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🇺🇸 FRB(米連邦準備制度) / 2026年9月会合・金融政策インフォグラフィック

FRB、利上げに転換。 2023年以来、初の引き上げ。

9月16日、FRBは政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。利上げは2023年以来。採決は全会一致の12対0で、7月に3人が求めた利上げが、今回は委員会全体の総意になりました。ドットプロットは年内もう一段の利上げも示唆。図で読み解きます。

政策金利(FF金利・誘導目標)
0.00–0.00 %
2026年9月16日 決定
+0.25%利上げ(12対0)
2023年以来・全会一致
政策金利(FF金利・誘導目標)
3.75–4.00%
9/16に+0.25%利上げ(2023年以来)
物価目標
2.0%
PCEベース・長期目標
消費者物価(CPI・8月)
+3.4%
ガソリン高で高止まり(+27%)
採決(FOMC 12人)
12–0
全会一致で利上げ
01

2023年以来の利上げ — 全会一致で決定

THE DECISION

FRBは9月16日のFOMCで、政策金利(FF金利)の誘導目標を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。利上げは2023年7月以来、実に約3年ぶりです。1月から続いた据え置き局面を終え、金融政策は引き締め方向へ転換。採決は12対0の全会一致でした。

7月には3人の地区連銀総裁が利上げを求めて反対していましたが、今回は委員全員が利上げに賛成。声明はウォーシュ議長のもとで簡潔に、「インフレは依然として高止まりしている(remains elevated)」と述べ、今回の利上げは物価を目標2%へより早く戻すためと説明しました。中東情勢とエネルギー高による物価上振れが、ついに委員会を利上げへと動かした形です。

ドットは「もう一段」を示唆: 同時公表のドットプロット(SEP)では、18人中16人が年内さらなる利上げを予想(うち4人は2回)。2026年末の政策金利の中央値は約4.1%(4.00〜4.25%)で、年内もう1回の利上げを織り込む水準です。ウォーシュ議長は着任以降、自身のドットを提出していません。
02

5.375%の山、下り道、そして再上昇

POLICY RATE

FRBはコロナ後のインフレに対し、2022年から記録的なスピードで利上げ。FF金利は2023年7月に5.25〜5.50%(中央値5.375%、22年ぶりの高さ)でピークに。その後2024年9月から利下げに転じ、2025年12月に3.50〜3.75%まで低下。しかし物価の高止まりを受けて利下げを停止し、9月に約3年ぶりの利上げで3.875%へ反転しました。

FF金利(誘導目標の中央値)の推移単位:%。0.375%→5.375%のピーク→3.625%→3.875%(再上昇)
出所:FRB(FOMC)の政策決定より作成(2026年9月16日決定を反映)

わずか1年半でほぼゼロから5%超へ駆け上がり、その後3.625%まで下りてきた金利が、ここでふたたび上を向きました。最後の利下げは2025年12月。約9か月の横ばいを経て、方向は「利下げ」から「利上げ」へ。市場が当初見込んでいた2026年の利下げは幻となり、「higher for longer」から「利上げ再開」へと局面が変わりました。

03

なぜ利上げしたのか — 物価の高止まり

INFLATION

引き金はインフレの高止まり。8月のCPI(消費者物価)は前年比+3.4%と高水準が続き、ガソリンは前年比+27.4%と急騰しました。中東情勢に絡むエネルギー高が、物価を押し上げ続けています。一方でコアCPIは+2.4%(2021年3月以来の低さ)まで低下しており、物価高は「エネルギー主導」の色彩が濃いのが特徴です。

総合はエネルギーで高止まり、コアは低下単位:%/前年比。点線は目標2.0%。8月分(CPI)
出所:米労働省(CPI, 2026年8月・9/11公表)。目標はFRBの長期目標

コアが落ち着くなかでFRBが利上げに動いたのは、エネルギー高が賃金や他の価格へ波及する「二次的影響」を未然に防ぐためです。同時公表のSEPでは、2026年のPCEインフレ見通しが3.7%、コアPCEが3.4%へ引き上げられました。物価が想定より高く推移するとの前提が、全会一致の利上げにつながりました。

04

9月のドットは「もう一段の利上げ」を示す

DOT PLOT & SEP

年4回の会合では、FOMCメンバー各自の金利見通しを点で示すドットプロットと経済見通し(SEP)が公表されます。9月に更新されたドットは18人中16人が年内さらなる利上げを予想(うち4人は2回)と、明確にタカ派。2026年末の中央値は約4.1%で、今回の利上げに加えてもう1回を織り込む水準です。

