ウィークリーレポート 2024年9月20日

週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)

September 20, 2024

ドル円、重要イベント通過で底堅い

◆ドル円、FOMC はタカ派寄りの利下げだったとの指摘も

◆ドル円、スピード調整に対する反動から底堅い

◆ユーロドル、ECB の金利見通しは依然として不透明感強い

予想レンジ

ドル円 141.00-147.00 円

ユーロドル 1.0950-1.1200 ドル

9 月 23 日週の展望

ドル円は、日米金融イベントを通過して、7 月前半からのスピード調整に対する反動から底堅 い展開が想定される。17-18 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では 0.50%の利下げが行われ、 残り年内 2 回の会合でさらに 0.50%引き下げられる見通しが示されたが、0.25%利下げを見込む 意見と拮抗していることも判明。今後の経済データ次第では利下げ期待が大きく変化することが 窺われた。また、金利の最終到達地点(ターミナルレート)とされている中立金利が前回 6 月時 の 2.8%から 2.9%に引き上げられた。わずかに 0.1%の上方修正ながらも 2018 年以来の高水準 であり、現在の FF 金利誘導目標の中間値(4.875%)から中立金利に到達するために必要な利下 げ幅が、理論上減ったことになる。これらを考慮すると、今回は大幅な利下げを実施したにもか かわらず、市場では「タカ派寄りの利下げだった」との指摘もあり、来週以降、ドルを積極的に 売ることは難しくなりそうだ。

来週は 23 日に 9 月購買担当者景気指数(PMI)速報値、24 日に 9 月消費者信頼感指数、25 日に 8 月新築住宅販売件数、26 日に 4-6 月期四半期実質国内総生産(GDP)確定値や 8 月耐久財受注、 27 日に 8 月個人消費支出(PCE)の発表が予定されている。

ドル円は 7 月前半の 161 円台後半から 9 月半ばの 139 円台半ばまで、わずか 2 カ月余りで 22 円 以上の調整を行ったが、その背景となったのは米大幅利下げと日銀の追加利上げ期待だった。日 米金融イベントを通過した来週は、過度に進んだ調整に対する反動からドル円には買い戻しの余 地がありそうだ。

ユーロドルは、過度の米利下げ期待の後退から上値の重い動きとなりそうだ。今週は欧州中央 銀行(ECB)高官からの発言として、ビルロワドガロー仏中銀総裁やカザークス・ラトビア中銀総 裁から「引き続き利下げすべき」とのハト派的な見解が示された一方で、シムカス・リトアニア 中銀総裁からは「10 月に利下げする可能性は非常に小さい」との発言があったが、依然として金 利見通しについては不透明感が強い。

9 月 16 日週の回顧

ドル円は、週明けの欧州序盤に一時 139.58 円と昨年 7 月 28 日以来の安値を付けたが、その後 は徐々に下値を切り上げる展開に。8 月米小売売上高などが予想を上回ったことを支えに 142 円 台半ばまで切り返した。FOMC 後に 0.50%の利下げが決定すると 140.45 円まで下げたが、FRB 議 長が利下げに慎重な発言をすると反発。翌 19 日には一時 143.95 円まで買い上げられた。 ユーロドルは週明けから 1.10 ドル台後半から 1.11 ドル台半ばまで水準を切り上げた。FOMC 直 後に 1.1189 ドルまで上昇後 1.1069 ドルまで失速も、再び 1.11 ドル台後半まで持ち直した。(了)

週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)

September 20, 2024

豪ドル、重要イベント相次ぐ

◆豪ドル、重要イベントが相次ぐ

◆豪ドル、RBA の利下げ転換は来年以降との予想が中心

◆ZAR、SARB は約 4 年ぶりの利下げを決定

予想レンジ

豪ドル円 95.00-100.00 円

南ア・ランド円 7.90-8.50 円

9 月 23 日週の展望

豪ドルは下値の堅い動きとなりそうだ。来週は豪州から 24 日に豪準備銀行(RBA)理事会、25 日に 8 月消費者物価指数(CPI)と重要イベントが相次ぐ。日米の金融政策を一通りこなしたこと で、再び豪州の金融政策に焦点が当たることになりそうだ。

注目の RBA 理事会だが、政策金利は現行の 4.35%で据え置かれる見込みだ。チャーマーズ豪財 務相などから RBA の金融引き締め姿勢に対する非難の声が伝わっているものの、ブロック RBA 総 裁はタカ派的な姿勢を崩しておらず、利下げは時期尚早との見方を維持している。今回の声明文 もハト派的な内容になる可能性は低いだろう。

市場では一部金融機関が RBA の利下げ開始予想時期を前倒ししたものの、それでも利下げ開始 は早くても来年 2 月との予想になっており、今週利下げに踏み切った米国など他の主要国と比較 すると、RBA の政策転換は半年程度遅れる見込み。短期的には対米金利差縮小への思惑が意識さ れやすく、対ドルを中心に豪ドル相場の支えとなるだろう。

また、25 日公表の 8 月 CPI にも注意が必要となる。RBA はインフレの上振れリスクに強い警戒 感を示し、「インフレが合理的な期間内に目標(2-3%)に戻らないリスクが高まっている」との 認識を示しているため、今回の CPI でインフレ鈍化基調が確認できない場合、RBA のタカ派姿勢 が一層強まる可能性もありそうだ。

