デイリーレポート 2024年10月9日

October 9, 2024

【前日の為替概況】】ドル円、小反発一時148.38円まで上昇メキシコペソが軟調

8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小反発。終値は148.20円と前営業日NY終値(148.18円) と比べて2銭程度のドル高水準だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.0549%前後と 8月1日以来およそ2カ月ぶりの高水準を記録すると円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回 りが低下に転じると伸び悩んだものの、下押しは限定的。ナイト・セッションの日経平均先物が堅調に推 移したことなどが相場の支援材料となり、4時過ぎに一時148.38円と日通し高値を付けた。

ただ、NY時間に限れば大きな方向感は出なかった。明日9日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC) 議事要旨(9月17日-18日分)の内容や、10日の9月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいと の雰囲気もあり、積極的な売買は手控えられた。

ユーロドルは小幅ながら続伸。終値は1.0980ドルと前営業日NY終値(1.0976ドル)と比べて0.0004 ドル程度のユーロ高水準だった。ユーロポンドなどユーロクロスの上昇につれた買いが入ると、欧州市場 では1.0997ドルと日通し高値を付けたが、NY市場に入ると一転下落した。米長期金利の上昇に伴うユー ロ売り・ドル買いが優勢になり、0時30分過ぎには一時1.0961ドルと本日安値を付けた。

ただ、前日の安値1.0954ドルや4日の安値1.0951ドルが目先サポートと意識されると下げ渋った。米 長期金利が低下に転じたことも相場の下支え要因。

メキシコペソは軟調。WTI原油先物価格が一時5.7%超下落したことを背景に産油国通貨とされるメキ シコの通貨ペソに売りが出た。ドルペソは一時19.4506ペソ、ペソ円は7.62円までペソ安に振れた。

ユーロ円は小幅ながら反発。終値は162.72円と前営業日NY終値(162.63円)と比べて9銭程度のユ ーロ高水準。ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入った。米国株や 日経平均先物の上昇に伴う買いも入り、23時過ぎに一時162.82円と本日高値を付けた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、リスクセンチメント改善が追い風かRBNZは利下げ幅に注目

本日のドル円相場は、リスクセンチメント改善が追い風となるか。前日のナイト・セッションの日経平 均先物が堅調に推移したほか、米主要3指数いずれもプラスで引けている。この流れに沿って日経平均が 堅調推移となれば、ドル円も底堅い展開が続くだろう。

なお国内では、本日にも石破内閣が衆院を解散すると報じられている。選挙予定とされる27日までは 時間があることから、直接の手掛かりにはなりにくいかもしれない。ただし、自民・公明で過半数に満た ないなどの観測報道により政局リスクが意識された場合、株価が下落してドル円の重しとなることもあり える。支持率調査の結果など各種報道には当面注意が必要だろう。

昨日は8月の実質賃金総額が発表され、3カ月ぶりのマイナスとなった。総裁選後に石破首相が日銀の 追加利上げに否定的な見解を示したこともあり、日銀の早期利上げ期待は後退して円を積極的に買う状況 ではなくなっている。

CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、年末までに利下げ 織り込み幅は合計0.50%となっている。1週間前は合計0.75%であり、4日の9月米雇用統計が強い結果 となったことを受けて大幅利下げ観測が後退する中では、ドル売りの動きもまた限られよう。本邦株価が 落ち着いた動きとなる場合、明日に9月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることもあり、積極 的な売買が見送られることも考えられる。

他方、ニュージーランド(NZ)ではNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策発表が予定されている。市場予想 は0.50%引き下げが主流であるが、一部で0.25%に留まるとの予想もある。見方が分かれていることか ら、発表直後は荒れた展開が予想される。

また、声明についても確認しておきたい。前回8月の会合前後に発表されたNZの経済指標を振り返る と、4-6月期国内総生産(GDP)はマイナスだった。インフレは昨年から伸び鈍化傾向が続いており、4-6 月期CPIは前年比+3.3%とRBNZのインフレ目標(1-3%)の上限に迫っている。加えて、4-6月期失業率 は4.6%と約3年ぶりの高水準となった。これらを踏まえ今後の経済やインフレ、雇用に対してどのよう な見解が示されるかがカギとなろう。今後も緩和を示唆するメッセージが強調される場合はNZドル相場 の重しとなることも考えられる。

【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間

<国内>

○国会で党首討論

○衆院解散

<海外>

○08:30 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

○09:00 ◎ ケント豪準備銀行(RBA)総裁補佐、講演

○10:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:4.75%に引き下げ)

○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)

○15:00 ◇ 8 月独貿易収支(予想:184 億ユーロの黒字)

○17:30 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○21:00 ◎ 9 月ブラジルIBGE 消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.45%)

○21:00 ◎ 9 月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.62%)

○21:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ

○22:15 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演

○23:00 ◇ 8 月米卸売売上高(予想:前月比0.5%)

○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○23:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ

○10 日01:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

○10 日02:00 ◎ 米財務省、10 年債入札

○10 日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9 月17 日-18 日分)

○韓国(ハングルの日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。 ※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。 ※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

