デイリーレポート 2024年8月29日
August 29, 2024
【前日の為替概況】】ユーロドル、反落利益確定目的のユーロ売り・ドル買い進行
28日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反落。終値は1.1120ドルと前営業日NY終値(1.1184 ドル)と比べて0.0064ドル程度のユーロ安水準だった。米利下げ観測を背景にこのところユーロ高・ド ル安が進んでいたため、利益確定を目的としたユーロ売り・ドル買いが出た。月末が近づく中、ドル買い のフローが観測されると21時30分過ぎに一時1.1105ドルと日通し安値を付けた。24時前には1.1138 ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは限定的だった。
米国の重要なインフレ指標である7月米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を30日に控えて、ポジシ ョン調整目的のユーロ売り・ドル買いも出やすかった。 ドル円は反発。終値は144.59円と前営業日NY終値(143.96円)と比べて63銭程度のドル高水準だっ た。本日NY市場引け後のエヌビディアの決算発表を控えて様子見ムードが強まる中、ポジション調整目 的のドル買いが入った。月末が接近する中、ドル買いのフローも観測されると22時30分過ぎに一時本日 高値となる145.04円まで値を上げた。
もっとも、前日の高値145.18円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米国株相場の下 落や日経平均先物の失速なども相場の重しとなった。
なお、米半導体大手エヌビディアは第2四半期決算を発表。調整後の1株利益は0.68ドルと予想の0.64 ドルを上回ったものの、時間外取引では一時7%超下げる場面があった。
ユーロ円は4日続落。終値は160.78円と前営業日NY終値(161.02円)と比べて24銭程度のユーロ安 水準。日本時間夕刻に一時161.32円付近まで値を上げる場面もあったが、アジア時間に付けた日通し高 値161.37円手前で失速。21時前に160.45円と日通し安値を付けた。22時30分過ぎには161.22円付近 まで下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。日米株価指数の下落が相場の重しとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、ドル売り一服で株価にらんで方向感模索か
本日のドル円相場は、手掛かり材料を欠く中で株価をにらんだ展開となるか。前週末のパウエル米連邦 準備理事会(FRB)議長講演を受け、米9月利下げが既定路線となるも、足もとのFedWatchを見ると、9 月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想は0.25%が6割となっており、一時期高まった0.50% の利下げ予想は4割弱に留まっている。ドル円は週初の26日こそ143.45円まで下落したが、その後は 143円台では底堅さを見せており、前週末からのドル売りの動きは一服している。次に市場の関心が向か いそうなのが、明日の8月東京都区部消費者物価指数や7月米PCEデフレーターであり、それまでは144 円台を中心として積極的には動きづらい展開となるかもしれない。
そうした中ではあるが、エヌビディア決算を受けた株価の動きには注意したい。第2四半期決算では調 整後の1株利益は0.68ドルと予想の0.64ドルを上回ったものの、時間外取引では一時7%超下げる場面 があった。時間外の米国株のほか、日経平均に影響が及ぶことがあれば、ドル円相場を動かすことも考え られる。
なお、本日アジア時間には、NZで8月ANZ企業信頼感が、豪では4-6月期四半期民間設備投資が、 それぞれ発表される。昨日豪ドル/NZドルは一時1.0856NZドルまで下落して5日安値1.0844ドルに 迫った。いずれも相場を大きく動かす指標ではないが、利上げ観測が根強い豪と追加利下げ観測がくすぶ るNZとの金融政策の方向性の違いが意識される場合、5日安値をサポートに切り返す場面もありそうだ。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 8 月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:37.0)
○未定 ◇ 8 月月例経済報告
<海外>
○07:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○10:00 ◇ 8 月ANZ 企業信頼感
○10:30 ◇ 4-6 月期豪民間設備投資(予想:前期比1.0%)
○15:00 ◎ 4-6 月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.8%)
