デイリーレポート 2024年7月3日

July 3, 2024

【前日の為替概況】ドル円、161円台で上下ユーロは対ドルで4日・対円では5日続伸

2日のニューヨーク外国為替市場でドル円はほぼ横ばい。終値は161.44円と前営業日NY終値(161.46 円)と比べて2銭程度のドル安水準だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.40%台まで低 下すると円買い・ドル売りが先行。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「データはディスインフレ の軌道に戻りつつあることを示唆」「予想外の労働市場の軟化は行動のきっかけになり得る」と述べたこ とも相場の重しとなり、22時30分過ぎには一時161.27円と日通し安値を更新した。

ただ、パウエル議長が政策変更に関しては持続的なインフレ鈍化実現への「一層の確信が必要」と慎重 な姿勢を堅持したことから、ドル売りは長続きしなかった。5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が814.0 万件と予想の791.0万件を上回ったことも買い戻しを促し、23時過ぎには161.62円付近まで持ち直した。

もっとも、4日は独立記念日で米金融市場は休場。明日3日は米株式・債券市場が短縮取引となり、連 休を取る市場関係者も多いもよう。積極的な売買を手控える雰囲気もあり、大きな方向感は出なかった。

ユーロドルは小幅ながら4日続伸。終値は1.0745ドルと前営業日NY終値(1.0740ドル)と比べて0.0005 ドル程度のユーロ高水準だった。欧州市場では一時1.0710ドルまで値を下げたものの、売り一巡後は買 い戻しが優勢に。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ったほか、パウエルFRB議長の発言 が相場の支援材料となり、22時30分過ぎには一時1.0747ドルと日通し高値を付けた。そのあとは良好 な米雇用指標を受けて1.0724ドル付近まで下押しする場面もあったが、引けにかけては1.0747ドル付近 まで再び強含んだ。

ユーロ円は小幅に5日続伸。終値は173.48円と前営業日NY終値(173.40円)と比べて8銭程度のユ ーロ高水準。欧州時間に一時173.09円と本日安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり 取引終了間際には173.53円付近まで持ち直した。ユーロドルにつれた動きとなった。

##【本日の東京為替見通し】介入困難で円安傾向変わらず、米独立記念日控え動きにくいか

本日の東京市場では円安の流れは変わらないだろう。しかしながら、明日の米独立記念日を前に本日は 米債・米株市場は短縮取引となることで、大きなレンジを期待するのは難しそうだ。

連日円安傾向が続いており、市場では円買い介入への警戒感もある。しかしながら鈴木財務相は昨日、 為替相場について「これまで話してきた通り」としつつも、「為替相場はいろいろな要因が絡み合い、市 場において決定される」とも発言した。この発言への相場の反応は鈍かったが、前回の介入(4月29日 と5月1日)後にイエレン米財務長官が介入に対して苦言を呈してから、財務相の発言に変化が生じてい るのは確かだ。

本邦通貨当局が円買い介入を実施する以前は、「過度の変動にはあらゆるオプションを排除せずに対応」 「(円安の影響)マイナス面への懸念もっている」など、円安への懸念を示し、介入を含めた対応方針を 表明していた。しかし、イエレン発言後は為替の動きは「市場において決定される」へと変化している。 この発言は5月中旬にイエレン米財務長官が「G7の国の通貨は市場で決定されるべき」との発言とほぼ 同じ内容なのも興味深い。

前回の介入後に米国がドル売りに不快感を示したことで、財務相も表立って円安について強めの懸念は 表明できず、余程過剰な動きではない限り介入も出来ないことなのかもしれない。

明日は米国市場が休場で、本日は米債・米株市場は短縮取引となり、市場参加者は極力取引を控える傾 向になりそうだ。ただし、米国からは多くの経済指標や米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨等が発表 されることには要警戒。

また、明日は英国で総選挙が行われ、14年ぶりの労働党政権の誕生が見込まれる。加えて、週末はフ ランス下院で決戦投票が予定されていることなど、これまで比較的落ち着いた動きだった欧州通貨が選挙 を前にして動意づく可能性には留意しておきたい。

なお、本日は本邦からは主だった経済指標の発表は予定されていない。豪州からは5月小売売上高、同 月住宅建設許可件数、中国からは6月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数などが発表されるこ とで、オセアニア通貨の動意に繋がりそうだ。

