デイリーレポート 2023年4月25日

April 25, 2023

【前日の為替概況】ユーロドル、3日続伸景況感指数の上振れやECB高官の発言で買い先行

24日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続伸。終値は1.1046ドルと前営業日NY終値(1.0986ドル)と比べて0.0060ドル程度のユーロ高水準だった。4月独Ifo企業景況感指数の上振れや欧州中央銀行(ECB)高官のタカ派的な発言を受けて全般ユーロ買いが先行。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入ると、3時30分過ぎに一時1.1050ドルと日通し高値を更新した。

なお、ウンシュ・ベルギー中銀総裁は「賃金の伸びが鈍化しなければ利上げを継続」「金利をある時点で4%にしなければならないとしても驚きはない」と述べ、市場の想定以上に金融引き締めが進む可能性を示唆したほか、シュナーベルECB専務理事は「インフレについて勝利宣言するのは時期尚早」「来週の理事会で0.50%の利上げの可能性を排除しない」などと語った。

ドル円は3営業日ぶりに小反発。終値は134.24円と前営業日NY終値(134.16円)と比べて8銭程度のドル高水準だった。日銀が今週開く金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持するとの見方が強まる中、円売り・ドル買いが先行。21時30分前に一時134.73円と日通し高値を付けた。

ただ、買い一巡後は上値が重くなった。米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが入ったほか、4月米ダラス連銀製造業活動指数が▲23.4と前回の▲15.7から悪化し、予想の▲12.0を下回ったことが相場の重しとなり、一時134.23円付近まで下押しした。もっとも、同水準に位置する一目均衡表雲の上限がサポートとして働くと下げ止まった。

ユーロ円は続伸。終値は148.28円と前営業日NY終値(147.40円)と比べて88銭程度のユーロ高水準。利上げを継続するECBと、金融緩和策の継続が見込まれる日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、円売り・ユーロ買いが優勢となった。23時30分前に一時148.47円と2014年12月以来約8年4カ月ぶりの高値を更新した。その後の下押しも148.10円付近にとどまった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、レンジ取引続く ユーロ円やスイスフラン円には注目

本日の東京為替市場でドル円は、基本的には先週レンジ(133.55円-135.13円)の中で上下する展開か。昨日は米10年債利回りが前週末比で8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して終えた。それを受け、買いが先行していたドル円は134円後半から失速したものの、134円台は維持して引けている。大規模な金融緩和の継続が見込まれる日銀会合を27-28日に控え、積極的に円も買えないというのが実情だろう。

ニューヨーク終値水準で推移すようならば、やはり日足一目均衡表・雲の上限を気にした動きとなるか。昨日134.23円に位置した同水準は、本日134.09円まで降り、明日には134円まで低下が示唆されている。支持や抵抗水準になるというよりも、雲の上限を挟み方向感を模索する展開と考えておきたい。

昨日は一部報道による「日銀は長期的な視点から、金融緩和策の点検・検証を実施する方向で調整に入った」が話題となる場面があった。植田・新日銀総裁は点検・検証の必要性について既に述べていたこともあり、それほどサプライズではない。ただし、その結果発表後に金融政策が修正されたことが黒田・前総裁の時代にあったため、市場は気にしているようだ。なお、植田総裁は衆院の分科会で昨日、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の正常化の条件として、2%の物価見通し実現の確からしさが必要との見解を示した。

円絡みでは昨日、ユーロ円が148円後半まで上昇し、2014年12月以来の高値を記録。タカ派色を強めつつある欧州中央銀行(ECB)と緩和スタンスを変えないであろう日銀という、金融政策の差がユーロ買い・円売りにつながっているもよう。他にもスイスフラン円が昨日151.49円まで上昇した。これは昨年9月高値に並ぶ水準であり、超えるようだと40年以上ぶりのフラン高・円安となる。欧州通貨のクロス円の動向もドル円に影響すると思われ、目を向けておきたい。

なお、本日はゴトー日(5・10日)であり、東京仲値にかけて値幅を広げるパターンもありそうだ。また、ニュージーランドとオーストラリアはアンザックデーの祝日であり、NZドルや豪ドルの流動性が通常より悪くなる可能性も念頭に置いたほうがよいだろう。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

特になし

<海外>

○08:01 ◇ 3 月英小売連合(BRC)小売売上高調査

○09:30 ◇ 4 月豪ウエストパック消費者信頼感指数

○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)

