デイリーレポート 2024年9月26日

September 26, 2024

【前日の為替概況】】ドル円、3日ぶり反発中国の景気支援策を受けてリスク選好ムード

25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反発。終値は144.75円と前営業日NY終 値(143.23円)と比べて1円52銭程度のドル高水準だった。中国の景気支援策を受けてこの日も上海総 合指数が大幅に上昇すると、投資家のリスク選好ムードが高まり円売り・ドル買いが先行。23時発表の8 月米新築住宅販売件数が予想を上回ると米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが加速した。市場では

「月末・四半期末が近づく中、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフロ ーが観測された」との声も聞かれた。前日の高値144.68円を上抜けると一時144.84円と4日以来の高値 を付けた。

ユーロドルは反落。終値は1.1133ドルと前営業日NY終値(1.1180ドル)と比べて0.0047ドル程度の ユーロ安水準だった。独長期金利の上昇に伴うユーロ買いが先行すると、22時過ぎに一時1.1214ドルと 昨年7月20日以来約1年2カ月ぶりの高値を付けた。

ただ、1.12ドル台では戻りを売りたい向きも多く滞空時間は短かった。米長期金利の上昇に伴うユー ロ売り・ドル買いが強まると一転下落し、2時過ぎに1.1122ドルと日通し安値を更新した。市場では「昨 年7月18日の高値1.1276ドルが重要なレジスタンスとして意識されている」との声が聞かれたほか、「月 末と四半期末が近づく中、節目として意識されていた1.1200ドルを上抜けたあとは持ち高調整などのユ ーロ売り・ドル買いに押された」との指摘があった。

ユーロ円は続伸。終値は161.16円と前営業日NY終値(160.12円)と比べて1円04銭程度のユーロ高 水準。中国株相場の上昇などを背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが先行。21 時30分前に一時161.67円と3日以来の高値を付けた。ただ、ユーロドルの失速につれた売りが出ると徐々 に上値を切り下げ、2時30分過ぎには160.84円付近まで伸び悩んだ。

【本日の東京為替見通し】ドル円、神経質な動きにドル売りトレンドも日銀の時間的余裕が支え

本日のドル円も神経質な動きになりそうだ。昨日は対ドルでユーロが昨年7月以来、ポンドが2022年 3月以来、豪ドルが昨年2月以来の水準まで上昇した。欧州圏からは連日、弱い経済指標(9月の各購買 担当者景気指数=PMI、独Ifo企業景況感指数など)が発表されているにもかかわらず、ユーロ売り・ド ル買いは限定的だった。また多くのアジア通貨も年初来高値(ドルの年初来安値)を更新し、ドルの軟調 地合いが継続している。

昨日のNY時間では米金利の上昇に支えられドルはやや調整の買い戻しが進んだ。しかしながら先週の 米連邦公開市場委員会(FOMC)後、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長をはじめとするFRB高官の発 言から利下げへの加速感がやや薄れてきているものの、ドル売りトレンドが強い。方や、多くの中央銀行 が利下げの道を探っている中、依然として日銀は緩やかなペースではあるが利上げを模索している状況だ。 今後、円だけが独歩安になるのも難しいと思われ、ドル円も上値が限られるのではないか。

一方、日銀に対して過度に高まっていた利上げ期待の巻き戻しがドル円の下値を支えている。昨日発表 された本邦の8月消費者物価指数(CPI)の基調的なインフレ率を捕捉するための指標は、刈込平均値が前 月と変わらず1.8%、加重中央値1.1%から0.7%へ低下、最頻値が1.5%から1.3%へ低下し、いずれも 2%を下回る結果となった。基調インフレの伸び悩みから、植田日銀総裁が先日述べたように、日銀は「時 間的な余裕」をもって政策金利を判断するだろう。そうなるとドル売りトレンドが変わらない場合でも、 対円ではやや緩やかなドル売りとなりそうだ。

本日は本邦を含めアジア・オセアニア国などからは市場を動意づけるような主だった経済指標の発表が 予定されていない。よって、本日のアジア時間は連日続伸している中国株式市場の動向や、本邦の実需勢 の動きに左右されることになるだろう。本日は通貨の受け渡しが月末日となるスポ末・期末応当日という こともあり、日英のフィキシングなどでは通常以上に神経質な動きになる可能性がある。

アジア時間はイベントが少ないものの、NY時間にはパウエルFRB議長を含め多くのFRB要人の講演や、 米国の雇用指標、GDP/PCE確定値等の発表が予定される。よって、市場の流れを主導するのはNY時間の 動きになりそうだ。なお、パウエルFRB議長は米国債市場カンファレンスでの挨拶であり、その原稿は FRBのホームページ等で公表される予定。質疑応答は行われない。

