Titan FX(タイタンFX)

米CPI発表でドル円はどう動く?上振れ・下振れの反応、初動と当日の値動きの見方

米CPI発表でドル円はどう動く?カバー画像
米国の消費者物価指数(CPI)は、米労働統計局(BLS)が毎月、米国東部時間の午前8時30分に発表する物価統計で、為替市場で最も注目される経済指標のひとつです。発表後のドル円の動きを左右するのは市場予想との差で、予想を上回る上振れならドル高、下回る下振れならドル安になりやすいとされます。

ただし、CPIは毎回4つの数字が同時に発表されます。総合CPIと、食品・エネルギーを除くコアCPIのそれぞれの前月比と前年同月比です。4つがそろって上振れ・下振れするとは限らず、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げをめぐる市場の見方によっても、反応の大きさは変わります。

また、発表直後1分の方向が、30分後や引け時点では逆になっていることもあります。

この記事では、米CPIの発表時刻と4つの数字を整理したうえで、実際の3回の発表からドル円の典型的な動き方を紹介します。あわせて、Titan FXの経済指標カレンダーで過去の反応を確認する方法と、為替レート履歴データベースで発表当日と翌日の値動きを確認する方法を解説します。

この記事のポイント
  • 米CPIが上振れするとドル円は上昇、ユーロドルは下落しやすく、下振れするとその逆になりやすい
  • よく見られる動き方は3つ:方向がそのまま続く、初動が30分以内に反転する、ほとんど反応しない
  • 発表は米国東部時間の午前8時30分で、日本時間では夏時間が21時30分、冬時間が22時30分
  • 4つの数字は同時に発表されるため、経済指標カレンダーの4行の価格変動率は同じになり、どの数字が相場を動かしたかは区別できない
  • 発表前は経済指標カレンダーで過去の反応を確認し、発表後は為替レート履歴データベースで当日と翌日の終値を確認する

1. 米CPIの発表時刻と4つの数字

CPIは、消費者が購入するモノやサービスの価格の変化を示す指標で、インフレの動向を判断する代表的な統計です。米労働統計局は毎月中旬に前月分のCPIを発表し、発表時刻は米国東部時間の午前8時30分(日付は米国の現地日付)で固定されています。

米国の夏時間は3月の第2日曜日に始まり、11月の第1日曜日に終わります。日本時間では、夏時間の期間は21時30分、冬時間の期間は22時30分の発表になります。

経済指標カレンダーで国を「米国」にすると、CPIの発表日には同じ時刻に4つの行が並び、重要度はいずれも星3つです。表示される時刻は左上のタイムゾーンの設定に連動し、UTC+09:00(Tokyo)を選ぶと日本時間で表示されます。

経済指標カレンダーの2026年9月11日の画面。国を米国にすると、21時30分に消費者物価指数(CPI)の前月比・前年同月比、CPIコア指数の前月比・前年同月比の4行が並び、それぞれの予想・結果・乖離が表示されている
  • 消費者物価指数(CPI)(前月比):総合的な物価が前月からどれだけ変化したか

  • 消費者物価指数(CPI)(前年同月比):総合的な物価が1年前からどれだけ変化したか。ニュースの見出しで最もよく使われる数字

  • 消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比):食品とエネルギーを除いた前月比

  • 消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比):食品とエネルギーを除いた前年同月比

食品とエネルギーは価格の振れが大きいため、それらを除いたコアCPIのほうが物価の基調をつかみやすく、市場は総合CPIとあわせてコアCPIにも注目します。

なお、前月比は季節調整済みの数字、前年同月比は季節調整前の指数から計算した数字で、計算の前提が異なります。CPIの定義や計算方法は、CPIの用語解説で詳しく説明しています。

2. 米CPI発表後のドル円の動き方:よくある3つのパターン

CPIが上振れすると、物価の上昇が市場の想定より速いと受け止められます。FRBが利下げしにくくなるとの見方からドルが買われやすく、下振れした場合はその逆です。ほかに大きな材料がない場合の典型的な方向は次のとおりです。

通貨ペア・銘柄CPIが上振れした場合CPIが下振れした場合
ドル円(USD/JPY)上昇しやすい下落しやすい
ユーロドル(EUR/USD)下落しやすい上昇しやすい
金(XAU/USD)下落しやすい上昇しやすい

金は実質金利や安全資産としての需要にも左右されるため、この表のとおりに動くとは限りません。

実際の発表後、ドル円の動き方は大きく3つに分けられます。下の表は経済指標カレンダーに記録されている3回の発表です。「予想との比較」は第1章の4つの数字をそれぞれ予想と比べた結果で、価格変動率は発表時点の価格との比較です。

