デイリーレポート 2024年10月18日

October 18, 2024

【前日の為替概況】ドル円150.32円まで上昇、米9月小売売上高や雇用関連指標が好調

17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は150.21円と前営業日NY終値(149.64円) と比べて57銭程度のドル高水準だった。9月米小売売上高や10月米フィラデルフィア連銀製造業景気指 数、前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも強い内容だったことが分かると、米経済の底堅さが改 めて意識されて、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時150.08円まで 値を上げた。そのあとはポジション調整目的の売りなどに押されて、149.64円付近まで上値を切り下げ る場面もあったが、下押しは限定的。10月米NAHB住宅市場指数が予想を上回ったことも相場の支援材料 となり、4時過ぎには一時150.32円と8月1日以来約2カ月半ぶりの高値を更新した。

ユーロドルは4日続落。終値は1.0831ドルと前営業日NY終値(1.0862ドル)と比べて0.0031ドル程 度のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日開いた定例理事会で、市場予想通り政策金利を 0.25%引き下げることを決めたと発表。今後の動きについては「データに基づいて会合ごとに決定を下す」 との見解を改めて表明し、利下げペースはデータ次第との説明を維持した。結果公表直後はユーロ買い・ ドル売りで反応し、一時1.0874ドルと日通し高値を付けた。

ただ、200日移動平均線が位置する1.0873ドルがレジスタンスとして意識されると一転下落した。ラ ガルドECB総裁が理事会後の記者会見で「経済は予想よりもやや弱い」「成長に対するリスクは下振れ方 向」「インフレのリスクは恐らく上方向ではなく、やや下方向」との見解を示したこともユーロ売りを誘 った。市場では「ユーロ圏でインフレ鈍化が進んでいることを踏まえ、ECBが12月に追加利下げを決め るとの観測が出ている」との声が聞かれ、22時30分前に一時1.0811ドルと8月2日以来の安値を更新 した。その後の戻りも1.0841ドル付近にとどまった。

ユーロ円は3営業日ぶりに小反発。終値は162.70円と前営業日NY終値(162.54円)と比べて16銭程 度のユーロ高水準。21時30分過ぎに一時162.72円まで値を上げたものの、ECB総裁の発言が伝わると失 速し一時161.85円と日通し安値を更新した。ただ、売り一巡後は再び買いが優勢となり、1時過ぎには 162.76円と日通し高値を付けた。ドル円の上昇につれた買いが相場を下支えした。

独DAXやNYダウが史上最高値を更新するなど、欧米株価が底堅く推移する中、リスク・オンの円売り も出やすかった。ポンド円は一時195.60円、豪ドル円は100.69円、NZドル円は91.11円、カナダドル 円は108.98円、メキシコペソ円は7.57円まで値を上げた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、150円台に乗せてきたことで本邦通貨当局によるドル売り・円買 い介入の可能性に警戒する展開が予想される。

ニューヨーク市場のドル円は、好調な米9月小売売上高などを背景に150.32円まで上昇しており、 161.95円から139.58円までの下落幅(22.37円)の半値戻し150.77円に迫っている。

ドル円が上昇を続けて、200日移動平均線の151.32円や一目均衡表・雲の上限151.05円を上抜けた場 合、「半値戻しは全値戻し」となる可能性が高まることになる。

27日に投開票を迎える衆議院選挙での争点が物価高対策となっていることで、石破政権は、輸入物価 上昇の要因となる円安の抑制を徹底すると思われるため、本日は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い 介入の可能性に警戒しておきたい。

9月末の外貨準備高は1兆2549億ドル、ドル売り・円買い介入の原資となる外貨は1兆979億ドル、 証券は9384億ドルとなっている。

ドル円が149円に乗せた時、三村財務官や加藤財務相が「投機的な動きを含めて為替市場の動向を注視 する」と円安を牽制し、為替介入の助言役を担っている神田内閣官房参与(前財務官)が「為替市場、引 き続き高い緊張感持って警戒続けていく」と警告していた。

8時30分に発表される9月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+2.3%と予想さ れており、8月の同比+2.8%からの伸び率の鈍化が見込まれている。伸び率鈍化の要因は、電気・都市ガ ス料金への政府の補助金が再開されたことが挙げられる。

全国の物価の先行指標となる9月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比 +2.0%で、8月の同比+2.4%から低下して4カ月ぶりに縮小していた。

