デイリーレポート 2024年8月14日
August 14, 2024
【前日の為替概況】ユーロドル続伸、予想比下振れの米PPIでドル売りが優勢
13日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続伸。終値は1.0993ドルと前営業日NY終値(1.0931 ドル)と比べて0.0062ドル程度のユーロ高水準だった。欧州序盤には8月独ZEW景況感指数が予想を下 回ったことを受けて一時1.0914ドルまで下落したものの、そのあとは前日の安値1.0910ドルがサポート として働いたため買い戻しが優勢となった。
NY市場に入り、米労働省が発表した7月米卸売物価指数(PPI)が前月比0.1%/前年比2.2%と予想 の前月比0.2%/前年比2.3%を下回り、食品とエネルギーを除くコア指数が前月比横ばい/前年比2.4% と予想の前月比0.2%/前年比2.7%を下回ったことが分かると米長期金利が低下。全般ドル売りが活発 化し、一時1.1000ドルと5日以来の高値を付けた。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.55と5日以来の低水準を付けた。 ドル円は反落。終値は146.84円と前営業日NY終値(147.21円)と比べて37銭程度のドル安水準だっ た。米インフレ指標の下振れを受けて米国のインフレが落ち着き、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを 始めやすくなるとの見方が一段と強まると、全般ドル売りが優勢となった。4時過ぎに一時146.60円と 日通し安値を更新した。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁は「年内に は利下げの準備が整う可能性が高い」「データをもう少し見てから利下げを支持したい」などと話した。
ユーロ円は続伸。終値は161.42円と前営業日NY終値(160.91円)と比べて51銭程度のユーロ高水準。 ドル円の下落につれた売りが先行すると一時160.70円付近まで下押ししたものの、アジア時間に付けた 日通し安値160.65円が目先サポートとして働くと持ち直した。ユーロドルの上昇につれた買いも入った。
【本日の東京為替見通し】米インフレ低下と地政学リスクでドル円上値重いか、RBNZに要注目
本日のドル円は上値が重い展開となるか。本日は米国から注目度の高い7月消費者物価指数(CPI)が 発表されることで、大きなリスクを取る地合いにはなりにくいだろう。しかし、昨日発表された米PPI がヘッドラインの前月比・前年比だけではなく、コア指数もすべて予想より下振れたことで上値が抑えら れることになりそうだ。また、昨日はイスラム組織ハマスが、イスラエルのテルアビブとその郊外にロケ ット弾を撃ち込むなど、中東情勢が更に悪化していることで地政学リスクにより円が買われやすくなりそ うだ。
昨日の大幅上昇で日経平均株価は前週の下げをすべて回復したが、ドル円が同様に回復するというのは 異なる。円が買われやすいのは日銀の金融政策だけではなく、上述のように米インフレの低下やリスク回 避の動き、また対円だけではなく対アジア通貨でのドル売りが進んでいることも一因。昨日時点で今月に 入り3%超上昇しているマレーシア・リンギを筆頭に、インドネシア・ルピアやフィリピン・ペソも2.5% 程度対ドルで強含んでいる。本日も米金利の低下で株価の上昇が期待されているものの、ドル円が昨日の ように一方的に上昇することを期待するのは難しいだろう。
なお、先週はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フ ェドウオッチ」では一時8割を超えて、米連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp)の 利下げ予想となったものが、昨日のPPI発表前は25bpと50bpの利下げ予想が半々になった。PPI発表後 は50bpの利下げがやや優勢となったものの、多少の振れ程度しか変化はないことで、本日のCPIの結果 が重要となる。
円相場は方向感をつかみにくいだろうが、本日はNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が政策 金利を発表することで、NZドルが大相場になる可能性が高い。2週間前までは政策金利の据え置き予想が 優勢だった。しかし、RBNZが8日に発表した期待インフレは2年後を2.33%から2.03%まで、1年先を 2.73%から2.40%まで引き下げたことで、利下げ予想が徐々に増えてきている。予想が拮抗するなかで、 RBNZの動向を見極めることになるが、政策金利の結果と今回は四半期に一度発表される声明文(MPS)も 発表されることで、市場の注目度は高い。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)
○12:00 ◎ オアRBNZ 総裁、記者会見
○15:00 ◎ 7 月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比2.3%)
○15:00 ◎ 7 月英CPI コア指数(予想:前年比3.4%)
○15:00 ◇ 7 月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.1%/前年比3.6%)
○15:00 ◎ 7 月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比2.5%)
◎ コア指数(予想:前月比横ばい/前年比1.6%)
○15:45 ◇ 7 月仏CPI 改定値(予想:前月比0.1%/前年比2.3%)
○18:00 ☆ 4-6 月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%/前年比0.6%)
○18:00 ◎ 6 月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年比▲3.0%)
○18:30 ◎ 7 月南アフリカSACCI 企業信頼感指数
○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 6 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.1%)
○21:00 ◎ 6 月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比5.5%)
○21:30 ☆ 7 月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比3.0%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.2%)
○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14日02:46ボスティック米アトランタ連銀総裁
「利下げは近づいている。もう少しデータを見たい」
「今後数カ月で経済が正常化すると期待」
「景気後退(リセッション)は予想していない」
「経済が予想通り進展すれば年末までに利下げも」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=8/12 高値を抵抗に戻り売り>
上影陰線引け。買いが先行し一時147.95 円まで上昇した
が、前日につけた2 日以来の高値148.22 円を試せず失速。
昨日は終値が低下の日足一目均衡表・転換線を上回り、上
値の重さは軽減されたが、引き続き三役逆転と強い売りシグ
ナルが点灯中。5 日移動平均線を除いた主な平均線は低下傾
向で上値の重さも感じられる。本日は8/12 高値をレジスタ
ンスに戻り売りで臨みたい。
レジスタンス2 149.77(8/2 高値)
レジスタンス1 148.22(8/12 高値)
前日終値 146.84
サポート1 146.27(8/9 安値)
サポート2 145.44(8/8 安値)
<ユーロドル=上昇予想の転換線を支えに上値伸ばすか>
陽線引け。遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けてい
たが、昨日は転換線が基準線を上回ったことで三役好転の強
い買いシグナルが点灯した。下支えとなっていた転換線が明
日には1.09 ドル前半までの上昇が見込まれ、同線の動きと
ともに上値を伸ばす展開が期待できる。
本日は1.09 ドル半ばまで上昇してきた5 日移動平均線近
辺で買いを仕込み、基準線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1139(2023/12/28 高値)
前日終値 1.0993
サポート1 1.0893(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=8/2 高値をストップに戻り売り>
陽線引け。2 日続伸するも2 日以来の190 円大台を試す動
きには持ち込めなかった。転換線を上回って引けており、売
り圧力は緩んだが、低下傾向の同線はサポートになりにくい。
目先のすう勢を示す5 日線は本日188 円台まで上昇し、サ
ポートになる可能性はあるが、依然として三役逆転の強い売
りシグナルが点灯中で下方向への動きが警戒される。8/2 高
値190.54 円をストップに戻り売りスタンスで臨む。
レジスタンス1 190.54(8/2 高値)
前日終値 188.88
サポート1 186.97(8/12 安値)
<NZ ドル円=基準線を超えるまでは売り目線か>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯している。転換線を上回って引けているものの、
低下傾向にある同線は支えになることも難しく、水準的にも
離れていることで目標にするにもいささか遠い。
本日は21 日移動平均線近辺まで引き付けて売り、7 月上旬
以後は抑えになっている基準線を上回れば手仕舞い。
レジスタンス1 90.12(21 日移動平均線)
前日終値 89.22
サポート1 88.47(8/13 安値)