米中間選挙で株価と為替はどう動く?過去のデータで見る選挙前後の米国株と米ドル

米中間選挙とは、4年の大統領任期のちょうど中間に行われる連邦議会選挙で、下院の全議席、上院の約3分の1、そして多くの州の知事が改選されます。2026年の中間選挙は11月3日に投票が行われます。
選挙の結果で今後2年間どの政党が議会を握るかが決まり、予算、税制、債務上限といった市場に直結するテーマの行方が変わります。選挙の年になると、「中間選挙のあとは米国株が上がる」といった話が繰り返し語られます。
この記事では選挙結果の予想や政党の評価はせず、市場の視点に絞って、中間選挙で何が選ばれるのか、過去の選挙前後の米国株と米ドルの動き、2018年と2022年の2回の選挙で実際に起きたこと、そして2026年の選挙前後にトレーダーが押さえておきたい日程とツールを整理します。
- 中間選挙で決まるのは議会の主導権で、市場が見ているのはその後の財政政策の方向
- 複数の機関の集計では、1950年以降、中間選挙後12カ月の米国株はすべて上昇しているが、サンプルは19回しかない
- 2018年と2022年はどちらも選挙後12カ月で上昇したが、選挙月の値動きはその年の中で目立つものではなかった
- 2022年は、選挙後1週間で最も大きくドルが動いたのはインフレ指標の発表日だった
- 2026年は選挙の前にFOMC、選挙の3日後に米雇用統計があり、選挙そのものより指標の影響が大きくなる可能性がある
1. 米中間選挙とは?2026年は何が選ばれるのか
米国の大統領任期は4年で、連邦議会選挙は2年ごとに行われます。大統領選挙と同じ年に行われる議会選挙に対して、大統領の任期の中間に行われるのが中間選挙です。2026年11月3日の選挙で改選されるのは次のとおりです。
| 改選対象 | 議席 | 任期 |
|---|---|---|
| 下院 | 全435議席 | 2年 |
| 上院 | 35議席(定期改選33議席と補欠選挙2議席) | 6年 |
| 州知事 | 36州 | 多くは4年 |
新しい議会は2027年1月に発足します。
市場が中間選挙に注目するのは、議会が持つ権限のためです。連邦予算、税法、債務上限はいずれも議会の承認が必要なので、どの政党が議会を握るかで今後2年間の財政支出や財政赤字の方向が変わり、米国債利回りや米ドルにも影響が及びます。
大統領の所属政党が上下両院で多数を握れば政策を進めやすく、少なくとも一院を別の政党が握るねじれ議会になると、新しい財政法案は通りにくくなります。
市場が気にするのは、選挙結果が事前の予想とどれだけずれるか、そして財政支出、規制、税制の方向が変わるかどうかです。
一方で、金融政策を決めるのは FRB(米連邦準備制度理事会)で、議会選挙の対象ではありません。為替や債券市場に最も大きく影響する金利の道筋は、選挙の前後でも経済指標が主導します。
2. 中間選挙前後の米国株:過去の傾向
中間選挙について最もよく引用されるのは、選挙後12カ月の S&P 500 の成績です。複数の証券会社や調査機関の集計によると、1950年以降の19回の中間選挙で、S&P 500 は選挙後12カ月にすべて上昇しており、平均の上昇率は15%前後です。数字は起点の取り方や計算方法によって多少異なります。
この傾向は「大統領選挙サイクル」とあわせて語られることが多く、4年の任期のうち中間選挙の年は米国株が相対的に弱く値動きも荒くなりやすい一方、選挙後から3年目にかけては相対的に強いとされます。選挙前の政策の不透明感が選挙で晴れ、資金が市場に戻るという説明がよく聞かれます。
この数字を読むときは、次の3点に注意が必要です。
- サンプルが少ない:19回の選挙は観測値が19個しかないということで、毎回の経済環境もまったく違います。
- 金利サイクルと重なっている:選挙後に上昇した局面の多くは、FRB が利上げを止めたり利下げを始めたりした時期でもあり、上昇をすべて選挙のおかげとは言い切れません。
- 過去は将来を保証しない:バリュエーション、金利、財政の状況は過去とは異なり、連続記録はいつ途切れてもおかしくありません。
S&P 500(US500)の構成銘柄や特徴は、別の記事で解説しています。
3. 2018年と2022年:選挙後の相場を動かしたのは別の要因
直近2回の中間選挙は、2018年11月6日と2022年11月8日に行われました。シーズナリティ分析で US500 を選ぶと、下の「年×月」ヒートマップで両年の月ごとの騰落率(月末終値ベース)を確認できます。

| 項目 | 2018年 | 2022年 |
|---|---|---|
| 選挙の年の1〜10月 | +1.0% | −18.9% |
| 10月 | −7.2% | +7.9% |
| 11月(選挙月) | +2.2% | +5.6% |
