イーライリリー(LLY)とは?肥満症治療薬マンジャロ・ゼップバウンド、決算、配当と株価の推移

肥満症治療薬の需要拡大で売上が急伸し、2026年第3四半期の売上高は244億ドルと前年同期比39%増、そのうちマンジャロとゼップバウンドの合計は約161億ドルでした。2025年11月には時価総額が初めて1兆ドルを超えました。
この記事では、イーライリリーがどんな会社か、事業領域と主な製品、肥満症治療薬をめぐるノボ ノルディスクとの競争、最新決算、配当、株価の推移と変動要因、そしてイーライリリー株に投資する方法を解説します。
- 1876年創業。1923年にインスリン製剤の販売を始め、現在の会長兼CEOはデビッド・A・リックス
- 売上の柱はチルゼパチドを有効成分とするマンジャロ(2型糖尿病)とゼップバウンド(肥満症)で、2026年第3四半期の売上高の約3分の2を占める
- 経口薬ファウンダヨは2026年4月に米FDAの承認を取得。主な競合はデンマークのノボ ノルディスク
- 2026年第3四半期の売上高は244億ドル(前年同期比39%増)で、約9億ドルの一時的な押し上げ要因を含む。通期の売上高見通しは910億〜920億ドルに引き上げ
- 2026年の四半期配当は1株1.73ドル。株価は2026年10月30日に終値で約1,418ドルの上場来高値をつけた
1. イーライリリーとはどんな会社?
イーライリリーは、医療用医薬品の研究開発・製造・販売を行う大手製薬会社です。製品は心血管代謝(糖尿病・肥満症)、がん、免疫疾患、神経科学の4つの領域に集中しています。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、S&P500(US500)の構成銘柄でもあります。
2025年通期の売上高は652億ドルで、前年比45%増でした。肥満症治療薬が株価を押し上げ、2025年11月には時価総額が初めて1兆ドルを超えました。
イーライリリーの歩み
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1876年創業:イーライ・リリー大佐がインディアナポリスで創業し、社名は創業者の名前に由来します
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1923年にインスリン製剤を発売:Iletinという商品名でインスリン製剤を発売し、インスリンを最も早く量産・販売した製薬会社の1つとして、糖尿病領域での地位を築きました
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2022年にマンジャロを発売:2型糖尿病治療薬マンジャロが米国で承認され、2023年には同じ有効成分の肥満症治療薬ゼップバウンドも承認されました
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2026年に経口の肥満症治療薬を発売:1日1回服用するファウンダヨが2026年4月に米FDAの承認を取得しました
2. イーライリリーの事業領域と主な製品
イーライリリーは売上を4つの事業領域に分けて開示しています。2026年第3四半期(7〜9月)の領域別売上高は次のとおりです。
| 事業領域 | 主な製品 | 2026年第3四半期売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 心血管代謝 | マンジャロ、ゼップバウンド、ジャディアンス、トルリシティ | 197.6億ドル | +50% |
| がん | ベージニオ、Jaypirca | 26.0億ドル | +8% |
| 免疫 | トルツ、Ebglyss、Omvoh | 14.4億ドル | +5% |
| 神経科学 | Kisunla | 4.4億ドル | +41% |
心血管代謝領域が売上高全体の約81%を占めます。主な製品の売上高は以下のとおりです。
| 製品 | 有効成分と作用 | 用途 | 2026年第3四半期売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| マンジャロ | チルゼパチド。週1回の注射で、GIPとGLP-1の2つの受容体に作用 | 2型糖尿病 | 107.2億ドル | +65% |
| ゼップバウンド | マンジャロと同じ有効成分 | 肥満症 | 53.5億ドル | +49% |
| ベージニオ | アベマシクリブ | 乳がん | 15.1億ドル | +3% |
| Jaypirca | ピルトブルチニブ | 血液がん(慢性リンパ性白血病など) | 2.3億ドル | +59% |
| Kisunla | ドナネマブ | 早期アルツハイマー病 | 1.9億ドル | +175% |
| ファウンダヨ | オルフォルグリプロン。1日1回服用するGLP-1受容体作動薬 | 肥満症 | 1.8億ドル | 2026年4月発売 |
