デイリーレポート 2024年6月25日

June 25, 2024

【前日の為替概況】ドル円159.84円まで上昇、予想を上回る6月米製造業・サービス部門PMI

24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は8営業日ぶりに反落。終値は159.62円と前営業日NY終 値(159.80円)と比べて18銭程度のドル安水準だった。東京市場では一時159.92円と4月29日以来の 高値を付けたものの、欧州勢がドル売りで参入すると159円台半ばに観測されていたストップロスを誘発 し、一時158.82円まで急落した。

ただ、21日の安値158.67円が目先サポートとして意識されると買い戻しが進んだ。NY市場ではユーロ 円などクロス円の上昇につれた買いが優勢となり、159.76円付近まで下げ渋った。市場では「日米の金 利差は当面縮まらないとの見方を背景に円売りが出やすいようだ」との声が聞かれた。

もっとも、4月29日に付けた34年ぶりの高値160.17円や1990年4月17日の高値160.20円がレジス タンスとして意識されたため、戻りも限定的だった。

ユーロドルは3日ぶりに反発。終値は1.0733ドルと前営業日NY終値(1.0693ドル)と比べて0.0040 ドル程度のユーロ高水準だった。欧州勢がドル売りで参入すると堅調に推移した。NY市場でもドル売り の流れが継続し、23時過ぎには一時1.0746ドルと日通し高値を更新した。欧州株相場の上昇を背景にリ スク・オンのドル売りも出た。その後の下押しも1.0722ドル付近にとどまった。

ユーロ円は6日続伸。終値は171.35円と前営業日NY終値(170.77円)と比べて58銭程度のユーロ高 水準。欧州市場ではドル円の下落につれた売りが出て一時170.33円と日通し安値を付けたものの、すぐ に持ち直した。欧州株相場の上昇を背景にリスク・オンの円売りが出ると一時171.45円と4月29日以来 の高値を付けた。なお、市場では「4月29日に付けた1999年のユーロ導入以来の高値171.56円がレジ スタンスとして意識されている」との指摘があった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、本邦通貨当局の円買い介入の可能性に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、5・10日(ゴトー日)の円売りに対して本邦通貨当局がドル売り・ 円買い介入に踏み切るのか否かに注目する展開となる。

需給面では、本日25日は5・10日(ゴトー日)、明日26日はスポット取引の決済日が月末最終営業日 (28日)、そして28日には月末と四半期末を迎えることで、需給主導で160円台に乗せる可能性が高ま っている。

神田財務官による円買い介入の目安であるドル円のボリンジャー・バンド+2σは160.00円前後、過去 28日間の安値から10円上昇という「神田ライン」は163.00円前後に位置している。

ドル円は、本邦通貨当局のレッドラインと見なされている160円の手前で、21日は159.84円、24日は 159.92円までで伸び悩む展開となっている。

ドル円の160円がレッドラインと見なされている背景には、4月29日に160.17円まで上昇した後に本 邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切ったことが挙げられる。

順張りに取り組む海外投機筋は、IMM通貨先物の非商業(投機)に現れているように、円売り持ちポジ ション(※6/18時点:147753枚)を積み上げており、逆張りに取り組む外国為替証拠金取引(FX)投資 家は、円買い持ちポジションを積み上げている。

しかし、1-5月の国内の投資信託運用会社などによる海外投資(※新NISA)は5.6兆円超の買い越しと なっており、投資の円売り、投機の円買いに分かれている。

152円の第1関門は、海外投機筋が勝利したが、160円の第2関門では、初戦はFX投資家が勝利したも のの、現状の2回戦は神田財務官の進退にかかっていると思われる。

2022年秋(9兆1880億円)と2024年春(9兆7885億円)の過去最大規模の円買い介入の陣頭指揮を 執ってきた神田財務官は、異例ともいえる3年の任期を終えて退官する予定となっている。

3年目の続投人事は、昨年2023年6月27日に発表されたが、今週27日頃に退官の人事が発表された 場合、円の守護神が退場することで、円売り圧力が強まる可能性に警戒しておきたい。

ドル円の上値を抑える要因としては、28日に発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標とし て注視している米5月PCEデフレーターの伸び率鈍化が見込まれていることやフランスの政局不安がリス ク回避の円買いに繋がる可能性などが挙げられる。

##【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 5月企業向けサービス価格指数(予想:前年比3.0%)

○14:00 ◇ 4月景気動向指数改定値

<海外>

○09:30 ◇ 6月豪ウエストパック消費者信頼感指数

○18:00 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演

○20:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

○21:30 ◎ 5月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比2.6%)

○22:00 ◇ 4月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)

○22:00 ◎ 4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比7.0%)

○23:00 ◎ 6月米消費者信頼感指数(予想:100.0)

○23:00 ◎ 6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲3)

○26日01:00 ◎ クックFRB理事、講演

○26日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札

○26日02:15 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

24日07:59 神田財務官

「為替、過度な変動あれば適切に行動」

「為替、過度な変動は国民経済に悪い影響」

「米為替報告書の影響、断言して言うが全くない」

「日本の米為替監視リスト入り、それ自身問題ない」

「為替介入、24時間いつでも準備」

「為替、特定の水準考えていない」

「最近の動き、過度かどうかは申し上げない」

24日10:42 鈴木財務相

「為替の過度な変動は望ましくない、適切に対応」

「為替介入の準備状況についてはコメントしない」

「為替水準の評価、コメントしない」

「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に動くことが望ましい」

24日18:40 米格付け会社ムーディーズ

「日本の基礎的財政収支は2025/26年度までに黒字化できない見通し」

「日銀は利上げに時間をかける見通し」

「日銀の利上げと政策正常化には『1-2』年、政府は財政改革に取り組むべき」

「財政目標は改革へのコミットが目的、放棄されれば格付け内容を再検討する必要」

24日21:44 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「インフレデータ以外は冷え込みの兆候を示している」

「インフレデータの鈍化は緩和への扉を開くだろう」

「連銀がさらなる信頼感を得てインフレが2%に戻ることを期待」

※時間は日本時間

##【日足一目均衡表分析】

<ドル円=6/21 の安値を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。7 手連続陽線の後、被せ線で反落し たものの、依然として転換線を上回って引けていることで反 発の可能性が示唆されている。 本日は21 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 160.55(ピポット・レジスタンス2)
レジスタンス1 160.17(4/29 高値=年初来高値)
前日終値 159.62
サポート1 158.67(6/21 安値)
サポート2 158.26(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=横ばいの基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯している。2 手連続陰線の後、抱き線で反発し たものの、依然として転換線を下回って引けており反落の可 能性が示唆されている。 本日は、転換線1.0742 ドルを念頭に置き、基準線を抵抗 に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0792(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0733
サポート1 1.0611(4/19 安値)

<ユーロ円=6/24 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線と同値、遅行スパンは実線を上 回り、雲の上で引けており買いシグナルが優勢な展開。6 手 連続陽線で転換線を上回って引け続伸の可能性が示唆され ており、4 月29 日の年初来高値171.56 円を意識する展開か。 本日は24 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 172.16(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 171.35
サポート1 170.33(6/24 安値)

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い シグナルが点灯中。6 手連続陽線で転換線を上回って引けて いることで続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 106.85(ピポット・レジスタンス2))
前日終値 106.27
サポート1 104.98(日足一目均衡表・転換線)