デイリーレポート 2024年9月18日
September 18, 2024
【前日の為替概況】ドル円は142.47円まで上昇、米8月小売売上高が予想を上回る
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は6営業日ぶりに大幅反発。終値は142.41円と前営業日NY 終値(140.62円)と比べて1円79銭程度のドル高水準だった。8月米小売売上高や8月米鉱工業生産、 9月米NAHB住宅市場指数などが予想を上回ると、米経済の底堅さが意識されて米長期金利の上昇ととも に円売り・ドル買いが先行。日経平均先物の上昇を背景にリスク・オンの円売りも出た。アジア時間の高 値141.23円や前週末の高値141.87円を上抜けると上昇に弾みが付き、取引終了間際に一時142.47円ま で上値を伸ばした。明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前にポジション調整目的のドル買い も入ったようだ。
なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェド ウオッチ」によると、FOMCで0.25%の利下げを予想する確率は37%程度、0.50%の利下げを予想する確 率は63%程度となった。一方、エコノミストの間では0.25%の利下げ予想が大勢を占めている。 ユーロドルは反落。終値は1.1114ドルと前営業日NY終値(1.1133ドル)と比べて0.0019ドル程度の ユーロ安水準だった。日本時間夕刻に一時1.1146ドルと日通し高値を付けたものの、6日の高値1.1155 ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速。米経済指標の上振れや米長期金利の上昇に伴うユー ロ売り・ドル買いが出て一時1.1111ドルと日通し安値を更新した。米重要イベントを控えたポジション 調整目的の売りも出た。
ユーロ円は続伸。終値は158.27円と前営業日NY終値(156.54円)と比べて1円73銭程度のユーロ高 水準。ドル円の上昇をきっかけに円売り・ユーロ買いが先行。日経平均先物の上昇に伴う円売り・ユーロ 買いが入ると、取引終了間際に158.33円と本日高値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円は堅調推移だが、FOMCでの0.50%利下げ警戒で上値限定か
本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝3時の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明での0.50%の利 下げ観測がやや後退したものの可能性は依然として残されているため、ここからの上値は限定的だと思 われる。
昨日のドル円は短期的な攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線141.91円を上抜けて142円台半 ばまで上昇した。予想を上回る米8月小売売上高を受けて、FOMCでの0.50%の利下げ確率がやや低下し たことが影響した。
しかし前回8月15日の米7月小売売上高への反応を見ると、予想比上振れを受けてドル円は同月5日 の令和のブラックマンデー以来の戻り高値149.39円まで上昇したが、ドル高は一時的だった。そのため、 昨日の予想より強かった小売売上高によるドル高反応も、FOMCでの利下げ幅次第で一過性となる可能性 には警戒しておきたい。
ドル円の142円台は、12日にウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティ ミラオス記者が0.50%の利下げの可能性を示唆した水準であり、0.50%の利下げ観測台頭による16日の 安値139.58円までの下げが「往って来い」になった。同記者は、パウエルFRB議長のスポークスマン的 な存在であり、これまでパウエルFRB議長の意図を配信することで知られてきた。
WSJ紙は『FRB利下げのジレンマ:大きく始めるか、小さく始めるか(TheFed’sRate-CutDilemma: StartBigorSmall?)』と題し、「関係者は今後数カ月で複数回の利下げが可能であるとの自信を示して おり、伝統的な0.25%の引き下げか、より大きな0.50%の引き下げかについての議論が行われている」 と報じた。
さらに英紙フィナンシャルタイムズも、0.50%の利下げが実施される選択肢はなお残っていると報じ、 ダドリー前米NY連銀総裁も0.50%の利下げを実施する強い論拠があるとの認識を示した。もし、FOMCで の利下げ幅が0.25%だった場合、WSJ紙、FT紙、ダドリー前米NY連銀総裁への信頼が失墜することにな る。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッ チ」によると、FOMCで0.25%の利下げを予想する確率は37%程度にやや上昇し、0.50%の利下げを予想 する確率は63%程度にやや低下している。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 7 月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比 0.5%/前年比 4.2%)
○08:50 ◎ 8 月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前 1 兆 3800 億円の赤字、季節調整済 9630 億円の 赤字)
○未定 ◇ 9 月月例経済報告
<海外>
○07:45 ◇ 4-6 月期ニュージーランド(NZ)経常収支(予想:40.05 億 NZ ドルの赤字)
○15:00 ◎ 8 月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.3%/前年比 2.2%)
○15:00 ◎ 8 月英 CPI コア指数(予想:前年比 3.5%)
○15:00 ◇ 8 月英小売物価指数(RPI、予想:前月比 0.5%/前年比 3.4%)
○16:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○16:15 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:00 ◎ 8 月南アフリカ CPI(予想:前月比 0.2%/前年比 4.5%)
○18:00 ◇ 7 月ユーロ圏建設支出
