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相関マトリクスの実測|一緒に動く銘柄と、当てにならない組み合わせ

カバー画像。中央に9かける9の相関マトリクスの色マス表があり、対角線は濃い青、その他のマスは濃い青から薄い青、ほぼ白、薄い赤、濃い赤へと分布している。右側にはマトリクスから取り出した5つのマスが3つのグループに分かれて並び、上の3つは濃い青に緑の枠、真ん中の1つは左半分が青で右半分が赤、いちばん下の1つはほぼ白で破線の枠
相関マトリクスは主要19銘柄の値動きの連動度合いを数値にして表示するツールで、FX、株価指数、コモディティ、仮想通貨をまたいで比較できます。この記事では171組の組み合わせについて5つの期間の数値をすべて読み出して比較し、どの組み合わせが本当に一緒に動くのか、どれが期間を変えると答えが変わるのかを整理しました。

一緒に動く組み合わせは、そのまま「同じ方向で同時に持ってはいけないリスト」になります。金と銀は5つの期間すべてで +0.83 以上、US500 と NAS100 も +0.83 以上、豪ドルとNZドルも +0.77 以上。当てにならないほうは差が大きく符号まで反転し、たとえばダウとブレント原油は +0.10 から -0.67 まで動きます。

本記事のポイント
  • 5つの期間すべてで成立する組み合わせ:金 × 銀(+0.83〜+0.93)、US500 × NAS100(+0.83〜+0.94)、豪ドル × NZドル(+0.77〜+0.84)
  • このリストの使い方は単純で、これらを同じ方向で同時に持つと、同じ取引を二度やっているのと変わりません
  • 当てにならない組み合わせ:ダウ × ブレント原油は5つの期間のあいだで +0.10 から -0.67 まで動き、方向そのものが反転します
  • 171組のうち 44組が少なくとも一度は符号反転。係数を見たら、まず期間を一度切り替えてから使うこと
  • 資産クラスをまたぐ関係は、同じクラス内の関係より平均して不安定です
  • 低相関は分散の手がかりにはなりますが、ストレス相場では低相関だった資産も一緒に下げることがあります
  • 相関係数は値動きの同期の程度を示すだけで、どちらがどちらを動かしているかは説明しません

1. 相関マトリクスとは何か、いつ使うか

相関マトリクスは、主要19銘柄の2つずつの組み合わせについて値動きの連動度合いを色マスで表した表です。FX、株価指数、コモディティ、仮想通貨をまたいでいます。マスの一つひとつが相関係数で、-1 から +1 のあいだの数値、選択した期間の変動率から計算されます。+1 に近ければ同じ方向へ、-1 に近ければ逆方向へ、0 に近ければ値動きに目立った関連がないという意味です。青が濃いほど正の相関が強く、赤が濃いほど負の相関が強くなります。

ページ下部には「銘柄別 相関ランキング」もあり、任意の銘柄を選ぶと、TitanFX全銘柄に対する相関係数の上位20をプラス側とマイナス側の2つのリストで表示します。

相関マトリクスのメイン画面。上部に1週間から1年間までの期間ボタンとFX、株価指数、コモディティ、仮想通貨のカテゴリフィルタが並び、その下に19銘柄の色マスの表が広がっている。青いマスが正の相関、赤いマスが負の相関を示す

4つの場面で使う

こんなとき知りたいこと
すでにポジションがあり、もう一つ建てたい新しいほうが既存の焼き直しになっていないか
3つ4つの銘柄を同時に持ち、分散できている気がする同じファクターを共有していないか
既存のポジションにヘッジを探したいどの銘柄が逆方向に動くのか
ある銘柄が動いたので裏付けがほしいふだん同期している銘柄がついてきているか

ツールページではこの4つを、ポジションの重複回避、分散投資とリスク管理、ヘッジ、トレンドの裏付けと呼んでいます。4つとも聞いていることは同じで、2つの銘柄が似た動きをするかどうかです。

ツールページの下部には完全な使用ガイドが付いています。相関係数の定義と対象銘柄、色のスケール(濃い青 +0.7 以上、白 -0.3 から +0.3、濃い赤 -0.7 以下)、そして上の4つの用途の操作説明です。相関の理論やよくあるパターン、ヘッジへの応用は通貨相関とは?よくあるパターン・リスク管理・Titan FX ツールを参照してください。この記事ではそれを繰り返さず、実際の数字だけを扱います。