9月の全国コアCPIの伸び率鈍化は、補助金要因とはいえ、今月末30-31日の日銀金融政策決定会合 での政策金利据え置き観測を高めるため、円安要因となる。

植田日銀総裁は、9月の日銀金融政策決定会合後の会見で、円安の修正で利上げの判断に「時間的余裕」 ができたと発言し、早期の追加利上げ観測が後退している。

11時に発表される中国の7-9月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比+4.5%と予想されており、 不動産不況によるデフレ懸念が深まり、4-6月期の+4.7%からの減速が見込まれている。予想通りなら ば、2023年1-3月以来、6四半期ぶりの低成長となる。

12日に中国財政部の藍仏安部長は、減速している景気を刺激するための財政措置の一環として、GDPの 1.5%に相当する国債発行を発表した。中国メディアの財新は、超長期の特別国債を向こう3年間で6兆 元発行する可能性がある、と報じており、10-12月期の景気回復が期待されている。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内> ○08:30 ☆ 9 月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比 2.3%) ○08:30 ☆ 9 月全国 CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比 2.0%) ○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース) <海外> ○11:00 ☆ 7-9 月期中国国内総生産(GDP、予想:前期比 1.0%/前年同期比 4.5%) ○11:00 ◎ 9 月中国鉱工業生産(予想:前年比 4.5%) ○11:00 ◎ 9 月中国小売売上高(予想:前年比 2.5%) ○15:00 ◎ 9 月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比 3.2%) ○15:00 ◎ 9 月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.3%/前年比 3.2%) ○17:00 ◇ 8 月ユーロ圏経常収支(季節調整済) ○18:00 ◇ 8 月ユーロ圏建設支出 ○21:30 ◎ 9 月米住宅着工件数(予想:135.0 万件、前月比▲0.4%) ◎ 建設許可件数(予想:146.0 万件、前月比▲0.7%) ○22:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演 ○23:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、パネルディスカッションに参加 ○19 日 01:10 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演 〇米英独仏首脳会議(ベルリン) ○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日) ○アジア太平洋経済協力会議(APEC)財務相会合(リマ、21 日まで)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。 ※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。 ※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

17日11:14中国住宅相

「100万の村落都市化プロジェクトを追加する」

「プロジェクトのホワイトリストを拡大し、銀行融資を4兆 元にする」

17日16:20ナジ・ハンガリー経済相

「中央銀行はインフレ懸念に固執しているように見える」

「インフレはもはや問題ではない」

「第3四半期の経済成長はゼロに非常に近いだろう」

17日20:03トルコ中銀声明

「第3四半期の指標は国内需要の減速が続き、デフレ 圧力のレベルに近づいていることを示唆」

「インフレ改善のペースに関する不確実性が高まってい る」

「インフレリスクに対して高度に注意を払い続けることを 再確認」

「月次インフレの基調に顕著かつ持続的な低下が観察 され、インフレ期待が予測された予想範囲に収束するま で、金融引き締めの姿勢は維持」

「すべての手段を断固として使用」

17日21:20欧州中央銀行(ECB)声明

「必要な限り金利を制限的に維持する」

「会合ごと、データ依存型のアプローチを取る」

「特定の金利道筋についてコミットしない」

「インフレ率は目標に向けて低下する前に再び上昇する と予想」

「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」

「PEPPの再投資は今年末でやめる意向」

17日21:54ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁

「最新のデータは、より緩慢な成長を示唆」

「家計の消費は予想を下回っている」

「経済は予想よりもやや弱い」

「ほとんどの基調的インフレ指標は低下したか横ばい」

「賃金上昇圧力は強い」

「経済は時間とともに強くなると予想」

「国内のインフレはまだ強い」

「成長に対するリスクは下振れ方向」

「インフレは向こう数カ月で上昇へ」

「地政学的緊張はインフレの上振れリスク」

「インフレは2025年に目標に低下」

「ユーロ圏のリセッションを予想せず」

「インフレのリスクは恐らく上方向ではなく、やや下方向」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な 展開となっている。2 手連続陽線で転換線を上回って引けて おり続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 151.32(200 日移動平均線)
レジスタンス 1 150.89(8/1 高値)
前日終値 150.21
サポート 1 148.84(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 147.35(10/8 安値)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯している。4 手連続陰線で転換線を下回って引 けており続落の可能性が示唆されている。ダブル・トップ (1.1202 ドル・1.1214 ドル)の目標値は 1.0790 ドル。 本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上 抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0904(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0831
サポート 1 1.0778(8/1 安値)

<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。抱き線で切り返して転換線を上回っ て引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 197.58(7/31 高値)
前日終値 195.45
サポート 1 194.32(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な 展開となっている。抱き線で切り返して転換線を上回って引 けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は雲の上限 91.05 円を念頭に置き、転換線を支持に押 し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 92.15(200 日移動平均線)
前日終値 91.02
サポート 1 90.72(日足一目均衡表・転換線)