デイリーレポート 2023年6月9日
June 9, 2023
【前日の為替概況】ドル円、3 日ぶり反落 米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容に
8 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 営業日ぶりに反落。終値は 138.92 円と前営業日 NY 終値 (140.13 円)と比べて 1 円 21 銭程度のドル安水準だった。前週分の米新規失業保険申請件数が 26.1 万 件と予想の 23.5 万件より弱い内容だったことが分かると、米金融引き締め長期化への懸念が和らぎ、米 長期金利が低下。全般ドル売りが優勢となり、1 時前に一時 138.81 円と日通し安値を更新した。その後 の戻りも 139.01 円付近にとどまった。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時 103.30 まで低下した。 ユーロドルは続伸。終値は 1.0782 ドルと前営業日 NY 終値(1.0699 ドル)と比べて 0.0083 ドル程度の ユーロ高水準だった。低調な米労働指標をきっかけに米長期金利が低下するとユーロ買い・ドル売りが先 行。2 日の高値 1.0779 ドルを上抜けて一時 1.0787 ドルまで上値を伸ばした。
なお、欧州時間に発表された 1-3 月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値は前期比▲0.1%と速報値か ら下方修正され、2 四半期連続のマイナス成長となったが相場の反応は限られた。市場では「すでにドイ ツなどが GDP の下方修正を発表していたことで、ユーロ圏全体のマイナス成長もある程度想定されていた ようだ」との声が聞かれた。
ユーロ円は小反落。終値は 149.80 円と前営業日 NY 終値(149.92 円)と比べて 12 銭程度のユーロ安水 準。ユーロドルの上昇につれた買いが入った半面、ドル円の下落につれた売りが出た。
【本日の東京為替見通し】株価や金利動向を注視した取引、午前中には複数の材料
本日の東京為替市場では、まずは反発が見込まれる日経平均の動向を確認し、時間外の米債利回りを気 にしながら、東京仲値にかけた動きを注視することになる。その後は中国のインフレ指標の結果を受けた 相場の反応を見極め。また、昨日強さが目立ったスイスフランにも目を向けておきたい。
日経平均先物は反発して戻ってきており、現物も再び 3 万 2000 円台を巡る攻防となるか。昨日は一部 通信社が、中国の投資家が日本株に資金を向けていることを報じた。本邦証券会社の分析では、中国で取 引される複数の日経平均連動 ETF が先月に資産額が倍増したということだ。低調な自国株に失望し、日本 株が魅力的に映っているもよう。
昨日発表された本邦 1-3 月期実質 GDP 改定値は前期+0.7%、前期比年率が+2.7%と速報値からの改善 予想をさらに上回った。2 四半期連続のマイナス成長となったユーロ圏とは対照的だ。一部仏銀が先日、 (中銀のバランスシート縮小による)世界の流動性減少による今秋の株式相場下落を先日予想していたが、 日本経済の着実な成長が相場の支えとなるかもしれない。ただその場合に為替がどうなるかは、難しいと ころだろう。
昨日のドル下落の一因とされた米金利低下に関しては、来週前半から半ばにかけて米国でビッグイベン トを控えているだけに、右往左往しながらも一定のレンジで推移するのではないか。つまり為替も対ドル では同様の動きとなってもおかしくはない。13 日に 5 月米消費者物価指数(CPI)、14 日に同月卸売物価 指数(PPI)、その日の米東部時間午後には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表とパウエル米連邦準 備理事会(FRB)議長の定例記者会見が予定されている。
本日 10 時 30 分発表の 5 月中国 CPI は小幅な上昇が見込まれるが、同月 PPI は低下幅の拡大が予想され ている。デフレ懸念が高まるようであれば、同国で金融緩和策が強化される可能性が高まる。対ドルで軟 調なオフショア人民元(CNH)や、中国と経済的に結びつきが強い豪ドルの反応に注視したい。
昨日はスイス中銀(SNB)総裁による追加利上げ示唆を受けてスイスフランが堅調だった。伸び悩むク ロス円が多いなか、フラン円は 154 円半ばと終値としては 5 月 29 日以来の高値圏で引けた。次の SNB 会 合は 22 日とまだ先であり、それまでスイス金利見通しで上下しそうだ。5 月下旬に頭を抑えられた 155 円半ばをこなせるかがポイントとなる。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内> ○08:50 ◇ 5 月マネーストック M2
