ウィークリーレポート 2024年11月22日

週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)

November 22, 2024

感謝祭で市場の流動性乏しい

◆ドル円、ロシア・ウクライナを巡る地政学リスクを警戒

◆ドル円、週後半の感謝祭を控え市場の流動性が低下

◆ユーロドル、ECB 利下げ観測で下落リスク高まる

予想レンジ

ドル円 153.00-157.00 円

ユーロドル 1.0000-1.0600 ドル

11 月25 日週の展望

ドル円は、米大統領選でのトランプ前大統領および共和党の圧勝により、財政拡張政策が順調 に進むとの思惑から米金利の先高観は根強く、引き続き下値は堅いだろう。ただ、ロシア・ウク ライナ情勢を巡る地政学リスクが高まっており、情勢次第では不安定な動きにもなりそうだ。 今週はウクライナ軍がロシア西部を攻撃した後、プーチン露大統領が核兵器の使用条件を示し た核ドクトリンの改定を承認したことで核戦争への思惑が広がった。ラブロフ露外相が否定した ことからいったんは落ち着いたものの、「ロシア軍が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した」と の報道で再び緊張感が高まっている。ロシアのICBM は射程が最長1 万km 以上で核弾頭も搭載可 能であり、今回1000km 離れた地点を攻撃するのにICBM を使う必要はなく、市場では「核攻撃の 為の実験なのでは」との思惑が浮上したが、露大統領は事実上否定している。 通常、地政学リスクによる相場変動は短期的に終わることがほとんどであり、核攻撃などに進 展しない限り影響は限定的となりそうだ。ただ、来週は28 日に感謝祭を迎える為、週後半にかけ て市場参加者が減少する点には注意が必要だ。感謝祭からクリスマスまで長期休暇を取る参加者 も多く、年末にかけて市場の流動性が極端に悪化するため、突発的なニュースに対して通常以上 に値が振れる可能性がある。ヘッドラインリスクには十分警戒したほうがよいだろう。 なお、来週は27 日に10 月耐久財受注や7-9 月期国内総生産(GDP、改定値)、前週分の新規失 業保険申請件数、10 月PCE コアデフレータと指標が集中するため、米金利の動きにも注意したい。 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測の高まりから軟調な地合いが続きそうだ。足 元で弱い経済指標が目立っているほか、トランプ次期米大統領が公約に掲げる一律10%の関税の 欧州経済に与える悪影響が懸念されている。米国は欧州連合(EU)にとって最大の貿易相手国で、 輸出品の約25%が米国向けであり、関税が実現されればGDP が大きく押し下げられる見通しだ。 ECB メンバーからも12 月利下げを支持する声が相次いでおり、追加緩和期待を背景とした売りが 続く可能性が高い。また、チャートを見ても昨年10 月3 日安値1.0448 ドルに接近しているが、 割り込むと約2 年間続いたレンジを下抜けるためテクニカル的な売りも出やすそうだ。

11 月18 日週の回顧

ドル円は方向感が定まらなかった。週明けは155.36 円まで値を上げた後、ウクライナ情勢の悪 化で153.29 円まで下落。その後、ロシア外相が核戦争を否定すると一転して155.89 円まで反発 した。一方で、「ロシア側がICBM 発射」と伝わると再び上値が重くなっている。 ユーロドルは1.06 ドル台を回復する場面があったが、地政学リスクの高まりやECB の利下げ観 測から上値は重かった。週後半には一時1.0462 ドルと昨年10 月4 日以来の安値を更新した。(了)

週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)

November 22, 2024

豪ドル、インフレ指標に注目

◆豪ドル、月次のCPI に注目

◆NZ ドル、市場はRBNZ の先月に続く大幅利下げを予想

◆ZAR、SARB の金融政策発表を通過して一服感

予想レンジ

豪ドル円 99.00-102.00 円

南ア・ランド円 8.35-8.70 円

11 月 25 日週の展望

豪ドルは25 日の10 月消費者物価指数(CPI)に注目したい。月次のCPI はヘッドライン・トリ ム平均値共に夏頃から伸び鈍化の傾向となっており、前回9 月はヘッドラインが前年比+2.1%、 トリム平均値は同+3.2%であった。伸び鈍化傾向が続く場合は豪ドル相場の重しとなりそうだ。 また、28 日には豪準備銀行(RBA)のブロック総裁の講演も予定されている。19 日に公表され たRBA 理事会議事録(5 日開催)では、現時点で政策金利変更の緊急的な必要性については否定 した一方で「消費の弱さなど、利下げが正当化されるシナリオを検討」とも指摘。直後の豪ドル 円は一時的に弱含んだ。これまで2025 年第2 四半期とされる利下げ開始時期の見通しについて言 及があれば材料視されそうだ。 なお、28 日は米国が感謝祭のため、市場参加者の減少で動意薄の展開が見込まれる反面、ウク ライナ関連など突発的な報道が出ると薄商いのなかで値が飛ぶ事態も想定されるので要注意。 そのほか、引き続き「トランプ・トレード」によるドル高・株高の流れが続くかにも、注目し ておきたい。その場合、豪ドル円は、ドル高による豪ドル/米ドルの下押しと株高の、どちらの 影響をより強く受けるか見極めることになろう。 隣国のニュージーランド(NZ)では、27 日に年内最後となるNZ 準備銀行(RBNZ)金融政策決 定会合が控えている。18 日に発表された7-9 月期卸売物価指数(PPI)は予想を上回る伸びにな ったとはいえ、市場では50bp の大幅利下げがコンセンサスとなっている。6 日に発表された7-9 月失業率は4.8%と4 年ぶりの水準に悪化するなど、雇用環境の急速な悪化などが重しとなって いる様子である。前回10 月は50bp の大幅利下げを受けてNZ ドル売りが優勢となった。今回も大 幅利下げとなれば、前回同様にNZ ドル円に下落圧力が掛かる可能性がある。声明では今後の金利 や経済状況などの見通しについても確認しておきたい。そのほか、25 日に7-9 月期小売売上高が 予定されている。 南アフリカ・ランド(ZAR)は方向感模索の展開が続くか。南ア国内では21 日に南アフリカ準 備銀行(SARB)の利下げ幅が25bp と市場予想通りだったため、材料出尽くし感が漂う。米国では 28 日に感謝祭を控えており、週後半は市場参加者が減少して動意薄の展開となりやすい。そ