発表日(対象月)予想との比較発表1分後発表30分後動き方
2026年10月14日(9月分)3つが上振れ、1つが予想どおり+0.17%+0.26%方向が続いた
2026年9月11日(8月分)1つが上振れ、3つが予想どおり+0.30%-0.32%初動が反転した
2026年5月12日(4月分)3つが上振れ、1つが予想どおり+0.03%-0.01%ほとんど反応しなかった

10月と5月はどちらも3つの数字が上振れしましたが、10月はドル高がそのまま続き、5月はほとんど動きませんでした。上振れはドルがどちらに動きやすいかを示すだけで、大きな値動きを約束するものではありません。

9月は上振れしたのが1つだけで、ドル円はいったん上昇したあと、30分後には発表前より安くなりました。

3. 結果の高さより「予想との乖離」を見る理由

発表前の時点で、市場にはCPIの予想があります。経済指標カレンダーの予想がそれにあたります。結果が予想とほぼ同じなら、市場はすでに織り込み済みで、価格は大きく動きにくくなります。相場を大きく動かすのは、結果と予想の差、つまりカレンダーの乖離(結果-予想)です。

たとえば前年同月比が前月の3.4%から3.7%に上がると、大きな上昇に見えます。しかし市場があらかじめ3.7%を予想していれば乖離は0で、ドルが上がるとは限りません。

CPIの行の右にある詳細+を押すと、過去約10回の発表の予想・結果と、発表後の各時点の価格変動率が展開されます。表の上で確認したい銘柄を1つ選べるので、数字を読む前に、選ばれている銘柄が自分の見たいものかどうかを確認してください。

経済指標カレンダーを2026年9月11日にした状態で、前年同月比の米CPIの詳細+を開いた画面。関連銘柄はUSDJPYで、9月11日からさかのぼって10回分の予想・結果・乖離と、発表1分後から30分後までの価格変動率が並んでいる

注意したいのは、ここに表示されるのはカレンダーで見ている日付までの記録だという点です。カレンダーを9月11日にしていると、その後の10月14日の発表は表示されません。最新の10回分を見たい場合は、展開部分の上にある指標名の横の詳細...から指標ごとのページに移動します。こちらには60分後の欄もあります。

前年同月比での米国の消費者物価指数(CPI)の指標ページ。関連銘柄はUSDJPYで、2026年1月から10月までの10回分の予想・結果・乖離と、発表1分後から60分後までの価格変動率、表の下に計算式が表示されている

第2章の数字は、この表から読み取ったものです。表の下には計算式が記載されていて、価格変動率は「指標発表n分後の終値-指標発表時の始値」を「指標発表時の始値」で割った値です。そのため「30分後」の数字は1分後までの値動きを含んだもので、別の区間の値動きではありません。

この表には下振れの例もあります。2026年7月14日(6月分)は、前年同月比の予想3.8%に対して結果は3.5%で、ドル円は発表1分後に0.28%下落しました。第2章の方向の表と同じ動きです。

4. 発表1分後と30分後の違い:初動はなぜ反転するのか

4つの数字は同じ時刻に発表されるため、経済指標カレンダーの4行の価格変動率はまったく同じになります。この数字は1回の発表に対する市場全体の反応で、どの数字が相場を動かしたかまでは読み取れません。

4つの数字の上振れ・下振れがそろっていないと、初動は反転しやすくなります。2026年9月11日の発表がその例です。

  • 総合CPIの前月比・前年同月比は、どちらも予想どおり

  • コアCPIの前月比は0.3%で、予想の0.2%を上回った。コアCPIの前年同月比は予想どおり

  • ドル円は発表1分後に0.30%上昇したが、30分後には0.32%の下落になった

第3章の表の9月11日の行を見ると、1分後+0.30%、5分後+0.11%、10分後+0.04%と上げ幅が縮み、15分後には-0.18%、30分後には-0.32%まで下げています。1分後の数字だけを見ていれば、ドル高になったと判断してしまいます。

過去の記録を読むときは、1分後と30分後をあわせて見るようにしましょう。

  • 2つの時点が同じ方向:反応がそろっている。10月14日の発表がその例

  • 2つの時点が逆方向:初動が続かなかった。9月11日の発表がその例。初動に乗ってエントリーすると、逆方向の値動きで損切りにかかりやすい

  • 2つの時点がどちらもほぼ0:その銘柄への影響は小さかった。5月12日の発表がその例

前年同月比での米国の消費者物価指数(CPI)の過去の結果。関連銘柄はUSDJPYで、2026年10月14日、9月11日、5月12日の3行を赤枠で示している。それぞれ方向が続いた例、初動が反転した例、ほとんど反応しなかった例