相関マトリクスを開く

2. 本当に一緒に動く銘柄

以下の組み合わせは、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間の5つの期間すべてで同じ方向と近い強度を保っています。いちばん右の欄は5つの数値の最大値と最小値の差で、小さいほど5つの期間の答えが揃っているという意味です。

組み合わせ1週間1ヶ月3ヶ月6ヶ月1年間5期間の差
XAUUSD × XAGUSD+0.93+0.86+0.90+0.86+0.830.10
US500 × NAS100+0.90+0.83+0.92+0.92+0.940.11
US500 × US30+0.85+0.81+0.83+0.86+0.850.05
AUDUSD × NZDUSD+0.77+0.77+0.77+0.84+0.840.07
USDCAD × USDCHF+0.59+0.65+0.66+0.69+0.670.10
USDJPY × USDCHF+0.50+0.50+0.57+0.61+0.600.11
GBPUSD × USDCAD-0.63-0.60-0.61-0.60-0.600.03
相関マトリクスの一部を拡大した画面。XAUUSD と XAGUSD、US500 と NAS100、AUDUSD と NZDUSD の3つの交点にあたる濃い青のマスが赤枠で示されている

上の6組が正の相関、いちばん下の1組が負の相関です。正の相関の組を同じ方向で同時に持つと、同じ取引を二度やったのと変わりません。負の相関の組を同じ方向で持てば、互いに打ち消し合います。

これらの組み合わせの多くには、連動を説明できる共通ファクターがあります。

  • 金と銀はどちらも貴金属で、実質金利と安全資産需要という線を共有しています(銀には工業需要もあるため、係数は +1 まで届きません)
  • US500、NAS100、US30は同じ株式市場の切り取り方を変えたもので、米国株全体のリスク選好の影響を受け、構成銘柄も重なります
  • 豪ドルとNZドルはどちらも米ドルのファクターを含み、両国の経済構造や輸出先も近い関係にあります
  • GBPUSD と USDCADの負の相関は、建値における米ドルの位置が逆であることが大きく効いています

共通ファクターは一致の理由を説明できますが、相関係数そのものが因果を証明するわけではありません。ポンドとカナダドルにもそれぞれ固有の要因があり、米ドルという線が比較的強いというだけです。

これらの数字は 2026 年 9 月 9 日に読み取ったもので、5つの期間をまとめて確認したうえで掲載しています。ただし、この一致が永久に続くという意味ではありません。計算方法と限界は第4章にあります。

3. 当てにならない組み合わせ

もう一方の端にある組み合わせは、期間を変えると答えが変わります。

組み合わせ1週間1ヶ月3ヶ月6ヶ月1年間5期間の差
US30 × XBRUSD+0.10-0.26-0.67-0.53-0.350.77
US500 × XBRUSD+0.14-0.32-0.51-0.43-0.270.65
AUDUSD × US500+0.07+0.48+0.60+0.69+0.630.62
USDCHF × US500+0.14-0.30-0.28-0.50-0.200.64
EURUSD × XAUUSD-0.02+0.59+0.54+0.31+0.190.61
相関マトリクスの一部を拡大した画面を2枚並べたもの。どちらも US30 と XBRUSD の交点を赤枠で示している。左は期間1週間でそのマスが薄い色のプラス値、右は期間3ヶ月ではっきりした赤のマイナス値になっている

ダウとブレント原油がいちばん分かりやすい例です。1週間では +0.10、3ヶ月では -0.67。「ダウと原油は同じ方向か逆方向か」という同じ問いに、2つの期間が逆の答えを返します。ユーロと金も同様で、1週間ではほぼ無関係(-0.02)、1ヶ月では中程度の正の相関(+0.59)、1年間ではまた +0.19 まで薄まります。

このグループの特徴は、両者を動かしている共通ファクターが市場環境によって入れ替わることです。株価指数と原油を例にとると、市場が需要の伸びを見ているときは一緒に上がることがあり、供給ショックやインフレ圧力による原油高に焦点が移れば方向が逆になることもあります。

171組のうち44組が、少なくとも一度は符号の反転を起こしています。4組に1組は、期間の選び方によって逆の方向を読んでしまう計算です。資産クラスをまたぐ関係はさらに不安定で、同じクラス内の45組の平均差が 0.24 なのに対し、クラスをまたぐ126組は 0.31 でした。

