デイリーレポート 2023年7月7日

July 7, 2023

【前日の為替概況】ドル円、強い 6 月 ADP 全米雇用報告を受けて上昇後に伸び悩み

6 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は 144.07 円と前営業日 NY 終値(144.66 円)と 比べて 59 銭程度のドル安水準だった。6 月 ADP 全米雇用報告や 6 月米 ISM 非製造業指数が予想を上回っ たことが伝わると、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを長期化するとの観測が高まり、米長期金 利が大幅に上昇。全般ドル買いが優勢となり、23 時 30 分過ぎに一時 144.65 円付近まで値を上げた。米 10 年債利回りは一時 4.0812%前後と 3 月 2 日以来約 4 カ月ぶりの高水準を記録した。

ただ、アジア時間に付けた日通し高値 144.66 円が目先レジスタンスとして働くと失速した。米国株相 場の下落に伴うリスク回避の円買い・ドル売りも入り、一時 143.96 円付近まで下押しした。

なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するローガン米ダラス連銀総裁はこの日、「インフ レ引き下げに向けて好調な経済を減速させるには、一段の利上げが必要」との見解を示した。

ユーロドルは 3 営業日ぶりに反発。終値は 1.0889 ドルと前営業日 NY 終値(1.0854 ドル)と比べて 0.0035 ドル程度のユーロ高水準だった。予想を上回る米経済指標を受けて米長期金利が上昇すると全般ドル買い が先行。23 時 30 分過ぎに一時 1.0834 ドルとアジア時間に付けた日通し安値に面合わせした。

ただ、同水準の下抜けに失敗するとショートカバーが優勢に。欧州中央銀行(ECB)による利上げ継続 観測も根強く、取引終了間際には 1.0893 ドル付近まで持ち直した。

ユーロ円は小幅ながら 3 日続落。終値は 156.90 円と前営業日 NY 終値(157.02 円)と比べて 12 銭程度 のユーロ安水準。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。 23 時過ぎに一時 157.12 円と日通し高値を付けたものの、そのあとは 156 円台後半でのもみ合いに転じた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米雇用統計のポジティブサプライズ警戒で底堅い展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米 6 月雇用統計のポジティブサプライズへの警戒 感から底堅い展開が予想される。しかしながら、NY 株安を受けて、日経平均株価も続落が予想されるた め、昨日のような株安・円高の再現には注意しておきたい。

昨日発表された米 6 月 ADP 全米雇用報告が前月比+49.7 万人だったことで、本日の米 6 月雇用統計の上 振れを見込む向きが増えつつあるようだ。昨日の米 10 年債利回りは一時 4.08%付近まで上昇し、同 2 年 債利回りも 16 年ぶりとなる 5.12%を記録。NY 引けにかけて債券は買い戻し(利回りは低下)が進んだも のの、水準自体は以前高いまま。債券市場は、かなり強い労働市場への警戒感を高めているといえよう。

CME グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7 月米連邦公開市場委員 会(FOMC)で 5.25-50%への利上げはほぼ確実視されている。しかしながら 9 月、11 月、12 月 FOMC では 据え置き確率が高まったままであり、依然として年内 1 回の利上げだけを確実に織り込んでいる状態だ。 本日の米雇用統計が想定以上に強かった場合、ドット・プロット(金利予測分布図)が示唆するように、 7 月 FOMC と年内もう 1 回の追加利上げで、年末の FF 金利誘導目標 5.50-75%を織り込むことになるのか もしれない。

ウィリアムズ米 NY 連銀総裁は、先日、金融政策を巡る判断はデータ次第としながらも、米連邦準備理 事会(FRB)が追加利上げする必要があるとの見方はデータによって裏付けられている、と述べていた。

なお、本日発表される米国 6 月の失業率は 3.6%予想、5 月 3.7%から改善見込み。非農業部門雇用者 数は前月比予想+22.5 万人と、前回+33.9 万人から増加幅の減少が見込まれている。また、平均時給は前 月比+4.2%と 5 月同比+4.3%から低下予想だ。

7 月 25-26 日の FOMC では、本日の 6 月雇用統計と 12 日に発表される米 6 月消費者物価指数(CPI)が 11 度目の利上げ判断のデータとなる。CPI 予想は前年比+3.0%付近と 5 月の同比+4.0%からの低下が見込 まれている。

