日銀、1.25%へ利上げ。 31年ぶりの高さに。
9月18日、日銀は政策金利を0.25%引き上げ、1.25%程度としました(採決7対2、9月24日から適用)。1995年以来、約31年ぶりの高さです。6月の利上げから3か月での再利上げはバブル期以来の短い間隔。植田総裁は「政策の局面は変化した」と述べました。図で読み解きます。
9月24日から適用
3か月ぶりの利上げ — 31年ぶりの1.25%へ
日銀は9月17〜18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)を0.25%引き上げ、1.25%程度としました。採決は賛成7・反対2。新しい金利は9月24日から適用され、補完当座預金制度の付利金利は1.25%、基準貸付利率は1.5%になります。1.25%は1995年以来、約31年ぶりの高さです。
6月の利上げ(0.75→1.0%)からわずか3か月での再利上げで、この短い間隔はバブル期以来。日銀は声明で、基調的な物価上昇率が2%に近づいている一方、金融環境はなお緩和的だとして、「引き続き政策金利を引き上げる」と明記しました。植田総裁は会見で「政策の局面は変化した」と述べ、今後のペースについて「特定の間隔は念頭にない」としつつ、連続利上げや0.5%の大幅利上げも物価次第で排除できないと語りました。
マイナス金利から、1.25%への階段
日銀の政策金利は、長く−0.1%のマイナス圏にありました。転機は2024年3月のマイナス金利解除。同年7月に0.25%、2025年1月に0.5%、2025年12月に0.75%、2026年6月に1.0%と一段ずつ階段を上り、7月の据え置きを挟んで、9月に1.25%へ。1995年以来の水準に到達しました。
他国が「山を下りる」局面にあるのに対し、日本は「ようやく山を登っている」段階です。それでも1.25%は、米国(3.875%)や英国(3.75%)に比べれば依然としてかなり低い水準。この大きな金利差が、長く続く円安の主因となってきました。ただし1.25%は、日銀が3月に示した中立金利の推計レンジ(名目1.1〜2.5%)の下限を初めて上回った点で、節目の一歩といえます。
足元は1.7% — それでも利上げした理由
8月のコアCPI(生鮮食品を除く)は前年比+1.7%(7月は+1.8%)と、8か月連続で1%台。目標の2%を下回ったままです。それでも日銀が利上げしたのは、実績ではなく先行きの物価を見ているから。7月の展望レポートは、物価が2026年度後半に「2%を明確に上回る」との見方を示しています。
日銀は声明で、企業間取引の価格上昇が消費者物価へ波及し、賃上げの価格転嫁も続くため、コアCPIは緩やかに上昇していると説明。中長期の予想物価上昇率も上昇し、基調的なインフレ率は2%に近づいているとしました。背景にあるのは、原油高・円安に加えてAI関連需要による半導体などの値上がり。むしろ物価が2%を上振れするリスクを警戒したことが、今回の利上げにつながりました。
もう一つの正常化 — 国債買い入れの減額
日銀は金利だけでなく、大量に買い続けてきた国債(JGB)の買い入れを減らす正常化も並行して進めています。減額は2027年4月以降に月2兆円程度で固定する計画で、長期金利の急騰に配慮しつつ、市場の安定を優先して進めています。
日銀は買い入れ額を四半期ごとに段階的に減らし、2027年1〜3月に月2兆円程度まで縮小したうえで、その後は減額を停止します。金利を上げつつ、国債市場の急変は避ける——この「二正面の正常化」を、市場を驚かせないよう慎重に進めるのが日銀の課題です。
誰が決める? — 政策委員会の「9人」
金融政策は、年8回開かれる金融政策決定会合で、9人の政策委員の多数決で決まります。内訳は総裁1人・副総裁2人・審議委員6人。今回は9人全員が出席し、賛成7・反対2で利上げが決まりました。反対した2名は、いずれも据え置きを主張しています。
賛成したのは植田総裁、氷見野・内田両副総裁、高田・田村・小枝・増の各審議委員。反対は浅田・佐藤の両委員で、いずれも「今は据え置くべきだ」という立場でした。一方で高田・田村の両委員は、物価見通しの記述について「基調的な物価はすでに目標に達している」として反対しており、委員会はハト派とタカ派の両側から割れている状態です。
2026年 金融政策決定会合カレンダー
会合は年8回。うち1・4・7・10月の会合では、経済・物価の見通しを示す「展望レポート」が公表され、市場が特に注目します。今回の会合を終え、次回は10月29〜30日(展望レポート公表)です。
市場の最大の関心は、次の利上げがいつか。植田総裁が「特定の間隔は念頭にない」としつつ連続利上げも排除しなかったため、10月会合での追加利上げも選択肢として意識されます。次の展望レポートは10月29〜30日の会合で公表予定。それまでの物価・賃金・為替の動きが判断を左右します。
為替・市場への影響、用語ミニ解説
日銀の金利は、ドル円相場を大きく左右します。日本の金利が上がり、米国との金利差が縮まれば、本来は円高方向の力が働きます。ただし今回は、植田総裁が追加利上げのペースについて「特定の間隔は念頭にない」と述べたことがハト派的と受け止められ、円は伸び悩みました。日米の金利差は依然として大きいままです。