最も極端な1組

BTCUSD と ETHUSD の5つの数値は、171組のなかで差が最も大きいものです。

期間1週間1ヶ月3ヶ月6ヶ月1年間
BTCUSD × ETHUSD+0.86+0.13+0.90+0.89+0.91

4つの期間が +0.86 から +0.91 に収まるなか、1ヶ月だけが +0.13 です。銘柄別 相関ランキングで見るとさらにはっきりします。同じく BTCUSD を基準銘柄にして、期間を1週間にすると ETHUSD は2位、1ヶ月に切り替えると19位まで下がり、XRPUSD と BCHUSD は両方の期間で上位2つに留まっています。

銘柄別 相関ランキングの画面を2枚並べたもの。どちらも基準銘柄は BTCUSD。左は期間1週間で、強い順相関の2位が ETHUSD の +0.86。右は期間1ヶ月で、ETHUSD は19位の +0.13 まで下がり、上位2つは XRPUSD と BCHUSD になっている

ここから言えるのは、この1ヶ月という区間では両者の値動きの同期の程度が明らかに落ちた、ということだけです。どちらが独自の相場を作ったのか、数日の大きな変動によるものなのか、この乖離が続くのかは、相関係数だけでは判断できません。

4. この数字の出し方

19銘柄から2つを選ぶ重複なしの組み合わせは 19 × 18 ÷ 2 = 171組です。それぞれについて5つの期間の相関係数を1回ずつ記録し、5つの数値の最大値から最小値を引いたものを比較の指標にしました。BTCUSD と ETHUSD なら最大 +0.91、最小 +0.13 で、差は 0.78 になります。

171組全体の分布は次のとおりです。

組数割合
5期間で少なくとも一度符号反転4426%
差が 0.5 超2716%
差が 0.3 超6538%

この比較の限界

ここでの数値はツールから読み取ったもので、元の価格データから計算し直してはいません。つまりこれは比較であって、独立した検証ではありません。

サンプルの取り方にも限界があります。5つの期間はいずれも同じ締め日から遡るため、サンプルが大きく重複しています。1週間のデータは1ヶ月に完全に含まれ、1ヶ月は3ヶ月に含まれます。したがってここでの差は現時点で長さの違う期間がどれだけ揃った答えを返すかを測れるだけで、ある組み合わせが長期的に安定していることの証明にはなりません。安定度を厳密に判断するには、締め日を変えたローリング相関を見る必要があります。

相関係数そのものも、因果関係を含まず、値動きの大きさを反映せず、極端な相場でのテールリスクもカバーしません。

5. 実際に使うときの3点

期間はまず保有期間に合わせる

係数を見たら、それが対応している期間が自分の想定保有期間と近いかをまず確認し、さらに一段長い期間に切り替えて方向が変わらないかを見ます。この一手が、符号反転を起こす44組をふるい落とすためのものです。主要な期間で -0.6 でも、一段長い期間が +0.3 なら、その負の相関は数週間持つヘッジポジションを支えるには足りません。

相関マトリクス上部のコントロール列を拡大し赤枠で示した画面。左側に1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間の5つの期間ボタンが並び、1ヶ月が選択された状態になっている。右側にFX、株価指数、コモディティ、仮想通貨の4つのカテゴリフィルタがある

低相関は分散を保証しない

分散の直感は相関係数が 0 に近い銘柄を探すことですが、それは手がかりの一部にすぎません。平常時に 0 に近いことは、ストレス相場でも同じ分散効果が得られることを意味しません。流動性の逼迫や市場全体のレバレッジ解消の局面では、ふだん無関係なリスク資産がまとめて下げることがよくあります。係数のほかに、値動きの大きさ、流動性、資産の種類も見る必要があります。

ランキングはどちらの端を見るか

銘柄別 相関ランキングは強い順相関と強い逆相関の2つに分かれ、それぞれ強さの順に並びます。重複エクスポージャーを確認したいなら見るのは順相関リストの先頭で、そこに並ぶ銘柄が同じ方向で同時に持つべきでないものです。

低相関の候補を探すなら、このリストは出発点にしかなりません。各方向で最も強い20銘柄しか載らないため、0 に近い中間の大部分は表示されないことがあります。ランキングから逆算するより、マトリクス上で候補銘柄の係数が 0 に近いかを直接確認し、いくつかの期間に切り替えて急に高くならないかを見るほうが確実です。

5ステップの絞り込み

6. FAQ

Q1:相関係数はいくつから「高い」と言えますか?

