デイリーレポート 2024年8月13日

August 13, 2024

【前日の為替概況】ドル円148.22円まで上昇後、中東の地政学リスクで147.05円付近まで下押

12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は147.21円と前営業日NY終値(146.61円) と比べて60銭程度のドル高水準だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.96%台まで上昇 すると円売り・ドル買いが先行。前週末の高値147.82円を上抜けて一時148.22円と2日以来の高値を付 けた。市場では「円キャリー取引の急激な巻き戻しが一服した状態が続いている」との声が聞かれた。

ただ、米10年債利回りが低下に転じるとドル円にも売りが出たため伸び悩んだ。「イランは24時間以 内にイスラエルを攻撃する可能性がある」の一部報道が伝わると、中東情勢を巡る懸念から米10年債利 回りが3.89%台まで低下。ドル円は一時147.05円付近まで下押しした。高く始まったダウ平均が下げに 転じたことも相場の重し。

ユーロドルは小幅上昇。終値は1.0931ドルと前営業日NY終値(1.0917ドル)と比べて0.0014ドル程 度のユーロ高水準だった。米長期金利が低下に転じたことでユーロ買い・ドル売りがじわりと強まると、 0時過ぎに一時1.0939ドルと日通し高値を付けた。ただ、本日は主要な米経済指標の発表などもなく手 掛かり材料に欠けたことから、相場は大きな方向感が出なかった。今日の安値はアジア時間に付けた 1.0910ドルで値幅は0.0029ドル程度だった。

今週は7月の米消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)、小売売上高などインフレや個人消費の 動向を示す米重要指標の発表が予定されており、様子見ムードが広がった。市場では「世界の中銀総裁ら が集うジャクソンホール会議を来週22-24日に控えて投資家の様子見姿勢が強い」との指摘もあった。

ユーロ円は反発。終値は160.91円と前営業日NY終値(160.00円)と比べて91銭程度のユーロ高水準。 22時30分過ぎに一時161.95円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は次第に上値が重くなり4時 30分過ぎに160.74円付近まで下押しした。ドル円につれた動きとなった。

【本日の東京為替見通し】ドル円は7月輸入物価指数、豪ドルは賃金指数に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢に警戒しながら7月の輸入物価指数で追加利上げの可能 性や時期を見極めることになる。

中東情勢に関しては、11日に、イスラエルのガラント国防相が、オースティン米国防長官と電話会談 し、イランがイスラエルに対する大規模な攻撃を準備している兆候があると伝えていた。また、昨日は「イ ランは24時間以内にイスラエルを攻撃する可能性がある」との報道が伝わっており、関連ヘッドライン には警戒しておきたい。

ドル円は昨日148.22円まで上昇したが、上値の注目水準は、上昇トレンドの中期支持線(127.23円を 起点に140.25円を経由)だった148.81円、下落幅(161.95円~141.70円)の38.2%戻しの149.44円、 半値戻しの151.83円、52週移動平均線の150.67円、200日移動平均線の151.44円となる。

8時50分に発表される7月の輸入物価指数では、6月速報値(前年比+9.5%)、5月(同比+7.1%)、4 月(同比+1.6%)の伸び率上昇基調が続いているのか否かを見極めることになる。

7月のドル円相場は1986年12月以来の高値161.95円まで上昇した後、本邦通貨当局によるドル売り・ 円買い介入で反落基調にあったものの、輸入物価指数が上昇して、消費者物価指数へ波及していく可能性 は残されている。

7月31日、日銀金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げた後の記者会見で、植田日銀総裁は、 2年以上にわたって目標の2%を超えているインフレを踏まえると、「実質金利は非常に深いマイナスにあ る」と強調していた。そして、現在の政策金利は景気や物価に景気を過熱させず冷やしもしない中立金利 (※推定1.0%程度)に比べてかなり下の水準にあり、今回の利上げはそこの範囲での調整だと説明して いた。

7月の輸入物価指数が上昇基調にあれば、植田日銀総裁が警戒していた輸入物価上昇が国内物価に及ん でいく「第一の力」の存在感が増すことになり、年末にかけて、金利の壁である0.50%程度までの追加 利上げの可能性を高めることになるのかもしれない。

5-6日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会で賃金の伸びの高さが指摘されていたことで、10時30分 に発表される4-6月期豪賃金指数に要注目か。賃金指数が高まり、15日に発表される雇用情勢が予想よ りも強い結果となった場合は、9月の理事会に向けて利上げ観測が高まることになる。

【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 7 月企業物価指数(予想:前月比0.3%/前年比3.0%)

<海外>

○09:00 ◎ 4-6 月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.2%)

○09:30 ◇ 8 月豪ウエストパック消費者信頼感指数

○10:30 ◎ 4-6 月期豪賃金指数(予想:前期比0.9%)

○10:30 ◇ 7 月豪NAB 企業景況感指数

○15:00 ◎ 7 月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)

○15:00 ◎ 4-6 月英失業率(ILO 方式、予想:4.5%)

○16:00 ◇ 6 月トルコ経常収支(予想:4.0 億ドルの黒字)

○18:00 ◎ 8 月独ZEW 景況感指数(予想:32.0)

○18:00 ◎ 8 月ユーロ圏ZEW 景況感指数

○18:30 ◎ 4-6 月期南アフリカ失業率(予想:32.3%)

○21:30 ◎ 7 月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.3%)

◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.7%)

○14 日02:15 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

12日13:46ハウザー豪中銀副総裁

「経済予測には大きな不確実性が伴うことが、当局者が 追加のデータを待つ間、金利を据え置いてきた理由の 一つ」

「経済の余剰生産能力が当初予想より少ないことなどが 原因でインフレが粘着的になっている」

「失業率が予想より速いペースで上昇するリスクや、予 想される家計資産の増加を受けて消費がより強く伸びる リスクもある」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=下落途上の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯中。しかし、孕み線で反発して下落してきた転 換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は下落してきた転換線を支持に押し目買いスタンス で臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 149.77(8/2 高値)
レジスタンス1 148.22(8/12 高値)
前日終値 147.21
サポート1 146.30(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 145.44(8/8 安値)

<ユーロドル=転換線・基準線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線と同値、遅行スパンは実線を上 回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展 開となっている。4 手連続陰線の後、抱き線で反発して転換 線・基準線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆 されている。 本日は転換線・基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.1008(8/5 高値)
前日終値 1.0931
サポート1 1.0893(日足一目均衡表・基準線=転換線)

<ユーロ円=8/12 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯している。しかし、抱き線で切り返して下落し ている転換線を上回って引けているため続伸の可能性が示 唆されている。 本日は12 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 161.95(8/12 高値)
前日終値 160.91
サポート1 159.79(8/12 安値)

<豪ドル円=8/12 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯中。しかし、切込み線で反発して転換線を上回 って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。 本日は12 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 97.85(8/12 高値)
前日終値 96.95
サポート1 96.25(8/12 安値)