本日の米 6 月雇用統計がポジティブサプライズとなり、ドル円が急騰した場合は、昨年 10 月 21 日(金 曜日)の東京時間 23 時 30 分頃に断行された本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の再現に警戒して おきたい。神田財務官は、ボラティリティーを抑制するという名目で円買い介入を行っていたが、10 月 21 日は、ボラティリティーの度合いを示すボリンジャー・バンド+2σ(150.38 円)を上抜けて 151.95 円まで上昇していた。本日の+2σの水準は 146.30 円台に位置している。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:30 ◇ 5 月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比 1.2%)

○08:30 ◇ 5 月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.4%)

○08:50 ◇ 6 月外貨準備高

○14:00 ◇ 5 月景気動向指数速報値(予想:先行 97.6/一致 97.2)

<海外>

○14:45 ◇ 6 月スイス失業率(季節調整前、予想:1.8%)

○15:00 ◎ 5 月独鉱工業生産(予想:前月比横ばい/前年同月比 0.5%)

○15:45 ◇ 5 月仏貿易収支

○15:45 ◇ 5 月仏経常収支

○17:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

○18:00 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演

○21:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、パネルディスカッションに参加

○21:00 ◎ 6 月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比 5.02%)

○21:30 ☆ 6 月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化 2.00 万人/失業率 5.3%)

○21:30 ☆ 6 月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化 22.5 万人/失業率 3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比 4.2%)

○23:00 ◇ 6 月カナダ Ivey 購買部協会景気指数

○23:30 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

○8 日 00:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演

○8 日 01:45 ◎ ラガルド ECB 総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

6 日 05:32 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁

「インフレが依然として過度に高水準であることに不満」

「住居費インフレが改善されつつある兆しがある」

「インフレ期待は非常に安定している」

「我々は金利に関してさらにやるべき仕事がある」

6 日 15:58 ベイリー英中銀(BOE)総裁

「金利引き下げ開始時期は明言できない」

「インフレは著しく低下すると予想するが、借り手にとってはまだ難しい状況だろう」

6 日 17:07 南ア経済研究所(BER)

「南アの2023年の第2四半期インフレ率は6.5%と予想」

7 日 00:11 内田真一日銀副総裁

「長短金利操作(YCC)の見直しは金融仲介や市場機能に配慮しつつ、バランスをとって判断していきたい」

7 日 00:32 ローガン米ダラス連銀総裁

「インフレ引き下げに向けて好調な経済を減速させるには、一段の利上げが必要」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=144 円台で上昇中の転換線を念頭に置いた取引>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル が点灯中。転換線を挟み上下し、抱き線で反落した。同線は 本日 144.18 円まで水準を上げ、来週初は 144.30 円台まで水 準を上げる予定。 本日も転換線を念頭に置き、6 月 30 日の高値を抵抗に戻り 売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 146.59(2022/11/10 高値)
レジスタンス 1 145.07(6/30 高値)
前日終値 144.07
サポート 1 143.56(7/6 安値)
サポート 2 143.29(6/27 安値)

<ユーロドル=三役好転が再点灯も転換線には届かず>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けたことで、三役好転の強い買いシグナ ルが再び点灯した。しかし、抱き線で反発したものの転換線 には届かなかったため、反落の可能性が残されている。 本日も転換線 1.0906 ドルや雲の上限 1.0865 ドルを念頭に 置いた取引か。6 月 27 日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで 臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0977(6/27 高値)
前日終値 1.0889
サポート 1 1.0796(日足一目均衡表・雲の下限)

<ポンド円=押し目買いスタンス継続、7/6 安値を支持に>

小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナ ルが点灯中。5 手連続陽線の後、抱き線で反落したものの転 換線の下では下げ渋った。同線を上回って引けており、反発 の可能性が示唆されている。 転換線は本日 183.08 円まで上昇してきた。同線を意識し ながら、7月 6日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 184.85(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 183.54
サポート 1 182.51(7/6 安値)

<NZ ドル円=6/29 安値を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル が点灯中。2 手連続陰線だが、転換線は僅かに上回って引け た。本日は転換線 88.65 円を念頭に置き、6 月 29 日の安値を 支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は 手仕舞い。

レジスタンス 1 89.70(7/5 高値)
前日終値 88.70
サポート 1 87.60(6/29 安値)