ウィークリーレポート 2024年10月25日

週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)

October 25, 2024

ドル円、衆院選結果次第では乱高下も

◆ドル円、米雇用統計、米 PCE デフレーターなどに注目

◆ドル円、衆院選、日銀金融政策決定会合に警戒

◆ユーロドル、ユーロ圏 7-9 月 GDP 速報値や 10 月 CPI を見極め

予想レンジ

ドル円 149.00-155.00 円

ユーロドル 1.0600-1.1000 ドル

10 月 28 日週の展望

ドル円は、11 月 5 日の米大統領・議会選挙で、トランプ候補・共和党陣営、ハリス候補・民主 党陣営のどちらが勝利しても、減税と財政出動によりインフレが再び加速。米連邦準備理事会 (FRB)の利下げペースが鈍化、あるいは利下げが停止される可能性が高まるとの見方から、米長 期金利の上昇に伴う堅調地合いが予想される。

ただ、今週末の衆議院選挙の結果次第では、乱高下となる可能性もあり警戒しておきたい。自 民党が議席をかなり落としつつも自公で過半数を維持した場合、リスク回避の円買いは限定的だ と予想される。また、自公で過半数割れとなるものの、一部野党を連立政権に組み込むことで、 自民党中心の政権が続く場合も、政策運営の停滞が警戒されるが、リスク回避の円買いは限られ そうだ。一方、自公が過半数割れとなり、立憲民主党を中心とした政権に交代した場合は、2009 年 9 月の政権交代時のようなリスク回避の円買い圧力が強まることに警戒しておきたい。30-31 日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の維持が予想されているが、会合後の植田日銀総裁の 記者会見では、追加利上げの時期への言及などに注意。また、展望リポートでは、ターミナルレ ートが中立金利水準と見なされている 1.0%付近なのか否かを見極めることになるだろう。

米国では、11 月 1 日に 10 月の雇用統計が予定されている。失業率は 4.1%で 9 月と変わらずだ が、非農業部門雇用者数は、ハリケーンの影響で 13.5 万人と 9 月の 25.4 万人からの減少が見込 まれている。FRB がインフレ指標として注視している PCE デフレーターの 9 月分は前年比 2.1%で、 8 月の 2.2%からの低下が予想されており、インフレ目標 2%に接近することが予想されている。 雇用統計と PCE デフレーターが予想通りならば、11 月と 12 月の米連邦公開市場委員会(FOMC) での追加利下げ幅が拡大する可能性もあるだろう。また、引き続きイスラエルによるイランへの 報復攻撃など、中東の地政学リスクには警戒が必要だ。

ユーロドルは、ユーロ圏 7-9 月 GDP 速報値やユーロ圏 10 月 CPI を見極めつつ、12 月欧州中央 銀行(ECB)理事会での追加利下げの可能性を探る展開となる。市場では 0.25%の追加利下げを 予想しているが、景況感が悪化しインフレ率が鈍化した場合は、0.50%の利下げの可能性が高ま ることになりそうだ。

10 月 21 日週の回顧

ドル円は、米 10 年債利回りが米次期政権の財政出動策への警戒感から 4.2556%まで上昇した ことから 153.19 円まで大幅に買われたが、米長期金利の上昇が一服すると 151 円台半ばまで下押 ししている。ユーロドルは、追加利下げ観測が台頭するなか、米長期金利の急騰を受けて 1.0872 ドルから 1.0761 ドルまで下落した。(了)

週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)

October 25, 2024

豪ドル、7-9 月期 CPI に注目

◆豪ドル、7-9 月期の CPI に注目

◆豪ドル、本邦総選挙の結果次第でも上下

◆ZAR、中期予算政策声明に注目

予想レンジ

豪ドル円 99.00-103.00 円

南ア・ランド円 8.40-8.90 円

10 月 28 日週の展望

豪ドルは、来週に重要イベントが複数予定されていることで、その結果次第で大きく上下を繰 り返すことが予想される。30 日に発表される 7-9 月期の消費者物価指数(CPI)に注目。4-6 月 期の CPI は市場予想通りの 3.8%となったが、豪準備銀行(RBA)が重要視するトリム平均値が予 想を下回る 3.9%となり、豪ドルは小幅に弱含んだ。7-9 月期はそれぞれ 3.0%、3.5%まで低下 することが予想されている。RBA はインフレに対して依然として警戒を緩める姿勢を見せていな いが、インフレの低下が鮮明になった場合には年末にかけて利下げ圧力が高まる。また、31 日に は 9 月の小売売上高も発表予定。

国外でも、週末の 27 日には日本の衆議院選挙が投開票される。結果次第では、日経平均が大き く動意づく可能性があり、リスクに敏感な豪ドルも影響を受けることになる。また、中国からは 各種購買担当者景気指数(PMI)が予定されており、注目したい。 また、ニュージーランドからは 31 日に 10 月 ANZ 企業景況感、11 月 1 日に 9 月住宅建設許可件 数が発表される程度。11 月の NZ 準備銀行(RBNZ)会合までにはまだ時間があるが、今後のイン フレ指標等の結果が注目される。