南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い動きが予想される。南アフリカ準備銀行(SARB)は 19 日 に開催した金融政策決定委員会で 0.25%の利下げを決定。約 4 年ぶりとなる金融緩和へ舵を切っ た。SARB はインフレ見通しに関して「2026 年までインフレ目標レンジ(3-6%)の中央値である 4.5%を下回る水準に抑えられる」としており、金利予想について「来年は中立に向かって動き、 7%をわずかに上回る水準で安定すると見込む」と述べている。

インフレ抑制が持続するとの予想や、SARB が穏やかな金融緩和姿勢を示していることは、これ までインフレ高止まりと景気低迷が続いていた南アフリカにとってポジティブな材料。ZAR 相場 にとっても買い材料として受け止められそうだ。来週は 26 日に 8 月卸売物価指数(PPI)の公表 が控えているが、今週発表された 8 月 CPI と同じくインフレの鈍化傾向が確認できるか注目して おきたい。

9 月 16 日週の回顧

豪ドルは対ドル・対円でともに堅調推移。週明けから底堅く推移していたが、米連邦準備理事 会(FRB)が予想外の大幅利下げを決定すると対ドルで豪ドルが上昇。また、米利下げ後に世界的 に株高基調が強まり、対円でも株高を手掛かりにした買いが入った。豪ドル円は一時 97.88 円と 3 日以来の高値を更新した。ZAR も同じく堅調な展開となった。対ドルでは一時 17.39ZAR 台と昨 年 2 月以来の ZAR 高水準を記録。対円でも 8.2 円台まで上値を伸ばした。(了)

週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

September 20, 2024

加ドル、10 月会合で大幅利下げ観測

◆ポンド、英中銀の緩和ペースは速まりづらい

◆加ドル、10 月会合で大幅利下げ観測高まる

◆日米金融政策を消化しながらの取引続く

予想レンジ

ポンド円 186.00-193.00 円

加ドル円 103.50-107.50 円

9 月 23 日週の展望

ポンドは対ドルでは米国、対円では日本の金融政策を消化しながら、英中銀の緩和ペースが速 まりづらいとの思惑から下値は限定的となりそうだ。19 日にイングランド銀行(BOE)が公表し た金融政策委員会(MPC)の結果は、「政策金利 5.00%で据え置き」と市場予想通りだった。英中 銀は 8 月に約 4 年半ぶりの利下げに踏み切ったものの、一旦は様子見スタンスを取った。注目さ れた MPC メンバー9 名による投票では据え置き支持が 8 名を占め、ディングラ委員のみが追加利 下げを主張。前回は意見が分かれたものの、今回の据え置きは MPC の総意と捉えてよいだろう。 中銀声明では「今後数カ月で段階的な利下げが可能」との言及はあったものの、「インフレが低 水準を維持することが極めて重要」とも指摘された。インフレの足もとの状況を見ると、8 月消 費者物価指数(CPI)は前年比総合が予想通り 2.2%上昇と、中銀インフレ目標 2.0%をわずかに 上回る水準だった。しかしながら前年比コアは 3%台で想定以上に加速し、金融当局が注視して いるサービスインフレ率も 5%台で前回より上振れた。一部インフレの進行は一時的との見方は あり、市場は年内残り 2 会合で 0.25%ずつの利下げ予測を維持したままだが、先行きの更なる金 利低下織り込みには慎重な雰囲気が広がっている。 英経済指標では、製造業とサービス部門の 9 月購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。 加ドルは上値を追いづらい展開か。カナダ中銀(BOC)による大幅利下げ観測が浮上し、加ドル の重しとなっている。17 日発表の 8 月 CPI は前月比が 0.2%低下し、前年比も予想より鈍化の 2.0% 上昇と 2021 年 2 月以来の低水準を記録。BOC のインフレ目標 2%を達成し、中銀が重要視する CPI 中央値やトリム値も 2%台で減速しており、金融緩和を進めやすい環境が整ってきた。 またカナダ経済に大きな影響を与える米国では、米連邦公開市場委員会(FOMC)が 0.50%利下 げを決定。マックレム BOC 総裁は「必要に応じ、大幅な利下げを行う可能性」に言及しており、 米国に追随して 10 月会合で 0.50%の金利引き下げとの見方が広がりつつある。 なお米国の政策だけでなく、日銀金融政策決定会合や植田日銀総裁の会見内容を踏まえた値動 きも加ドル相場に影響を与えるだろう。カナダ経済指標は 7 月国内総生産(GDP)が発表予定。

9 月 16 日週の回顧

ポンドは底堅い動き。対円では週明け 183 円後半まで売り先行も、ドル円の切り返しにつれて 反発。8 月英インフレ指標で一部データが上振れたことや、堅調な株式市場を受けてリスク志向 ムードが高まったことなども支えとなった。英中銀の金融イベントを経て全般ポンド買いが進む と、一時 190 円前半まで上昇した。ポンドドルは 1.31 ドル前半で下値を固め、FOMC や英 MPC で 上下に大きく振れながらも、1.33 ドル前半と約 2 年半ぶりの高値圏まで上値を伸ばした。 加ドルも対円では 102 円後半まで売り先行も、一巡後は他クロス円とともに反発して週後半に は 106 円手前まで持ち直した。対ドルでは 1.36 加ドル半ばから 1.35 加ドル前半で上下した。(了)