マンジャロとゼップバウンドの合計は、第3四半期の売上高全体の約66%です。ゼップバウンドの名称は米国・カナダ・日本でのみ使われており、それ以外の市場では体重管理の用途もマンジャロの名称で販売されています。そのため、米国外でのマンジャロの売上が特に大きく伸びています。
3. 肥満症治療薬市場:イーライリリーとノボ ノルディスクの競争
GLP-1受容体作動薬はもともと2型糖尿病の治療に使われてきましたが、体重を大きく減らす効果があることから、肥満症治療の中心になりました。この市場は主に2社が競っています。
| 比較項目 | イーライリリー(米国) | ノボ ノルディスク(デンマーク) |
|---|---|---|
| 注射剤 | マンジャロ(糖尿病)、ゼップバウンド(肥満症) | オゼンピック(糖尿病)、ウゴービ(肥満症) |
| 主な有効成分 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 作用 | GIPとGLP-1の両方の受容体に作用 | GLP-1受容体に作用 |
| 経口の肥満症治療薬 | ファウンダヨ(2026年4月に米FDA承認) | ウゴービの経口剤(2025年12月に米FDA承認) |
経口の肥満症治療薬ファウンダヨ
ファウンダヨの有効成分はオルフォルグリプロンで、1日1回服用する飲み薬です。米FDAが承認した対象は、肥満、または体重に関連する疾患のある過体重の成人で、食事療法と運動療法と併用します。
イーライリリーが公表した第3相臨床試験では、最高用量群で服薬を続けた人の平均体重減少率は12.4%でした。臨床試験ごとに対象者の条件や期間、統計手法が異なるため、薬どうしの体重減少率を単純に比べることはできません。2025年8月7日に試験結果が公表された際は、減少率が市場の期待を下回り、イーライリリーの株価は当日の終値で約14%下落しました。
ファウンダヨの2026年第3四半期の売上高は1.8億ドルでした。欧州では、欧州医薬品庁の医薬品委員会が2026年10月15日に承認を勧告しており、正式な販売承認は欧州委員会が判断します。
薬価と保険適用
2025年11月、イーライリリーとノボ ノルディスクはそれぞれ米政府と合意し、公的医療保険のメディケア・メディケイドや自費購入での肥満症治療薬の価格を引き下げ、保険適用の範囲を広げました。薬価の引き下げは1回分あたりの収入を減らしますが、より多くの人が肥満症治療薬を使えるようになります。
研究開発では、3つの受容体に同時に作用するレタトルチドが後期臨床試験の段階にあり、まだ承認は得ていません。次世代の肥満症治療薬の有力候補です。
4. イーライリリーの最新決算のポイント
イーライリリーは2026年10月29日に第3四半期決算を発表しました。
| 項目 | 2026年第3四半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 244億ドル | +39% |
| 米国の売上高 | 151億ドル | +34% |
| 米国外の売上高 | 93億ドル | +47% |
| 非GAAPベースの売上総利益率 | 84.4% | +0.8ポイント |
| 非GAAPベースの1株当たり利益(EPS) | 7.48ドル | +7% |
39%の増収には一時的な要因も含まれています。第3四半期の売上高には約9億ドルの押し上げ要因があり、主なものはベーリンガーインゲルハイムと共同で手がける糖尿病治療薬ジャディアンスのマイルストーン収入4.1億ドルと、リベート・割引の見積もりの調整です。
数量と価格に分けると、第3四半期の世界の販売数量は前年同期比53%増、実質的な販売価格は15%低下しました。価格低下の主因はゼップバウンドです。成長の中心は使用者数の増加で、薬価や保険適用の政策は1単位あたりの収入に影響します。
EPSには4.57ドルの研究開発品目の取得費用が含まれているため、伸び率は売上高より小さくなっています。会社は2026年通期の売上高見通しを850億〜870億ドルから910億〜920億ドルに引き上げ、非GAAPベースのEPSは35〜36ドルと見込んでいます。決算発表当日の株価は約6.6%上昇しました。
5. イーライリリーの配当
イーライリリーは四半期ごとに現金配当を支払っています。2026年の四半期配当は1株1.73ドルで、2025年の1.50ドルから約15%の増配、年間合計は6.92ドルです。2026年第1四半期の配当は2025年12月に発表されました。
2026年10月30日の終値約1,418ドルで計算すると、配当利回りは約0.5%です。イーライリリーの投資の焦点は肥満症治療薬による売上と利益の成長で、配当水準は高くなく、高配当の製薬株には当たりません。
6. イーライリリーの株価推移と変動要因
下のグラフは、イーライリリーの過去5年の日足終値です。

