米国の防衛関連株とは?主な銘柄一覧・株価を動かす要因・ETFとCFDでの投資方法

世界最大の国防予算を持つのは米国で、防衛関連株の中心も米国の防衛請負企業です。顧客は主に政府で、受注の多くは長期契約のため、業績は消費関連株ほど景気に左右されません。
ただし、防衛関連株にも特有の変動要因があります。国防予算は議会の審議を経て決まり、地政学的な情勢や大型契約の進み具合も株価を動かします。
この記事では、防衛関連株の定義と種類、米国の主な防衛関連銘柄、株価を動かす要因、特徴とリスク、そして個別株・ETF・CFDで投資する方法を解説します。本記事は産業の視点で情報を整理したもので、特定の政治的立場や軍事行動を評価するものではありません。
- 防衛関連株は、売上の多くを政府の防衛契約から得る企業の株式で、米国の主な防衛請負企業にはロッキード・マーティン、RTX、ノースロップ・グラマン、ジェネラル・ダイナミクスがある
- 防衛関連株は主契約企業、部品サプライヤー、防衛テクノロジー・サービス企業に分かれ、国防予算への依存度はそれぞれ異なる
- 米国の2027会計年度の国防予算要求は約1.5兆ドルで、NATOも2035年までに防衛関連支出をGDP比5%に引き上げる目標を掲げている
- 強みは安定した顧客と高い受注の見通しで、リスクには予算をめぐる政治、契約の損失、地政学的緊張の緩和がある
- 防衛株ETF(ITA)は2025年にS&P500を大きく上回ったが、2026年8月の高値から約18%下落しており、値動きは小さくない
1. 防衛関連株(Defense Stocks)とは?
防衛関連企業の製品は、戦闘機、ミサイル、艦艇、戦車から、レーダー、衛星、通信・情報システムまで多岐にわたります。世界最大の防衛調達を行うのは米国防総省で、市場で防衛関連株というと、多くは米国の防衛請負企業を指します。
産業の中での位置づけによって、防衛関連株は大きく3つに分けられます。
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主契約企業(プライム・コントラクター):政府と直接契約し、兵器システム全体を担う企業です。F-35戦闘機を製造するロッキード・マーティンが代表例で、国防予算への依存度が最も高いグループです
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部品・サブシステムのサプライヤー:エンジンや電子部品、構造部品を主契約企業に供給する企業です。民間航空機向けの事業も持つ企業が多く、ハイコやハウメット・エアロスペースがこれにあたります
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防衛テクノロジー・サービス企業:情報システム、サイバーセキュリティ、システム統合などのサービスを提供する企業で、ライドス・ホールディングスなどがあります
防衛と民間航空の両方を手がける企業が多いため、防衛関連株は航空宇宙株とまとめて扱われることがよくあります。ただし、景気への感応度は同じではありません。民間航空の事業は旅客需要に連動し、防衛事業は主に政府の予算で決まります。
2. 米国の主な防衛関連株の銘柄一覧
Titan FXでリアルタイムレートを確認できる米国の防衛・航空宇宙銘柄をまとめました。
| 企業名(ティッカー) | 主な防衛事業 | その他の主な事業 |
|---|---|---|
| ロッキード・マーティン(LMT) | F-35戦闘機、ミサイル・防空システム、宇宙システム | 防衛が中心 |
| RTX(RTX) | レイセオンのミサイル、パトリオット防空システム | プラット・アンド・ホイットニーのエンジン、コリンズ・エアロスペースなど民間航空 |
| ノースロップ・グラマン(NOC) | B-21爆撃機、大陸間弾道ミサイル、宇宙システム | 防衛が中心 |
| ジェネラル・ダイナミクス(GD) | 原子力潜水艦、エイブラムス戦車 | ガルフストリームのビジネスジェット |
| ハンティントン・インガルス工業(HII) | 空母、潜水艦などの艦艇建造 | 防衛が中心 |
| ライドス・ホールディングス(LDOS) | 防衛向け情報システム、システム統合 | 政府向けIT・医療サービス |
| テクストロン(TXT) | ベルの軍用ヘリコプター | セスナの民間航空機 |
| ボーイング(BA) | 空中給油機、戦闘機、宇宙・安全保障事業 | 民間旅客機が中心 |
