デイリーレポート 2024年6月12日

June 12, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル1.0720ドルまで続落、フランス政局と財政悪化懸念

11日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続落。終値は1.0741ドルと前営業日NY終値 (1.0765ドル)と比べて0.0024ドル程度のユーロ安水準だった。9日の欧州議会選で減税を掲げる極右 の国民連合(RN)が台頭したことで、マクロン仏大統領は下院議会を解散し総選挙を実施すると発表。同 国の政治リスクと財政悪化を懸念したユーロ売りがこの日も続いた。23時前に一時1.0720ドルと5月2 日以来の安値を更新した。ただ、売り一巡後はやや買い戻しが優勢となり下げ渋った。米10年債入札が 「好調だった」と伝わり、米10年債利回りが4.39%台まで低下するとユーロ買い・ドル売りがじわりと 強まり、1.0749ドル付近まで下値を切り上げた。

ドル円は小幅ながら3日続伸。終値は157.13円と前営業日NY終値(157.04円)と比べて9銭程度の ドル高水準だった。日本時間夕刻に一時157.39円まで値を上げたものの、米長期金利が低下すると一転 売りが優勢となり、22時前に一時156.81円と日通し安値を付けた。ただ、前日の安値156.52円が目先 サポートとして働くと買い戻しが進んだ。米長期金利が低下幅を縮めたことも相場を下支えし、1時30 分前には157.40円と日通し高値を更新した。もっとも、米10年債入札後に米長期金利が再び低下すると 156.94円付近まで下押しした。明日12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や14日の日銀金融政策決定 会合の結果公表を前に方向感が出にくい面もあった。

ユーロ円は4日続落。終値は168.77円と前営業日NY終値(169.06円)と比べて29銭程度のユーロ安 水準。欧州の政局不安などを背景に円買い・ユーロ売りが優勢になると、21時30分過ぎに一時168.30 円と前日安値に面合わせしたものの、売り一巡後は下げ渋り169.00円付近まで下げ幅を縮めた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、明朝のFOMC声明待ちまずは5月輸入物価指数を見極め

本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝3時に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)声明や3 時30分からのパウエルFRB議長の記者会見を控えて動きづらい展開が予想される中、タカ派的なドット・ プロット(金利予測分布図)への警戒感から底堅い展開が予想される。

8時50分に発表される5月企業物価指数(予想:前月比+0.4%/前年比+2.0%)では、輸入物価指数 への円安の影響を見極めることになる。4月の輸入物価指数は前月比+1.8%、前年比+6.4%だった。 5月の輸入物価指数が上昇していた場合、植田日銀総裁が警戒していた円安による輸入物価の上昇とい う「第1の力」が顕在化することで、明日からの日銀金融政策決定会合での円安抑制措置、すなわち、国 債買い入れ金額の減額幅などに繋がる可能性が高まることになる。

10時30分に発表される5月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比+0.4%)や中国生産者物価指数 (PPI、予想:前年比▲1.5%)では、オンショア人民元やオセアニア通貨への影響を見極めることになる。 FOMCでは、FF金利誘導目標5.25-50%の据え置きが確実視されており、注目ポイントは、ドット・プ ロットとパウエルFRB議長の会見となる。タカ派的な内容だった場合でも、ドル円が158円台に乗せるの は、14日に公表される日銀金融政策決定会合の結果を待つことになると思われる。

日銀金融政策決定会合では、国債買い入れオペの減額の度合い(5~4兆円)や追加利上げの度合い(据 え置き、+0.15%~+0.25%)などが注目されている。

ドット・プロットでは、3月の年内3回の利下げから1-2回へ減ることや、中立金利が2.6%から上方 修正される可能性が見込まれている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動 向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、11月FOMCとなっており、12月FOMCでは据 え置きが見込まれており、ドット・プロットとの整合性が想定されている。

パウエルFRB議長の会見では、ハト派的な見解として、「忍耐強く政策の効果を待つ必要」や「次の動 きが利上げになる可能性は低い」などが想定される。

タカ派的な見解としては、「最近のデータがわれわれの確信を深めるものでないことは明らか。制約的 政策によるインフレ抑制に予想以上に時間がかかる可能性。必要な限り金利を据え置くことが可能」など が想定される。

