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🇦🇺 RBA(豪州準備銀行) / 2026年8月会合・金融政策インフォグラフィック

RBA、4.35%で連続据え置き。 ただし利上げの扉は開けたまま。

8月11日、豪州準備銀行は政策金利を4.35%で全員一致の据え置きとしました。6月に続く2会合連続の据え置きです。ただし物価はなお高く(CPI+3.8%)、声明は「上振れリスクが顕在化すれば追加利上げも辞さない」と明言。タカ派色を残した据え置きを、図で読み解きます。

政策金利(キャッシュレート)
0.00 %
2026年8月11日 決定
据え置き(全員一致)
4.35%を維持・6月に続く据え置き
政策金利(キャッシュレート)
4.35%
8/11に全員一致で据え置き(2会合連続)
物価目標
2–3%
レンジ目標(中点2.5%)
消費者物価(CPI・6月四半期)
+3.8%
5月の4.0%から鈍化
トリム平均(基調・6月四半期)
+3.6%
横ばい・目標上限の3%を上回る
01

2会合連続の据え置き — でも「上」への警戒は続く

THE HOLD

豪州準備銀行(RBA)は8月11日の会合で、政策金利(キャッシュレート)を4.35%で据え置きました。採決は全員一致で、6月に続く2会合連続の据え置きです。2026年に入って2月・3月・5月と3回利上げした後、金融環境は引き締まったと判断。ただし声明は「ヘッドラインインフレはなお高すぎる」とし、上振れリスクが顕在化すれば追加利上げも辞さないと明言しました。

物価は基調(トリム平均)でも高止まりし、原油など中東発のコスト圧力が価格転嫁に波及しています。一方で金利は「やや引き締め的」な水準にあり、住宅価格の一部下落や新規住宅ローンの減少、労働市場の緩和など、景気減速のサインも出始めました。ブロック総裁は「インフレを持続的に目標へ戻すために必要なことは行う」と、タカ派的な姿勢を維持しています。

「ホーキッシュ・ホールド」とは: 金利は据え置くものの、声明や会見では利上げの可能性を残し、引き締め姿勢を示す状態。RBAの8月の決定はまさにこれで、基調インフレが目標中点(2.5%)へ戻るのは2027年後半と見込まれ、しかも上振れリスクありとしています。
02

下げて、また上げる — 金利の「往復」

POLICY RATE

RBAは2022年から利上げを進め、2023年11月に4.35%でピークに。その後2024年末から利下げに転じ、2025年5月に3.60%まで下げました。ところが物価が再燃し、2026年に入って3回連続で利上げ。同年5月に再び4.35%へ戻り、6月・8月はこれを据え置き——山を下りて、また同じ頂上に登り直し、そこで足を止めた形です。

キャッシュレートの「往復」単位:%。4.35%ピーク→3.60%の底→再び4.35%、そして据え置き
出所:豪州準備銀行の政策決定より作成(2026年8月11日決定を反映)

この「往復」は、インフレとの戦いがいかに一筋縄でいかないかを物語ります。いったん下がったインフレが、エネルギー高で再び加速し、利下げを帳消しに。現在の4.35%は前回ピークと同じ水準ですが、「据え置きで到達」ではなく「利上げで再到達」した点が決定的に異なります。

03

物価は鈍化、でも目標レンジの「上」

INFLATION

6月四半期のCPI(消費者物価)は前年比+3.8%と、5月の+4.0%から小幅に鈍化しました。しかしRBAが重視する基調インフレ(トリム平均)は+3.6%と横ばいで、3月四半期からほとんど変わっていません。目標レンジ2〜3%の上限を上回ったままで、据え置きでも警戒を解けない根拠となっています。

物価と「2〜3%」の目標レンジ単位:%/前年比。帯が目標レンジ。基調は上限超え
出所:豪州統計局(ABS)四半期CPI(2026年6月四半期)。RBAの目標は2〜3%

RBAの物価目標は、米欧日のような「2%」のピンポイントではなく「2〜3%のレンジ」。基調インフレがこの帯の上限を超えている限り、RBAは利下げに動きにくくなります。原油や関連コモディティが中東情勢で高止まりし、企業が価格転嫁を進めているのも懸念材料。物価と景気の板挟みが続いています。

04

足元に忍び寄る、景気の影

ECONOMY

3回の利上げを経て、豪州経済には減速のサインが広がっています。声明は「消費支出の伸びが緩やかに鈍化している」「住宅市場の勢いが変化し、一部の都市で住宅価格が下落、新規住宅ローンも目立って減少」と指摘。労働市場も、ここ数か月で想定よりやや強めに緩和しました。豪ドルは3回の利上げを受けて上昇しています。