| ハイコ(HEI) | 防衛向け電子部品 | 民間航空機の交換部品 |
| ハウメット・エアロスペース(HWM) | 軍用エンジン部品 | 民間航空機のエンジン部品、締結部品 |
上の4社は米国最大級の防衛請負企業で、売上に占める防衛事業の比率も高い銘柄です。一方、ボーイング、ハイコ、ハウメット・エアロスペースは売上の中心が民間航空のため、株価は旅客機の需要にも左右されやすくなります。
3. 防衛関連株の株価を動かす要因
防衛関連株の株価は、政府がどれだけの予算をどこに配分するか、そして企業が受注した契約をきちんと利益に変えられるかで決まります。防衛関連株を見るときに注目されるのは、次の4つの要因です。
国防予算
国防予算は、防衛関連株を動かす最も根本的な要因です。米国政府が2026年4月に提出した2027会計年度の国防予算要求は約1.5兆ドルで、2026会計年度の約1.01兆ドルから約44%の増加です。このうち約3,500億ドルは、別の予算調整法案を通じて手当てする計画です。
予算要求は議会の審議を経るため、最終的に成立する金額や時期は要求と異なる可能性があります。
同盟国の防衛支出
米国以外でも防衛支出は増えています。NATOは2025年のハーグ首脳会議で、加盟国が2035年までに防衛関連支出をGDP比5%に引き上げる目標を決めました。内訳は中核的な防衛費が3.5%、インフラやサイバーセキュリティなどの関連分野が1.5%です。欧州各国が米国製の兵器システムを調達すれば、米国の防衛企業の受注にもつながります。
地政学リスク
戦争や地域紛争が起きると、各国で兵器や弾薬の需要が高まり、市場でも防衛関連株が買われやすくなります。ただし、地政学リスクが株価に与える影響は短期的なものが多いと考えられます。
契約の獲得と遂行
防衛企業の業績は、大型契約を獲得できるか、そして契約を予定どおり予算内で遂行できるかに左右されます。よくあるリスク要因が固定価格契約で、コストが予定を超えた場合、超過分は企業が負担します。ボーイングは近年、複数の固定価格の防衛契約で大きな損失を計上しました。
4. 防衛関連株の特徴とリスク
株価を動かす要因を踏まえたうえで、防衛関連株そのものの特徴を見ていきます。防衛関連株は値動きが安定しているといわれますが、それは独特の顧客構成と受注構造によるものです。同じ構造から、一般的な業種とは異なるリスクも生まれます。
防衛関連株の特徴
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顧客が安定している:主な顧客は政府で支払い能力が安定しており、需要は個人消費の景気にあまり左右されません
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受注の見通しが立てやすい:大型の兵器計画は10年以上続くことも珍しくなく、企業が抱える受注残(バックログ)も巨額です。たとえばロッキード・マーティンの受注残は2026年6月末時点で約2,300億ドルと、通期売上予想のおよそ3倍にのぼります
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配当:大手の防衛関連株の多くは安定して配当を出しています。ジェネラル・ダイナミクスは30年以上連続で増配している配当貴族の構成銘柄です
下のグラフは、防衛株ETF(ITA)とS&P500 ETF(SPY)の過去5年の推移で、どちらも配当を再投資した週足終値で計算しています。防衛関連株は2025年に市場全体を大きく上回りましたが、2026年8月に高値をつけた後、10月中旬までに約18%下落しました。同じ期間、SPYは上昇を続けています。

防衛関連株のリスク
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予算をめぐる政治:国防予算は議会の承認が必要です。予算成立の遅れ、政府機関の閉鎖、支出の優先順位の変更は、新規契約の発注に影響する可能性があります
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契約の損失と遅延:大型計画では技術的な課題やコスト超過が起きやすく、固定価格契約の損失はそのまま利益を押し下げます
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地政学的緊張の緩和:停戦や和平交渉のニュースが出ると、紛争を受けて上昇していた防衛関連株が大きく下げることがあります
