AMDとはどんな会社?事業内容・最新決算・株価推移とエヌビディアとの違い

2025年以降、AIデータセンターの需要が大きく伸び、AMDのデータセンター事業も急成長しました。2026年4〜6月期にはデータセンター事業が売上高の58%を占めています。OpenAIやAnthropicといったAI企業との大型提携もあり、株価の値動きは大きくなっています。
この記事では、AMDがどんな会社か、4つの事業と最新の決算、エヌビディア・インテルとの違い、株価を動かす要因とリスク、株価の推移、そして個別株・CFD・株価指数でAMDに投資する方法を解説します。
- AMDは自社で工場を持たないファブレスの半導体設計会社で、チップの製造は主にTSMCに委託している。CEOは2014年に就任したリサ・スー
- 事業はデータセンター、パソコン、ゲーム、組み込みの4つに分けられ、2026年4〜6月期はデータセンターが売上高の58%を占めた
- 2026年4〜6月期の売上高は115億ドルで前年同期比50%増。7〜9月期の売上高見通しは約130億ドルで、決算は米東部時間2026年11月3日の取引終了後に発表予定
- AIアクセラレーターの出荷、大口顧客との提携の進み具合、TSMCの生産能力が株価を動かす主な要因
- 株価は2026年10月上旬に終値ベースの最高値をつけた後、2週間で約19%下落しており、値動きは市場全体より大きい
1. AMDとはどんな会社?
AMDは、チップの設計に特化し、製造は外部に委託する半導体会社です。プロセッサーやAIアクセラレーターの設計はAMDが行い、製造は主にTSMCに任せています。こうした事業形態はファブレスと呼ばれます。
AMDの製品は、大きく2つの市場に向けたものです。
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データセンター:サーバー向けプロセッサーのEPYCとAIアクセラレーターのInstinct。顧客はクラウド事業者、AI企業、一般企業です
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パソコン・ゲーム:パソコン向けプロセッサーのRyzen、グラフィックスカードのRadeon、そしてPlayStationやXboxなどのゲーム機向けカスタムチップ
CPU市場での主な競合はインテル、AIアクセラレーター市場での主な競合はエヌビディアです。本社は米国カリフォルニア州サンタクララにあり、ナスダックに上場しています。ナスダック100指数(NAS100)とフィラデルフィア半導体指数の構成銘柄でもあります。
AMDの歩み
AMDは1969年に設立され、長くパソコン向けプロセッサーでインテルと競ってきました。現在のAMDにつながる主な出来事は次のとおりです。
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2009年 製造部門を分離:製造部門をグローバルファウンドリーズとして切り離し、ファブレス企業になりました
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2014年 リサ・スーがCEOに就任:就任後にZenアーキテクチャーを投入し、RyzenとEPYCで市場での存在感を取り戻しました
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2022年 ザイリンクスを買収:FPGAなどのプログラマブルチップの技術を獲得し、現在の組み込み事業の中心になっています
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2025年 ZTシステムズを買収:AIサーバーラックの設計能力を獲得しました。設計チームは残し、製造事業はSanminaに売却しています
2. AMDの4つの事業と主な製品
AMDの製品は4つに分けられます。下の表の売上高は2026年4〜6月期(2026年6月27日締め)の数字です。
| 事業 | 主な製品 | 2026年4〜6月期の売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| データセンター | EPYCサーバー向けプロセッサー、Instinct AIアクセラレーター、Heliosラック型AIシステム | 67億ドル | +107% |
| パソコン(Client) | Ryzenデスクトップ・ノートパソコン向けプロセッサー | 31億ドル | +23% |
| ゲーム(Gaming) | Radeonグラフィックスカード、ゲーム機向けセミカスタムチップ | 7.8億ドル | −31% |
| 組み込み(Embedded) | FPGAと組み込み向けプロセッサー(産業、自動車、通信向け) | 9.8億ドル | +19% |
AMDの正式な決算では、パソコンとゲームは「Client and Gaming」という1つのセグメントにまとめられています。ただし売上高はそれぞれ開示されているため、この記事では製品と対応させやすいように分けて載せています。