| 12月 | −9.3% | −6.0% |
| 選挙後12カ月(当年10月末〜翌年10月末) | +12.3% | +8.0% |
※ 複数月の騰落率は月次リターンを掛け合わせて計算しています(月末終値ベース)。「選挙後12カ月」は当年10月末から翌年10月末までで、投票日を起点にしたものではありません。同じ方法で計算した年間騰落率は、ヒートマップ右端の「年間」と一致します。
どちらも選挙後12カ月で上昇しており、前の節の過去の傾向と合っています。ただ、選挙月だけを見ると、選挙が特別な値動きを生んだとは言えません。
- 2018年:選挙月の11月は2.2%の上昇にとどまり、1年12カ月の中で9番目の大きさで、その年の平均的な月間変動(約3.4%)を下回りました。大きく動いたのは10月(−7.2%)と12月(−9.3%)で、当時は FRB の利上げが続き、貿易摩擦や景気減速への懸念も重なっていました。
- 2022年:年間で8カ月が5%を超える騰落率を記録し、選挙月11月の +5.6% はその年の中で8番目の大きさでした。10月からの反発はインフレのピークアウトと利上げ減速への期待によるもので、11月10日の CPI が予想を下回ったことも追い風になりました。12月には FRB が高金利を長く続ける姿勢を示し、米国株は再び下落しました。
選挙結果が出てから数週間の相場を主導したのは、やはり金利と景気でした。月ごとの傾向については、相場のアノマリーは今も有効かで10年分のデータを検証しています。
シーズナリティ分析を開く4. 米ドルと為替:選挙の影響は指標に埋もれやすい
中間選挙が米ドルに与える影響は間接的です。議会の構成が変わると財政政策の見通しが変わり、それが国債の発行量や利回りを通じてようやく米ドルに伝わります。この経路の中では、FRB の金融政策や経済指標のほうが大きな変数になりがちです。
2022年を例に、為替レート履歴データベースで米ドル/円の2022年11月の日足終値を見てみます。

| 日付 | 出来事 | 米ドル/円の終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|
| 11月8日 | 中間選挙の投票日 | 145.673 | |
| 11月9日 | 開票結果が次々に判明 | 146.403 | 約 +0.5% |
| 11月10日 | 米10月 CPI 発表、インフレが予想を下回る | 140.947 | 約 −3.7% |
選挙結果が出た日の米ドル/円の変動は約0.5%にとどまりました。それに対して2日後の CPI(消費者物価指数)では1日で約3.7%下落し、11月全体では6.87%下落しています。市場が反応したのは、インフレ指標が FRB の利上げペースに与える影響で、選挙結果の影響は限られていました。
もちろん、選挙結果が市場の予想と大きく食い違ったり、財政や通商政策の見通しを大きく変えたりすれば、米ドルや米国債が大きく動く可能性はあります。米ドル指数の構成や変動要因、USD/JPY の特性は、それぞれの記事で解説しています。
為替レート履歴データベースを開く5. 2026年の中間選挙をどう見るか:日程とツール
2026年の選挙では、前後1週間に相場を動かしうる予定が並んでいます(時刻は日本時間)。
| 日付 | 予定 | 注目点 |
|---|---|---|
| 10月27〜28日(結果は29日未明) | FOMC(米連邦公開市場委員会) | 選挙前最後の FRB 会合で、選挙後の金利見通しを左右する |
| 11月3日 | 中間選挙の投票日 | 米東部時間の夜から開票が進み、日本時間では11月4日の午前にあたる |
| 11月4日 | ADP 雇用統計などの指標 | 米雇用統計の前哨戦 |
| 11月6日 22:30 | 米雇用統計 | 選挙後最初の重要指標 |
※ 日程は FRB が公表した2026年の FOMC 日程と、米労働統計局(BLS)の発表スケジュールによるものです。変更があった場合は公式の発表をご確認ください。
FRB 会合の決定内容や次回の日程は中央銀行の動向で確認でき、FOMC の日程では年間のスケジュールをまとめています。各指標の発表時刻や予想値は、経済指標カレンダーで国を「米国」、重要度を「★★★」に絞ると一覧できます。

開票が進むのは日本時間の午前中です。一部の議席は結果の確定に数日かかることもあり、情報が少しずつ出てくる間はボラティリティが高まり、スプレッドが広がることもあります。選挙相場で取引するつもりがなければ、投票日の前にポジションを軽くし、損切りの位置を確認して、結果がはっきりしない数時間を避けるのも一つの方法です。
経済指標カレンダーを開く6. よくある質問
Q1:中間選挙は FRB の判断に影響しますか?
