デイリーレポート 2023年5月31日

May31,2023

【前日の為替概況】ドル円139.57円まで下落、米10年債利回りが3.67%台まで低下

30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は139.79円と前営業日NY終値(140.45円)と比べて66銭程度のドル安水準だった。米10年債利回りが低下したことを背景に売りが強まり、21時過ぎには一時139.58円まで値を下げた。5月米消費者信頼感指数が市場予想を上回ると140.11円付近まで持ち直したが、米金利が低下幅を拡大し、ダウ平均が200ドル近く下落すると売りが再開。23時30分過ぎには139.57円と本日安値を付けた。一方、26日安値の139.50円がサポートとして意識されると、その後は139円台後半でのもみ合いとなった。

ユーロドルは6営業日ぶりに反発。終値は1.0736ドルと前営業日NY終値(1.0706ドル)と比べて0.0030ドル程度のユーロ高水準だった。米金利低下に伴って21時過ぎに1.0747ドルまで上昇したが、その後は次第に値動きが鈍くなった。下押しは1.0714ドルに限られ、値幅は33pips程度と狭かった。

ユーロ円は続落。終値は150.08円と前営業日NY終値(150.37円)と比べて29銭程度のユーロ安水準だった。米国株の下落を受けてリスク回避の円買いが進んだ流れに沿って3時過ぎには一時149.74円と本日安値を付けた。もっとも、株安が一服すると徐々に買い戻しが入り150円台を回復した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米下院での債務上限関連法の採決難航懸念で伸び悩む展開

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜予定されている米下院での米国債務上限関連法案の採決が難航するとの警戒感から伸び悩む展開が予想される。

10時30分に発表される4月豪消費者物価指数(CPI)は前年比+6.4%と予想されており、3月の同比+6.3%からの上昇が見込まれている。市場では「豪準備銀行(RBA)の追加利上げの可能性は否定できないが、6月は金利が据え置かれる」との思惑から6月利上げは織り込んでいないため、CPIが予想外に上昇していた場合に警戒しておきたい。

今夜米下院で予定されている米国債務上限関連法案の採決は、共和党保守強硬派の下院議員連盟「フリーダム・コーカス」の反対により、否決される可能性が高まりつつある。

米下院(共和党:222・民主党213)では、今年1月に共和党のマッカーシー下院院内総務が、1859年以来となる15回目の下院議長選挙で過半数(216票対212票)を獲得して議長に選出された。15回の投票は、4日間にわたって行われたが、イエレン米財務長官が、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデイ」を6月5日まで先延ばししたことで、フリーダム・コーカスには5日間程度の造反できる時間が残されている。そして、債務上限関連法案の採決が難航した場合、2011年8月のような格付け会社による米国債格下げの可能性が高まることにも要警戒となる。

今後の米国の債務に関する日程は以下の通りとなっている。

・5月31日:米下院で債務上限関連法案が採決の予定

・6月1日:米財務省短期証券(Tビル)の償還1170億ドルと米上院で採決の予定

・6月5日:デフォルトに陥る「Xデイ」

・6月6日:Tビルの償還1230億ドル

・6月8日:Tビルの償還1080億ドル

・6月13日:Tビルの償還1230億ドル

・6月15日:Tビルの償還2460億ドル&長期国債の償還450億ドル、大口の法人税収

昨日、財務省と金融庁、日本銀行が開いた国際金融資本市場に関する「3者会合」が開催され、神田財務官は「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は好ましくない。為替市場の動向をしっかり注視し、必要があれば適切に対応していく考えに変わりはない」との認識を示した。

昨年、本邦通貨当局は、ドル売り・円買い介入の目的をボラティリティー抑制、すなわち「過度な変動」抑制と表明し、米国財務省もボラティリティー抑制のための円買い介入を容認していた。

