デイリーレポート 2024年4月23日

April 23, 2024

【前日の為替概況】ドル円154.85円まで上昇、1990年6月以来34年ぶりの高値を更新

22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は上昇。終値は154.85円と前営業日NY終値(154.64円) と比べて21銭程度のドル高水準だった。中東の地政学リスクに対する警戒感が和らぎ、ダウ平均が一時 460ドル超上昇すると投資家のリスク志向改善を意識した円売り・ドル買いが出た。米連邦準備理事会 (FRB)高官による利下げに慎重な発言が相次ぐ中、米利下げ開始が先延ばしになるとの観測が高まって いることも相場の支援材料となり、一時154.85円と1990年6月以来約34年ぶりの高値を更新した。

ただ、政府・日銀による為替介入への警戒感から一本調子で上昇する展開にはならなかった。大量のノ ックアウトオプションが観測されている155.00円がレジスタンスとして意識された面もあった。

ユーロドルは小反落。終値は1.0655ドルと前営業日NY終値(1.0656ドル)と比べて0.0001ドル程度 のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始時期が近づいているとの見方が一段と強まる 一方、FRBによる利下げ開始は想定より後にずれるとの観測が高まっており、欧米の金利差拡大への思惑 からユーロ売り・ドル買いが出た。22時30分過ぎには一時1.0624ドルと日通し安値を更新した。

ただ、前週末の安値1.0611ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。米10年債利回りが低下に転 じたことなども相場を下支えし、1.0661ドル付近まで下値を切り上げた。

ユーロ円は続伸。終値は164.98円と前営業日NY終値(164.70円)と比べて28銭程度のユーロ高水準。 22時30分過ぎに一時164.40円と本日安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げて3 時30分過ぎには165.03円付近まで持ち直した。米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出たほか、ユーロ ドルの下げ渋りにつれた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、155円KOの攻防戦と円買い介入の可能性に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、155円のノックアウト・オプションへの買い仕掛けと防戦売りと の攻防戦が予想される中、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開となる。

ニューヨーク市場のドル円は154.85円まで上昇して、1990年6月以来の高値を更新し、155.00円のノ ックアウト・オプションに迫っている。背景には、米国のインフレ率が下げ止まっていることで、米連邦 公開市場委員会(FOMC)の利下げ開始時期が秋以降に先送りされるとの見方や日銀金融政策決定会合での 追加利上げが夏以降になるのではないか、との見方がある。

植田日銀総裁は先週ワシントンでのG20会議後の記者会見で、円安による輸入物価の上昇が基調的な物 価上昇率に影響を与える可能性に言及し、「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変 更もあり得る」と述べていたものの、25-26日の会合では、ゼロ金利での据え置きが見込まれている。

神田財務官は、先週のG7会議の後、為替の過度な変動や無秩序な動きは経済や金融に悪影響を与える とし、日本の主張に沿ってG7声明に為替文言が盛り込まれたと述べていた。「令和のミスター円」の異名 を持つ神田財務官は、2022年秋の円買い介入による円安阻止の手腕が評価されて異例ともいえる3年目 の続投となっているが、今夏の退任が予定されている。これまでの所、「投機による過度な変動は容認す ることはできない。行き過ぎた変動に対してはあらゆる手段を排除せずに適切な行動をとる。常に準備は できている」と投機的な円売りを口先で牽制するに留まっている。

退任前に「勝つ介入」を断行して有終の美を飾るのか、それとも34年ぶりの円安水準を放置して投機 筋に不戦敗で去るのか要注目となる。神田財務官は、円買い介入の大義名分として、投機筋による円売り とボラティリティーの拡大を挙げていた。

4月16日時点のIMM通貨先物の投機筋の円売り持ちネットポジションは、165619枚(x1250万円=約 2兆円)と、2007年6月26日以来(188077枚)17年ぶりの高水準となっている。2007年の円売り持ち ポジションは、8月のパリバショックを発端とするサブプライムローン問題や9月のFOMCによる0.50% (5.25%⇒4.75%)の緊急利下げによって手仕舞われた。

なお、ボラティリティー増大を示唆するボリンジャー・バンド+2σは155.45円付近にあり、2022年10 月の円買い介入は、12-13日のG20会議の後、21日と24日に覆面介入が実施されている。

現状の円安と原油高を前提にした試算では、家計の負担が年間でおよそ11万円増えるとのことであり、 今春の大幅な賃上げや4万円の定額減税の恩恵が感じられなくなることで、岸田政権にとっては円安阻止 は喫緊の課題だと思われる。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○未定 ◇ 4 月月例経済報告

<海外>

○14:00 ◎ 3 月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比 3.0%)

○16:15 ◎ 4 月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:46.9)

○16:15 ◎ 4 月仏サービス部門 PMI 速報値(予想:48.9)

○16:30 ◎ 4 月独製造業 PMI 速報値(予想:42.8)

○16:30 ◎ 4 月独サービス部門 PMI 速報値(予想:50.5)

○17:00 ◎ ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

○17:00 ◎ 4 月ユーロ圏製造業 PMI 速報値(予想:46.6)

○17:00 ◎ 4 月ユーロ圏サービス部門 PMI 速報値(予想:51.8)

○17:30 ◎ 3 月香港 CPI(予想:前年同月比 2.1%)

○17:30 ◎ 4 月英製造業 PMI 速報値(予想:50.4)

○17:30 ◎ 4 月英サービス部門 PMI 速報値(予想:53.0)

○17:30 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演

○20:15 ◎ ピル英中銀 MPC 委員兼チーフエコノミスト、講演

○21:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

○22:45 ◎ 4 月米製造業 PMI 速報値(予想:52.0)

○22:45 ◎ 4 月米サービス部門 PMI 速報値(予想:52.0)

○22:45 ◎ 4 月米総合 PMI 速報値(予想:52.0)

○23:00 ◎ 4 月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲8)

○23:00 ☆ 3 月米新築住宅販売件数(予想:前月比 1.2%/67.0 万件)

○24 日 02:00 ◎ 米財務省、2 年債入札

○トルコ(子供の日)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

22 日 16:49 イラン外務省報道官

「イスラエルの攻撃は些細なものであり、軍事的に無価 値だった」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。3 手連続陽線で依然として転換線を上回っ て引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 156.98(1990/5/11 高値)
レジスタンス 1 155.87(1990/6/25 高値)
前日終値 154.85
サポート 1 153.72(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 152.59(4/12 安値)

<ユーロドル=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り シグナルが点灯中。2 手連続陽線でも依然として転換線を下 回って引けており反落の可能性が示唆されている。 本日は下落してきている転換線 1.0679 ドルを念頭に置き、 基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場 合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0772(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0655
サポート 1 1.0601(4/16 安値)

<ポンド円=4/17 高値を抵抗に戻り売りスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行 スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシ グナルが優勢な展開。しかし、2 手連続陰線で転換線を下回 って引けており続落の可能性が示唆されている。 本日は転換線 191.42 円を念頭に置き、17 日の高値を抵抗 に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞 い。

レジスタンス 1 192.84(4/17 高値)
前日終値 191.22
サポート 1 190.07(日足一目均衡表・雲の上限)

<NZ ドル円=4/22 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行ス パンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグ ナルが優勢な展開となっている。抱き線で切り返して転換線 を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線 90.99 円を念頭に置き、22 日の安値 90.89 円 (=90 日移動平均線)を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 92.37(4/10 高値)
前日終値 91.64
サポート 1 90.89(4/22 安値=90 日移動平均線)