ロシア軽油供給観測で株高、来週はTSMCと米銀決算に注目
2026-10-10 08:00 日本時間時点
本日のポイント
- 今週はロシア産軽油の供給観測と中東情勢が市場のテーマとなった。トランプ米大統領とプーチン露大統領の電話会談を経て、ロシアが10月30万トン・11月50万トン・12月100万トンの軽油を米国・国際市場に供給する計画が明らかになり、燃料不足懸念の後退を受けて9日のNYダウは423.31ドル高。週間ではS&P500が+1.15%、ナスダックは4週連続の上昇となった。
- 米10年債利回りは9日のNY引けで5.2378%(前日比+1.1bp、週間では3.28bp低下)。週中の7日には5.3624%まで上昇し、2002年3月の高値5.4730%に接近する場面があった。
- ドル円は158円台前半で推移し、9日は158.25円(前日比+0.29%)で終えた。日銀の植田総裁は物価上振れリスクを警戒しつつ利上げを継続する考えを示し、財務省が発行する新発10年国債の表面利率は3.1%と約30年ぶりの水準に上昇した。
- 米ミシガン大学10月消費者信頼感指数(速報値)は46.3と予想の47.8を下回り、1年先インフレ期待は2023年5月以来の高水準となった。セントルイス連銀のムサレム総裁は追加の金融引き締めが必要になるとの見解を示した。
- ホルムズ海峡でのタンカー攻撃が戦時並みの頻度に達したが、トランプ氏は中間選挙前のイラン攻撃は見送る考えを示した。来週はTSMCの決算発表(10/15)や米主要銀行の7-9月期決算が相場の次の試金石となる。
マーケットスナップショット
| 指標 | 水準 | 前日比 |
|---|---|---|
| ドル円 | 158.25 | +0.29% |
| ユーロドル | 1.1206 | -0.09% |
| 日経平均(終値) | 69,031 | -0.02% |
| ハンセン指数(終値) | 24,211 | +0.34% |
| ダウ先物 | 51,976 | +0.94% |
| S&P500先物 | 7,866.00 | +0.64% |
| ナスダック100先物 | 31,123 | +0.50% |
| NY金先物 | 4,220.30 | +1.52% |
| WTI原油 | 91.66 | +0.19% |
| ビットコイン | 82,549 | +1.05% |
| 米10年債利回り | 5.244% | +1.3bp |
外国為替市場 — ドル円は158円前半、来週はCPIが試金石
ドル円は週後半にかけて158円台前半で落ち着き、9日は158.25円(前日比+0.29%)で終えた。前日の高安は158.42〜157.76円と値幅は限定的だった。ユーロドルは1.1206(-0.09%)とわずかに軟化し、フランスの財政・債券不安を背景にユーロ全般が重さを残した。来週は12日のコロンバスデーで米国債市場が休場となるほか、米CPI・PPI・小売売上高の発表が控え、ドル円は158円を挟んだもみ合いが続きそうだ。
株式市場 — 米株は週間で続伸、来週はTSMCと米銀決算が主役
NYダウは9日に423.31ドル高と続伸し、ハイテク株への買いと決算期待が支えとなった。週間ではS&P500が+1.15%、ナスダックは4週連続の上昇を記録した。日経平均は69,031円(-0.02%)で終え、今週は4日続伸の末に一時7万円を回復する場面もあったが、利益確定売りに押された。ハンセン指数は24,211(+0.34%)で終え、小米(シャオミ)が1割近い上昇を見せるなど半導体・ハイテク株が指数を支え、米金利の低下を受けて香港上場の金融株(HSBC・スタンダードチャータード・AIA)も反発、米国上場の中国株(アリババなど)も5%超上昇した。来週はTSMCの決算発表(10/15)と米主要銀行の7-9月期決算が本格化し、AI関連株・金融株の方向性を左右する一週となる。
