デイリーレポート 2023年8月7日

August 7, 2023

【前日の為替概況】ドル円 141 円台半ばまで下落、米長期金利が急低下

4 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は 141.76 円と前営業日 NY 終値(142.58 円) と比べて 82 銭程度のドル安水準だった。米労働省が発表した 7 月米雇用統計では非農業部門雇用者数が 18.7 万人増と予想の 20.0 万人増を下回った一方、失業率が 3.5%、平均時給が前月比 0.4%/前年比 4.4% と予想より強い内容となった。

非農業部門雇用者数の伸びが予想を下回ったことを受けて、FF 金利先物市場が織り込む年内の追加利 上げ確率は低下。全般ドルを売る動きが優勢となり、23 時 30 分過ぎに一時 141.55 円と日通し安値を付 けた。一時は 4.2043%前後と昨年 11 月 8 日以来約 9 カ月ぶりの高水準を記録した米 10 年債利回りが 4.03%台まで急低下したことも相場の重しとなった。

ユーロドルは続伸。終値は 1.1006 ドルと前営業日 NY 終値(1.0949 ドル)と比べて 0.0057 ドル程度の ユーロ高水準だった。米雇用統計で景気動向を反映しやすい非農業部門の雇用者数が予想を下回ったこと が分かると、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続への過度な警戒が緩和。米金利が低下し、ドル全面 安の展開となった。1 時前には一時 1.1042 ドルと日通し高値を更新した。主要通貨に対するドルの値動 きを示すドルインデックスは一時 101.74 まで低下した。

なお、グールズビー米シカゴ連銀総裁はこの日、「7 月雇用統計はほぼ予想通りだった」「雇用市場は若 干落ち着いたものの、依然として非常に堅調」「いつまで金利を維持するかについて検討を始めるべき」 と述べたほか、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「米雇用の伸びは秩序だった形で減速している。イ ンフレ抑制に向けた一段の利上げは必要ない」との考えを示した。

ユーロ円はほぼ横ばい。終値は 156.06 円と前営業日 NY 終値(156.07 円)と比べて 1 銭程度のユーロ 安水準。ダウ平均が一時 290 ドル超上昇すると投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが先行。 24 時 30 分前には一時 156.63 円と本日高値を更新した。ただ、ダウ平均が下げに転じると一転円買い・ ユーロ売りが優勢となり、値を消した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、日米金利動向を眺めながらの動きか

本日は東京タイムだけではなく、欧米市場でも注目の経済指標やイベントは予定されておらず、ドル円 は日米金利や株価の動向を眺めながらの動きとなりそうだ。先週末の米雇用統計で、最近の米長期金利の 上昇とドル高の調整が進んだが、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続の可能性が残されており、 ドル高の地合いは当面続きそう。雇用の鈍化は FRB に一定の安心感を与えるかも知れないが、労働市場の 逼迫懸念は解消されたとは言えず、賃金の上昇によるインフレ高の継続が懸念される。

日銀が 7 月の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)運用の柔軟化 を決定した以降、本邦の長期金利の動きや日銀による臨時の国債買い入れオペの実施有無に関心が集まっ ており、ドル円もこれに絡んで神経質な動きとなっている。YCC 柔軟化で本邦長期金利に上昇圧力が強っ ているが、日銀は長期金利の 1%までの上昇を容認しつつも機動的に対応するとしており、金利はじりじ りと上昇して落ち着きどころを探る状況が続くことが、ドル円の上値を圧迫しそうだ。目先はドル円に方 向感が出にくく、日米金利動向を眺めながら上下し、新規の手がかり待ちとなるか。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(7 月 27-28 日分)

○08:50 ◇ 7 月外貨準備高

○14:00 ◇ 6 月景気動向指数速報値(予想:先行 108.9/一致 115.1)

<海外>

○14:45 ◇ 7 月スイス失業率(季節調整前、予想:1.9%)

○15:00 ◎ 6 月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年同月比▲0.2%)

○21:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

○21:30 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

○8 日 01:00 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演

○8 日 04:00 ◇ 6 月米消費者信用残高(予想:130.0 億ドル)

○カナダ(市民の祝日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

4 日 18:19 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チー フ・エコノミスト

「インフレは年後半に大きく低下するだろう」 4 日 20:57 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼 チーフエコノミスト

「現在の英金利は制限的な水準」

「より大きなリスクは、英国でインフレが持続すること」

「インフレの持続性に焦点をあてている」

4 日 23:24 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「7 月分の雇用統計はほぼ予想通りだった」

「雇用市場は若干落ち着いたものの、依然として非常に 堅調」

「いつまで金利を維持するかについて検討を始めるべ き」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=基準線から転換線が支持帯となるか確かめ>

陰線引け。142 円半ばの日足一目均衡表・雲の上限を割り 込み、前日安値も下抜けて雲の中で下値を広げた。141 円前 半の一目・基準線には届かなかったものの、3 手連続の陰線 引け。本日は雲の上限を抵抗水準として、売り目線で臨みた い。まずは基準線から 141 円割れの転換線が支持帯として働 くかを確かめる展開か。同水準を割り込むようだと雲の中で 下げ足を速める局面もありそうだ。

レジスタンス 2 143.89(8/3 高値)
レジスタンス 1 142.47(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 141.76
サポート 1 140.98(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 140.00(心理的節目)

<ユーロドル=1.1030 ドル台で横ばいの転換線を念頭に>

陽線引け。2・3 日に支えられた 1.0910 ドル台の手前で下 げ渋り、1.10 ドル台まで切り返した。結果として 1.10 ドル 前半で上向きの 90 日移動平均線がサポートとして機能した 形。ただ日足一目・転換線を上回ったところでは、1.1040 ド ル台の 7 月 28・31 日高値が重しとなった。 本日は 1.1031 ドルで横ばいの転換線を念頭に置いた取引 に。1.10 ドル半ばの基準線や 1.1070 ドル台の 21 日移動平均 線を超えることができるかがポイントとなるだろう。

レジスタンス 1 1.1079(21 日移動平均線)
前日終値 1.1006
サポート 1 1.0932(90 日移動平均線)

<ユーロ円=3 日安値を下抜けると雲の上限が意識される>

ほぼ寄引き同時引け。21 日移動平均線が位置する 155 円後 半では支えられるも 156 円半ばでは伸び悩んだ。3 日に日足 一目・基準線を下回った転換線は更に水準を切り下げ、下向 き圧力の強まりを示唆している。まずは 155.80 円の 21 日線 や 155 円半ばの 3 日安値が支持帯となるかを確かめたい。下 抜けるようだと 154 円後半の雲の上限が意識される。

レジスタンス 1 157.23(8/3 高値)
前日終値 156.06
サポート 1 155.54(8/3 安値)

<豪ドル円=雲の下限を割り込むと 200 日線が視野に>

陰線引け。93 円台で買いが強まって一目・転換線を上回る 場面はあったものの、94 円に届かず失速。93 円前半まで押 し戻されて 4 手連続の陰線引けとなった。本日は 93 円割れ の 3 日安値を念頭に、92.70 円台の雲の下限や 90 日移動平均 線が支えとなるかが注目。クリアに割り込むようだと 92 円 割れの 200 日移動平均線が視野に入ってきそうだ。

レジスタンス 1 94.09(8/3 高値)
前日終値 93.13
サポート 1 92.77(日足一目均衡表・雲の下限)