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🇺🇸 FRB(米連邦準備制度) / 2026年7月会合・金融政策インフォグラフィック

FRB、5会合連続で据え置き。 だが3人が「利上げ」を要求。

7月29日、FRBは政策金利を3.50〜3.75%に据え置きました(5会合連続)。ただし採決は9対3。反対した3名の地区連銀総裁は、いずれも0.25%の利上げを主張。6月の全会一致(12–0)から一転、利上げを求めるタカ派が一気に増えました。図で読み解きます。

政策金利(FF金利・誘導目標)
0.000.00 %
2026年7月29日 決定
据え置き(9対3)
反対3名はいずれも利上げ主張
政策金利(FF金利・誘導目標)
3.50–3.75%
7/29に5会合連続で据え置き
物価目標
2.0%
PCEベース・長期目標
消費者物価(CPI・直近)
+4.2%
2023年4月以来の高さ
採決(FOMC 12人)
9–3
反対3名は0.25%利上げを主張
01

据え置き、しかし3人が「利上げ」を主張して反対

THE DECISION

FRBは7月29日のFOMCで、政策金利(FF金利)の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置きました。1月から続く5会合連続の据え置きです。ただし今回の採決は9対3。反対したクリーブランド連銀のハマック、ミネアポリス連銀のカシュカリ、ダラス連銀のローガンの3総裁は、いずれも0.25%の利上げを求めました。

わずか1か月半前の6月会合は全会一致(12–0)でした。それが7月には3人が利上げを求めて反対する事態に。声明はウォーシュ議長のもとで簡潔なままで、「インフレは目標2%に比べて高止まりしている」「物価安定を必ず実現する(will deliver price stability)」と、引き締め姿勢を維持しました。中東情勢やエネルギーによる物価上振れへの警戒が、委員会の中で利上げ圧力となって表面化しています。

「据え置き」でも中身はタカ派: 市場では約3人に1人が利上げを見込んでいました(利上げ確率およそ1/3)。実際に3人が利上げに票を投じたことで、次回以降の利上げ再開が一段と現実味を帯びています。なお7月会合では新しい経済見通し(SEP・ドットプロット)の公表はありません。
02

5.375%の山から、ゆるやかな下り道で停止

POLICY RATE

FRBはコロナ後のインフレに対し、2022年から記録的なスピードで利上げ。FF金利は2023年7月に5.25〜5.50%(中央値5.375%、22年ぶりの高さ)でピークに。その後2024年9月から利下げに転じ、2025年12月の利下げで3.50〜3.75%へ。しかし足元はインフレ再燃で利下げを停止し、横ばいが続いています。

FF金利(誘導目標の中央値)の推移単位:%。0.375%→5.375%のピーク→3.625%、そして据え置き
出所:FRB(FOMC)の政策決定より作成(2026年7月29日決定を反映)

わずか1年半でほぼゼロから5%超へ駆け上がり、その後3.625%まで下りてきた金利が、ここで足を止めました。最後の利下げは2025年12月。以降は「高め水準を、より長く(higher for longer)」を地で行く展開です。市場が当初見込んでいた2026年の利下げは、後ずれを余儀なくされています。

03

なぜ利下げできないのか — 物価の再加速

INFLATION

理由はインフレの逆戻り。5月のCPI(消費者物価)は前年比+4.2%と、2023年4月以来の高さに跳ね上がりました。背景には、関税による物価押し上げと、中東情勢に絡むエネルギー高の二重の圧力があります。FRBが最も重視するコアPCEも+3.3%と、目標2%から大きく乖離しています。

物価は目標2%からどれだけ離れているか単位:%/前年比。点線は目標2.0%(PCEベース)
出所:米労働省(CPI, 2026年5月)・米商務省(PCE, 2026年4月)

一方で、労働市場は失業率4.3%と底堅さを保っています。物価は高いが景気は悪くない——この組み合わせが、FRBに「利下げを急ぐ理由はない」と判断させています。エネルギー価格は前年比+23.5%と急騰しており、これが落ち着くかどうかが今後の最大の鍵です。

04

6月の「ドット」が、7月の反対票に表れた

DOT PLOT & SEP

年4回の会合では、FOMCメンバー各自の金利見通しを点で示すドットプロットと経済見通し(SEP)が公表されます。7月会合ではSEPの公表はありませんが、直近6月のドットが重要です。そこでは年内の利下げ見通しが消え、18人中9人が年内利上げを予想(うち6人は2回)と、タカ派へ大きくシフトしていました。