現在、AMDで最も大きいのはデータセンター事業です。AIアクセラレーターの新世代はInstinct MI400シリーズで、OpenAIやAnthropicとの提携で名前が出てくるMI450もこの世代に含まれます。Heliosは、AIアクセラレーター、EPYCプロセッサー、ネットワークチップをラック1台にまとめたシステムで、クラウド事業者やAI企業に提供されています。
ゲーム事業の売上高が減ったのは、主にゲーム機向けセミカスタムチップの売上が減ったためです。
3. AMDの最新決算のポイント
AMDは2026年8月4日に4〜6月期の決算を発表し、売上高は四半期として過去最高になりました。
| 項目 | 2026年4〜6月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 115億ドル | +50% |
| データセンター売上高 | 67億ドル | +107% |
| 売上総利益率(非GAAP) | 56% | +13ポイント |
| 1株当たり利益(非GAAP) | 1.66ドル | +246% |
売上総利益率と1株当たり利益の伸びが特に大きいのは、2025年4〜6月期に、米国の輸出規制を受けたMI308の在庫関連費用を計上していたためです。比較の基準が低くなっている点を考えると、利益の伸びは売上高の伸びとあわせて見るのが適切です。
7〜9月期の会社見通しは売上高約130億ドル(上下3億ドル)で、中央値では前年同期比約41%増、非GAAPの売上総利益率は約56%です。
7〜9月期の決算は米東部時間2026年11月3日の取引終了後に発表され、電話会見は米東部時間の午後5時(日本時間11月4日午前7時)に始まります。米国企業の多くは時間外取引の時間帯に決算を発表するため、株価の最初の反応は時間外に出ることがよくあります。
2025年通期の売上高は346億ドルで過去最高でした。このうちデータセンター事業は166億ドルで、前年比32%増です。
4. AMDとエヌビディア・インテルの違い
AMDの主な競合はエヌビディアとインテルです。3社は得意分野も生産体制も異なります。
| 項目 | AMD | エヌビディア(NVIDIA) | インテル(Intel) |
|---|---|---|---|
| 主な強み | サーバー・パソコン向けCPU、AIアクセラレーター | AIアクセラレーター(GPU)とCUDAのソフトウェア環境 | パソコン・サーバー向けCPU |
| 生産体制 | ファブレス(主にTSMCに委託) | ファブレス(主にTSMCに委託) | 自社工場を持ち、受託製造も手がける |
| AI向けソフトウェア | ROCm(オープンソース) | CUDA | oneAPI |
AIアクセラレーター市場で最大の供給元はエヌビディアで、CUDAのソフトウェア環境が大きな強みです。AMDはCPU、GPU、ラック型システムをまとめて提供し、オープンなROCmで顧客を増やそうとしています。クラウド事業者にとっても、エヌビディア以外の調達先を持つ意味があります。
CPU市場では、AMDとインテルが直接競合しています。開発コード名Veniceの新世代EPYCサーバー向けプロセッサーは、TSMCの2ナノメートルプロセスで製造されています。
5. AMDの株価を動かす要因とリスク
AMDの株価は、主にデータセンター事業への期待を映しており、AI関連のニュースの影響が最も大きくなります。主な要因は次のとおりです。
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大口顧客との提携の進み具合:AMDは2025年10月にOpenAIと提携しました。OpenAIは6GW(ギガワット)分のAMD製GPUを段階的に導入する計画で、最初の1GW分のMI450は2026年下半期から導入が始まります。AMDはOpenAIに最大1.6億株の新株予約権も付与しています。2026年7月にはAnthropicが最大2GW分のMI450シリーズを導入する計画を発表し、最初の1GWは2027年上半期に始まります。AMDもAnthropicに最大50億ドルの戦略的出資を約束しました。いずれも段階的で「最大」の規模を示した計画のため、実際にどれだけ導入され、いつ売上になるかは、顧客の資金や需要、納入の進み具合に左右されます
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AIアクセラレーターの出荷:MI450とHeliosは2026年下半期から出荷が本格化します。出荷が計画どおり進むかどうかは、データセンターの売上高に直接表れます
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TSMCの生産能力:AMDの先端チップはTSMCの生産に頼っており、生産能力がひっ迫すると出荷が制約される可能性があります
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輸出規制:米国は中国向けのAIチップ輸出を制限しており、AMDは2025年通期でMI308の在庫関連費用を約4.4億ドル計上しました。政策の変化は引き続きリスクです