本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、ボリンジャー・バンドの「+2σ」付近までのボラティリティーが上昇した局面で行われていることが確認できている。すなわち、2022年9月22日のドル売り・円買い介入は、「+2σ」の146.12円に接近した局面、10月21日には、「+2σ」の150.39円を上抜けた局面で断行された。本日のドル円の「+2σ」は、141.55円付近にあり、もし、接近するような局面があれば、適切に対応としてのドル売り・円買い介入の可能性が高まることになる。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◎ 4 月鉱工業生産速報(予想:前月比1.5%/前年比2.0%)

○08:50 ◇ 4 月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比7.0%)

○14:00 ◇ 5 月消費動向調査(消費者態度指数一般世帯、予想:36.0)

○14:00 ◇ 4 月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲0.9%)

○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)

<海外>

○08:00 ◎ ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、議会証言

○10:00 ◇ 5 月ANZ 企業信頼感

○10:30 ◎ 4 月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.4%)

○10:30 ◎ 5 月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.4)

○15:00 ◇ 4 月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.5%/前年比▲5.8%)

○15:30 ◇ 4 月スイス小売売上高

○15:30 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演

○15:45 ◎ 1-3 月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.2%)

○15:45 ◇ 5 月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比5.5%)

○15:45 ◇ 4 月仏卸売物価指数(PPI)

○15:45 ◇ 4 月仏消費支出(予想:前月比0.3%)

○16:00 ◎ 1-3 月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比3.9%)

○16:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

○16:55 ◎ 5 月独雇用統計(予想:失業率5.6%/失業者数変化1.50 万人)

○17:30 ◎ ビスコ伊中銀総裁、講演

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○21:00 ◎ 5 月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比6.5%)

○21:00 ◎ 4 月南アフリカ貿易収支(予想:50 億ランドの黒字)

○21:00 ☆ 1-3 月期インドGDP(予想:前年同期比5.0%)

○21:30 ☆ 3 月カナダGDP(予想:前月比▲0.1%/前年比1.7%)

☆ 1-3 月期カナダGDP(予想:前期比年率2.5%)

○21:50 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ

○22:15 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

○22:45 ◎ 5 月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:47.0)

○23:00 ◎ 4 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:937.5 万件)

○1 日01:00 ◎ 4 月ロシア失業率(予想:3.6%)

○1 日01:30 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

○1 日02:30 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

○1 日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

30 日10:06 鈴木財務相

「(為替市場)引き続きウォッチしていく」

30 日10:39 植田日銀総裁

「物価が持続的に下落するというデフレ状態ではなくなった」

「デフレ下の慣行の変更に向けた良い芽が出てきている」

「賃上げできる環境を整え、芽を大事に育てることが重要」

30 日18:09 神田財務官

「過度な為替変動は好ましくない」

「為替市場の動向に適切に対応する」

「日々の為替市場の動向のコメントは控えたい」

「必要があればあらゆるオプションを否定しない」

「特定の相場のレベルには着目しない、変動幅が重要」

30 日23:23 米ホワイトハウス

「6 月8 日に米英首脳会談をホワイトハウスで行う」

「ウクライナや二国間の経済関係、北アイルランドについて議論する」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。抱き線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 142.51(151.95 円~127.23 円の61.8%戻し)
レジスタンス1 140.93(5/30 高値)
前日終値 139.79
サポート1 139.18(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 138.23(5/24 安値)

<ユーロドル=雲の下限を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。5 手連続陰線の後、抱き線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。本日は、雲の下限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0806(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0735
サポート1 1.0673(5/30 安値)

<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

寄引同事線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。高値圏での寄引同事線で引けたものの、転換線を上回っていることで上昇トレンド継続の可能性が示唆されている。本日は、上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 174.28(5/30 高値)
前日終値 173.53
サポート1 172.74(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、抱き線で下落して転換線を下回っ て引けているため続落の可能性が示唆されている。本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 85.82(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 84.49
サポート1 82.86(日足一目均衡表・雲の上限)