FRB の金利判断はインフレと雇用のデータにもとづいており、制度上は議会選挙から独立しています。選挙が財政政策の見通しを通じて景気見通しに間接的な影響を与えることはあっても、FRB の意思決定の手続きが直接変わることはありません。
Q2:ねじれ議会は市場にとって良いことですか?
はっきりした答えはありません。ねじれ議会では新しい法案が通りにくく、政策が安定するので市場に好まれるという見方がある一方、予算や債務上限の処理が滞り、期限が近づくと相場が荒れることもあります。どちらの組み合わせが良いかを過去のデータで証明することはできません。
Q3:中間選挙のあとは米国株が必ず上がりますか?
必ず上がるとは限りません。1950年以降は選挙後12カ月がすべて上昇していますが、サンプルは19回しかなく、選挙直後の値動きは金利や景気に左右されがちです。2018年は選挙から1カ月余りで大きく下落しました。過去の統計は参考程度にとどめるのが無難です。
Q4:中間選挙は金(ゴールド)に影響しますか?
影響は主に間接的です。金価格は米ドル、実質金利、リスク回避の需要に連動しやすく、選挙で財政赤字や国債発行の見通しが変われば、米ドルや利回りを通じて金価格にも波及します。選挙結果そのものが金の方向を直接決めることはあまりありません。
Q5:選挙のときに反応しやすいのはどの資産ですか?
政策との関わりが深いセクターの株式が最も直接的に反応しやすく、ヘルスケア、エネルギー、防衛、金融などが代表的です。株価指数や主要通貨ペアは選挙そのものの影響を受けにくく、金利見通しや経済指標に沿って動くことが多くなります。
Q6:選挙結果が確定するまでどのくらいかかりますか?
多くの議席は投票日の夜から翌日にかけて確定し、議会の主導権は数日以内に判明するのが一般的です。接戦の選挙区では開票や再集計に時間がかかり、個別の議席の確定が数週間後になることも珍しくありません。
7. まとめ
中間選挙で決まるのは議会の主導権で、市場が本当に気にしているのは、それが財政政策、国債の発行、利回りにどう影響するかです。過去には選挙後12カ月の米国株がすべて上昇していますが、この統計のサンプルは19回しかなく、FRB の金利サイクルと重なっていることも少なくありません。
2018年と2022年の2回の選挙を見ても、選挙後数週間の相場を主導したのは金利と経済指標でした。2026年は選挙の前に FOMC、選挙の3日後に米雇用統計があります。選挙結果を当てにいくより、まずこれらの日程を取引計画に組み込んでおくほうが、ポジション管理には役立ちます。
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主な出典(カテゴリ別)
- 選挙制度:米連邦選挙委員会、米国上院・下院の公式解説
- 公式日程:FRB の FOMC 開催日程、米労働統計局(BLS)の雇用統計発表スケジュール
- 市場統計:証券会社・調査機関による中間選挙後の S&P 500 の成績の集計(Deutsche Bank、BNY など)
- ページとツール:Titan FX 研究所 シーズナリティ分析(US500、2016〜2025年の月次リターン)、為替レート履歴データベース(米ドル/円 2022年11月)、経済指標カレンダー、中央銀行の動向(画面のデータは2026年10月12日時点)