ウィークリーレポート 2024年4月19日

週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)

April 19, 2024

ドル円、米 PCE や介入の可能性に注意

◆ドル円、米 PCE デフレーターに注目

◆日銀金融政策決定会合、円買い介入の可能性や中東の地政学リスクにも注意

◆ユーロドル、ユーロ圏 4 月製造業・サービス業 PMI や独 4 月 Ifo 景況感指数に注目

予想レンジ

ドル円 151.00-157.00 円

ユーロドル 1.0300-1.0800 ドル

4 月 22 日週の展望

ドル円は、30 日-5 月 1 日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、米 3 月 PCE デ フレーターで米国のインフレ動向を見極めつつ、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可 能性や中東の地政学リスクの高まりに警戒していく展開となる。

米国 3 月の雇用統計、消費者物価指数、小売売上高を受けて、パウエル FRB 議長やジェファー ソン FRB 副議長が利下げ開始時期の先送りを示唆している。FRB がインフレ指標として注視して いる 3 月 PCE デフレーターの予想は前年比 2.6%と、2 月の 2.5%から上昇することが見込まれて いる。予想通りにインフレ率の下げ止まりが確認できた場合は、ドル買いに拍車がかかることな るが、逆に 2.5%以下だった場合の反応には注意したい。

日本では、25‐26 日の日銀金融政策決定会合では、現状のゼロ金利政策の継続が見込まれてい る。注目ポイントは、関係筋が示唆したように、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、 2024 年度のコア CPI 見通しを従来の 2.4%から引き上げることを検討する可能性である。また、4 月の展望レポートから公表される 2026 年度のコア CPI 見通しがインフレ目標 2%程度となった場 合、早期の追加利上げ観測が高まることになりそうだ。人手不足を背景に賃上げ圧力が高まるな か、日銀は賃金と物価がともに上昇する好循環が一段と強まるとの見方を強めており、中東情勢 緊迫化による原油相場の高騰や円安に伴う輸入原材料価格の上昇などから、引き上げ幅に注目。 また、植田日銀総裁は、円安による輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に影響を与える可能性 に言及し、「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変更もあり得る」と述べて おり、原油価格上昇と円安による「第 1 の力」が再浮上した場合への対応策には注目だろう。 更に、イランとイスラエルの軍事衝突の激化という中東の地政学リスクにも、引き続き警戒し ておきたい。最悪のシナリオではあるが、仮に第 5 次中東戦争のような状況に拡大した場合は、 原油価格の高騰が円安圧力を高めることにもなる。

ユーロドルは、ユーロ圏 4 月製造業・サービス業 PMI 速報値や独 4 月 Ifo 景況感指数が悪化し た場合は、6 月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ開始の可能性を高めることになり注意が 必要だろう。また、4 月下旬に公表予定のユーロ圏の賃金データにも警戒しておきたい。

4 月 15 日週の回顧

ドル円は、パウエル FRB 議長が利下げ時期の先送りを示唆したことで 154.79 円まで上昇した後、 日米韓財務相会合や G7 会議で過度な為替変動への懸念が表明されると 153.96 円まで反落したも のの、その後は米金利上昇などを受けて 154.68 円まで反発した。ユーロドルは 1.0601 ドルから 1.0690 ドルまで上昇も上値は抑えられている。ユーロ円は 162.71 円から 164.95 円まで上昇。(了)

週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)

April 19, 2024

豪ドル、インフレ指標に注目

◆豪ドル、雇用情勢落ち着き利下げ観測後退でレンジ取引か

◆豪ドル、インフレ指標に注目

◆ZAR、CPI を受けた SARB レビューに注目

予想レンジ

豪ドル円 98.00-102.00 円

南ア・ランド円 7.95-8.30 円

4 月 22 日週の展望

豪ドルはレンジ取引となりそうだ。今週発表された豪雇用統計は新規雇用者数が減少したが、 失業率は予想よりも強い結果だった。雇用統計が落ち着いていることで、豪準備銀行(RBA)は利 下げを急がず、年内の利下げはないとの予想が広がっている。米連邦準備理事会(FRB)同様に RBA も早期利下げ観測が後退していることで、豪ドルは当面はレンジから抜け出せないとみる。

ただ、来週は 24 日に 1-3 月期と 3 月の消費者物価指数(CPI)が発表される。昨年の 10-12 月期は前年比で 4.1%、RBA の注目度が高いトリム平均値が 4.2%だったが、今年に入り発表され た 1・2 月の月次 CPI はいずれも 3.4%になるなど、インフレは抑えられている。市場予想も 1-3 月期は 3.5%へ低下となっており、もし予想通りとなれば豪ドルは軟調な動きになりそうだ。ま た、CPI だけではなく 26 日には卸売物価指数(PPI)と輸出・輸入物価指数も立て続けに発表さ れる予定。来週はインフレ指標に敏感に豪ドルが上下することになりそうだ。

国外要因としては、豪ドルがリスク選好・回避の動きに敏感に反応することから、引き続き株 式市場の動きに注目。中東情勢の緊迫化はやや和らいでいるが、引き続き動向を警戒してみなけ ればならないだろう。なお、ニュージーランド(NZ)からは 24 日に 3 月貿易収支、26 日に 4 月 ANZ 消費者信頼感指数がそれぞれ発表予定。