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割高なバリュエーション:予算や受注の好材料を市場が先に織り込んでいる場合、株価は悪材料に敏感になります
5. 米国の防衛関連株に投資する方法:個別株・ETF・CFD
米国の防衛関連株に投資する方法は、主に次の3つです。
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 個別株を買う | 企業の株式を直接保有し、配当を受け取れる | 特定企業の受注や製品に注目している |
| 防衛株ETF | 複数の防衛・航空宇宙企業にまとめて投資し、1社に集中するリスクを抑えられる | 業界全体に投資したい |
| CFD(差金決済取引) | 株式を保有せず、株価の値動きで損益を決済する。買いからも売りからも取引できる | 短中期の取引、下落局面で売りから入りたい |
主な防衛株ETFには、iシェアーズ米国航空宇宙・防衛ETF(ITA)、SPDR S&P航空宇宙・防衛ETF(XAR)、インベスコ航空宇宙・防衛ETF(PPA)があります。ITAは時価総額加重型で、大型の防衛関連株への比重が大きいETFです。XARは修正均等加重型のため、中小型株の比重が高くなります。
Titan FXでは、上記の防衛・航空宇宙銘柄をCFD(差金決済取引)で取引できます。各銘柄のページでは、リアルタイムレート、チャート、テクニカル分析と時間軸ごとの総合判断をまとめて確認できます。ロッキード・マーティンのページを例に見てみましょう。

個別株CFDで使えるレバレッジは銘柄や口座タイプによって異なります。取引の前に証拠金計算ツールで必要証拠金を確認しておきましょう。
6. 防衛関連株に関するよくある質問
Q1. 国防予算が増えれば、防衛関連株は必ず上がりますか?
必ず上がるとは限りません。予算が成立しても、入札と契約を経てはじめて企業の受注になります。受注も、製品を納入するまでは売上として計上されません。固定価格契約でコストが超過すれば、受注が増えても利益が減ることがあります。予算の金額だけでなく、受注残、利益率、納入の進み具合もあわせて確認することが大切です。
Q2. 有事のときに防衛関連株は上がりますか?
必ず上がるとは限りません。紛争が激しくなると、防衛関連株は短期的に買われやすくなります。しかし、予算や受注の増加がともなわなければ、上昇は長続きしにくいと考えられます。株価が紛争への期待を先に織り込んでいる場合は、その後の実際の受注が市場の想定を下回ることもあります。
Q3. 米国の防衛関連株は配当を出していますか?
大手の多くは配当を出しています。ロッキード・マーティン、ジェネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマン、RTXなどが代表例です。CFDでポジションを保有している場合は、配当落ち日に配当調整額が発生し、受け払いの向きはポジションの売り買いによって決まります。
Q4. 日本や欧州にも防衛関連株はありますか?
あります。日本では三菱重工業、川崎重工業、IHIなどが防衛関連株として知られています。欧州には英国のBAEシステムズ、ドイツのラインメタル、フランスのタレスなどがあります。これらの企業はそれぞれの国の市場に上場しており、株価は主にその地域の防衛支出の影響を受けます。Titan FXで取引できる防衛関連の個別株は、米国企業が中心です。
7. まとめ
防衛関連株は、売上の多くを政府の防衛契約から得る企業の株式です。米国の主契約企業にはロッキード・マーティン、RTX、ノースロップ・グラマン、ジェネラル・ダイナミクスがあります。株価を動かす主な要因は、国防予算、同盟国の防衛支出、地政学リスク、契約の遂行の4つです。
防衛関連株は顧客が安定していて受注の見通しも立てやすい一方、予算をめぐる政治、契約の損失、緊張緩和といったリスクも抱えています。投資する際は目的に応じて個別株、ETF、CFDを選び、予算審議や大型契約のニュースに注意しておきましょう。
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主な出典(カテゴリ別)
- 政府・国際機関:米国防総省 2027会計年度予算要求、NATO 2025年ハーグ首脳会議宣言
- 市場データ:Yahoo Finance(ITA、SPYの週足終値)、iシェアーズ・SPDR・インベスコの防衛ETF商品資料
- 調査・報道:CSISなどによる2027会計年度国防予算の分析、各社のIR資料