豪ドル上昇・住宅減速
引き締めの効果が浸透。年内3回の利上げでマネーマーケット金利や国債利回りが上昇し、豪ドルも上昇。一方で住宅価格の下落や新規ローンの減少など、金利上昇の影響が家計に及び始めています。

RBAは「中東情勢の長期化で世界と豪州の成長が下振れる可能性がある」と警告する一方、AI関連投資の追い風で主要貿易相手国の成長は想定より強いとも指摘。企業の設備投資や債務の伸びは堅調です。インフレを抑えつつ景気を冷やしすぎない——この綱渡りが、連続据え置きの背景にあります。

05

割れて、まとまる — 理事会の票の動き

STRUCTURE

金融政策は、2025年に新設された金融政策委員会(Monetary Policy Board)で決まります。9人のメンバーが議論し、近年は票の内訳も公表されるようになりました。2026年のこれまでの会合をたどると、委員会の「迷い」と「収束」が見えてきます。

3月
利上げ→4.10%
5 対 4
5月
利上げ→4.35%
8 対 1
6月
据え置き4.35%
全員一致
8月
据え置き4.35%
全員一致
多数派(決定どおり)反対票

3月会合は5対4と真っ二つ。利上げを急ぐべきか慎重になるべきか、委員会が最も揺れた瞬間でした。その後5月は8対1で利上げに収束し、6月・8月は連続で全員一致の据え置き。票の動きは、政策の「迷いから合意へ」のプロセスをそのまま映し出しています。決定はシドニー時間14時30分、その1時間後にブロック総裁が会見します。

06

2026年 金融政策委員会カレンダー

SCHEDULE

会合は年8回、おおむね6週間ごとに開かれます。うち2・5・8・11月の会合では、四半期ごとの詳細な金融政策報告(SMP)が公表されます。本日の会合を終え、次回は9月28〜29日です。

3月
16–17
利上げ4.10%
5月
4–5
利上げ4.35%SMP
6月
15–16
据え置き
直近
8月
10–11
据え置きSMP
9月
28–29
次回
11月
2–3
—SMP
12月
7–8
年内最終
2月
2–3
—SMP

市場の関心は、4.35%が「打ち止め」になるのか、それとも通過点なのか。基調インフレが目標レンジ(2〜3%)へ低下すれば据え置き継続、逆に原油高などで再加速すれば追加利上げ——8月のSMP(金融政策報告)が示した見通しをふまえ、次の一手が注目されます。

07

為替・市場への影響、用語ミニ解説

IMPACT & GLOSSARY

豪ドルは代表的な資源国通貨で、RBAの金利と中国・商品市況に左右されます。利上げは通常、豪ドル高の材料ですが、足元では原油の落ち着きや景気減速懸念が重しとなり、「タカ派でも豪ドルが上がりにくい」状況に。対円では、豪州の高金利が豪ドル買い・円売りの背景となってきました。

主要5中銀の政策金利(2026年8月11日時点)単位:%。豪州はこのなかで最も高い水準
出所:RBA・FRB・ECB・BOE・日銀の政策金利より作成
RBAの総資産の推移(四半期末)単位:億豪ドル。コロナ対応の約6,470億豪ドルのピークから、TFFの返済・債券償還で縮小
出所:豪州準備銀行 バランスシート統計より四半期末ベースで作成(概数)
下げた金利を、わずか1年で元の高さへ——インフレとの戦いは、まだ終わっていない。
キャッシュレート銀行間で翌日物資金をやり取りする際の金利。RBAが目標を定める、豪州の政策金利。
トリム平均(基調インフレ)価格変動の大きい品目を除いて算出する物価指標。一時的なブレを除いた物価の「基調」を示し、RBAが重視する。
2〜3%の目標レンジRBAの物価目標。1点ではなく幅で示すのが特徴で、基調インフレをこの帯の中に収めることを目指す。
資源国通貨鉄鉱石・石炭など資源輸出に経済が依存する国の通貨。豪ドルは中国の需要や商品価格の影響を強く受ける。
為替・金利の見方: 利上げや「タカ派」的な情報は、一般に豪ドル高・豪金利上昇の材料。ただし実際の相場は各国の金利差・中国景気・商品市況・他指標で決まります。本ページは教育目的の解説で、投資助言ではありません。