南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅さを維持できるか。今週発表された 3 月の CPI は前月や市場 予想よりも下振れた。インフレが抑制されることは経済や財政にはメリットが大きいことで ZAR の下支えとなりそうだ。もっとも、インフレについては、市場は「ピークに達した可能性がある ものの、進行中のディスインフレ軌道は依然不安定で、重大な上振れリスクを浮き彫りにしてお り、金融政策委員会(MPC)は時期尚早な利下げを避けるために細心の注意を払う必要がある」と の声が多い。

そういったなかで、来週は南アフリカ準備銀行(SARB)が金融政策の見通しに関する中間情報 を提供する「金融政策レビュー」が 23 日に公開される。市場予想通り SARB が慎重姿勢を貫くの か、それともややハト派寄りのレビューとなるかが注目される。なお、25 日に 3 月 PPI が発表予 定。また、引き続き商品市場の動向にも注視しておきたい。

4 月 15 日週の回顧

豪ドルは対円では強含み、対ドルではレンジ内で小動き。ドル円が 1990 年 6 月以来となる 154 円後半まで上昇したことで、豪ドル円も一時 100 円台に乗せた。その後は円買い介入警戒感など もあり上値が抑えられ、98 円後半まで弱含む場面もあったが下値は限定的だった。 ZAR は対円ではもみ合い、対ドルでは軟調な動き。対ドルでは株安を嫌気したリスク回避の動 きで、3 月上旬以来となる 19.20ZAR まで ZAR 安が進んだ。対円ではドル円とドルランドの綱引き 状態が続き、明確なトレンドを作ることが出来なかった。(了)

週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

April 19, 2024

ポンド、利下げ時期はなお不透明

◆対円、サプライズなしと想定も日銀会合に注目

◆ポンド、3 月雇用・物価データを受けて利下げ見通しはなお不透明

◆加ドル、3 月 CPI を受け中銀の 6 月利下げ観測強まる

予想レンジ

ポンド円 188.00-194.00 円

加ドル円 109.50-113.50 円

4 月 22 日週の展望

来週の円相場は、25-26 日に予定されている日銀金融政策決定会合や植田日銀総裁の会見に焦 点が集まる。大きなサプライズはないと見込まれるが、日銀の利上げペースを予想する上で、新 たな物価見通しなどを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が注目される。

今週、英国内では注目の 3 月雇用・物価データが発表されたが、結果は強弱まちまちでイング ランド銀行(英中銀、BOE)の利下げ時期や利下げペースに明確な手がかりとはならなかった。12 -2 月英失業率(ILO 方式)は 4.2%と前回の 3.9%から大幅に上昇。雇用市場発のインフレ圧力 が落ち着きつつあることが示された。週平均賃金(除賞与)は 6.0%と低下が継続。2022 年 7-9 月以来の低水準となり、賃金上昇圧力が弱まる兆しが見られたが、伸びは依然として高い水準で ある。また、3 月英消費者物価指数(CPI)は前年比 3.2%と伸びは 2021 年 9 月以来の低水準とな るも、市場予想ほど低下しなかった。

来週は 4 月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)の発表が予定されており、 景気減速への懸念を緩める結果になるかが注目される。

ベイリーBOE 総裁はインフレ率低下を示す力強い証拠があるとし、4 月 CPI は BOE の目標水準 2% に向けて大きく減速するとの見通しを明らかにした。BOE が米連邦準備制度(FRB)より先に利下 げに踏み切る可能性を示唆している。ただ、利下げを開始する前に「どの程度の証拠が必要」な のかは BOE にとって依然として課題であるとの認識も示した。最近、英政策見通しは一進一退を 繰り返しているが、米英利下げ見通しの格差は引き続きポンドの対ドルの上値を圧迫しそうだ。

来週、加ドルの動意につながりそうな注目の経済指標やイベントは予定されておらず、中東情 勢などを背景とした原油相場の動きを見極めることになる。ただ、3 月 CPI の結果を受けて利下 げ思惑が高まっており、加ドルは対ドルで上値の重い動きが続くか。カナダ 3月 CPIは前年比 2.9% と市場予想と一致。前月の 2.8%からわずかに上昇したが、カナダ中銀(BOC)が基調的な物価動 向として重視する CPI 中央値と CPI トリムはそれぞれ 2.8%、3.1%と 3 カ月連続で伸びが鈍化し た。この結果を受けて短期金融市場では 6 月利下げ観測が 6 割近くまで上昇した。カナダの経済 活動が力強くなっても、インフレ率は徐々に低下し続けており利下げを後押しているが、米利下 げ思惑が後退しているなか、BOC が早期の利下げに踏み切る決断をできるかどうかはまだ疑問だ。

4 月 15 日週の回顧

今週は相場全体に大きな手がかりがなく、落ち着いた動きも全般ドル高・円安の流れは変わら ず。ポンド円は 192 円後半、加ドル円は 112 円半ばまでじり高となった。英賃金・物価データは ポンドの方向感につながらず、ポンドドルは 1.24 ドル近辺まで下押し、1.24 ドル台を中心に戻 りの鈍い動きとなった。また、加ドルは加 3 月 CPI の結果も重しに対ドルで昨年 11 月中旬以来の 加ドル安となる 1.38 加ドル台に上昇した。(了)