デイリーレポート 2024年9月20日

September 20, 2024

【前日の為替概況】ドル円、好調な米経済指標で143.77円付近へ上昇後142.53円付近へ反落

19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は142.63円と前営業日NY終値(142.29円) と比べて34銭程度のドル高水準だった。前週分の米新規失業保険申請件数や9月米フィラデルフィア連 銀製造業景気指数が予想より強い内容だったことを受けて、円売り・ドル買いが先行。22時過ぎに一時 143.77円付近まで値を上げた。

ただ、アジア時間に付けた日通し高値143.95円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くな った。一時は3.76%台まで上昇した米10年債利回りが3.71%台まで上昇幅を縮めたことも相場の重しと なり、5時30分前に142.53円付近まで下押しした。明日の日銀金融政策決定会合の結果公表を前にポジ ション調整目的の売りが出た面もあったようだ。

結局、東京午前に付けたレンジ(安値141.89円、高値143.95円)内での方向感に乏しい展開となった。 ユーロドルは続伸。終値は1.1162ドルと前営業日NY終値(1.1119ドル)と比べて0.0043ドル程度の ユーロ高水準だった。欧州市場では独株式指数(DAX)が史上最高値を更新するなど、欧州株相場が堅調 に推移したことでリスク・オンのユーロ買い・ドル売りが進行。前日に米連邦準備理事会(FRB)が大幅 利下げを決めたのを受けて、ユーロ買い・ドル売りが入りやすい面もあり、19時前に一時1.1179ドルと 日通し高値を付けた。

NY市場では米経済指標が良好な内容となったことなどが相場の重しとなり、1.1117ドル付近まで下押 しする場面もあったが、売りが一巡すると再び強含む展開に。米金利が上昇幅を縮めたことにつれて 1.1168ドル付近まで持ち直している。

ユーロ円は反発。終値は159.20円と前営業日NY終値(158.20円)と比べて1円程度のユーロ高水準。 欧州時間に一時159.97円と4日以来の高値を付けたものの、NY市場に入ると徐々に上値が重くなった。 24時前には158.83円付近まで上値を切り下げた。 米株式市場ではダウ平均やS&P500が史上最高値を更新し、日経平均先物は800円超上昇したものの、 相場の反応は限定的だった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、日本の8月コアCPIと植田日銀総裁の会見に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の8月の消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、現状維持 が予想されている日銀金融政策決定会合後の植田日銀総裁の記者会見に注目することになる。

8時30分に発表される日本の8月のコアCPIは、前年比+2.8%と予想されており、7月+2.7%からの伸 び率上昇の見込み。予想通りであれば、15時30分から予定されている植田日銀総裁の記者会見で、これ までの見解「物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを 調整」する方針が再強調され、年内の追加利上げに言及する可能性が高まるか。

植田日銀総裁は、7月31日の日銀金融政策決定会合後の記者会見、8月23日の衆参両院で開催された 閉会中審査、9月3日の経済財政諮問会議で、このタカ派的な見解に言及していた。さらに、ドル円が139 円台から143円台へ反発し、日経平均株価も37000円台に乗せているため、タカ派的な見解を述べやすい 相場状況にもなっている。

昨日から本日にかけて開催されている日銀金融政策決定会合では、来週27日の自民党総裁選挙の投開 票を控えて、現状維持が見込まれている。記者会見での注目ポイントとしては、新政権の下での早期の衆 院解散・総選挙の可能性や新政権の経済・財政政策、米大統領選といった内外政治情勢が金融政策運営に 及ぼす影響への言及となる。

リスクシナリオとしては、来週の自民党総裁選挙の投開票に配慮して、8月7日の内田日銀副総裁のハ ト派的な見解「株価や為替相場が不安定な状況で利上げは行わず、当面は現行の金融緩和を維持する」に 言及した場合となる。この場合は、ドル円と日経平均株価の買い戻しに拍車がかかるだろう。

【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:30 ☆ 8 月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比 2.8%)

○08:30 ☆ 8 月全国 CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比 2.0%)

○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)

○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見

<海外>

○08:01 ◇ 9 月英消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲13)

○15:00 ◎ 8 月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比 0.4%/前年比 1.4%)