111 月18 日週の回顧

豪ドルは対ドルで下げ渋り。0.64 ドル半ばでの底堅さを確認すると0.65 ドル台半ばまでやや 値を戻した。対円では99 円半ばから101 円台後半に切り返すも、ドル円が伸び悩んだためやや上 値が重かった。 ZAR は対ドルで18ZAR を挟んで小動きとなる中、対円では8.60 円台では上値が重く、8.40 円台 では底堅さを見せるなど、方向感模索の動きとなった。(了)

週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

November 22, 2024

加ドル、金利先安観の後退が支えに

◆ポンド、インフレが想定以上に加速で追加利下げ先送り観測高まる

◆ポンド、高まる欧州地政学リスクを警戒、ウ・露戦争の行方を見定め

◆加ドル、金利先安観の後退が支えに

予想レンジ

ポンド円 192.00-198.00円

加ドル円 108.50-112.50円

11月25日週の展望

ポンドは、追加利下げ先送り観測の高まりが意識されそうだ。ただ、ウクライナ・ロシア戦争 激化を受けて欧州地政学リスクへの警戒感が強まっており、積極的な上値追いもしづらい。 20日に発表された10月消費者物価指数(CPI)は前年比2.3%上昇とイングランド銀行(英中 銀、BOE)のインフレ目標2.0%を再び上回り、前月比でも予想を上回った。英金融政策委員会(MPC) が注視していたサービス部門CPIも前年比5.0%上昇と、2022年春以来の5%割れを実現した前 回値から上振れた。これを受けて市場では、英中銀が早期の追加利下げについて慎重な姿勢を強 めるとの見方が広まっている。12月の英MPC前に最新の雇用データやインフレ指標が発表される ものの、来月は利下げなしが既定路線だ。来年2月会合についても、利下げ見込みは優勢だが 0.25%引き下げを完全に織り込むまでには至っていない。暫くは金利見通しに波及する英指標も なく、今回のCPIをベースとした動きが続きそうだ。 また、ウクライナ情勢の悪化でロシアと北大西洋条約機構(NATO)との緊張感が高まり、NATO の中心国でもある英国への影響も懸念される。ウクライナは今週、米国製に続き英国製の長距離 ミサイルをロシア領内に向けて発射した。トランプ次期米大統領が戦争の早期終結を目指すなか、 ロシア側も現状の前線維持を条件に停戦協議に前向きとの報道もある。ウクライナが協議開始前 に優位性を強めたいと考えているのならば、今後も西側が供与した兵器でロシア領内への攻撃が 続くかもしれない。ロシアの出方次第で戦火が拡大すると、リスク回避ムードが強まるだろう。 加ドルは、カナダ金利先安観の後退が支えとなりそうだ。19日発表の10月カナダCPIは前年 比2.0%上昇と、前回値1.6%だけでなく市場予想も0.1ポイント上回った。政策決定で中銀が重 視するCPI中央値やトリム値も前年比それぞれ2.5%と2.6%上昇と9月分から加速した。ヘッド ラインはカナダ中銀のインフレ目標に沿った結果ではあるものの、全体的にインフレ圧力が強ま ったことで、12月会合で0.50%の大幅利下げの観測は後退している。 月末にカナダ国内総生産(GDP)の発表はあるものの、それまでは加ドル相場を動意付ける材料 はない。一方、米国では感謝祭の前にインフレ指標を含めた複数の経済データが明らかとなる。 結果を受けたドル相場の動向や市場センチメントの強弱に左右されそうだ。

11 月 18 日週の回顧

ポンド円は196円台まで買いが先行も、ロシアが核使用基準を緩和させたことでリスク回避ム ードが強まると一時193円半ばまで急落。その後、英CPIの上振れも後押しに197円後半まで切 り返すも、地政学リスクが嫌気されて194円台まで再び下落した。ポンドドルは1.27ドル前半ま で上昇後に1.25ドル後半まで売られた。加ドルは対円で109円前半を下値に111円半ばまで上 昇。加インフレ加速が支えとなった。ただ、その後は110円前半まで下押した。対ドルでは加金利先 安観の後退を受け、1.41加ドル付近から1.39加ドル前半まで加ドル高が進行した。(了)