ツールページの色スケールが目安を示しています。+0.7 以上が強い正の相関、+0.3 から +0.7 が中程度の正の相関、-0.3 から +0.3 が弱い相関です。ただし高さだけでは足りません。それが自分の保有期間に対応しているか、他の期間が逆のシグナルを出していないかも合わせて確認します。2〜3日の短期売買なら直近1週間の +0.8 のほうが1年間の +0.6 より参考になることがあり、長期の配分ならその逆で、長い期間でも維持されるかどうかを重く見ることになります。

Q2:なぜマトリクスは19銘柄しかないのですか?

19銘柄はメインのヒートマップの範囲で、FX、株価指数、コモディティ、仮想通貨の代表的な銘柄を横並びで比較しやすくするためのものです。他の銘柄を見たいときは下部の銘柄別 相関ランキングを使います。こちらは TitanFX全銘柄(米国株CFD除く)をカバーしますが、一度に基準にできるのは1銘柄だけです。

Q3:なぜ同じ組み合わせが期間によってこれほど違うのですか?

期間を切り替えると、計算に使う過去のデータの区間が変わり、含まれる相場環境も変わります。同じ資産の組み合わせでも市場環境が違えば連動の程度は変わりうるので、係数が変わるのは正常な現象であり、データの誤りではありません。

Q4:自分で検算できますか?

2つの銘柄について同じ期間・同じ頻度の価格データが手に入れば、相関係数を自分で計算して照合できます。Titan FX のヒストリカルデータのページでは1分足の CSV を提供しており、FX、株価指数、コモディティ、米国株式、仮想通貨の5カテゴリをカバーしていますが、カテゴリごとの銘柄リストには限りがあり、この記事で扱った組み合わせのすべてがダウンロードできるとは限りません。取得方法はヒストリカルデータの入手方法|1分足CSV・口座タイプ・MT4/MT5への取り込みを参照してください。

Q5:相関が高ければ、片方がもう片方を動かしているということですか?

そうではありません。相関は両者の値動きの同期の程度を示すだけで、どちらが影響しているかは説明しませんし、両方が第三の要因に動かされている可能性もあります。ツールページの注意書きもこの意味です。

Q6:同じクラス内とクラスをまたぐ関係では、どちらが安定していますか?

今回の171組で見ると、同じクラス内の45組の平均差が 0.24、クラスをまたぐ126組が 0.31 で、またぐほうがやや高くなっています。個々の組み合わせは実際の数値で判断する必要がありますが、まず上部のカテゴリフィルタで同じクラス内の関係を把握し、そのうえで全銘柄を表示してクラスをまたぐ部分を確認する順序が効率的です。

7. まとめ

一緒に動く組み合わせは覚えておく価値があります。それがそのまま「同じ方向で同時に持たない」リストになるからです。金と銀、US500 と NAS100、US500 と US30、豪ドルとNZドルは、5つの期間すべてで同じ方向と近い強度を保っていました。GBPUSD と USDCAD は安定した負の相関で、同じ方向で持てば打ち消し合います。

もう一方の組み合わせは判断の根拠には向きません。ダウとブレント原油は5つの期間のあいだで +0.10 から -0.67 まで動き、方向すら一致しません。171組のうち44組が少なくとも一度は符号反転しており、資産クラスをまたぐ関係は同じクラス内よりさらに不安定でした。

ですから係数を見たら、まず期間を一度切り替えてから使ってください。10秒もかからないこの一手で、4分の1の誤読を防げます。

本文の数値は 2026 年 9 月 9 日に読み取ったものです。相関係数は毎日再計算されるため、表示される数値はここと異なりますが、読み方は変わりません。


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✏️ 著者について

Titan FX トレード戦略研究所。外国為替(FX)、商品(原油、貴金属、農産物)、株価指数、米国株、暗号資産など幅広い金融商品を対象に、投資家向けの教育コンテンツを制作しています。


主な出典(カテゴリ別)
  • マトリクスのデータ:Titan FX 研究所 相関マトリクス、19銘柄・171組の組み合わせについて1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間の5期間の相関係数、2026 年 9 月 9 日読み取り
  • ランキングのデータ:同ツールの銘柄別 相関ランキング、基準銘柄 BTCUSD の1週間と1ヶ月の強い順相関 TOP20
  • ツール仕様:相関マトリクスページの色スケール、期間ボタン、カテゴリフィルタ、使用ガイドの実際の表示内容