##【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>

特になし

<海外>

○10:30 ◎ 5 月豪小売売上高(予想:前月比0.2%)

○10:30 ◎ 5 月豪住宅建設許可件数(予想:前月比1.6%)

○10:45 ◎ 6 月Caixin 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:53.4)

○16:00 ◎ 6 月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比2.22%/前年比72.60%)

○16:50 ◎ 6 月仏サービス部門PMI 改定値(予想:48.8)

○16:55 ◎ 6 月独サービス部門PMI 改定値(予想:53.5)

○17:00 ◎ 6 月ユーロ圏サービス部門PMI 改定値(予想:52.6)

○17:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、パネルディスカッションに参加

○17:30 ◎ 6 月英サービス部門PMI 改定値(予想:51.2)

○18:00 ◎ 5 月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%/前年比▲4.1%)

○18:00 ◎ チポローネECB 専務理事、パネルディスカッションに参加

○19:30 ◎ レーンECB 専務理事兼チーフ・エコノミスト、パネルディスカッションに参加

○20:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、パネルディスカッションに参加

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)

○20:30 ◇ 6 月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)

○21:15 ☆ 6 月ADP 全米雇用報告(予想:16.0 万人)

○21:30 ◇ 5 月カナダ貿易収支(予想:12.0 億カナダドルの赤字)

○21:30 ◎ 5 月米貿易収支(予想:762 億ドルの赤字)

○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5 万件/184.0 万人)

○22:45 ◎ 6 月米サービス部門PMI 改定値(予想:55.1)

○22:45 ◎ 6 月米総合PMI 改定値

○23:00 ◎ 5 月米製造業新規受注(予想:前月比0.2%)

○23:00 ☆ 6 月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:52.5)

○23:15 ◎ ラガルドECB 総裁、講演

○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○4 日01:00 ◎ 5 月ロシア失業率(予想:2.6%)

○4 日01:00 ☆ 1-3 月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比5.4%)

○4 日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6 月11 日-12 日分)

○米株式・債券市場は短縮取引

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

2日10:34豪準備銀行(RBA)議事要旨

「インフレの上振れリスクに引き続き警戒する必要性を 示唆する情報がいくつかあった」

「インフレ期待はインフレ目標と一致していると判断され た一方で、市場が示唆するリスクプレミアムの増加はイ ンフレ期待がより広範に上昇するリスクが高いことを示 唆」