8日07:38ムサレム米セントルイス連銀総裁

「時間の経過とともに段階的に金利を引き下げることが 適切」

「9月の会合では50bpの利下げを支持」

「あまりにも早く緩和しすぎることのコストは、遅すぎるこ とよりも大きい」

8日09:34豪準備銀行(RBA)議事要旨

「前回会合以降に受け取った情報はまちまち、総合する と今回の会合時点での経済見通しの評価は大きく変わ っていない」

「基調的なインフレ率は依然として高すぎ、四半期ベー スでは前年比でほとんど低下していない」

「現在の金利水準がインフレと労働市場へのリスクを最 もバランスよく保っているという評価を変えるほど、前回 の会合から変化はなかった」

「将来の金融環境が現在よりも制限的でなくなる可能性 がある」

「現在の金融状況がインフレを目標に戻すには不十分 な制約であることが判明した場合、金融政策を引き締め る必要がある可能性もある」

「インフレ率を目標に戻すことは引き続き理事会の最優 先事項であり、理事会はその成果を達成するために必 要なことを行う」

8日11:46ハウザー豪準備銀行(RBA)副総裁

「インフレとの戦いでRBAは強固な姿勢を維持すべき」

「インフレ率が高止まりした時はRBAは行動するだろう」 8日14:28石破首相

「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられる」

「日銀には政策趣旨の丁寧な説明を期待したい」

「足元では緩やかにCPIが上昇しておりデフレではない が、再びデフレに戻ることは無いと言える状況ではない」 8日16:03クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事

「インフレ抑制で進展が続けば追加利下げを支持」

「インフレと雇用両方に焦点を当てるべき」

8日16:15カザークス・ラトビア中銀総裁

「データは、10月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利 下げを示唆している」

「金利は下がり、経済を下支えするだろう」

8日16:58エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事

「ユーロ圏の弱い景気が物価に及ぼす影響を見極める」

8日17:44ボレル欧州連合(EU)外交安全保障上級代 表

「レバノンの状況は日に日に悪化しており、人口の20% が現在避難を強いられている」

「停戦を実現することは非常に重要」

8日18:02バスレ・スロベニア中銀総裁

「10月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げは選択 肢の一つ」

「10月に利下げしても、12月はオープン」

8日18:07ヒズボラ副司令官

「レバノンのベリ国会議長が主導する停戦に向けた政 治プロセスを支持」

8日18:31ナーゲル独連銀総裁

「10月の利下げにオープン」

8日18:54赤沢・経済再生相

「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべき」

「日銀の判断を我々は信じる」 8日19:21センテノ・ポルトガル中銀総裁

「ユーロ圏のインフレ率は、目標に向かって収斂しつつ ある」

9日02:04ボスティック米アトランタ連銀総裁

「経済は目標に近づいている」

「インフレ率は依然として2%をはるかに上回っている」

「経済が強すぎるリスクがあり、政策の再調整を妨げる 可能性がある」

9日05:03コリンズ米ボストン連銀総裁

「雇用市場が健全な中、インフレ率は2%に戻ると予測」

「経済が必要以上に減速するリスクが高まっている」

「最近のデータは労働市場が全体的に良好な状態にあ ることを示している」

「現在の経済状況を維持することに重点を置く必要」

「利下げには慎重でデータに基づくアプローチが適切」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=雲の中での推移続く、昨日安値を支持に買い姿勢>

極小陽線引け。雲の中で下押すも147 円前半から148 円前 半まで切り返した。147 円割れの日足一目均衡表・雲の下限 が下値では意識された形だが、同水準は本日146 円半ば、明 日には145 円台まで低下が示唆されており、今後は支持水準 としては働き難いか。それよりも週末から水準を切り上げが 見込まれる転換線が相場の支えとなるか注目したい。 本日は、昨日安値を割り込むまで買いスタンスで臨みたい。

レジスタンス1 149.39(8/15 高値)
前日終値 148.20
サポート1 147.35(10/8 安値)
サポート2 146.54(ピボット・ターニングポイント)

<ユーロドル=雲の中で下げ止まるも反発力は弱い>

極小陽線引け。1.09 ドル後半でじり高となるも1.10 ドル 手前では頭を抑えられた。先月末から6 手連続で陰線を作り、 昨日は寄引同事線で下げ止まったものの、雲の中で反発力は 弱い。1.10 ドル台に乗せたとしても、大台半ばの一目・雲の 上限や、その上1.10 ドル後半の転換線や基準線が抵抗とな りそうだ。 下サイドは、4 日安値から90 日線そして雲の下限(1.0950 ドル台から1.0930 ドル台)が支持帯として意識される。

レジスタンス1 1.1052(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0980
サポート1 1.0934(日足一目均衡表・雲の下限)

<ユーロ円=雲の中で調整、週末以降の転換線に期待>

小陽線引け。売り先行も162 円割れでは支えられ、162 円 後半まで反発して終えた。先週半ばから買い優勢となるも、 今週は一目・雲の中で調整ムードが広がっている。 雲の下限は本日から160 円後半、明日には160 円割れまで 水準を切り下げる。ただし、現状160.80 円台で横ばいの転 換線が週末から上向き、来週前半には162 円台まで上昇が示 唆されている。同線に沿った底堅い動きを想定したい。

レジスタンス1 163.57(10/7 高値)
前日終値 162.72
サポート1 161.91(10/8 安値)

<豪ドル円=100 円前半の200 日線を巡る攻防>

小陰線引け。100 円前半の200 日線に頭を抑えられ、一目・ 雲の中に入り込むと99 円手前まで下げ足を速めた。もっと も99 円割れを回避し、再び三桁台まで持ち直している。 本日は100.10 円台で上向きの200 日線を巡る攻防か。ク リアに上抜けるようだと101 円手前の90 日線を目指す展開 を想定したい。下サイドは昨日下抜けたものの、明日以降に 上向きの転換線が意識されそうだ。

レジスタンス1 100.94(90 日移動平均
前日終値 100.00
サポート1 99.09(10/8 安値)