○10:30 ◇ 3 月豪 NAB 企業景況感指数

○10:30 ◎ 3 月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比 1.0%)

○10:30 ◎ 3 月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲2.5%)

○15:00 ◎ 3 月ノルウェーCPI(予想:前月比なし/前年比 6.1%)

○16:00 ◇ 2 月トルコ鉱工業生産(予想:前月比 2.0%)

○18:00 ◎ 2 月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.8%/前年比▲3.5%)

○21:00 ◎ 3 月ブラジル IBGE 消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比 4.70%) ○21:00 ◇ 2 月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比 0.3%)

○12 日 02:00 ◎ 米財務省、3 年債入札

○12 日 02:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演

○12 日 06:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

○国際通貨基金(IMF)、世界経済見通し公表

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

10 日 18:30 植田日銀総裁

「(岸田首相との会談で)政府との共同声明、直ちに見直すことはないと一致」

10 日 19:20

「物価の安定と金融システムの安定に力を尽くす」

「現在の金融緩和は非常に強力なのは間違いない」

「長い目で見た点検が必要かという論点がある」

「総合的に判断し、点検や検証はあってもいい。政策委員と議論して決めていきたい」

「現行の YCC 継続が適当」

「現状、日本では金利を大幅に上げる状況ではない」

「マイナス金利政策、現在の緩和策のベースになっている」

「マイナス金利政策、継続するのが適当」

10 日 19:22 氷見野日銀副総裁

「賃金上昇伴う物価目標の実現を目指す」

「金融緩和が経済の好循環につながることを目指す」

「金融システムとの両立で金融緩和の出口たどることは可能」

10 日 19:24 内田日銀副総裁

「いかに工夫をこらして金融緩和を継続するかが課題」

「5 年間の任期の中で 2%の物価安定目標を達成したい」

「金融市場の安定を常に意識していきたい」

10 日 23:24 デコス・スペイン中銀総裁

「ユーロ圏のコアインフレ率は依然として高いと予想」

「ECB は金融安定を確かにするため対応を準備」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=雲の上限付近で底堅さ示すことできるか>

小陽線引け。一目均衡表・雲の上限を挟む攻防だった。終値で昨日の雲上限レベル134.23 円をわずかながら上回っている。まだ動意は不安定かもしれないが、本日134.09 円へ小幅に低下した雲の上限を上回る水準での推移が続くか。低下した雲の上限はしっかりした支えにならない可能性はあるものの、明日まで上昇が続く見込みの一目・転換線がサポートになり、下振れは回避できるとみる。

レジスタンス2 135.13(4/19 高値)
レジスタンス1 134.73(4/24 高値)
前日終値 134.24
サポート1 133.58(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=年初来高値付近の攻防>

下影陽線引け。一目均衡表・転換線1.0993 ドル前後の底堅さを背景に、1.1 ドル台を回復する上昇となった。14 日につけた年初来高値を上抜けば弾みがつき、昨年3 月以来の高値圏で上伸する展開となろう。一方、14 日高値が抵抗となり頭打ちとなれば、明日には低下へ転じる見込みの転換線の動向が示唆するような調整がいったん入ることになるだろう。

レジスタンス1 1.1105(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.1046
サポート1 1.0966(4/24 安値)

<ポンド円=レンジ切り上げ転換線の低下を防ぎたい>

陽線引け。19 日につけた年初来高値167.97 円に迫る堅調な推移だった。上伸が期待され、調整安が入っても目先は一目均衡表・転換線166.69 円付近にとどまるとみる。ただ、まだじり高が続く見込みの転換線は、現状からすれば週後半 27 日に166.75 円まで小幅に切り上がったところで頭打ちとなる公算。上値を狙うためにも、転換線が低下へ転じる前に相場レンジを切り上げ、下押し場面のサポート水準低下を防ぎたい。

レジスタンス1 167.97(4/19 高値=年初来高値)
前日終値 167.61
サポート1 166.69(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=雲を下回る水準から戻りを試す展開>

下影陽線引け。先週末に一目均衡表・雲のねじれ部分を上抜けきれず下振れた後を受け、雲を下回る水準から戻りを試す展開となった。雲の下限82.93 円が目先の重しで、さらに雲の上限83.21 円や83.29 円前後で推移する90 日移動平均線が抵抗となりそう。反落局面では、一目・基準線82.17 円前後が下げ渋りのポイントになるだろう。

レジスタンス1 83.21(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 82.78
サポート1 82.17(日足一目均衡表・基準線)