<海外>
○10:30 ◎ 5 月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比 0.3%)
○10:30 ◎ 5 月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲4.3%)
○15:00 ◎ 5 月ノルウェーCPI(予想:前月比 0.3%/前年比 6.2%)
○16:00 ◇ 4 月トルコ鉱工業生産(予想:前月比 0.6%)
○17:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○19:45 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:00 ◇ 4 月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比 0.4%)
○21:30 ☆ 5 月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化 2.32 万人/失業率 5.1%)
○21:30 ◇ 1-3 月期カナダ設備稼働率(予想:82.0%)
○10 日 01:00 ◎ 5 月ロシア CPI(予想:前月比 0.3%)
○10 日 01:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
8 日 21:23 ジョーダン・スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)総裁
「インフレは想定以上に長期化する見通し」
9 日 02:49 米ホワイトハウス
「米国とイランが制裁緩和で合意に近づいているとの報道は誤り」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=21 日線付近へ下落>
大陰線引け。週またぎで現水準 139.69 円から 139.45 円へ
一時低下する見込みの一目均衡表・転換線を下抜け、2 日以
来の 139 円割れ。138.81 円まで下落した。
138円台で上昇中の 21日移動平均線を前に下落の勢いをい
ったん緩めかけている。本日 138.83 円前後で推移する 21 日
線付近の攻防で、同線の切り上がりとともに戻る展開は想定
できるが、転換線が目先の重しとなりそうだ。
レジスタンス 1 139.69(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 138.92
サポート 1 138.23(5/24 安値)
サポート 2 137.77(5/2 高値)
<ユーロドル=転換線付近から雲手前へ上昇>
陽線引け。じり高が見込まれる一目均衡表・転換線 1.0711
ドル付近の底堅さを維持し、一目均衡表・雲の下限 1.0806
ドルを試す動きとなってきた。雲が抵抗となるほか、1.0800
ドル前後で推移する 90 日移動平均線も重し。雲の中へ多少
突っ込むことができても動きは緩慢か。低下が予想される一
目・基準線も抵抗として機能してくると予想する。
レジスタンス 1 1.0845(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0782
サポート 1 1.0711(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=ややレンジ切り下げても底堅さ維持できそう>
小陰線引け。7 日は、低下傾向の一目均衡表・転換線を下
回るレンジで売りを強め 148.64 円まで下振れが先行した。
今後の上昇が予想される一目・基準線 148.60 円手前の同水
準で下げ渋り、転換線を回復する水準まで反発。150 円台に
戻す場面もあった。本日 149.61 円に位置する転換線前後で
動意が停滞気味な一方、基準線は引き続き下支えになりそう。
週明け 149.40 円へ切り下がる見込みの転換線の動きに引っ
張られレンジ上限がやや低下しても、一定の底堅さを維持で
きるとみる。
レジスタンス 1 150.20(6/5 高値)
前日終値 149.80
サポート 1 149.17(6/7-8 上昇幅の 61.8%押し)
<豪ドル円=停滞感を示す足型形成も大きな基調変化ないか>
下影小陰線引け。高値圏で寄り引けの値幅が狭い停滞感を
示す足型を形成した。すう勢を示す 5 日移動平均線の上昇を
ともなう底堅い動きだが、相応に上値を伸ばしてきたことに
対する調整安にも留意したい。ただ、一目均衡表・転換線
91.89 円が今後大きく上昇する可能性などが上向きの流れ維
持を示唆。調整がやや深めになっても基調を大きく変化させ
るにはまだ至らないだろう。
レジスタンス 1 93.85(2022/11/30 高値)
前日終値 93.29
サポート 1 92.78(6/7 安値)