FRB、利上げに転換。 2023年以来、初の引き上げ。
9月16日、FRBは政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。利上げは2023年以来。採決は全会一致の12対0で、7月に3人が求めた利上げが、今回は委員会全体の総意になりました。ドットプロットは年内もう一段の利上げも示唆。図で読み解きます。
2023年以来・全会一致
2023年以来の利上げ — 全会一致で決定
FRBは9月16日のFOMCで、政策金利(FF金利)の誘導目標を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。利上げは2023年7月以来、実に約3年ぶりです。1月から続いた据え置き局面を終え、金融政策は引き締め方向へ転換。採決は12対0の全会一致でした。
7月には3人の地区連銀総裁が利上げを求めて反対していましたが、今回は委員全員が利上げに賛成。声明はウォーシュ議長のもとで簡潔に、「インフレは依然として高止まりしている(remains elevated)」と述べ、今回の利上げは物価を目標2%へより早く戻すためと説明しました。中東情勢とエネルギー高による物価上振れが、ついに委員会を利上げへと動かした形です。
5.375%の山、下り道、そして再上昇
FRBはコロナ後のインフレに対し、2022年から記録的なスピードで利上げ。FF金利は2023年7月に5.25〜5.50%(中央値5.375%、22年ぶりの高さ)でピークに。その後2024年9月から利下げに転じ、2025年12月に3.50〜3.75%まで低下。しかし物価の高止まりを受けて利下げを停止し、9月に約3年ぶりの利上げで3.875%へ反転しました。
わずか1年半でほぼゼロから5%超へ駆け上がり、その後3.625%まで下りてきた金利が、ここでふたたび上を向きました。最後の利下げは2025年12月。約9か月の横ばいを経て、方向は「利下げ」から「利上げ」へ。市場が当初見込んでいた2026年の利下げは幻となり、「higher for longer」から「利上げ再開」へと局面が変わりました。
なぜ利上げしたのか — 物価の高止まり
引き金はインフレの高止まり。8月のCPI(消費者物価)は前年比+3.4%と高水準が続き、ガソリンは前年比+27.4%と急騰しました。中東情勢に絡むエネルギー高が、物価を押し上げ続けています。一方でコアCPIは+2.4%(2021年3月以来の低さ)まで低下しており、物価高は「エネルギー主導」の色彩が濃いのが特徴です。
コアが落ち着くなかでFRBが利上げに動いたのは、エネルギー高が賃金や他の価格へ波及する「二次的影響」を未然に防ぐためです。同時公表のSEPでは、2026年のPCEインフレ見通しが3.7%、コアPCEが3.4%へ引き上げられました。物価が想定より高く推移するとの前提が、全会一致の利上げにつながりました。
9月のドットは「もう一段の利上げ」を示す
年4回の会合では、FOMCメンバー各自の金利見通しを点で示すドットプロットと経済見通し(SEP)が公表されます。9月に更新されたドットは18人中16人が年内さらなる利上げを予想(うち4人は2回)と、明確にタカ派。2026年末の中央値は約4.1%で、今回の利上げに加えてもう1回を織り込む水準です。
7月に3人の反対票として表れたタカ派の勢いは、9月には全会一致の利上げ+タカ派のドットという形で結実しました。2027年末の中央値も4.1%と高止まりが示され、当面は引き締め的な水準が続く見通しです。次に点が更新されるのは12月会合。年内もう1回の利上げがあるかが最大の焦点です。
誰が決める? — FOMCの「12票」
金融政策は、年8回開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)で決まります。投票権を持つのは12人——ワシントンの理事7人、ニューヨーク連銀総裁(常任)、そして残る11の地区連銀総裁が輪番で4人です。決定は多数決で、近年は反対票(dissent)が目立ちます。
投票の流れを追うと、4月8対4 → 6月12対0 → 7月9対3 → 9月12対0(全会一致で利上げ)と推移しました。7月に据え置きに反対して利上げを求めた3人(ハマック・カシュカリ・ローガン)の主張に、9月は委員会全体が歩み寄った形です。据え置きをめぐる不一致は、利上げという結論のもとでいったん収束しました。
2026年 FOMCカレンダー
FOMCは年8回開かれ、うち3・6・9・12月の会合で経済見通し(SEP)とドットプロットが公表されます。今回の会合を終え、次回は10月27〜28日です。
決定は米東部時間の午後2時に発表され、その30分後に議長の記者会見が開かれます。今回は新しいSEP(ドットプロット)も公表され、年内もう一段の利上げが示唆されました。物価の高止まりが続けば、10月または12月に追加利上げに踏み切るかが最大の焦点です。
為替・市場への影響、用語ミニ解説
ドルは世界の基軸通貨。FRBの金利は、世界中の通貨・債券・株式を動かします。米国の金利が高いままなら、ドル高・円安の地合いが続きやすく、ドル円相場の重要な背景となります。日米欧の金利差を一望すると、世界の金融政策の「ねじれ」が見えてきます。