先日、パウエルFRB議長の見解を代弁していると思われるウォールストリート・ジャーナル紙のFED ウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、「弱い労働指標で利下げ前倒しは可能だが、強い労働市場 は必ずしも利下げ先送りとはならず、むしろインフレ次第となる」と述べていた。

FOMC開催中に発表される米5月CPIの伸び率が大幅に上昇していた場合には、FOMC声明やパウエルFRB 議長の会見に影響を及ぼすことになるのかもしれない。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ◇ 5 月企業物価指数(予想:前月比 0.4%/前年比 2.0%)

<海外>

○10:30 ◎ 5 月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比 0.4%)

○10:30 ◎ 5 月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲1.5%)

○15:00 ◎ 5 月独 CPI 改定値(予想:前月比 0.1%/前年比 2.4%)

○15:00 ☆ 4 月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)

○15:00 ◎ 4 月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比 0.3%)

○15:00 ◎ 4 月英製造業生産高(予想:前月比▲0.2%)

○15:00 ◇ 4 月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:142.00 億ポンドの赤字/14.00 億ポンドの赤字)

○16:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演

○17:40 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○21:00 ◎ 4 月インド鉱工業生産(予想:前年同月比 4.6%)

○21:00 ◎ 5 月インド CPI(予想:前年比 4.89%)

○21:30 ☆ 5 月米 CPI(予想:前月比 0.1%/前年比 3.4%)

☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比 0.3%/前年比 3.5%)

○22:00 ◎ デギンドス ECB 副総裁、講演

○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○13 日 03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:5.25-5.50%で据え置き)

○13 日 03:00 ☆ FOMC、経済・金利見通し発表

○13 日 03:00 ◎ 5 月米月次財政収支(予想:2500 億ドルの赤字)

○13 日 03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

○13 日 04:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

○ロシア(ロシアの日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

11 日 16:15 シムカス・リトアニア中銀総裁

「インフレ目標達成が確実ならば追加利下げの余地が ある」

「インフレ抑制はまだ途上にあり、成功を宣言するには 早すぎる」

11 日 16:29 ビルロワドガロー仏中銀総裁

「FRB の金融政策は、ECB の政策にあまり影響を与える べきではない」

「ECB の利下げは金融政策の大きな転換点となる重要 な決定」

「金融引き締め状態から脱却する前に、政策金利をさら に大幅に引き下げる余地が十分にある」

11 日 17:08 レーン・フィンランド中銀総裁 「金融政策がインフレ圧力を抑えた」

「インフレ率を目標に向けて大幅に低下させる進展があ った」

11 日 20:10 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チ ーフ・エコノミスト

「特定の金利経路を前もって約束するつもりはない」

「必要な限り、政策金利は十分に引き締め姿勢を維持 する」

「不確実性は高く、インフレ指標で示される価格上昇圧 力はなお高止まり」

「賃金上昇はなお高水準にある」

11 日 20:57 マクロン仏大統領

「選挙結果は大統領の地位に影響しない」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。3 手連続陽線で転換線を上回って引 けていることで続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 160.17(4/29 高値=年初来高値)
レジスタンス 1 157.99(5/1 高値)
前日終値 157.13
サポート 1 156.01(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 155.75(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線と同値だが、遅行スパンは実線 を下回ったままで逆転しており、雲の中で引けているものの、 売りシグナルが優勢な展開となっている。3 手連続陰線で転 換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。 本日は、10 日と 11 日に下抜けた雲の下限 1.0737 ドルを念 頭に置き、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を 上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0818(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0741
サポート 1 1.0650(5/1 安値)

<ポンド円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。3 手連続陽線で転換線を上回って引 けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 201.21(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 200.19
サポート 1 198.93(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引 けていることで続伸の可能性が示唆されている。 本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 97.19(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 96.53
サポート 1 96.06(日足一目均衡表・転換線)