政策金利 中央値 (2026年末)
4.1%
PCEインフレ (2026年)
3.7%
コアPCE (2026年)
3.4%
年内利上げ予想 (18人中)
16人
出所:FRB「経済見通し要約(SEP)」2026年9月16日公表。ウォーシュ議長はドットを提出せず。

7月に3人の反対票として表れたタカ派の勢いは、9月には全会一致の利上げ+タカ派のドットという形で結実しました。2027年末の中央値も4.1%と高止まりが示され、当面は引き締め的な水準が続く見通しです。次に点が更新されるのは12月会合。年内もう1回の利上げがあるかが最大の焦点です。

05

誰が決める? — FOMCの「12票」

STRUCTURE

金融政策は、年8回開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)で決まります。投票権を持つのは12人——ワシントンの理事7人、ニューヨーク連銀総裁(常任)、そして残る11の地区連銀総裁が輪番で4人です。決定は多数決で、近年は反対票(dissent)が目立ちます。

投票権「12票」の内訳理事7人 + NY連銀総裁(常任)+ 地区連銀総裁4人(輪番)=12票
理事 7人(常に投票)NY連銀総裁(常任)地区連銀総裁 4人(輪番)
出所:FRBの投票ルールにもとづき作成(概念図)
理事7人=常に投票NY連銀総裁=常任地区連銀総裁=4票を輪番

投票の流れを追うと、4月8対4 → 6月12対0 → 7月9対3 → 9月12対0(全会一致で利上げ)と推移しました。7月に据え置きに反対して利上げを求めた3人(ハマック・カシュカリ・ローガン)の主張に、9月は委員会全体が歩み寄った形です。据え置きをめぐる不一致は、利上げという結論のもとでいったん収束しました。

06

2026年 FOMCカレンダー

SCHEDULE

FOMCは年8回開かれ、うち3・6・9・12月の会合で経済見通し(SEP)とドットプロットが公表されます。今回の会合を終え、次回は10月27〜28日です。

4月
28–29
据え置き(8–4)
6月
16–17
据え置き(12–0)見通し
7月
28–29
据え置き(9–3)
直近
9月
15–16
+0.25%利上げ(12–0)見通し
10月
27–28
次回
12月
8–9
年内最終見通し
1月
27–28
—
3月
17–18
—見通し

決定は米東部時間の午後2時に発表され、その30分後に議長の記者会見が開かれます。今回は新しいSEP(ドットプロット)も公表され、年内もう一段の利上げが示唆されました。物価の高止まりが続けば、10月または12月に追加利上げに踏み切るかが最大の焦点です。

07

為替・市場への影響、用語ミニ解説

IMPACT & GLOSSARY

ドルは世界の基軸通貨。FRBの金利は、世界中の通貨・債券・株式を動かします。米国の金利が高いままなら、ドル高・円安の地合いが続きやすく、ドル円相場の重要な背景となります。日米欧の金利差を一望すると、世界の金融政策の「ねじれ」が見えてきます。

主要5中銀の政策金利(2026年9月16日時点)単位:%。米国はFF金利の中央値。利下げ・利上げの方向はまちまち
出所:FRB・ECB・日銀・BOE・RBAの政策金利より作成
約6.7兆ドル
FRBの総資産(バランスシート)。 コロナ後のピークから量的引き締め(QT)で縮小し、GDP比で約21%まで低下。ウォーシュ議長はさらなる縮小に前向きとされます。
FRBの総資産の推移(四半期末)単位:兆ドル。2022年の約8.95兆ドルのピークから量的引き締め(QT)で縮小
出所:FRB 週次バランスシート(H.4.1)より四半期末ベースで作成(概数)
据え置きから、全会一致の利上げへ——「次の一手」は、ついに上へ動き出した。
FF金利(フェデラルファンド金利)銀行同士が短期資金をやり取りする際の金利。FRBはこの誘導目標(幅)を決め、世界の金利の基準となる。
ドットプロット/SEPFOMCメンバーが将来の適正金利を点で示す図と、経済見通し要約。年4回公表され、利上げ・利下げ観測を左右する。
コアPCE食品・エネルギーを除いた個人消費支出物価。FRBが最重視するインフレ指標で、目標は前年比2%。
量的引き締め(QT)保有する国債などを満期到来とともに減らし、市場の資金を吸収する政策。金利の引き締めと並行して進む。
為替・金利の見方: 利上げや「タカ派」的な情報は、一般にドル高・米金利上昇の材料。ただし実際の相場は日米金利差・地政学・他指標で決まります。本ページは教育目的の解説で、投資助言ではありません。