デイリーレポート 2024年8月19日
August 19, 2024
【前日の為替概況】ドル円、予想を下回る米7月住宅関連指標や米金利低下で147.57円まで反落
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。終値は147.63円と前営業日NY終 値(149.28円)と比べて1円65銭程度のドル安水準だった。米商務省がこの日発表した7月米住宅着工 件数と同月建設許可件数が予想を下回ったことを受けて全般ドル売りが先行。22時過ぎに一時147.63円 まで値を下げた。市場では「米住宅着工件数は2020年5月以来の低水準に落ち込んだ。需要が弱く、在 庫は高水準にある」との指摘があった。
その後発表された8月米ミシガン大学消費者態度指数速報値と消費者の期待インフレ率が予想を上回 ったことが分かると148.27円付近まで下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。前日発表の7月米小売売上 高など市場の関心が高かった米経済指標の一部が市場予想を上回ったのをきっかけに、昨日NY市場では 149.39円まで急伸。週末を控えたポジション調整目的の売りが出た。米長期金利が再び低下に転じたこ とも相場の重しとなり、5時過ぎには147.57円と日通し安値を更新した。
ユーロドルは反発。終値は1.1027ドルと前営業日NY終値(1.0972ドル)と比べて0.0055ドル程度の ユーロ高水準だった。予想を下回る米住宅指標をきっかけにユーロ買い・ドル売りが先行。23時前に一 時1.1005ドルまで値を上げた。その後発表された米ミシガン大消費者信頼感と期待インフレ率が予想を 上回ったことが分かると1.0983ドル付近まで下押ししたものの、売り一巡後は再び強含んだ。米長期金 利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢となり、取引終了間際に一時1.1030ドルと日通し高値を更 新した。
ユーロ円は5日ぶり反落。終値は162.80円と前営業日NY終値(163.80円)と比べて1円程度のユー ロ安水準。22時過ぎに一時162.30円と日通し安値を付けたあとは163.02円付近まで下げ渋る場面もあ ったが、戻りは限定的だった。ドル円と似た動きとなった。
ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1050円高の3万7700円まで上昇した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米長期金利の低下で上値が重い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利の低下や週末23日の植田日銀総裁とパウエルFRB議 長の発言への警戒感から上値が重い展開が予想される。
ドル円は先週、15日のNY市場で良好な米7月小売売上高を受けた米10年債利回りの3.951%までの上 昇で149.39円まで上昇したものの、8月2日の米7月雇用統計発表前の高値149.77円に届かなかった。 16日には低調な米7月住宅関連指標や米10年債利回りの3.86%台までの低下で147.57円まで反落して おり、米国の経済指標や10年債利回りに連れた「往って来い」となっている。
日経平均株価が史上最高値42426.77円から8月5日の過去最大の下落幅での安値31156.12円までの下 落から、16日には38143.55円まで戻しており、61.8%戻し38121.38円を達成している。一方でドル円 は、161.95円から141.70円までの下落幅の38.2%戻し(149.44円)までで、半値戻し151.83円には未 達であるため、東京株式市場と為替市場の先見性にも注目していきたい。
ドル円は、7月31日の植田日銀総裁による金利の壁0.50%以上の追加利上げ示唆とパウエルFRB議長 の9月FOMCでの利下げ開始示唆を受けて、下げトレンドに拍車がかかった。今週末の23日に植田日銀総 裁は、衆議院財務金融委員会での閉会中審査で利上げに関する意見聴取が予定されている。パウエルFRB 議長はジャクソンホール会合で講演が予定されていることで、両者の見解が7月31日と同じなのか否か を見極めることになる。
なお、ドル円が1986年12月以来の高値161.95円(7月3日)まで上昇した局面では、IMM通貨先物の 非商業(投機)部門取組の円のネット売り持ちポジションは184223枚(7月2日時点)だったが、8月 13日時点では23104枚のネット買い持ちポジションになっていた。
過去最大の円の売り持ちポジションは、2007年6月26日時点の188077枚(※6月22日:124.14円) だったが、その後、米国の住宅バブル崩壊やリーマンショックなどで100円を割り込んでいった。
ドル円の注目水準は、上昇トレンドの中期支持線(127.23円を起点に140.25円を経由)だった149.02 円、下落幅(161.95円~141.70円)の38.2%戻しの149.44円、半値戻しの151.83円、52週移動平均線 の150.69円、200日移動平均線の151.39円となる。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 6 月機械受注(予想:船舶・電力除く民需前月比0.9%/前年比1.1%)
<海外>
○22:15 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○23:00 ◎ 7 月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
【前日までの要人発言】
16日08:45ブロックRBA(豪準備銀行)総裁
「理事会は、インフレを合理的な時間枠内で抑制し、イン フレ率が目標を無期限に上回る状態を放置していては、 完全雇用の目標は達成されない」
「引き続き、インフレの潜在的な上昇リスクに注目してい る」
「過去数年間に見られた労働市場の利益をできるだけ 維持しながら、合理的な時間枠でインフレを目標に戻す よう努めている」
「インフレに関してはさらなる進展があったが、非常に遅 い」
「経済見通しは依然として非常に不透明」
「基調インフレ率は依然として高すぎる」
「現時点で把握している情報に基づくと、近い将来に金 利を引き下げる立場になるとは予想していない」
「理事会のメッセージは、利下げを検討するのは時期尚 早だというものだ」
「価格インフレは大幅に低下したが、サービス価格の高 騰を相殺するには十分ではなかった」
16日09:20シルクRBNZ総裁補
「金利引き下げに慎重なアプローチを取っている」
「インフレがどれだけ早く低下するかは不透明」
17日05:38グールズビー米シカゴ連銀総裁
「米経済に黄色信号が点滅しているものがある」
「金融引き締め政策を必要以上に維持しないよう慎重に 対応する必要」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。しかし、2 手連続陽線の後、孕み線で反落
したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の
可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を
下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 150.28(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス1 149.39(8/15 高値)
前日終値 147.63
サポート1 146.84(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 146.08(8/14 安値)
<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯中。抱き線で切り返して依然として転換線を上
回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を
下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1139(2023/12/28 高値)
前日終値 1.1027
サポート1 1.0965(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=8/15 安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。しかし、4 手連続陽線の後、孕み線で反落
したものの依然として転換線を上回って引けているため反
発の可能性が示唆されている。
本日は15 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 163.67(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 162.80
サポート1 161.95(8/15 安値)
<豪ドル円=8/16 安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。しかし、孕み線で反落したものの依然とし
て転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されて
いる。
本日は16 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 99.97(200 日移動平均線)
前日終値 98.47
サポート 1 97.81(8/16安値)