「5月の会合以降に入手した総合データはインフレ率が 2026年までに目標に戻るという評価を変えるには十分 ではなかったとの認識で一致」

「インフレ率を目標に戻すことは引き続き理事会の最優 先事項であり、その結果を達成するために必要な措置 を講じる」

2日11:05鈴木財務相

「為替の動きについて一つ一つコメントをしない」

「為替相場はいろいろな要因が絡み合い市場において 決定される」

「為替市場の動きを注意深く見守っていく」

2日14:10ウンシュ・ベルギー中銀総裁

「大きなマイナスサプライズがない限り、二回目の利下 げの余地がある」

「予測からのわずかな逸脱は、この見解を劇的に変える ものではない」

「もう一度金利を引き下げるという決断は比較的容易 だ」

「しかし、その後の動き(利下げ)はインフレ率が2%の 目標に近づいた後にのみ行われるべき」

2日14:48カザークス・ラトビア中銀総裁

「利下げのペースや規模はいつでも調整可能」

「インフレは2024年後半まで横ばいを予想」

「来年インフレ率を2%に戻す必要がある」

「市場での利下げ1-2回との予想、基本ラインと整合的」

2日15:34レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チー フ・エコノミスト

「サービス価格のインフレは依然として重要」

「インフレを評価するには少し時間が必要」

「6月のインフレデータは我々の評価と一致しているよう だ」

2日15:39クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁

「政策の焦点は物価安定」

「インフレ目標に回帰することに自信」

「新政権が中銀に影響を与えるとは予想せず」

2日15:42デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁

「あらかじめ決められた金利の道筋はない」

「今年のインフレは上下するだろう」

「今年前半よりも後半の方が経済は強くなる」

2日16:10ミュラー・エストニア中銀総裁

「さらなる利下げには忍耐強くあるべき」

「ベースラインのままなら追加利下げもあり得る」

2日16:25センテノ・ポルトガル中銀総裁

「インフレが2025年に2%となることに自信」

「成長評価についてはまだ躊躇している」

「我々の基本シナリオはかなり堅固であることが証明さ れた」

2日16:51グールズビー米シカゴ連銀総裁

「インフレ指標の改善が続いている」

「現在、米国の金利は引き締め的である」

「インフレが正常化すれば、金利も正常化するだろう」

「労働市場にいくつかの警告サイン」

「金利を長期間にわたって引き締め的な水準に保つこと は問題」

3日00:14

「実体経済の減速を示す警告サインがいくつかある」

「今年のインフレ率上昇はほとんど一時的なもの、ある いは道半ばの障害のようだ」

「客観的にインフレ率は明らかに下がっている」 2日16:55バスレ・スロベニア中銀総裁

「労働市場は引き続きタイト」

「予想通り進むなら、追加利下げの可能性」

2日17:48神田財務官

「最近の為替の動きは投機的な動きの兆候を示してい る」

「金利が上昇するにつれて、格下げのリスクに注意しな ければならない」

2日21:44シムカス・リトアニア中銀総裁

「欧州中央銀行(ECB)の利下げ時期は、9月以降と予 想」

2日22:45パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長

「予想外の労働市場の軟化は行動のきっかけになり得 る」

「物価はディスインフレ傾向再開を示すようになった」

「インフレのさらなる進展を見たい」

「最新のデータは賃金の面で改善の道を進んでいること を示している」

「最新のPCEは2.6%で非常に大きな進展を示している」

「早すぎるとインフレに関してこれまで行ってきた取り組 みが台無しになる可能性」

2日22:49ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁

「ユーロ圏のインフレは正しい方向に向かっている」

「サービスのインフレが2%になる必要はない」

3日02:07マクルーフ・アイルランド中銀総裁

「2回の利下げは少々行き過ぎかもしれないが、可能性 は否定できない」

※時間は日本時間

##【日足一目均衡表分析】

<ドル円=上昇一服も160 円台には支持となる水準あり>

極小陰線引け。161.70 円台で前日高値を僅かに上回り、こ の日も約37 年半ぶりの高値を更新。もっともその後はやや 伸び悩み、161 円台で上下した。 上昇に一服感は出たものの、上向きトレンドの反転を強く 示すものはまだ見当たらない。160 円台に突っ込んだ場合で も、160.60 円台の1 日安値や160 円前半の一目・転換線など が支持となりそうだ。

レジスタンス2 163.95(1986/12/16 高値)
レジスタンス1 161.95(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 161.44
サポート1 160.63(7/1 安値)
サポート2 160.21(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=1.0790 ドル台に基準線や90・200 日線控える>

下影小陽線引け。1.07 ドル前半を中心に上下する展開が続 いたものの、一目・転換線を割り込んだところでは下げ渋っ た。同線を上回って引け、4 手連続の陽線を作っている。 上サイドには一目・雲が控え、また1.0790 ドル台には基 準線だけでなく、90・200 日移動平均線が待ち構えている。 昨日同様に転換線辺りが支えとなっても、一気に上値を伸ば すのも難しいか。依然として1.07 ドル台で方向感を探る展 開が続きそうだ。

レジスタンス1 1.0809(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0745
サポート1 1.0710(7/2 安値)

<ユーロ円=高値更新ならずも上昇トレンドは継続>

小陽線引け。1 日につけたユーロ導入以来の高値173.67 円 を前に伸び悩み、一時173 円手前まで下落。もっとも一巡後 は持ち直し、小幅ながら5 手連続の陽線引けとなった。 1 日の大幅高の影響で昨日は上昇が一服したものの、下押 しは調整の域を出ていない。173 円を割り込んだ場合でも、 172 円前半の1 日安値を支持に買いスタンスで臨みたい。

レジスタンス1 174.20(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 173.48
サポート1 172.28(7/1 安値)

<豪ドル円=107 円台で底堅さを確認、上値を試すか>

陽線引け。107 円前半で前日安値を僅かに割り込むも、下 値の固さを確認するに留まった。年初来高値の更新とはなら なかったものの、3 手連続の陽線引け。 今月に入り106 円台に乗せた一目・転換線は、106.60 円台 まで水準を切り上げてきた。相場の方向性は変わらず、上値 余地を試す展開を想定したい。ただし、転換線を割り込むよ うなら、一旦手仕舞い。

レジスタンス1 108.29(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 107.64
サポート1 106.64(日足一目均衡表・転換線)