ZAR は神経質な動きになるだろう。経済指標は 29 日に 9 月貿易収支、31 日に 9 月卸売物価指数 (PPI)が発表されるが、指標よりも注目度が高いのは 30 日にゴドンワナ財務相が発表する中期 予算政策声明(MTBPS=Medium-Term Budget Policy Statement)。2 月の予算と比較すると政治的 安定、電力生産の増加と停電の減少、そして最近の金利引き下げにより、成長予測をさらに高め る余地がある。MTBPS で景気拡大に結び付く予算が発表され、尚且つ政府債務対 GDP 比が過大に ならなければ、ZAR は強含みとなりそうだ。

ただ、リスクは西側諸国との関係悪化にある。24 日まで開かれていた BRICS 首脳会議で、ラマ ポーザ南ア大統領はプーチン露大統領に「ロシアは味方だ」と伝えた。また、反イスラエル姿勢 も改めて示した。更に、「南ア国営銀行が、ロシア開発対外経済銀行(VEB)と協力協定を締結した」 と報じられている。多くの国から制裁対象となっている金融機関への協力姿勢を見せたことで、 今後の南アへの投資意欲減退懸念や、南ア自身への制裁なども予想され、西側諸国からの圧力を どのように切り抜けるのかが今後の課題となるだろう。

10 月 21 日週の回顧

豪ドルは対ドルでは米金利の上昇で小幅に売られた。ただ、ドル円が 153 円台まで円安が進ん だこともあり、対円では一時 7 月下旬以来の 101 円後半まで強含んだ。ZAR は米金利高に連れて ドル高・ランド安が進行した。一方で ZAR 円は一時 7 月中旬以来となる 8.70 円まで上昇。ただ、 南アが多くの国から制裁を受けているロシアの金融機関への協力協定を結んだと報じられると上 値が抑えられた。(了)

週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

October 25, 2024

ポンド、利下げ思惑で上値重い

◆対円、衆議院選挙や日銀金融政策決定会合などに注目

◆ポンド、追加利下げの思惑高まり上値が重い

◆加ドル、加中銀の政策イベントを通過しドルや円に左右

予想レンジ

ポンド円 193.50-199.50 円

加ドル円 108.00-112.00 円

10 月 28 日週の展望

クロス円は来週も最近上昇が目立っているドル円次第と言えるが、米景気のソフトランディン グ(軟着陸)期待が高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが緩やかになるとの観 測や、米大統領選が近づくなかで景気刺激に前向きなトランプ前大統領が優勢との見方がドル円 の支えとなる。ただ、27 日の衆議院選挙や 30-31 日の日銀金融政策決定会合と植田日銀総裁の会 見などを受けて円が値幅を伴った動きとなる可能性に警戒。日銀会合では、金融政策の現状維持 はほぼ織り込み済みだが、次回 12 月会合での利上げをめぐっては思惑が交錯している。

来週、英国内での経済指標は 10 月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値程度で、注目のイ ベントは予定されておらず、翌週の 11 月 7 日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策決定会 合を控え、利下げ思惑の高まりがポンドの上値圧迫要因となる。16 日に発表された 9 月消費者物 価指数(CPI)が前年比 1.7%と前月の 2.2%から大幅に鈍化。BOE が注視するサービス価格の上 昇率も 4.9%と 2022 年 5 月以来の低水準となり、市場では 11 月会合での 0.25%利下げがほぼ完 全に織り込まれているほか、12 月会合でも同幅の利下げ観測が高まっている。

ベイリーBOE 総裁は今週、5%となお高止まりするサービス価格のインフレ率が「さらに低下す る必要がある」と指摘したものの、「ディスインフレは予想以上に速い」と述べ、労働市場のデー タについては「恐らく緩みつつあるが、引き続きタイトだ」との見解を示した。また、金融政策 委員会(MPC)のなかでタカ派とされるグリーン委員は、「サービスインフレが最新の発表で最大 のサプライズだった」としつつも、「利下げに英国の消費者がどう反応するかは不透明性がある」 と指摘し、金融政策の緩和は「慎重かつ徐々に進めるアプローチを支持する」と表明した。

加ドルについては、来週、加国内では 8 月 GDP の発表が予定されているが、今週に注目のカナ ダ中銀(BOC)の金融政策イベントを通過し、ドルや円の動きに左右される動きが見込まれる。BOC は今週の会合で市場予想通りに政策金利を 0.50%引き下げ 3.75%に決定した。マックレム BOC 総 裁は「インフレが目標の 2%に戻ったため、より大幅な措置を講じた」とし、「経済がおおむね予 想通りの動向となれば追加利下げを実施する」と再表明した。市場では今年最後となる 12 月会合 での 0.25%利下げを完全に織り込み、0.50%利下げ予想も 2 割超となっている。BOC が緩和姿勢 を鮮明にしていることが引き続き加ドルの重しとなる。

10 月 21 日週の回顧

米長期金利の上昇に伴ったドル高の流れが継続し、ポンドドルは 1.29 ドル近辺まで下押した。 その後は下げ渋るも、10 月英 PMI 速報値が予想を下回る結果となり上値の重い動きとなった。ま た、ドル/加ドルは BOC の大幅利下げが加ドルの重しとなるも、織り込んでいた部分も大きく反 応は限られ、1.38 加ドル後半で加ドル売りが一服した。対円はドル円につれる動きとなり、ポン ド円は一時 198 円半ば、加ドル円は一時 110 円後半まで上値を伸ばした。(了)