ウィークリーレポート 2024年9月27日

週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)

September 27, 2024

ドル円、米重要指標に注目

◆ドル円、米雇用統計をはじめ重要指標が目白押し

◆ドル円、PBOC による大規模金融緩和を受けた上海株の動向にも注目

◆ユーロドル、月末・四半期末に絡んだフローに注意

予想レンジ

ドル円 142.00-147.00 円

ユーロドル 1.1000-1.1300 ドル

9 月 30 日週の展望

ドル円は、米経済指標の結果を受けた利下げ観測の変化に一喜一憂する展開になりそうだ。9 月消費者信頼感指数や 8 月新築住宅販売件数など、通常相場に大きく影響を与えない米指標に今 週は大きく反応したことをみると、米金利先行きに対する市場の気迷いが窺われる。パウエル米 連邦準備理事会(FRB)議長が 0.50%の利下げについて「FOMC が今後継続するペースだと想定す べきではない」と釘を刺したにも関わらず、11 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での 0.50%利 下げ予想が依然として 5 割を維持しており、市場との認識の相違が鮮明となっている。

また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁やボスティック米アトランタ連銀総裁が今後の大幅 利下げについて否定的な見解を示した一方、グールズビー米シカゴ連銀総裁は大幅利下げについ て賛同する姿勢を示すなど、FRB メンバーの中でも意見が分かれており、今後の利下げ見通しに ついて不透明感が高まっている。そうなると今後は経済データに一段の注目が集まることになり、 来週は 10 月 1 日に 8 月 JOLTS 求人件数や 9 月 ISM 製造業景況指数、同月 2 日は 9 月 ADP 雇用統計、 翌 3 日に 9 月 ISM 非製造業景況指数、4 日には 9 月雇用統計と重要指標が目白押しだ。特に雇用 統計に関しては結果次第で乱高下となる可能性が高いことに注意したい。

円相場については、27 日の自民党総裁選での新首相誕生を受けた週明けの為替・株価動向を見 極める必要があるだろう。また、上海株の動向にも注目。24 日に中国人民銀行(PBOC)が大規模 な金融緩和策を発表したことで上海株が続伸しているが、来週も強い地合いを維持できるかどう かがカギとなる。市場では「期待が先行し過ぎているのでは」との懸念も浮上するなか、株価が 崩れれば一気に円買い戻しの動きが強まりそうだ。

ユーロドルは、米指標の結果を受けたドルの強弱に振らされることが想定される。また、ユー ロポンドなどを中心に月末・四半期末に絡んだ特殊なフローにも警戒が必要だろう。来週は 30 日 にラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の議会証言、10 月 1 月に欧州各国の製造業 PMI 改定値、翌 2 日にサービス部門 PMI 改定値の発表が予定されている。

9 月 23 日週の回顧

ドル円は 144 円を挟んだ方向感のない動きから、24 日には弱い米経済指標が相次いだことで米 長期金利の低下とともに下落。25 日の早朝には一時 142.91 円まで下押しした。ただ、中国の金 融緩和政策をきっかけにリスクオンの円売りが進むと、一時 145.21 円まで上値を伸ばした。 ユーロドルは仏・独・ユーロ圏の 9 月 PMI 速報値が悪化したため 1.1083 ドルまで下落したが、 一巡するとリスクオンの流れから反発。25 日には一時 1.1214 ドルと昨年 7 月 20 日以来の高値を 付けた。その後は月末・四半期末に絡んだフローで上下しながらも 1.11 ドル台を維持した。(了)

週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)

September 27, 2024

豪ドル、RBA はタカ派姿勢を維持

◆豪ドル、RBA はタカ派姿勢を維持

◆豪ドル、対ドル・対円で金利面での優位性を維持する方向へ

◆ZAR、国民統一政府(GNU)への期待が相場を下支え

予想レンジ

豪ドル円 98.00-102.00 円

南ア・ランド円 8.10-8.70 円

9 月 30 日週の展望

豪ドルは底堅い動きとなりそうだ。来週は豪州から複数の経済指標が発表される予定となって いるが、相場への影響は一時的なものにとどまるだろう。豪準備銀行(RBA)の利下げ開始時期が 後ずれするとの思惑が広がるなか、金利先高観を手掛かりにした豪ドル買いが入りやすい状況が 続くと予想される。

RBA は 23-24 日に開催された理事会で、政策金利を 4.35%に据え置くことを決定。声明文では 「インフレ率が持続可能な形でターゲットレンジに向かって収束していると確信できるまで、金 融政策は十分に引き締め的である必要」「インフレが持続的に目標に戻るのは 2026 年と見込む」 など、これまでとほぼ同様のタカ派的な見解が示された。また、ブロック RBA 総裁はその後の会 見で「政治とは距離を置きたい」「リセッション入りの回避を目指すが保証はできない」などと言 及。「RBA の利上げが豪経済を破壊している」と異例の中銀批判を行ったチャーマーズ豪財務相を けん制しつつ、経済的な犠牲を負ってでもインフレ抑制を目指す姿勢を改めて示した。 RBA のタカ派姿勢が再確認されたことで、年内の追加利下げが見込まれている米国との方向性 の違いが改めて意識されることになるだろう。また、日銀の追加利上げペースが今後は鈍化する との予想も市場で広がりつつあるため、豪ドルは対ドル・対円でともに金利面での優位性を維持 できそうだ。なお、来週は 10 月 1 日に 8 月住宅建設許可件数や 8 月小売売上高、3 日に 8 月貿易 収支の発表が予定されている。