○18:00 ◎ 8 月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:95.8)
○18:00 ◎ 8 月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲13.4)
○18:15 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18:30 ◇ 7 月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比4.5%)
○21:00 ◎ 8 月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比2.1%)
○21:30 ◇ 4-6 月期カナダ経常収支(予想:58.5 億カナダドルの赤字)
○21:30 ☆ 4-6 月期米GDP 改定値(予想:前期比年率2.8%)
◎ 個人消費(改定値、予想:前期比2.2%)
◎ コアPCE(改定値、予想:前期比2.9%)
○21:30 ◇ 7 月米卸売在庫(予想:前月比0.3%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.2 万件/187.0 万人)
○23:00 ◎ 7 月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.2%/前年比▲2.0%)
○30 日02:00 ◎ 米財務省、7 年債入札
○30 日02:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
28日10:36氷見野日銀副総裁
「今年度の実質経済成長率は0.6%を見込んでいる」
「物価、来年度・再来年度は目標に沿った2%程度の上 昇率になると見込んでいる」
「景気の現状を『緩やかな回復が続いている』と一括りで 語るのはますます難しくなっている」
「相場の目先の動きに見方を左右されすぎないことが大 切」
「経済・物価の見通しが実現する確度が高まれば、金融 緩和の度合いを調整」
「市場とも丁寧にコミュニケーションを取りながら、適切 に金融政策を運営していきたい」
「金融政策運営、無数のファクターを考慮していかざるを 得ない」
「中立金利、特定の水準やレンジを意識していない」
「円高の中小企業経営への影響、おおむねプラス面が 大きいとの話を聞いた」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=5 日線を上回っても反発は限定されそう>
陽線引け。昨日144.75 円で引けた5 日移動平均線前後の
動きが続いた。一時145.04 円と、5 日線を上回って推移する
時間帯もあった。
本日144.40 円付近へ低下した同線を上回って推移するこ
とになるか。しかし5 日線超えの水準で一時的に強含んでも、
一目均衡表・転換線が昨日の146.40 円から145.75 円へ切り
下がるなど、総じて下向きの流れは示唆されたまま。反発が
限定されそうな状態といえる。
レジスタンス1 145.04(8/28 高値)
前日終値 144.59
サポート1 143.69(8/28 安値)
サポート2 143.09(ピボット・サポート2)
<ユーロドル=5 日線の上昇ともなう堅調な推移に一服感>
陰線引け。一時1.1105 ドルと、23 日安値に並ぶ下落とな
った。一目均衡表・転換線1.1087 ドルは維持したものの勢
いを弱め、目先のすう勢を示す5 日移動平均線は低下して引
けている。5 日線の上昇をともなう堅調な推移に一服感が出
てきた。1.1108 ドルへ上昇した一目均衡表・転換線付近の攻
防となるか。同線を割り込んで下値を探るリスクも視野に入
れつつ臨みたい。
レジスタンス1 1.1186(8/28 高値)
前日終値 1.1120
サポート1 1.1072(8/20 安値)
<ポンド円=基準線の低下に引っ張られる相場展開に注意>
小陰線引け。一目均衡表・転換線190.14 円を上回る水準
で一定の底堅さを維持して推移した。ただ、低下傾向の一
目・基準線に引っ張られ気味な感もある。同線は190.65 円
から本日189.79 円へ低下。転換線付近を維持したいところ
だが、低下が続く見込みの基準線に追随した190 円割れのリ
スクも念頭に置いておきたい。
レジスタンス1 191.45(8/28 高値)
前日終値 190.73
サポート1 189.51(8/26 安値)
<NZ ドル円=転換線を上回るレンジで底堅く推移>
小陽線引け。一目均衡表・転換線89.35 円を上回るレンジ
で底堅く推移した。一時90.46 円と、7 月31 日以来の高値ま
で上昇している。低下傾向の一目・基準線87.30 円を追う展
開は回避できた。90 円割れ程度の下押しを挟みつつも、上昇
傾向の転換線が示唆する底堅い推移が続くと想定する。
レジスタンス1 90.87(7/31 高値)
前日終値 90.25
サポート1 89.77(8/28 安値)