○18:00 ☆ 8 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比 2.2%)
○18:00 ☆ 8 月ユーロ圏 HICP コア改定値(予想:前年比 2.8%)
○20:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○20:00 ◇ 7 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比 3.2%)
○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○21:30 ◇ 7 月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 8 月米住宅着工件数(予想:131.0 万件、前月比 5.8%)
◎ 建設許可件数(予想:141.0 万件、前月比 1.0%)
○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計
○19 日 03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:5.00-5.25%に引き下げ)
○19 日 03:00 ☆ FOMC、経済・金利見通し発表
○19 日 03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○19 日 05:00 ◎ 7 月対米証券投資動向
○19 日 06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:10.75%に引き上げ)
○韓国(秋夕)、香港(中秋節の翌日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。 ※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。 ※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
17 日 05:47 バイデン米大統領
「トランプ氏と電話で話そうとした、また後で試みる」
17 日 09:45 鈴木財務相
「海外からの所得の影響や輸入物価の変動通じた影響 などプラス・マイナス双方の影響ある」
「為替はファンダメンタルズを反映して市場において決 定されるもの」
「為替の急激な動きは望ましくない」
「為替は、注意を払いながらしっかりみていくのが基本ス タンス」
17 日 12:21 ニュージーランド財務省
「4-6 月期 GDP 指標は経済活動の落ち込みを示唆」
「移民による人口(人工)増加が記録的であったにもかか わらず、経済データは低調」
「移民の水準が正常化するにつれて、より多くのサービ ス産業で弱さが顕在化している」
「住宅販売は引き続き減少しており、金利は低下してい るものの、平均住宅ローン金利は依然として高水準にあ るため、小売支出や住宅価格の伸びは限定的」
「7-9 月期も残すところ 2 週間となり、トンネルの出口に 光が見えてくるかもしれないが、よりタイムリーな指標 は、7-9 月期の経済活動の落ち込みよりもむしろ横ば いを示唆している」
17 日 16:56 シムカス・リトアニア中銀総裁
「経済は予測に沿って発展している」
「10 月に利下げする可能性は非常に小さい」
「10 月は新たなデータポイントが多くないだろう」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=5 日移動平均線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。しかし、抱き線で反発して転換線を上回っ
て引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は下落中の転換線 141.80 円を念頭に置き、5 日移動平
均線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場
合は手仕舞い。
レジスタンス 2 144.49(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス 1 143.04(9/12 高値)
前日終値 142.41
サポート 1 141.62(5 日移動平均線)
サポート 2 140.32(9/17 安値)
<ユーロドル=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯中。孕み線で反落したものの、依然として転換
線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨
み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.1202(8/26 高値)
前日終値 1.1114
サポート 1 1.1079(日足一目均衡表・転換線)
<ポンド円=9/17 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。しかし、2 手連続陽線で転換線を上回って
引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線 186.61 円を念頭に置き、17 日の安値を支持
に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕
舞い。
レジスタンス 1 188.60(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 187.42
サポート 1 185.30(9/17 安値)
<NZ ドル円=9/17 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。しかし、2 手連続陽線で転換線を上回って
引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線 87.89 円を念頭に置き、17 日の安値を支持に
押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞
い。上値は雲の下限 88.67 円や基準線 88.97 円に要注目か。
レジスタンス 1 88.97(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 88.07
サポート 1 86.85(9/17 安値)