで値を上げた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、152円の攻防戦と円買い介入の可能性に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、これまでと同様に152円のノックアウトオプションへの買い仕掛 けと防戦売り、そして本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。

昨日のドル円は151.95円まで上昇したものの、152円のノックアウトオプションの防戦売りが上値を 抑えて伸び悩んだ。

ドル円は、先週、1990年以来の高値となる151.97円まで上昇した後、三者会合(財務省・日銀・金融 庁)が開催され、神田財務官が為替介入について「常に準備はできている」と述べたことで、円買い介入 への警戒感が高まっている。神田財務官は、日銀が大規模緩和の見直しを決定した後の円安の動きは「反 対方向という意味で強い違和感を持っている」とも述べている。

2022年9月22日のドル売り・円買い介入の前も、9月7日に144.99円まで上昇した後の9月8日に三 者会合が開催され、神田財務官が「(為替介入などの対応は)スタンバイな状態だ」と警告していた。お そらく、145円台に乗せた場合には円買い介入を行うことが話し合われ、22日の145円台乗せでの円買い 介入となったことが推測できるため、本日も152円ノックアウトオプションへの買い仕掛けが成功した後 での円買い介入の可能性に警戒しておきたい。

本日のドル売り・円買い介入の可能性に備えて、2022年秋の円買い介入の時間帯やドル円の下落幅な どを確認しておきたい。本日のボラティリティーを示唆するボリンジャー・バンド+2σは153.67円付近、 投機筋の円売りポジションを示唆する3月26日時点のIMM円売り持ち高は129106枚となっている。

■9月22日(木)の第1弾の円買い介入(2兆8382億円) ・介入時間帯:日本時間17時半頃(欧州勢が参入し始めた頃) ・IMM円売り持ち高:81280枚(※9/20) ・ドル円:高値145.90円から安値140.36円まで、5.54円下落した。 ・ボリンジャー・バンド+2σ:146.12円

■10月21日(金)の第2弾の円買い介入(5兆6202億円) ・介入時間帯:日本時間23時半頃(NY勢が参入し始めた頃) ・IMM円売り持ち高:94336枚(※10/18) ・ドル円:高値151.95円から安値146.23円まで、5.72円下落した。 ・ボリンジャー・バンド+2σ:150.39円

■10月24日(月)の第3弾の円買い介入(7296億円) ・介入時間帯:日本時間8時半頃(東京勢が参入し始めた頃) ・IMM円売り持ち高:94336枚(※10/18) ・ドル円:高値149.71円から安値145.56円まで、4.15円下落した。 ・ボリンジャー・バンド+2σ:150.69円

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)

<海外>

○09:30 ◎ 2 月豪住宅建設許可件数(予想:前月比 3.3%)

○15:30 ◎ 3 月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.3%)

○16:50 ◎ 3 月仏サービス部門 PMI 改定値(予想:47.8)

○16:55 ◎ 3 月独サービス部門 PMI 改定値(予想:49.8)

○17:00 ◎ 3 月ユーロ圏サービス部門 PMI 改定値(予想:51.1)

○17:30 ◎ 3 月英サービス部門 PMI 改定値(予想:53.4)

○18:00 ◎ 2 月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.7%/前年比▲8.6%)

○20:30 ◇ 3 月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)

○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3 月 7 日分)

○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)

○21:30 ◇ 2 月カナダ貿易収支(予想:8.0 億カナダドルの黒字)

○21:30 ◎ 2 月米貿易収支(予想:673 億ドルの赤字)

○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.4 万件/181.3 万人)

○23:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、イベントに参加

○5 日 01:15 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

○5 日 01:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答

○5 日 03:00 ◎ 3 月ブラジル貿易収支(予想:69.00 億ドルの黒字)

○5 日 03:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、あいさつ

○5 日 03:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加

○中国、香港(清明節)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

【前日までの要人発言】

3 日 14:30 ホルツマン・オーストリア中銀総裁

「6 月欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ開始には 反対ではないが、もう少しデータを確認したい」

3 日 21:59 ボスティック米アトランタ連銀総裁

「インフレの進展が鈍化すれば、より辛抱強くなる必要 があるだろう」

「経済が予想通りに進展すれば、10-12 月期に利下げを 開始するのが適切」

「今年の利下げは 1 回のみと予想」

「インフレ率は 2026 年に目標に達すると予想」

4 日 01:12 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長

「FOMC には最新のデータ次第で決定する時間がある」

「最近の物価指標が上振れ以上かどうかを判断するの は時期尚早」

「インフレについて確信強めるまで利下げは想定してい ない」

「経済が予想通りに進展すれば、FOMC 参加者の大半 は年内に利下げが始まると見ている」

「雇用の増加とインフレに関する最近の統計は予想より も強いが、全体像は大きく変わらない」

「金融政策は引き締め的、需要を圧迫している」

「インフレが上昇傾向に反転しているとは考えていない」

4 日 05:40 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事

「FF 金利に対する自身の予想は 3 月 FOMC 予測と一 致」

「予想通りのディスインフレと労働市場の状況が進行す れば、今年、ある程度の利下げは適切だろう」

「ディスインフレ傾向は今後も続くと予想」

「現在の政策は制限的」

「労働市場はより良いバランスに移行している」

「今年は消費の伸びが若干鈍化すると予想」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=3/27 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。抱き線で切り返して転換線を上回って引け ており続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線 151.50 円を念頭に置き、3 月 27 日の安値を 支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は 手仕舞い。

レジスタンス 2 153.30(1990/6/29 高値)
レジスタンス 1 152.30(1990/7/6 高値)
前日終値 151.70
サポート 1 151.03(3/27 安値)
サポート 2 149.23(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=4/2 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の中で引けているものの、転換線を上回って引け ていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。2 手連続陽線で転換線を上回って引けており、三役逆転が解消 して続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線 1.0795 ドルを念頭に置き、2 日の安値を支持 に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕 舞い。

レジスタンス 1 1.0917(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0836
サポート 1 1.0725(4/2 安値)

<ユーロ円=下落中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引 けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は下落中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 165.35(3/20 高値)
前日終値 164.38
サポート 1 163.52(日足一目均衡表・転換線)

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引 けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 100.17(3/21 高値)
前日終値 99.58
サポート 1 98.91(日足一目均衡表・転換線)