デイリーレポート 2023年7月3日

July 3, 2023

【前日の為替概況】ドル円 144.21 円まで反落、米 5 月コアデフレーターが予想を下回る

30 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 4 営業日ぶりに反落。終値は 144.31 円と前営業日 NY 終 値(144.76 円)と比べて 45 銭程度のドル安水準だった。東京市場では一時 145.07 円と昨年 11 月 10 日 以来の高値を付けたものの、海外市場では政府・日銀による為替介入への警戒が高まる中、週末を控えた ポジション調整目的の売りが優勢となった。

米商務省が発表した 5 月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネ ルギーを除くコアデフレーターが前年比 4.6%上昇と予想の 4.7%を下回ったことが分かると、米長期金 利の低下とともにドル売りが活発化。23 時 30 分過ぎに一時 144.21 円と日通し安値を更新した。前日の 安値 144.14円が目先サポートとして働くと 144.63円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。

ユーロドルは 3 日ぶりに反発。終値は 1.0909 ドルと前営業日 NY 終値(1.0865 ドル)と比べて 0.0044 ドル程度のユーロ高水準だった。米インフレ指標の鈍化を受けて全般ドル売りが優勢になると、一時 1.0932 ドルと日通し高値を更新した。欧米株価の上昇を背景にリスク・オンのドル売りも出た。

なお、欧州時間に発表された 6 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は予想を下回ったものの、相 場の反応は限られた。

ユーロ円は 3 日ぶりに小反発。終値は 157.44 円と前営業日 NY 終値(157.28 円)と比べて 16 銭程度の ユーロ高水準。ダウ平均が一時 340 ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移すると投資家のリスク 志向が改善し、円売り・ユーロ買いが優勢となり一時 157.88 円と日通し高値を更新した。

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは下落。対ドルでは一時 2 万 9520 ドル前後まで下 落し、対円では 427 万円台まで売られた。米証券取引委員会(SEC)が「現物(スポット)のビットコイ ン上場投資信託(ETF)の申請は不十分」との見解を示したと伝わると、仮想通貨全般に売りが出た。

【本日の東京為替見通し】6 月日銀短観を見極め、ドル売り・円買い介入に警戒する展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、6 月調査の日銀短観を見極めつつ、本邦通貨当局によるドル売 り・円買い介入の可能性に警戒していく展開が予想される。

先週末に発表された米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米 PCE デフレーター の 5 月分は、前年比+3.8%と発表され、4 月の同比+4.3%(修正値)から低下基調を辿っていた。そうい った中でも FRB は、、7 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で FF 金利誘導目標を 5.25-50%に引き上げ、 年内 2 回の利上げで 12 月末には、5.50-75%への引き上げを目論んでいる。また、米 10 年債利回りは 5 月 PCE デフレーターと同水準の 3.8%台で推移。7 月 FOMC のみの利上げを予想する「フェドウオッチ」な どの市場筋は、FRB の見立てに懐疑的な姿勢を崩していない。

8 時 50 分に発表される 6 月調査の日銀短観の大企業製造業の業況判断指数(DI)は+3 と、3 月調査+1 からの改善が見込まれている。しかし、ドル円が 140-150 円台で推移していた昨年 9 月の DI+8 や 12 月の DI+7 は下回っているため、日銀による大規模金融緩和の継続路線に変わりなく、こちらは円売り要因と なる。

昨年 10 月 24 日(月曜日)の本邦通貨当局によるステルス円買い介入は、東京勢が本格参入する 8 時半 頃に 149 円台で断行された。現在は 144 円台で水準は違うものの警戒しておきたい。

本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が高まっていることで、昨年秋の 3 回の円買い介 入を確認しておきたい。

神田財務官は、ボラティリティーの抑制を円買い介入の理由に挙げており、ボリンジャー・バンドの+2 σ付近での介入となっていた。 現状の+2σは、145.50 円台に位置しており、警戒レベルは「低」となる。