○15:00 ◎ 8 月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比 0.5%/前年比 1.1%)

○15:00 ◇ 8 月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比横ばい)

○15:45 ◇ 9 月仏企業景況感指数(予想:98)

○17:30 ◎ 8 月香港 CPI(予想:前年同月比 2.6%)

○21:30 ◎ 7 月カナダ小売売上高(予想:前月比 0.6%/自動車を除く前月比 0.3%)

○21:30 ◇ 8 月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.2%)

○21:30 ◇ 8 月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲2.2%)

○23:00 ◎ 9 月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲13.0)

○24:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。 ※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。 ※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

19 日 17:05 ノルウェー中銀(ノルゲバンク)声明

「企業コストの急激な上昇とクローネ安が今後のディス インフレを抑制すると予想」

「引き続き引き締め的な金融政策が必要だと判断」

「金融政策を緩和する時期が近づいている」

「政策金利は年末まで 4.5%に据え置かれる可能性が高 い」

19 日 20:04 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨

「MPC は 8 対 1 で 5.00%の据え置きを決定」

「十分な期間、引き締め的な政策が必要」

「インフレ率は 2024 年第 4 四半期に約 2.50%に上昇す る見込み(前回 8 月は約 2.75%)」

「インフレは緩和し、経済は予測通りに進展」

「この傾向が続けば、徐々に金利を引き下げることがで きるはず」

「大多数のメンバーは、金利引き下げに対して段階的な アプローチが適切だと考えている」

19 日 20:19 トルコ中銀声明

「1 週間物レポレートを 50.00%に据え置き」

「翌日物借入金利を 47.00%に据え置き」

「翌日物貸出金利を 53.00%に据え置き」

「政策金利の据え置きを決定したが、インフレリスクへ高 度に注意を払い続けることを再確認」

「インフレ期待と物価動向は緩和プロセスをリスクにさら し続けている」

「第 3 四半期の指標はインフレの影響による国内需要の 失速を確認」

19 日 22:11 クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁

「金融政策決定委員会(MPC)は 0.25%の引き下げ、 0.50%の引き下げ、据え置きについて考慮した」

19 日 22:25 南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)声 明

「成長見通しに対するリスクは均衡していると評価」

「インフレ率は予測期間の終わりである 2026 年までレン ジ中央値である 4.5%を下回る水準に抑えられると予 想」

「短期的には為替レートの上昇と原油価格の下落に支 えられ、総合インフレ率は引き続き低下すると見込む」

「インフレに対するリスクは均衡していると評価」

「予測では来年の金利は中立に向かって動き、7%をわ ずかに上回る水準で安定すると見込む」

「MPC の決定は引き続きデータに依存し、見通しに対す るリスクのバランスに左右される」

19 日 22:34 ベイリー英中銀(BOE)総裁 「英国のサービスインフレは依然として高い」

「金利は緩やかに下がる道筋だが、一段の証拠が必 要」

19 日 23:21 イエレン米財務長官

「米労働市場はコロナ前と同様に正常で健全」

「FRB の行動は米経済にとって非常にポジティブなサイ ン」

20 日 02:31 バイデン米大統領

「米連邦準備理事会(FRB)の独立性を尊重している」

「就任以降、一度も FRB 議長と話したことはない」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=下落中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯中。しかし、抱き線で反発して依然として転換 線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は下落中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 144.47(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス 1 143.95(9/19 高値)
前日終値 142.63
サポート 1 141.77(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 140.32(9/17 安値)

<ユーロドル=上昇中の基準線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。2 手連続陽線で依然として転換線 1.1096 ド ルを上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は上昇中の基準線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.1202(8/26 高値)
前日終値 1.1162
サポート 1 1.1087(日足一目均衡表・基準線)

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

大陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り シグナルが点灯中。しかし、4 手連続陽線で一時雲の中へ入 り、転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されて いる。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 190.39(9/19 高値)
前日終値 189.46
サポート 1 187.06(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の中で引けていることものの、売りシグナルが 優勢な展開となっている。しかし、4 手連続陽線で転換線を 上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 90.09(9/4 高値)
前日終値 88.98
サポート 1 87.98(日足一目均衡表・転換線)