2021年末の株価は約276ドルで、2025年末には約1,075ドルと約4倍になりました。2026年は4月29日に約851ドルまで下落した後に持ち直し、10月30日には約1,418ドルで上場来高値を更新しました。
イーライリリーの株価を動かす主な要因は次のとおりです。
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マンジャロとゼップバウンドの販売の伸び:2製品で売上の約3分の2を占め、四半期ごとの販売実績が株価の最大の変動要因です
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ファウンダヨと新薬の進展:経口薬の販売動向や、レタトルチドなど新薬の試験結果と審査の進み具合
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薬価・保険適用・政策:米政府の薬価政策や、保険会社が肥満症治療薬をカバーするかどうかは、価格と使用者数の両方に影響します
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生産能力:注射ペンや原薬の生産能力が需要に追いつくかどうか。イーライリリーは米国内外で工場の増設を続けています
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決算・業績見通し・バリュエーション:株価には肥満症治療薬の長期成長への期待がすでに織り込まれています。PER(株価収益率)が高い状態では、増収増益でも市場予想を下回れば株価が下がることがあります
7. イーライリリー株に投資する方法
イーライリリーの株価に投資する方法は主に3つあります。
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 現物株 | 株式を直接保有し、配当を受け取れる | 長期保有 |
| CFD(差金決済取引) | 株式を保有せず値動きの差額で決済。買いからも売りからも入れる | 短中期の取引、下落局面で売りから入りたい場合 |
| 株価指数(US500など) | イーライリリーを含む米国の大型株に指数を通じて投資 | 米国株全体に投資し、個別企業のリスクを分散したい場合 |
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8. イーライリリーに関するよくある質問
Q1. 日本でもマンジャロやゼップバウンドは使われていますか?
使われています。日本ではマンジャロが2型糖尿病の治療薬として、ゼップバウンドが肥満症の治療薬として承認されています。ゼップバウンドは2024年12月に国内で承認され、2025年4月に発売されました。国内の販売は田辺三菱製薬と提携しています。
Q2. イーライリリーはマグニフィセント・セブンに入っていますか?
入っていません。マグニフィセント・セブンはアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラの7社です。
Q3. イーライリリーとノボ ノルディスクの違いは何ですか?
どちらも肥満症治療薬市場の主要企業です。イーライリリーの主力成分はチルゼパチド、ノボ ノルディスクはセマグルチド(オゼンピック、ウゴービ)です。イーライリリーは米国企業でニューヨーク証券取引所に上場し、ノボ ノルディスクはデンマークに本社を置き、コペンハーゲンとニューヨークの証券取引所に上場しています。
Q4. イーライリリーの決算発表はいつですか?
会計年度は暦年と同じで、通常2月に第4四半期と通期の決算を発表し、その他の四半期決算はおおむね四半期末から1か月以内に発表します。決算シーズン前後の値動きと注意点は米国株の決算シーズンで解説しています。
9. まとめ
イーライリリーは糖尿病と肥満症の治療薬を成長の柱とする大手製薬会社です。マンジャロとゼップバウンドが売上を大きく押し上げ、2026年には経口薬ファウンダヨを発売し、時価総額は2025年に1兆ドルを超えました。
株価は肥満症治療薬のニュースに敏感です。販売の伸び、新薬の進展、薬価と保険適用、生産能力、そして決算が市場予想に届くかどうかが注目点で、次の大きな節目は2027年初めに発表される第4四半期・通期決算です。
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主な出典(カテゴリ別)
- 企業資料:イーライリリー 2026年第3四半期決算発表・四半期報告書(10-Q)、2025年第4四半期決算発表(SEC)、ファウンダヨ承認と2026年第1四半期配当の発表、日本イーライリリーのゼップバウンド発売に関する発表
- 規制当局:欧州医薬品庁 医薬品委員会のファウンダヨに関する意見(2026年10月)
- 市場データ:Yahoo Finance(LLYの日足終値、配当の記録)