マクロ経済 — 米金利は週末にかけて落ち着き、日米ともインフレ上振れを警戒
米10年債利回りは9日のNY引けで5.2378%(前日比+1.1bp)、週間では3.28bp低下した。週中の7日には5.3624%まで上昇し、2002年3月の高値5.4730%・2001年5月の高値5.5310%に接近する場面があった。2年債利回りは4.7869%(前日比+2.93bp)。米ミシガン大学10月消費者信頼感指数(速報値)は46.3と予想の47.8を下回り、1年先インフレ期待は2023年5月以来の高水準となった。ニューヨーク連銀は身近な品目の価格上昇がほぼ全て関税要因によるものだと指摘し、セントルイス連銀のムサレム総裁は追加の金融引き締めが必要になるとの見解を示した。日銀の植田総裁は物価上振れリスクを警戒しつつ利上げを継続する考えを示し、財務省が発行する新発10年国債の表面利率は約30年ぶりの3.1%に上昇した。中国と欧州の通商協議では、中国製ハイブリッド車の対欧輸出を半減させることなどで合意した。来週の米CPI・PPIはインフレ上振れ観測の試金石となり、日銀も物価動向次第で次の一手を探る構図が続く。
コモディティ — 軽油供給観測とハリケーンで原油・金ともに堅調
WTI原油は91.66ドル(+0.19%)で終えた。ハリケーン「イザイアス」の接近でメキシコ湾の原油生産の7割超(約146万バレル/日相当)が停止し、129基の施設で作業員が退避した一方、ロシアの軽油供給計画(10月30万トン・11月50万トン・12月100万トン)やドイツが戦略石油備蓄から1500万バレルを放出し軽油・暖房油を優先供給する方針が、燃料不足懸念を和らげた。金先物は4,220.30ドル(+1.52%)で終え、週間でもCOMEX金が+1.41%、銀が+2.79%(週+0.77%)、銅が+2.16%(週+2.03%)と上昇した。PIMCOのダン・アイヴァシン最高投資責任者は、高い原油価格・インフレ・財政懸念の三重圧力により米10年債利回りが6%に達する可能性があり、それは26年ぶりの水準になると警告した。来週はロシア軽油の供給実態とハリケーン被害の復旧ペースが、原油の値動きを左右しそうだ。
国際情勢 — ホルムズ海峡の緊張とロシア軽油供給が焦点
ホルムズ海峡でのタンカー攻撃が戦時並みの頻度に達し、イランがホルムズ海峡を通る原油輸出の封鎖を試みているとされる。サウジアラビア主導の連合軍はイエメンのフーシ派の軍事目標136か所を破壊したと発表し、大規模な軍事作戦を続けていると説明した。トランプ氏は11月の中間選挙前にイランへの軍事行動は取らない考えを示した。トランプ・プーチン両首脳は電話会談(約1.5時間)でウクライナ情勢やイラン問題に加え、ロシアの燃料供給を含む大規模な経済構想を協議した。マイアミでは米国・ウクライナ・ロシアの代表による6時間の協議も行われ、数週間内の統一提案づくりを目指すという。英国政府は対ロシア制裁を史上最も厳しい水準で継続する方針を示した。来週にかけても、ホルムズ海峡の緊張度合いとロシア軽油供給の進捗が、市場のリスク選好度を左右する構図が続く。
今後の注目イベント
| 日時(日本時間) | 国/地域 | イベント | 注目点 |
|---|---|---|---|
| 10/12 | 米国/カナダ | コロンバスデー(米国債市場休場)・カナダ感謝祭 | 債券市場は休場、株式・為替は通常取引も商いは薄くなりやすい |
| 10/12〜16 | 米国/英国/豪州 | 米CPI・PPI・小売売上高、英GDP、豪雇用統計 | 利下げ観測の試金石となり、来週の米金利動向を左右 |
| 10/12〜16 | 米国 | 主要銀行の7-9月期決算が本格化 | 金融株の反応が株式相場全体のセンチメントを左右 |
| 10/15 | 台湾 | TSMC(台積電)法人説明会(7-9月期決算) | AI需要見通し・ガイダンスが半導体株の方向性を左右 |