南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調地合いが継続しそうだ。今週発表された 8 月卸売物価指数(PPI) は前年比で昨年 7 月以来の水準まで伸びが鈍化し、同国がこれまで苦しんできたインフレからの 脱却が着実に進んでいることが確認された。また、国民統一政府(GNU)に対する期待も足もとの ZAR 相場を下支えしている。ラマポーザ大統領は政府代表団を率いて今週米国を訪問し国連総会 で演説を行ったほか、ビジネスフレンドリーな GNU として米国企業と相次いで対談し、「南アへの 投資に関してイーロン・マスク氏と会談した」とも報じられている。実際に GNU の結成後は複数 の企業が南ア向け投資を増加、もしくは投資撤退計画を撤回しており、当面はこうした GNU への 期待感が ZAR 買いの材料として意識されそうだ。

9 月 23 日週の回顧

豪ドルは底堅く推移した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げ姿勢が手掛かりとなり、 対ドルを中心にしっかり。RBA が従来からのタカ派的な金融政策を維持したこともあり、対円で は 7 月 31 日以来の高値水準となる 100 円台まで上値を伸ばしている。 ZAR も堅調な展開となった。対ドルでは一時 17.13ZAR 台と昨年 2 月以来の ZAR 高水準を更新。 対円でも 7 月 30 日以来の高値となる 8.46 円台まで値を上げた。(了)

週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

September 27, 2024

対円は日本の政治情勢を見極め

◆対円は日本の政治情勢、対ドルでは米雇用データ次第

◆ポンド、英政局の先行き不透明感から買いづらさが残る

◆加ドル、中国発のリスクオンムード続くか見極め

予想レンジ

ポンド円 191.00-197.00 円

加ドル円 105.50-109.50 円

9 月 30 日週の展望

ポンドや加ドルは四半期末・期初に絡んだフローをこなしながら、対円では日本の政治情勢を 見極めての取引となりそうだ。対ドルでは、米連邦準備理事会(FRB)の動向に影響を与える米国 の雇用データを注視。結果を受けたリスクセンチメントの強弱に振らされることになるだろう。

英国では 22-25 日、7 月に政権を奪還したスターマー首相率いる労働党が党大会を開いた。ス ターマー内閣は来月、前政権による巨額の財源不足を補うために「増税と歳出削減」を重視した 予算案を公表すると言われている。一方、新政権は労組重視の姿勢を鮮明にしており、経営者か らは企業への負担増が懸念されているもよう。政治資金スキャンダルも持ち上がったことでスタ ーマー首相の支持率は低下しており、英政局の先行き不透明感からポンドに買いづらさが残る。

ただ、しばらくは英国よりも日本の政局に円相場の目が向かいそうだ。政府は先日、10 月 1 日に 臨時国会を召集する方針を示した。招集日の衆参両院本会議で 27 日に選ばれた自民党新総裁が新 首相に指名され、新内閣が発足する見込み。自民党総裁選では、有力候補の 1 人が円安メリット を強調し、日銀の利上げに強い不信感を示した。方や、日銀の独立性を尊重して金融正常化に理 解を示す有力な候補者もいる。円相場は、27 日の総裁決定後の流れを週明けも持ち越してもおか しくはない。また、新首相がどのタイミングで解散に踏み切るかもポイントとなる。なお英経済 指標では、4-6 月期国内総生産(GDP)や 9 月製造業/サービス部門の購買担当者景気指数(PMI) が発表されるが改定値だ。そのため材料視されづらいが、速報値では前回から若干低下したもの の「2 四半期連続のプラスを記録した GDP(前期比)」と、50 超えは維持したが速報値では予想比 下振れた PMI の結果には目を向けておきたい。

カナダでは主な経済指標は 9 月 Ivey 購買部協会指数のみと、通常であれば加ドルの動意は鈍い。 しかし、同指数は前回約 1 年ぶりに 50 を割り込むほど弱かった。カナダ中銀の緩和ペースを早め るわけではないが、今回もさえなければ加ドルの上値の重さにつながりそうだ。BOC の次回会合 は 10 月 23 日に予定されているが、その前に 9 月雇用統計や消費者物価指数(CPI)を確かめるこ とになる。また、中国当局による景気支援策強化で高まったリスクオンムードが続くかを見定め る必要もある。中国は世界最大の石油輸入国であり、同国の経済活動の活発化はエネルギー需要 拡大の思惑にもつながりやすい。原油相場の動向は産油国通貨でもある加ドルに影響するだろう。

9 月 23 日週の回顧

ポンド円は前週からの回復基調が継続し、190 円前半を底に 194 円半ばまで上げ幅を拡大した。 加ドル円も底堅く、105 円半ばを下押し水準に 107 円後半まで上昇した。リスクオンの流れが円 売りを促した。ポンドドルは約 2 年半ぶりの高値圏 1.34 ドル前半まで上昇。加ドルは対ドルで 1.35 加ドル後半から 1.34 加ドル前半まで強含んだ。全般強まったドル安の流れに沿い、ポンド は「英中銀利下げ急がず」という見方、加ドルは原油相場の一時反発に後押しされた。(了)