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バリュエーションと値動き:株価が大きく上がった後は、PER(株価収益率)に成長期待がかなり織り込まれています。決算やAI投資のニュースが期待に届かないと、決算の数字自体が悪くなくても株価は大きく下げやすくなります
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パソコン・ゲームの景気:この2つの事業は売上高の約3割を占めており、個人向け電子機器の需要が弱まると全体の足を引っ張ります
6. AMDの株価推移
下のグラフは、AMDの過去5年の日足終値です。2022年の半導体株の調整局面では、株価が一時60ドルを下回りました。2025年4月に米国が相互関税を発表した後は、約78ドルまで下落しています。

2025年10月にOpenAIとの提携が発表されると、株価は3営業日で約43%上昇し、約165ドルから約236ドルになりました。
2026年10月6日には終値が約649ドルとなり、過去最高値をつけました。2025年末の終値(約214ドル)のおよそ3倍です。その後は半導体株が全体的に軟調となり、10月16日の終値は約529ドルと、最高値から約19%下落しました。同じ時点で、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は6月の高値から約24%下落しています。
7. AMD株に投資する方法
AMDの株価に投資する方法は、主に次の3つです。
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 株式を買う | AMDの株式を直接保有する。日本の証券会社の米国株取引でも購入できる | 長期保有、会社の成長に期待している |
| CFD(差金決済取引) | 株式を保有せず、株価の値動きで損益を決済する。買いからも売りからも取引できる | 短中期の取引、下落局面で売りから入りたい |
| 株価指数(NAS100など) | 指数を通じてAMDを含む大型テック株にまとめて投資する。AMDの比重は一部(2026年8月時点で約3.6%) | テック株全体の動きに投資したい、1社に集中するリスクを抑えたい |
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AMDの1日の値動きは5%を超えることもあり、決算発表の前後はさらに大きくなります。取引の前に証拠金計算ツールで必要証拠金を確認し、ポジションの大きさを調整しましょう。
8. AMDに関するよくある質問
Q1. AMDとTSMCはどんな関係ですか?
AMDはTSMCの顧客です。AMDは自社の工場を持たず、EPYC、Ryzen、Instinctなどの主なチップの製造をTSMCに委託しています。新世代のEPYCもTSMCの2ナノメートルプロセスで製造されています。そのため、TSMCの生産能力や価格は、AMDの出荷とコストに影響します。
Q2. AMDは配当を出していますか?
AMDは現在、現金配当を出していません。株主への還元は、これまで主に自社株買いで行ってきました。配当を受け取りたい場合は、配当を出している別のテック株を選ぶ必要があります。
Q3. AMDの決算発表はいつですか?
AMDは四半期ごとに決算を発表しており、時期はおおむね1月末〜2月初め、4月末〜5月初め、7月末〜8月初め、10月末〜11月初めです。2026年7〜9月期の決算は米東部時間11月3日の取引終了後、日本時間では11月4日の朝に発表される予定です。決算前後の値動きと注意点は決算シーズンの記事で解説しています。
Q4. AMDとエヌビディアは何が違いますか?
どちらもファブレスでTSMCに製造を委託していますが、得意分野が異なります。エヌビディアはAI向けGPUとCUDAのソフトウェア環境に強みがあり、AIアクセラレーター市場で最大の供給元です。AMDはサーバー・パソコン向けCPUとAIアクセラレーターの両方を手がけ、ラック型システムまでまとめて提供している点が特徴です。
9. まとめ
AMDはファブレスの半導体設計会社で、データセンター、パソコン、ゲーム、組み込みの4つの事業を持ち、チップの製造は主にTSMCに委託しています。データセンターはすでにAMD最大の事業で、2026年4〜6月期の売上高は前年同期比107%増、全体の58%を占めました。
AMDの株価はAI関連のニュースに非常に敏感です。AIアクセラレーターの出荷、大口顧客との提携の進み具合、TSMCの生産能力、輸出規制がおもな注目点で、次の大きな節目は2026年11月3日の7〜9月期決算です。
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主な出典(カテゴリ別)
- 企業資料:AMD 2026年4〜6月期・2025年10〜12月期決算発表資料、7〜9月期決算発表日のお知らせ、OpenAI・Anthropicとの提携の発表、ザイリンクス・ZTシステムズの買収およびZTシステムズ製造事業の売却の発表
- 市場データ:Yahoo Finance(AMD、フィラデルフィア半導体指数の日足終値)、Nasdaq(ナスダック100指数の構成比率)