【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ☆ 7 月30-31 日分の日銀金融政策決定会合議事要旨

<海外>

○15:00 ◇ 10 月独消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲22.5)

○16:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表(予想:1.00%に引き下げ)

○18:30 ◇ 8 月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比3.5%)

○21:30 ☆ 4-6 月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率3.0%)

○21:30 ◎ 4-6 月期米個人消費(確定値、予想:前期比年率2.9%)

○21:30 ◎ 4-6 月期米コアPCE(確定値、予想:前期比年率2.8%)

○21:30 ◎ 8 月米耐久財受注額(予想:前月比▲2.6%/輸送用機器を除く前月比0.1%)

○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5 万件/183.8 万人)

○22:10 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、対談

○22:10 ◎ ボウマンFRB 理事、討議に参加

○22:20 ☆ パウエルFRB 議長、あいさつ(事前録画)

○22:25 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ

○22:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、あいさつ

○23:00 ◎ 8 月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比▲5.5%)

○23:15 ◎ デギンドスECB 副総裁、講演

○23:30 ◎ バーFRB 副議長(銀行監督担当)、あいさつ

○23:30 ◎ クックFRB 理事、討議に参加

○27 日01:00 ◎ シュナーベルECB 専務理事、講演

○27 日02:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、イベントに参加

○27 日02:00 ◎ 米財務省、7 年債入札

○27 日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:10.50%に引き下げ)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。 ※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。 ※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

25日05:48クノット・オランダ中銀総裁

「2025年前半に段階的な金利引き下げを予想」

「金利がパンデミック時の最低水準に戻るとは予想して いない」

25日16:38スウェーデン中銀(リクスバンク)声明

「インフレ見通しが変わらない場合、政策金利は年内2 回の会合で引き下げられる可能性がある」

「インフレと経済活動の見通しは不透明」

「2024年の国内総生産(GDP)見通しは+0.8%(前回は +1.1%)」

25日17:10グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委 員

「慎重かつ着実に金融緩和を支持」

「中立金利は予想より高くなる可能性がある」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=基準線付近を上放れ4 日以来の高値まで上昇>

大陽線引け。一目均衡表・基準線143.40 円付近から上放 れ、4 日以来の高値144.84 円まで上昇した。 上昇は一目・転換線の切り上がりを待ってからかと考えて いたが先行して上昇が進み、むしろ同線の小幅な切り上がり を誘った。上昇が見込まれる転換線の動向が示唆する上向き の流れを強めた。まだ142.21 円と下値に位置している転換 線が十分に切り上がって支えとして機能するのを待つ間も、 現水準での横ばいが予想される基準線が深押し局面の支え となりそう。調整を挟みつつも上昇する流れが想定できる。

レジスタンス1 145.57(9/4 高値)
前日終値 144.75
サポート1 144.04(5 日移動平均線)
サポート2 143.40(日足一目均衡表・基準線)

<ポンド円=相場の強弱の節目200 日線を上回りNY 引け>

陽線引け。相場の強弱の節目である200 日移動平均線を上 回ってNY を引けることができた。上昇傾向の同線は本日 192.62 円前後で推移。下押し局面では、192.24 円前後へ切 り上がって推移する5 日線のサポートも期待できそうな状態。 底堅く推移し、24 日に上値が抑えられた193.33 円の上抜け から一目均衡表・雲の上限194.11 円の克服に挑む展開が期 待できる。

レジスタンス1 193.33(9/24 高値)
前日終値 192.87
サポート1 191.78(9/25 安値)

<NZ ドル円=雲の上限前後、5 日線を維持してじり高>

小陰線引け。一目均衡表・雲の上限91.05 円を越える場面 も散見される底堅い動き。雲上限付近では押し戻しの圧力も 働くようで、本日90.37 円へ切り上がった5 日線を軽く割り 込む調整も想定しておきたい。ただ、大きな下放れを回避し て雲を上回る水準への定着にトライできるとみる。

レジスタンス1 91.22(9/25 高値)
前日終値 90.63
サポート 1 89.80(9/24安値)

<豪ドル円=雲の上限に近づき、頭打ち感が生じる可能性も>

陽線引け。一目均衡表・雲の下限の切り上がりに沿ったじ り高の流れが続いている。一時99.07 円と、3 日以来の99 円 台回復を果たした。雲の下限は本日の98.06 円までで上昇の 流れは一巡。相場に頭打ち感が生じる可能性はあるものの、 雲の中での下押しは緩やかか。雲を下抜けた際は一目・基準 線96.73 円を見据えた下振れリスクも想定しておきたい。

レジスタンス1 99.67(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 98.72
サポート1 98.06(日足一目均衡表・雲の下限)