IMM 通貨先物の非商業(投機)部門の円売り持ちポジションが 11 万枚を超えていたが、現状は 150888 枚(※6 月 27 日終了週)となっており、警戒レベルは「高」となる。

介入が実施された時間帯は、9 月 22 日が日本時間 17 時半頃(アジア・東京勢が退場し、欧州勢が参入 し始めた頃)、10 月 21 日が日本時間 23 時半頃(欧州勢が退場し、NY 勢が参入し始めた頃)、10 月 24 日 が日本時間 8 時半頃(東京勢が参入し始めた頃)であり、市場がやや薄い時間帯となっている。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、6 月調査)

☆ 大企業製造業の業況判断指数(DI、予想:3)

◎ 大企業非製造業の業況判断指数(DI、予想:22)

◎ 大企業製造業 DI・9 月見込み(予想:4)

◎ 大企業非製造業 DI・9 月見込み(予想:21)

◎ 大企業全産業設備投資計画(前年度比、予想:10.0%)

<海外>

○10:30 ◎ 5 月豪住宅建設許可件数(予想:前月比 3.0%)

○10:45 ◎ 6 月 Caixin 中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.0)

○15:30 ◎ 6 月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.2%)

○16:00 ◇ 6 月トルコ製造業 PMI

○16:30 ◇ 6 月スイス製造業 PMI(予想:42.8)

○16:50 ◎ 6 月仏製造業 PMI 改定値(予想:45.5)

○16:55 ◎ 6 月独製造業 PMI 改定値(予想:41.0)

○17:00 ◎ 6 月ユーロ圏製造業 PMI 改定値(予想:43.6)

○17:30 ◎ 6 月英製造業 PMI 改定値(予想:46.2)

○22:45 ◎ 6 月米製造業 PMI 改定値(予想:46.3)

○23:00 ☆ 6 月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.2)

○23:00 ◇ 5 月米建設支出(予想:前月比 0.5%)

○24:00 ◇ 6 月メキシコ製造業 PMI

○4 日 03:00 ◎ 6 月ブラジル貿易収支(予想:95.00 億ドルの黒字)

○米株式・債券市場は短縮取引(独立記念日の前営業日)

○カナダ(建国記念日の振替休日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

30 日 11:05 鈴木財務相

「急速で一方的な動きもみられる」

「為替市場に高い緊張感をもって注視」

30 日 16:18 松野官房長官

「為替、最近は急速で一方的動きみられる」

「行き過ぎた動きには適切に対応する」

30 日 22:42 米証券取引委員会(SEC)

「現物(スポット)のビットコイン上場投資信託(ETF)の申請は不十分」

1 日 01:33 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「FRB の使命には株価に関する規定は何もない」

「リセッションなくインフレを目標水準まで下げることができると期待」

「インフレ率は低下傾向にあるが、依然として FRB の目標を大幅に上回っている」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル が点灯している。高値圏での抱き線で反落したものの転換線 を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。 本日は、143 円前半で上昇中の転換線を支持に押し目買い スタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 146.59(2022/11/10 高値)
レジスタンス 1 145.07(6/30 高値)
前日終値 144.31
サポート 1 143.18(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 142.72(6/23 安値)

<ユーロドル=転換線や雲のねじれを念頭に置いた取引>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグ ナルが点灯中。しかし、孕み線で切り返したものの、転換線 を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。 本日は、転換線 1.0924 ドルや 1.08 ドル半ばで発生する「雲 のねじれ」を念頭に置いた取引に。6 月 22 日の高値を抵抗に 戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.1012(6/22 高値)
前日終値 1.0909
サポート 1 1.0824(日足一目均衡表・基準線)

<ポンド円=上向きの転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル が点灯中。2 手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸 の可能性が示唆されている。 本日は、上向きの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 183.88(6/30 高値)
前日終値 183.19
サポート 1 181.90(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=6/29 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル が点灯中。2 手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸 の可能性が示唆されている。その転換線は 88 円台に乗せて きた。 本日は、6 月 29 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 88.98(6/27 高値)
前日終値 88.52
サポート 1 87.60(6/29 安値)