デイリーレポート 2024年10月29日
October 29, 2024
【前日の為替概況】】ドル円152.41円から153.30円台まで上昇、米10年債利回り4.30%手前へ
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は153.29円と前営業日NY終値(152.31円) と比べて98銭程度のドル高水準だった。欧州時間は上昇していた米10年債利回りが一時低下に転じたこ となどを背景にドル売りが強まった影響から一時152.41円まで下落する場面があった。ただ、NY時間に 入り、米金利が再び上昇したことで買い戻しが優勢に。米2年債入札が低調な結果となり10年債利回り が4.30%手前まで上昇幅を広げたほか、ダウ平均が堅調に推移したことを支えに153.30円台まで持ち直 した。
ユーロドルは反発。終値は1.0812ドルと前営業日NY終値(1.0796ドル)と比べて0.0016ドル程度の ユーロ高水準だった。欧州市場で買いが強まった影響が残り、24時前には一時1.0828ドルと日通し高値 を付けた。もっとも、NY市場に限れば動きは限定的となり、値幅は18pips程度と狭かった。市場では「欧 州中央銀行(ECB)の大幅利下げ期待は高く、引き続きユーロの上値は重いとみる見方は強い」との指摘 があった。
ユーロ円は続伸。終値は165.73円と前営業日NY終値(164.43円)と比べて1円30銭程度のユーロ高 水準だった。欧州タイムに164.90円付近まで下押ししたが、NY時間にはドル円が反発したうえ、欧米株 が上昇したことも後押しとなり165.80円台まで切り返した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、衆院選での自公過半数割れを受けて神経質な展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが4.30%手前まで上昇していることや、日本の 政治・金融政策を巡る不確実性が高まったことで、底堅い展開が予想される。
昨日のドル円は153.88円まで上昇し、7月31日の植田ショックの時の高値に面合わせした。衆議院選挙 で自民・公明の政権与党が過半数を確保出来なかったことを受け、政治的な不確実性が高まる中、日本 銀行は、早期の追加利上げに踏み切ることはできないだろうとの思惑から円売りが進んだ。
植田日銀総裁は、先週末のG20会議の後の記者会見、9月の日銀金融政策決定会合の後の記者会見、そ して、石破首相との初会談の後に、「不確実性が大きい場合には、政策変更を慎重に段階的に進めたい。 追加利上げを判断するのに、時間的な余裕はある」と述べていた。日銀の早期の追加利上げ観測の後退が 円売り圧力を強めている。
さらに、11月5日の米国大統領・議会選挙に向けて米長期金利の上昇基調が続いていることも、ドル 買い要因となっている。トランプ共和党候補とハリス民主党候補のどちらが勝利しても、両者が減税と拡 張的な財政政策を公約に掲げていることが要因だ。
昨日のNY市場では米2年債入札が低調だったこともあり、10年債利回りが4.30%手前まで上昇した。 米財務省は30日に四半期定例入札の規模を発表するが、市場では、3四半期連続で総額1250億ドル規模 になると予想され、米10年債利回りが5%台まで上昇する可能性も警戒されている。
トランプ第47代米大統領が誕生した場合の「トランプノミクス2」では、関税引き上げや減税と財政 出動によるインフレ率の上昇、トランプ・フレーションの可能性が高いため、トランプ・トレード(米国 債売り・ドル買い)が活発化しつつある。
ところで、2009年8月30日の第45回衆議院議員総選挙で政権交代が起きた時は、日経平均株価とド ル円は下落していた。
・日経平均株価、8月31日の始値10608円から11月27日の安値9076円まで1531円(14%)下落 ・ドル円、8月31日の始値93.48円から11月27日の安値84.82円まで8.66円(9%)下落
今回の第50回衆議院議員総選挙では、与党が過半数を確保できなかったものの、政権交代は回避でき たため、リスク回避の日本株売り・円買いにはならなかったと思われる。今後は、石破降ろしの可能性、 新たな連立政権の枠組み、首班指名選挙への思惑などを見極めていくことになる。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
○08:30 ◎ 9月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 9月有効求人倍率(予想:1.23倍)
○未定 ◇ 10月月例経済報告
<海外>
○16:00 ◇ 11月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲20.5)
○18:30 ◇ 9月英消費者信用残高(予想:13億ポンド)
○18:30 ◇ 9月英マネーサプライM4
○21:30 ◇ 9月米卸売在庫(予想:前月比0.1%)
○22:00 ◇ 8月米住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○22:00 ◎ 8月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比5.1%)
○23:00 ◎ 9月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:800.0万件)
○23:00 ◎ 10月米消費者信頼感指数(予想:99.5)
○30日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○トルコ(共和国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。 ※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。 ※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
28日15:14ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「12月の政策決定について議論するのは時期尚早」
「金融政策のさらなる緩和加速は急務ではない」
「エネルギー価格の変動によるインフレ目標の一時的な小幅な下振れは許容範囲」
28日23:26ラミー英外相
「ウクライナを弱体化させようとするロシアの偽情報機関に制裁を科す」
「これらの制裁が単なる警告ではなく、具体的な行動を伴う強い対応である」
29日00:20米国防総省
「北朝鮮から派遣された兵士の一部がウクライナにより近い場所に移動」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=10/28 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯中。2 手連続陽線で200 日移動平均線や転換線
を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は28 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 155.22(7/30 高値)
レジスタンス1 153.88(10/28 高値)
前日終値 153.29
サポート1 152.41(10/28安値)
サポート2 151.49(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線
を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り
シグナルが点灯中。孕み線で反発したものの、依然として転
換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は1.0818 ドルに低下した転換線を念頭に置き、基準
線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は
手仕舞い。
レジスタンス1 1.0988(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0812
サポート1 1.0761(10/23 安値)
<ユーロ円=10/28 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引
けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は28 日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同
水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 166.53(7/31 高値)
前日終値 165.73
サポート1 164.44(10/28 安値)
<豪ドル円=上昇中の基準線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル
が点灯中。2 手連続陰線の後で切り返して、依然として転換
線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は100.66 円に上昇した転換線を念頭に置き、基準線
を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は
手仕舞い。
レジスタンス1 101.69(10/23 高値)
前日終値 100.91
サポート1 99.84(日足一目均衡表・基準線)