日銀、1.0%で据え置き。 ただし追加利上げに含み。
本日(7/31)、日銀は政策金利を1.0%に据え置きました(採決8対1)。6月に31年ぶりの利上げに踏み切ったばかりで、今回は様子見です。ただし同時公表の展望レポートでは、GDP見通しを上方修正し、物価は2026年度後半に「2%を明確に上回る」と警告。円が約40年ぶり安値をつけるなか、追加利上げへの地ならしが進みます。
高田委員は利上げを主張して反対
据え置き、しかし1人は「利上げ」を主張
日銀は7月30〜31日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)を1.0%程度に据え置きました。6月に31年ぶりの利上げ(0.75→1.0%)に踏み切ったばかりで、今回は連続利上げを見送りました。採決は賛成8・反対1で、タカ派で知られる高田創審議委員が、利上げを主張して反対しました(入院していた植田総裁は復帰し、議長を務めました)。
据え置きでも中身は前向きです。同時公表の展望レポートで、日銀は物価が2026年度後半に「2%を明確に上回る」と踏み込みました。理由は、賃上げの価格転嫁、原油高、そして約40年ぶりの円安。実質GDPの成長率見通しも上方修正しました。日銀は「経済・物価が見通しどおりに推移すれば、引き続き政策金利を引き上げる」と、追加利上げの姿勢を改めて示しています。
マイナス金利から、1.0%への階段
日銀の政策金利は、長く−0.1%のマイナス圏にありました。転機は2024年3月のマイナス金利解除。同年7月に0.25%、2025年1月に0.5%、2025年12月に0.75%、そして2026年6月に1.0%と一段ずつ階段を上ってきました。今回7月は、その1.0%を据え置きています。
他国が「山を下りる」局面にあるのに対し、日本は「ようやく山を登り始めた」段階です。それでも1.0%は、米国(3.6%)や英国(3.75%)に比べれば依然としてかなり低い水準。この大きな金利差が、長く続く円安の主因となってきました。利上げが進めば、その差は少しずつ縮まっていきます。
足元は低くても、見通しは「2%超」
直近のコアCPI(生鮮食品を除く)は前年比+1.4%と、目標の2%を下回っています。それでも日銀が引き締め方向を崩さないのは、先行きの物価見通しを重視するからです。7月の展望レポートは、物価が2026年度後半に「2%を明確に上回る」との見方を示しました。
エネルギーや食料を除いたコアコアCPIも+1.9%と、物価の基調は2%に近づいています。賃上げの価格転嫁に加え、原油高と約40年ぶりの円安が、輸入物価を通じてインフレを押し上げます。日銀はこの3つを、物価が2%を明確に上回る根拠に挙げました。実質GDPの成長率見通しも上方修正され、利上げ再開の環境が整いつつあるといえます。
もう一つの正常化 — 国債買い入れの減額
日銀は金利だけでなく、大量に買い続けてきた国債(JGB)の買い入れを減らす正常化も並行して進めています。減額は2027年4月以降に月2兆円程度で固定する計画で、長期金利の急騰に配慮しつつ、市場の安定を優先して進めています。
日銀は買い入れ額を四半期ごとに段階的に減らし、2027年1〜3月に月2兆円程度まで縮小したうえで、その後は減額を停止します。金利を上げつつ、国債市場の急変は避ける——この「二正面の正常化」を、市場を驚かせないよう慎重に進めるのが日銀の課題です。
誰が決める? — 政策委員会の「9人」
金融政策は、年8回開かれる金融政策決定会合で、9人の政策委員の多数決で決まります。内訳は総裁1人・副総裁2人・審議委員6人。今回は9人全員が出席し、賛成8・反対1で据え置きが決まりました。反対した高田委員は、利上げを主張しました。
議長は植田総裁が務めました(前回6月は入院で欠席し、内田副総裁が代行)。会合は2日間にわたって議論され、決定は2日目の昼ごろに公表されます。タカ派の高田委員による反対は、委員会のなかに「追加利上げを急ぐべきだ」という声があることを映しています。
2026年 金融政策決定会合カレンダー
会合は年8回。うち1・4・7・10月の会合では、経済・物価の見通しを示す「展望レポート」が公表され、市場が特に注目します。本日の会合を終え、次回は9月17〜18日です。
市場の最大の関心は、次の利上げがいつか。円安と物価の上振れを背景に、年内のもう一段の利上げ観測がくすぶります。次に展望レポートが公表されるのは10月会合(10月29〜30日)。それまでの物価・賃金・為替の動きが、9月・10月会合での判断を左右します。
為替・市場への影響、用語ミニ解説
日銀の金利は、ドル円相場を大きく左右します。日本の金利が上がり、米国との金利差が縮めば、本来は円高方向の力が働きます。今回の据え置きも「想定内」でしたが、円は約40年ぶりの安値圏にあり、会合直前には為替介入も観測されました。大きな金利差が、依然として円の重荷です。