5. 為替レート履歴データベースで発表当日と翌日の値動きを確認する

経済指標カレンダーの価格変動率は、発表60分後までです。発表当日にどこで引けたか、翌日も同じ方向に動いたかを確認するには、為替レート履歴データベースを使います。

  • ① 通貨ペアを選ぶ(例:USDJPY)

  • ② 発表のあった月を開くと、ページ上部に月間最高値・月間最安値とその日付が表示される

  • ③ 発表当日と翌日をクリックし、始値・高値・安値・終値を比べる

為替レート履歴データベースのUSDJPY 2026年10月の画面。月間最高値158.949は10月14日で、下の日別データには各日の終値が並んでいる

ドル円の2026年10月を見ると、月間最高値の158.949はCPIが発表された10月14日に付けています。この日の終値は158.879で、前日比0.36%の上昇でした。

ところが翌15日の終値は157.989と0.56%下落し、14日の上昇分をすべて打ち消しています。

日足の高値・安値は1日全体の値幅で、その日にはほかの材料もあるため、値動きのすべてをCPIのせいにはできません。発表直後の数分間の反応は、経済指標カレンダーの価格変動率で確認します。

為替レート履歴データベースを開く

6. 米CPI発表前にやっておきたいこと

ここまでの確認方法をまとめると、CPI発表前の準備は次の順番になります。

  • ① 時刻を確認する:経済指標カレンダーで発表日を確認し、夏時間と冬時間の違いに注意する

  • ② 予想と金利の見通しを確認する:4つの数字の予想を控えておき、FRBの次回会合について市場がどう見ているかも把握する。同じCPIの結果でも、市場が利下げを予想しているときと据え置きを予想しているときでは、反応が変わることがある

  • ③ 過去の反応を確認する:詳細+を開いて保有している銘柄を選び、過去数回の1分後と30分後の変動率を見る

  • ④ ポジションを調整する:過去の値動きの大きさから見て、いまのポジションが許容範囲を超える損失を出しかねない場合は、発表前にポジションを減らすか、損切りを適切な水準に置く

発表の瞬間はスプレッドが広がることがあり、価格が飛んだりスリッページが発生したりして、損切りが指定した価格で約定するとは限りません。経済指標カレンダーのほかの項目や絞り込みの使い方は、経済指標カレンダーの使い方ガイドで解説しています。

経済指標カレンダーを開く 経済指標カレンダーの見方

7. よくある質問

Q1:米CPIは毎月何日に発表されますか?

発表日は米労働統計局があらかじめ決めていて、毎月中旬が多いものの、日付は毎月異なります。労働統計局のウェブサイトに今後の発表予定が掲載されているほか、経済指標カレンダーにも事前に表示されます。

Q2:CPIが予想どおりだったのに、為替が動くのはなぜですか?

1回の発表に4つの数字があるためです。ニュースの見出しになる前年同月比が予想どおりでも、ほかの数字が上振れ・下振れしていることがあります。2026年9月11日は総合CPIが予想どおりでしたが、コアCPIの前月比が上振れし、ドル円は30分以内に上昇から下落に転じました。

Q3:発表前にCPIの結果を予測する方法はありますか?

クリーブランド連銀のインフレ・ナウキャスティング(Inflation Nowcasting)が参考になります。公式統計の発表前まで、CPIとコアCPIをモデルで推計し、毎日更新しています。これはモデルによる推計値で、経済指標カレンダーの市場予想とは別のものなので、置き換えて使うことはできません。

8. まとめ

CPIの上振れ・下振れは、ドルがどちらに動きやすいかを示します。ただし実際の反応は、そのまま続く、30分以内に反転する、ほとんど動かない、のいずれにもなり得ます。4つの数字の上振れ・下振れがそろわないときは、特に初動が反転しやすくなります。

発表前は経済指標カレンダーで時刻・予想・過去の反応を確認し、発表後は1分後と30分後をあわせて見て、為替レート履歴データベースで当日と翌日の終値も確かめましょう。発表直後の1分間だけで判断するより、値動きが定着したかどうかを見極めやすくなります。


関連記事
✏️ 著者について

Titan FX Research チーム。外国為替・コモディティ(原油・貴金属・農産物)・株価指数・米国株・デジタル資産まで幅広い金融商品を対象に、投資家向けの実践的で根拠あるコンテンツを制作しています。


主な出典(カテゴリ別)
  • 公的統計:米労働統計局(BLS)CPI発表スケジュール、2026年9月分CPIの発表資料
  • Titan FXのツール:経済指標カレンダー(米CPI 4項目の過去の結果と価格変動率)、為替レート履歴データベース(USDJPY 2026年10月の日足)、2026年11月4日に確認