PCEインフレ (2026年)
3.6%
失業率 (2026年末)
4.3%
年内の利下げ (中央値)
0
年内利上げ予想 (18人中)
9
出所:FRB「経済見通し要約(SEP)」2026年6月17日公表(直近)。7月会合ではSEPの更新はなし。

6月のドットが示した利上げ方向は、7月には利上げを求める3人の反対票という具体的な行動になって表れました。次に点が更新されるのは9月会合。物価の高止まりが続けば、9月のSEPで利上げが中央値として示され、実際の利上げに踏み切る可能性が高まります。

05

誰が決める? — FOMCの「12票」

STRUCTURE

金融政策は、年8回開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)で決まります。投票権を持つのは12人——ワシントンの理事7人ニューヨーク連銀総裁(常任)、そして残る11の地区連銀総裁が輪番で4人です。決定は多数決で、近年は反対票(dissent)が目立ちます。

投票権「12票」の内訳理事7人 + NY連銀総裁(常任)+ 地区連銀総裁4人(輪番)=12票
理事 7人(常に投票)NY連銀総裁(常任)地区連銀総裁 4人(輪番)
出所:FRBの投票ルールにもとづき作成(概念図)
理事7人=常に投票NY連銀総裁=常任地区連銀総裁=4票を輪番

投票の流れを追うと、4月8対4 → 6月12対0(全会一致)→ 7月9対3と大きく揺れています。6月にいったん結束したものの、7月には3人が利上げを求めて反対。据え置きの陰で、「利上げを急ぐべきだ」という声が委員会内で強まっています。反対したハマック・カシュカリ・ローガンの3総裁は、いずれも今年の投票権を持つメンバーです。

06

2026年 FOMCカレンダー

SCHEDULE

FOMCは年8回開かれ、うち3・6・9・12月の会合で経済見通し(SEP)とドットプロットが公表されます。今回の会合を終え、次回は9月15〜16日(SEP公表)です。

3月
17–18
据え置き見通し
4月
28–29
据え置き(8–4)
6月
16–17
据え置き(12–0)見通し
直近
7月
28–29
据え置き(9–3)
9月
15–16
次回見通し
10月
27–28
12月
8–9
年内最終見通し
1月
27–28
据え置き

決定は米東部時間の午後2時に発表され、その30分後に議長の記者会見が開かれます。次回9月の会合では新しいSEP(ドットプロット)が公表されます。物価が高止まりを続ければ、中央値が利上げを示し、実際の利上げに踏み切るかが最大の焦点です。反対票の増加は、その号砲となる可能性があります。

07

為替・市場への影響、用語ミニ解説

IMPACT & GLOSSARY

ドルは世界の基軸通貨。FRBの金利は、世界中の通貨・債券・株式を動かします。米国の金利が高いままなら、ドル高・円安の地合いが続きやすく、ドル円相場の重要な背景となります。日米欧の金利差を一望すると、世界の金融政策の「ねじれ」が見えてきます。

主要5中銀の政策金利(2026年7月時点)単位:%。米国はFF金利の中央値。利下げ・利上げの方向はまちまち
出所:FRB・ECB・日銀・BOE・RBAの政策金利より作成
約6.7兆ドル
FRBの総資産(バランスシート)。 コロナ後のピークから量的引き締め(QT)で縮小し、GDP比で約21%まで低下。ウォーシュ議長はさらなる縮小に前向きとされます。
FRBの総資産の推移(四半期末)単位:兆ドル。2022年の約8.95兆ドルのピークから量的引き締め(QT)で縮小
出所:FRB 週次バランスシート(H.4.1)より四半期末ベースで作成(概数)
据え置きの陰で、3人が「利上げ」に票を投じた——「次の一手」は、上に向かい始めた。
FF金利(フェデラルファンド金利)銀行同士が短期資金をやり取りする際の金利。FRBはこの誘導目標(幅)を決め、世界の金利の基準となる。
ドットプロット/SEPFOMCメンバーが将来の適正金利を点で示す図と、経済見通し要約。年4回公表され、利上げ・利下げ観測を左右する。
コアPCE食品・エネルギーを除いた個人消費支出物価。FRBが最重視するインフレ指標で、目標は前年比2%。
量的引き締め(QT)保有する国債などを満期到来とともに減らし、市場の資金を吸収する政策。金利の引き締めと並行して進む。
為替・金利の見方: 利上げや「タカ派」的な情報は、一般にドル高・米金利上昇の材料。ただし実際の相場は日米金利差・地政学・他指標で決まります。本ページは教育目的の解説で、投資助言ではありません。